久生十蘭短篇選 (岩波文庫)

久生十蘭短篇選 (岩波文庫)
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久生十蘭短篇選はこんな本です

久生十蘭短篇選の感想・レビュー(406)

めちゃくちゃ面白かった。題材の取り方が非常に広く、個性的で、その描き方もまるで文学の匂いのするところからスイッと拾い上げてきたかのような創作で、自分の理想とするところにかなり近い感じがした。「チーズから切りだしたような上品な横顔」という描写にはひっくり返った。
★2 - コメント(0) - 3月22日

久生十蘭未体験の人にはこの選集を薦めたい。収められている品々にハズレがなく、明晰な解説も読み応えがある。ジューランが生命活動に欠かせない栄養素となること請け合い。図書館で借りたのだが読み終えたその日に買ってしまった。
★9 - コメント(0) - 3月5日

久生十蘭という作家の幅広さを感じる事の出来る短編集。戦後直ぐの時代に雑誌に発表された物が多くその時代を感じる事が出来ました。
★3 - コメント(0) - 2月18日

再読。美しい。真に和魂洋才かつ幻想的。知る由もない大正〜昭和初期の匂い、情緒のようなものを感じさせてくれる。ずいぶん前に氏の「従軍日記」〜従軍記者としてインドネシアへ赴いた時の手記〜も読んだことがあるが、文才と遊び心に溢れる洒脱な人物、という印象がある。自身のクラシックスとして折にふれ再読したい。
★16 - コメント(0) - 2月8日

創作意識の深度がよほどでなければこれほど完成度の高い小説群をなし得ないと思えます。人生スケールの大小に関わらず、その主人公たちの最も象徴的なシーンやプロット、台詞を活写する筆力は三島由紀夫を彷彿させます。探偵小説めいた殺人の展開あり、電話での一人語りだけで男女の軋轢、嫉妬を描く作品あり、美術・演劇・など多岐にわたる芸術論あり、しかもそれぞれ自然に話趣となっている点、素晴らしい才能と感心します。少しく物足りない気もしなくはありません。作者の矜持とも思われますが、余韻と深淵を重んじる余りの結末部の潔さです。
★2 - コメント(0) - 2016年12月16日

ことさら超自然的な出来事が起こるわけではないけれども、なんというこの幻想感。研ぎ澄まされ、美学に貫かれた文章なればこそなんでしょう。どの短篇も、読み終えたあとに夢の余韻を覚えます。「鶴鍋」や「無月物語」のようにラストの鮮烈なビジュアルイメージがそうさせることもあれば、「ユモレスク」「復活祭」のように人生を支える何かが変質してしまったような眩暈がそうさせることもあります。まさに珠玉の作品集。
★5 - コメント(0) - 2016年12月9日

人生における大切な人の死や苦しみを上澄みだけではなく澱をも呑み込む。より味わい尽くし綺麗事ではない人間の所業を見つめ感動を手繰り寄せるのだ。自分の日常とかけ離れた境遇の物語をぐっと至近距離に近付けるそのテクニックは圧巻。幻想的な世界に誘われる読者はいつしか物語の登場人物になる。だって「黒い手帳」の5階の住人はきっと私。6階の彼の苦悩を知りつつ4階の夫婦から目を離せない。好きなのは「黄泉から」「白雪姫」「春雪」俗世にまみれた薄幸なヒロインの達は儚く小さな幸せを希いながらお伽話のような幻想的な死をもたらした。
★61 - コメント(3) - 2016年9月27日

洒脱で気負いのない良く出来た短篇集。
★5 - コメント(0) - 2016年9月22日

本当に器用な作家だなと思わせられる。とはいえこれほど多彩なスタイル・題材の運用を可能にしているのは、小手先のテクニックの豊富さではなくむしろ、小説というもののツボというか、根本のところにある“物語なるものの本質”を掴んでいたというところにあるだろう。長編ではまた異なった面が見えてくるだろうから読んでみたい。『鶴鍋』『無月物語』『春の山』が良い。『春雪』は何度読んでもグッとくる。
★4 - コメント(0) - 2016年9月17日

死の美しさに終始魅せられていた。対比されるようにある鶴や雪や蝶など、そのバランスも絶妙。華麗な文章や緻密に計算された構成は言うまでもなく、人物の名やルビ使いなど細部まで美しかった。とりわけ好きだったのは「黄泉から」「白雪姫」「蝶の絵」「春雪」。
★45 - コメント(0) - 2016年9月12日

アンソロジーの中でしか読んだことのなかった十蘭の短編集。時代感と異国感が素晴らしい。異端作家万歳。更に読みたいが出版されているものが少なく悲しい。
★2 - コメント(0) - 2016年8月17日

学校の課題のために読み始めたのですが、どの作品も秀逸で良作揃い。「黄泉から」と「予言」と「母子像」がお気に入り。親バカな母親の「ユモレスク」の後に、子供を手にかける母親の「母子像」を持ってくるのはニクい構成だなあ。
- コメント(0) - 2016年8月12日

戦後を感じさせる短編も多かった。「黒い手帳」のルーレットにかける思惑。「無月物語」は平安期の感じ。これと「雪間」の箱根強羅での殺人事件の予感。この2作品は、なんとなく中途に終わったようにも感じた。 全体的にとてもおもしろい。「無月物語」は平安期っぽくした「チェンチ一族」といわれたら、確かにそうかもしれないな、と思う。「泡沫の記」でのバイエルン王ルートヴィヒ2世の死をめぐる文章も、実に興味深いうえ、どこまでが創作……という技巧も感じた。
★1 - コメント(0) - 2016年5月16日

久生十蘭は『魔都』と『顎十郎捕物帖』の一部しか読んだことがないので、ミステリ以外ははじめて。雰囲気がよい感じで好きかな。分かりやすいのは『無月物語』とかかな。教養文庫の久生十蘭のシリーズが何処かに埋まってるから掘り起こして読んでみようかな。
★17 - コメント(0) - 2016年4月4日

豊饒の愉悦。
- コメント(0) - 2016年3月5日

あれまだ一遍残ってた?と思うくらいの解説(てか小論文)を踏まえて、さてド素人の評論ぽいレビューなんか。どうせよと(笑)。とりあえず、“コスモポリタンになり切れなかった者の顛末を語る口調の、ともすれば駈け出そうとうとする喜怒哀楽への抑制のかけ具合が素晴らしい”とまあ、素人ながら頑張って言ってみる(笑)。そういうい意味でも「蝶の絵」がものすごく面白かった。大規模なカタストロフの前後で零落するスノッブの脆さと、ディレッタンティズムとは無縁に件のときをサヴァイブしてきただろう真のエリートのうす~い友情がたまらん。
★29 - コメント(4) - 2016年2月24日

戦後の匂いのする短編集。素養不足の自分にはやや難しい箇所もあったが、美しい文章を読んだという充足感がある。ゆっくり再読したい。
★1 - コメント(0) - 2016年2月7日

モダンな泉鏡花、三島が意識した作家。美しい、華麗な文章に緻密に計算された文学技巧と。まさに小説の魔術師だ。初久生十蘭。ファンになりました。
- コメント(0) - 2016年2月6日

久生作品初読み。十五編の物語はバラエティーに富んでおり、一話一話が読み手の心にじわじわと染み入ってくる。決して大仰な表現ではない。むしろ淡々と語られるそれらの底辺に、登場人物の声にならない叫び、自身を苛む苦悩や葛藤が犇めいている。そしてまるで居場所を求めてさ迷う亡霊のように影を落とすのだ。著者が体験した大戦。その時代背景が産み出した傷痕に臆する事なく、そこから流れる血膿を直視している作風だからこそ、これほど心に刺さるのかもしれない。特に印象深かったのは『泡沫の記』『蝶の絵』『春の山』『母子像』『春雪』
★56 - コメント(2) - 2016年2月4日

初読。幻想的で異国情緒溢れる短編集でした。こういう雰囲気のある小説ってなかなか出会えないですよね。
- コメント(0) - 2016年1月31日

いずれの物語もまた有為転変する人の思いの交錯によるもの。それを知ることは確かに存在したその人の生きざまに触れることであり、それを知った人の生にもまた影響を与える。そうした緻密なやり取りが豊かに彩られていく様は美しく、その多様性から物語の形は一所に収まりはしていない。「黄泉から」や「復活祭」「春雪」など心境の変化を描いた作品では特にそういった感慨を抱く。
★2 - コメント(0) - 2016年1月15日

久生十蘭はまさに小説の魔術師といっても過言ではない人物なのではないだろうか。作品のジャンルは実に幅広く、それでいてどれもが緻密に計算された文学的技巧に溢れている。鴎外の日記を冒頭に引用する「泡沫の記」エディプスコンプレックス小説を思わせる「母子像」女の電話の声だけで綴られる「猪鹿蝶」等々、新奇で種々雑多な作品群だ。これらの表面下に流れる一貫したテーマを見いだすことはひどく難しいかもしれない。しかし、「死」というものが、十蘭の巨大なテーマのひとつであったことはまず間違いなさそうだ。
★17 - コメント(1) - 2015年12月17日

読後長い間、記憶に残る話が多い。良い短篇集たと思った。気に入ったのは「予言」「無月物語」「黒い手帳」「蝶の絵」「雪間」「春の山」「猪鹿蝶」「母子像」。特に「黒い手帳」と「蝶の絵」は忘れられそうにない
- コメント(0) - 2015年12月8日

久しぶりに読み返してみたら、新しい発見がたくさんあった。前に読んだ時にはあまり気にならなかった「黄泉から」「ユモレスカ」「蝶の絵」などの短編の裏に隠れた、戦争の経験、余情、生と死のあわいの幻想。黄泉からの最後の一文から煌々とにおいたつ情景は、すごいものがある。
★11 - コメント(0) - 2015年11月29日

昔のお金持ちの文学者って退廃的な崩れた物語を書いていたのだな…太宰とか三島とかふう。サキ、モーパッサンのような海外の短編小説家ふうでもある。倒れ掛かってくるものがあって、カチッと窪みにはまって受け止められるかと思ったら、ずれたという……そんな印象。
- コメント(0) - 2015年10月19日

チェンチ一族の悲劇を中世日本に置き換えた『無月物語』のみ再読。解説によれば『無月物語』はスタンダールの作品を下敷きにしているらしい。
★36 - コメント(0) - 2015年10月5日

この著者の作品は初めて。幻想的なものから歴史もの、ミステリー味のものなど、ジャンルも違えば、舞台や語り口も違う、さまざまな様相を見せる15編。「黄泉から」「母子像」が良かった。とりあえず1冊は読んでみたものの、まだまだ深みのありそうな感じなので、他の小説も読んでみようかと。
★34 - コメント(0) - 2015年7月22日

3 新発見  
- コメント(0) - 2015年7月19日

はじめての久生十蘭。小説というものを読んでこういう風に感じるのはあるいはおかしなことなのかもしれませんが、文章に香気のようなものがあるように思えました。視覚的な彩りよりも、嗅覚に訴えるような、そんな文章を書く人だな、と感じました。小説というのは面白いものですね。
★7 - コメント(0) - 2015年7月2日

k.t
なんだか不思議な読後感のある小説。ハッピーエンドとかバッドエンドとか、簡単に言い切れない作品が多い。
★1 - コメント(0) - 2015年6月26日

従軍記者の経験から戦争に纏わる話が多かった。歴史物、ミステリー、奇っ怪な話、ユーモアのあるものなど内容は多岐に渡り、密度の濃い独特で不思議な作品集。「世界堂書店」で既読の「黄泉から」、「予言」「黒い手帳」などモダンでハイカラなオカルトっぽいものが印象に残った。
★10 - コメント(0) - 2015年5月31日

不思議な読後感。まるでお芝居のナレーションのように淡々とした文章なのに、スーッと物語の世界に引き込まれる。気付けば、たった一人の観客のために目の前で繰り広げられる劇に夢中になっている。が、しかし・・・ラストは急にライトが灯され現実に戻される。「予言」、「白雪姫」、「ユモレスク」が好み。筆名の由来が演劇界の重鎮シャルル・デュランからとは、ニヤリです。
★19 - コメント(0) - 2015年5月26日

久生十蘭の短篇集。久生十蘭の著作自体初めてだったけど、異国情緒溢れる内容とそれを引き立てる文体に惹かれた。また、長編の「魔都」に挑戦しようと思う。
★3 - コメント(0) - 2015年5月5日

十蘭の卓越した技巧群の中でもとりわけ優れているのは、人間心理という一つのテーマを多様な形式で抉り出せるその器用さに他ならない。得意ジャンルのミステリーだけでは飽き足らずに時代もの・ホラー・幻想文学・SFまでも器用に使いこなしてしまう。この短編集は、そんな十蘭の魅力が遺憾なく発揮されているものだ。「黄泉から」のような幻想的な話から「母子像」のようなミステリー、さらには「無月物語」という換骨奪胎の時代ものまで収録されており、「小説の魔術師」の異名が伊達ではないことを読者に鮮烈に印象づけること必至である。
★5 - コメント(0) - 2015年4月7日

久生十蘭ってマニア好みの通俗小説作家というイメージだったんだけど、初めて読んでその面白さに衝撃を受けた。何というか、中学の頃お勉強気分で芥川を読んだ時の、面白さとリーダビリティに「なんだこれ!」ってなった感じに似てる。(タイトルホルダーの「母子像」はそんなでもなかったけど…)
★1 - コメント(0) - 2015年3月24日

長い間積読本だったが、お風呂のお供に読み始め、思いがけずハマる。「多言語多文化空間」が課題だったと解説にあり、納得。さらに『無月物語』がローマのチェンチ一族の逸話を下敷きにしていて、スタンダール始め多くの作家がノべライズしているという、その比較も興味深い。なにより文章の美しさと、戦前戦後の設定なのに今読んでも引きこまれる不思議。
★7 - コメント(0) - 2015年3月24日

濃い読書体験でした。怪談好きとしては「黄泉から」・「予言」の素晴らしさを指摘すべきなのでしょうが、ミステリチックな「黒い手帳」や電話だけで物語が進む「猪鹿蝶」の巧みさにも言及しなくてはならないでしょう。少なくとも、外れはないと思われます。
★1 - コメント(0) - 2015年3月8日

ミステリ的な要素のある短編が多く、面白く読めた。文章や物語構成の美しさも見所。「黒い手帳」「鶴鍋」「雪間」「蝶の絵」が好き。
★1 - コメント(0) - 2015年2月10日

久生十蘭短篇選の 評価:96 感想・レビュー:166
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