歯車―他二篇 (岩波文庫 緑 70-6)

歯車―他二篇の感想・レビュー(447)

「歯車」「玄鶴山房」「或阿呆の一生」。芥川の「死への意志」が最も凝縮されたこの三編をまとめた岩波文庫の功罪やいかに、と言いたくなるほど。劇薬指定。生と死のバランスの天秤があるとして、この三編は死へ重力を働かせる三つの分銅。だからあまり読み返したくもない。一番フィクショナルな玄鶴山房が、虚構にも関わらず真をつくようで恐ろしい。玄鶴はどう考えても、もっと年若い頃に自死すべきだった。看護婦甲野の視点で、自己を見つめるとそう至る。歯車も或阿呆も、甲野のように冷めた視点を得るための装置のようである。
★14 - コメント(0) - 2月21日

晩年、谷崎潤一郎との「話のない小説論争」と並行する時期に書かれた『玄鶴山房』『歯車』『或阿呆の一生』の3篇。初期から中期にかけての、すっきりとひとつの焦点を結ぶような結構を持った小説とは、大きく異なった小説世界が展開されていて、「話のない小説」の実作化がこれかと思えば興味深い。しかし、もしこれが芥川の遺作にならず、芥川が90歳まで生きたとしたらどうだったか? と措定してみると、『或阿呆の一生』は少し落ちるような気がする。これだけ細かいパラグラフに切断したことの効果がいささか薄いように思える。
★2 - コメント(0) - 1月29日

歯車のみ
- コメント(0) - 1月2日

芥川氏晩年の作品。死や精神錯乱を描いた内容が多くなっている。死を見つめるという点では気に入ったが、日本の暗い私小説の典型といった感じで、日本人が個人の確立というのを考えると行き着くところは著者のようなところになってしまうのかなと思った。西洋文明に飲み込まれてアイデンティティ不定と化している日本及び日本人を象徴しているように感じた.
★31 - コメント(1) - 2016年12月2日

「僕はもうこの先を書き続ける力を持っていない。こういう気もちの中で生きているのは何とも言われない苦痛である。誰か僕の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはないか?」――私は芥川の晩年作に関心があり、遺稿を読み漁っています。何故、天才は死を選ぶのか? 岩波文庫のラインナップは非常に興味深く、特に「歯車」は恐ろしい。主人公は右目の視野を絶えず回り続ける半透明の歯車に気づく。瞼を閉じても歯車は消えることなく、次第に増えてゆく。そしてAllrightという意味深な幻聴。読んでいる最中ゾワゾワしっぱなしです。
★70 - コメント(2) - 2016年11月21日

他の著作と書き方がだいぶ違っていた。晩年の作者自身の話ということだったが、死の迫った中での狂気、恐怖がメインで書かれていたが、テーマが読みきれなかった。
- コメント(0) - 2016年10月30日

知は自傷行為に過ぎないのか。白痴として生きる事ができるなら幸せなのだろうか?思考は苦しみを明瞭にし立体化された苦しみは以前に見えなかった部分も陽の下に晒すそして醜い部分がより明確に見えてしまう。生きながら自らの意思で五感を潰す人は現実にはいない事から皆何かしらに対する知の欲求は潜在的にはあるのだろう知識を得るという事は諸刃の剣で知識を得れば得る程にいかに自分は無知でくだらない生き物なのかを知る行為である。芥川自身現実の迫力に耐え切れなかったのではないか現実に架空の歯車を見いだす程に
★29 - コメント(0) - 2016年9月24日

1990年代に読了。芥川龍之介は文学を火花の様に考えていた。「或る阿呆の一生」の『すると目の前の架空線が一本、紫いろの火花を発してゐた。彼は妙に感動した。彼の上着のポケツトは彼等の同人雑誌へ発表する彼の原稿を隠してゐた。彼は雨の中を歩きながら、もう一度後ろの架空線を見上げた。架空線は不相変あひかはらず鋭い火花を放つてゐた。彼は人生を見渡しても、何も特に欲しいものはなかつた。が、この紫色の火花だけは、――凄すさまじい空中の火花だけは命と取り換へてもつかまへたかつた」という情景にシンクロニシティが見て取れる。
★1 - コメント(0) - 2016年9月16日

おかしくなりながらも、この人は奥さんのことを最後まで愛していたのだな……と思った
- コメント(0) - 2016年7月27日

青空文庫本、先ずは歯車を読んだ。偏頭痛の前兆である閃輝暗点を主題に、考えまい、近づくまいと思う事象にゆっくりと絡め取られて行く様子を第三者的に写実的に書き記す様が恐ろしい。また丸善の広い階段や催し物を開催している部屋、銀座、日本橋を彷徨する様子は、今度ぼく自身が付近を歩いた際、突然周囲の喧騒から隔離された時空に落ち込みはしないかと不穏な刷り込みになってしまった。棚にレモンが置かれている位ならまだ陽気だが、少しの間、あの界隈から遠ざかった方が安心な気がする。
★3 - コメント(0) - 2016年7月25日

この7月の3連休にはふさわしくない本を読んでしまった。一番のインパクトは「或阿呆の一生」の"人生は一行のボオドレエルにも若かない"という阿呆(芥川)のつぶやきだろうか。人の一生なんてあっという間のむなしいものだが、芸術とか文学とか詩歌は永遠に残る。言われてみればその通りである。なのにわれわれは何をそんなに頑張って毎日を生きていくのだろうか。生きる喜びとはいったいなんなのだろうか。うまいものを食うことか、出世することか、いい女を抱くことか。猛暑の毎日の中、なんだか急にやる気がおこらなくなってしまった。
★32 - コメント(2) - 2016年7月17日

芥川自殺直前の3作品。特に遺稿となった「或阿呆の一生」は三人称視点の表現が研ぎ澄まされきっていて、読んでいて終始緊張感があった。「歯車」は一人称視点でひたすら不吉な方向へ進んでいってしまう閉塞感で息がつまる。ラストは作中で言及されていた暗夜行路と同じ”妻登場エンド”だけれど、歯車では”救い”に光がない。
★5 - コメント(0) - 2016年5月12日

怖い本です。芥川と言えば緻密で計算尽くしの文章とストーリーと言う印象を持っていましたが、これは、まったく別物です。天才的な裏の顔をのぞいたような印象は、恐怖を禁じ得ません。暗いニュアンスは、とんでもないものを動かす歯車となって伝達して、作者を死に至らしめたのでしようか?
★4 - コメント(0) - 2016年5月5日

「玄鶴山房」は厳格だけじゃなくて、幻覚ともかけてるのか。吃驚するくらい厭な話。「歯車」は、終わりだけじゃなくて、まーたしかに凄い短編なんだろうと思う。コリン・ウィルソン『アウトサイダー』のような読中感も。オレステスが出てきたり、本当に仄かだが、あかるい兆しもないではなかった。「或阿呆の一生」にはある種の清清しさを感じる。思ったよりかは陰々滅々としてなかった。が、疲れている人は元気なときに読むといいですよ。
★1 - コメント(0) - 2016年4月29日

「或阿呆の一生」と「歯車」のラストを。みじかい。一、八、七、四七(重純殺)、四九(剥製の白鳥) 暗さに色々あり。
★2 - コメント(1) - 2016年4月29日

ダイソーの100円ブックスより歯車、破滅的だけどお洒落な世界観とてもすきです!ほんとに昔の作品とは思えないです!芥川龍之介の文章はすごいなあ!
★17 - コメント(0) - 2016年4月5日

暗く、狂的で、死を感じさせる晩年作品三つ。他人に訴えかけるというよりも、何というか自分で自分の狂気や死を確認しているかのような、ただ己にとっての現実を見つめるために書いているというような印象を受けた。闇の中、粛々と死に向かって歩を進める感じ。不気味だけど面白かった。
★47 - コメント(0) - 2016年3月31日

芥川の最晩年の作品である「歯車」について。苦悩がこの作品の通奏低音となっている。彼の死へのカウントダウンのような印象を感じた。独特の比喩が印象的。忍び寄る死を連想させる『レエン・コート』や彼の苦悩を感じさせる『半透明の歯車』、何かに蝕まれている感じを与えられる『鼠』や『蛆』、そして天に向かうことを連想する『人工の翼』。漱石の「道草」並みに、読むと憂鬱になってしまうがそういう彼の苦悩に思いを馳せながら、丁寧に読みを深めていきたい。ただ、この作品は精神的にきつい時や鬱っぽい人は読まない方がいいかもしれない。
★33 - コメント(0) - 2016年3月15日

キチっている75点
★1 - コメント(0) - 2016年2月16日

明らかに病んでる内容は、自殺に至る根拠とまでは言わないものの、それに迫る芥川の心の代弁と捉えられる。『歯車』中盤以降、『或阿呆の一生』の最後の記述はどちらも現代の統合失調症を思わせるが、これらを一人称と三人称で其々書き分けたのを踏まえると(執筆時は)未だ正気も垣間見えたのだろう。三人称の記述は(一人称とは違い)感情ではなく理性と知性に訴え掛けることで、文学を娯楽ではなく芸術に据えようと企んだのか。何にせよ、この短い文章に己の思うところ何もかもをぶち込んだ筆力は流石としか言いようがない。
★7 - コメント(0) - 2016年2月14日

青空文庫で「歯車」のみ読みました。正直わかりにくかったのは否めない。けれども主人公が何かしらに追い詰められ、狂っている様が鬼気迫るように伝わり恐怖を感じた。最後の妻の言葉が衝撃的。また落ち着いて再読したいと思う。
★3 - コメント(0) - 2016年1月27日

昭和2年の遺稿にも金剛さん出てるんですね・・やっぱ金剛さんはおばあ(ry
★2 - コメント(0) - 2015年12月27日

短編から構成されているだけあり、文章量自体は少なめであるが、なかなかそれを自分なりに咀嚼して読み進めていくことがなかなか難しい。どの作品も明るくはないものの、晩年の芥川について多少なりとも迫ることが出来るため興味深い。個人的には、三編の中でも特に「歯車」をオススメしたい。
★2 - コメント(0) - 2015年11月24日

短編から構成されているだけあり、文章量自体は少なめであるが、なかなかそれを自分なりに咀嚼して読み進めていくことがなかなか難しい。どの作品も明るくはないものの、晩年の芥川について多少なりとも迫ることが出来るため興味深い。個人的には、三編の中でも特に「歯車」をオススメしたい。
★4 - コメント(0) - 2015年11月24日

今まで読んできた芥川とはかなり違う文体。だが頭を使わないと読めない所は変わらない。三篇とも面白かったが特に題名にもなっている「歯車」は秀逸だ。人間の奥底の黒い部分を的確に表しているのではないか。やはり短編は素晴らしい。
★4 - コメント(0) - 2015年11月10日

芥川龍之介の最高傑作は「歯車」だと思います。主人公の前に度々現れる不気味なレエン・コオトの男と、鉄道事故で亡くなる義兄が着ていたレエン・コオトの恐ろしい符合。視界の端々に映りこむ透明な歯車の幻覚。「死」を予感させる現象に翻弄される主人公は、正気を失う一歩手前の限界の位置で、それでもなお小説を書き続けます。心身が弱り果てた主人公は芥川自身の姿と重なり合い、死期の近い彼の哀れな息遣いが感じられ、身につまされます。死に取り憑かれた人間の狂気を書いた作品で、これを凌ぐリアリティを持つ小説は他には無いでしょう。
★22 - コメント(1) - 2015年10月28日

著者の晩年の作品ということで、予想通り読み応えある暗い話だったが、「或阿呆の一生」は中身を汲みきれなかった。章立てもぶつ切りだし、つながりがあるのかもわからん。解説を読んでも大したこと書いてない。事前の知識もなく読み始めたので、創作メモみたいなもんかと思って読んでいた。
★5 - コメント(0) - 2015年10月26日

あまりよくわからなかったというのが正直な感想だが、全体に漂う暗さや狂気というものは感じとれた。
★2 - コメント(0) - 2015年10月13日

芥川龍之介晩年の短編集。暗澹、狂気。初期の頃よりも格段に尖っている。剥き出しの神経「そのもの」みたいな作品。
★21 - コメント(0) - 2015年9月17日

歯車。久々に読む。病的、あまりに病的だ。でもその病的な感じをきちんと作品として昇華させているので、これを書いていた時の作者は以外と健康だったのではないか、と読んでて感じた。本当の所どうなんだろう。今となっては分からない。
★4 - コメント(0) - 2015年9月10日

これだけ読んでもよくわからんね?
- コメント(0) - 2015年8月22日

247
芥川の最晩年の作品。文学者の悲劇のようにも感じる。芥川の自己意識に焦点をあて、また再読したい。
★3 - コメント(0) - 2015年8月13日

"……僕は返事をする前に「不眠症」のショウの発音を正確に出来ないのを感じ出した。"(『歯車』、本書57頁より引用) 読みながら、僕も、そういえば不眠症だったことを思い出した。「不眠症」のショウの部分は発音できた。
★6 - コメント(0) - 2015年6月18日

龍之介の遺稿集。亡くなる約半年前頃に書かれた作品集で、死臭漂う「玄鶴山房」、ジャンキーの夢を描いたような「歯車」、日記形式で支離滅裂な「或阿呆の一生」を収録。来るところまで来た時期の話だが、暗さや重さはそれほどなく清々しささえ感じる。
★4 - コメント(0) - 2015年6月12日

晩年の死を意識し始めた「玄鶴山房」「歯車」「或阿呆の一生」が入っている。思ったより中国とフランスが混交している印象を持った。「或阿呆の一生」でルソーを読みたくないと思ったのは、面白かった。また実際「新生」を読んでみてこんな偽善な人間はいない、と思ったらしい。「歯車」の中で、芥川はフランス的な幻想や象徴を見て取るけれども、原則的には東洋的な物事の見方なので面白い。杉浦日向子は円朝を近代的過ぎて嫌いだったらしいが、芥川は大丈夫なのではないか。「玄鶴山房」は私小説ではなく、純粋な私小説は「歯車」のみ。
★5 - コメント(0) - 2015年6月6日

青空文庫で「歯車」のみ読了。何を見ても、どこにいても不安なのです。あらゆるものに死を連想してしまうのです。影響を受け易いのが弱点の一つなのです。読んでいてソワソワする。こちらも不安に引きずりこまれる。クルクルと機械的に回るいくつもの歯車。それは私自身なのか、世間なのか。まわるまわる。
★30 - コメント(0) - 2015年5月20日

rb
いずれも暗く、遺書を読んでいるような気分になる。「歯車」はまるで狂人の眼を通して世界を見るような内容だが、レエン・コオトの男や半透明の歯車などが効果的に登場しており、完成度が高いように思われる。精神を病んでいた状態でこんな作品をかけたのなら恐るべきことだし、逆に健全な精神のもとで想像して書いたとすればそれも凄い。どんな精神状態だったのだろう? あとは「或阿呆の一生」の紫色の火花が印象的だった。
★51 - コメント(0) - 2015年5月19日

歯車 誤解を恐れないでいうならば、メンヘラブログをガチの小説家が書いてみたみたいな内容である。出てくるもの全てが死へと繋がっていく様は実によく似ていると感じた。ただし、人一倍優れた感受性と高い表現力により一つの芸術の域へと昇華している点において、それらとは決定的に隔絶されている。最終段落の締め上げる感じと、張り詰めた糸がプツッと切れるかのような最後の一文は、芥川だからこそ書けたものであるのは間違いないだろう。
★6 - コメント(0) - 2015年5月15日

「歯車」では孤独な遊歩者の彷徨が書かれる。彼の眼前を不穏な事物が横切っていく、あるいは偶然横切った事物について執拗に反芻することでまさに彼自身がそれに不穏さを付与しているとも言えるだろう。だがそのような不穏さよりもいっそう不穏に感じたのは、この語り手の身体を鏡像や影としてしかそこに確認し得ないことだった。「頭だけ歩いている」と作中で示唆されるこのような形式はしかし、これまで私が好んで読んできた別の作家の作品との親縁性を見出せるものだったので、不穏さに当惑することなく文そのものを楽しみながら読んでいられた。
★11 - コメント(0) - 2015年4月26日

「歯車」のみ読了。気づいたら芥川龍之介が自死した年齢をとうに超えていたのに愕然とした。
★2 - コメント(0) - 2015年4月16日

歯車―他二篇の 評価:84 感想・レビュー:128
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