ウィーンの辻音楽師 (岩波文庫 赤 423-2)

ウィーンの辻音楽師はこんな本です

ウィーンの辻音楽師を読んだ人はこんな本も読んでいます

年月日
163登録

ウィーンの辻音楽師はこんな本です

ウィーンの辻音楽師の感想・レビュー(37)

J・アーヴィングが「ガープの世界」のなかで痛烈に批判していたのが本作「ウィーンの辻音楽師」。この文庫を読むかぎり、私もまたこの劇作家を高く評価することはできない。表現が大袈裟すぎるところは古典だから大目に見るとしても、人間の描きかたが表面的なのは私の好みにあわなかった。オギンスキーという登場人物にいたっては描かれていないといっても過言ではない。辻音楽師の演奏を最後まで聴かずに部屋を出る語り手の、それほど深くは感動していないごく自然な態度を描いたのとおなじ仕方で、あの辻音楽師と僧侶を描いてもらいたかった。
- コメント(0) - 2月16日

要領が悪くて父親からは見限られ、人が良すぎて周囲には誤解され騙され、あげく落ちぶれて恋まで失うとは気の毒以前にもどかしすぎるのだけれど、利他的なラストがなんとも切なくさせる。最初は悪女なのかと思ったらそうではなく、逆に善良だと思ったもう一編の「ゼンドミールの修道院」の方がそうではなく、展開に抑揚もあってドラマチック。しかもゼンドミールは作者自身の体験からきているとか、不倫されたのかと思ったらした方だとか、不倫したのに不倫された側で語って自分を裁くとかなかなかすごい。
★4 - コメント(0) - 2月2日

2作収められているが頁あたりの行数が少ないので、すらすら読める。表題作は非常にビーダーマイヤー的な、つまりとりたてて注目に値しない人物の些細な出来事、しかしひとりの人生にとっては大きな出来事についての回想。作品の感動を強める要素として徹底的に、この老人の不器用さを強調しているのが特徴的。もう一作、修道院を舞台とし罪をテーマにした物語は、語り口は穏やかながら主題や展開はかなり劇的で、伏線などは劇作家らしいシンプルである意味子供だましのようなものながら、そうと気取らせずゴールまで辿りつく語りの上手さを感じる。
★2 - コメント(0) - 2016年8月14日

何度読んでもすばらしい。これぞ物語という気がします。収録の二本とも、構成はほぼ同じ(冒頭であれやこれやが起きる→そのなかで誰かと誰かが出会う→一方が過去の出来事を詳しく語りはじめる)で、そういう意味では、作者は不器用なのかもしれません。しかしこの方の主戦場は劇作であり、ならばわたしたちも、小説的な語りの問題に注目するのではなく、物語術を楽しむべきではないでしょうか。実際、そこがべらぼうにうまい。人生の悲哀が、表題作では静謐に、もう一作は迫力に富む場面設計で、荘重に語られているのです。文句無しに推せる一冊。
★11 - コメント(0) - 2015年11月5日

作者のことは全く知らなかった。訳者によるとオーストリア最大の劇作家だという。収録された2つの作品とも劇的な構成を持ち、登場人物が陰影深く描かれている。これはグリルバルツァーの作劇術が影響しているのだろう。「ウィーンの辻音楽師」は年老いたバイオリン弾きの生涯が描かれている。私のような音楽好きにはたまらない内容で、行間から哀しげなバイオリンの響きが聞こえてくるような気がした。死の直前に見せる英雄的な行動が読者の胸を打つ。「ゼンドミールの修道院」は緊密な構成を持った悲劇で、人間が持っている業の深さに慄然とした。
★110 - コメント(2) - 2015年3月15日

短編が2作。とても短い話なのにどちらも心に深くささるような作品で良かったです。特に表題作の主人公の凛とした感じに魅かれました。
★2 - コメント(0) - 2014年10月5日

グリルパルツァーの生涯2作品だけしかない中~短編を両方収録。どちらも女性との関係を巡って話が進行するのだが、各々の話の中心的存在となる女性がそれぞれ善女悪女と好対照になっていて面白い。
- コメント(0) - 2014年7月4日

外面上の失敗と内面的な充実を書いた表題作と、苛烈な行為の結果もたらされた狂的な悲劇を書いた〈ゼンドミールの修道院〉の二篇。前者は風景の一部がクローズアップされて次第に感動が浮き出してくる構成であり、後者は静寂から怪談のような不穏さが立ち上がってくる劇的な展開。どちらも著者の心理と体験が色濃く反映されているようだが、作品化の巧みさが際立っている。さすが劇作家の作品と云うべきか。
★3 - コメント(0) - 2014年3月9日

劇作家グリルパルツァーの短編2作品。どちらも心に沁みる繊細で美しい物語である。簡潔で静かな文章だが、ふとした何気ない言葉の端々に作者の苦しみや葛藤を垣間見ることが出来る。これは単なる空想の悲劇ではなく、グリルパルツァー自身の人生を結晶化させたものなのだ。人間の美醜を、きついコントラストで書き表すのではなく、淡く混じり合うようにきめ細かに描かれている様が、幻想的であると同時に不思議な現実感をもって心に迫ってきた。100頁に満たない短編でここまで感銘を受けた作品はあまりない。折に触れて読み返したい名作である。
★14 - コメント(1) - 2014年3月3日

表題作の他に「ゼンドミール僧院」を収録する。両作品とも、当事者の独白という形で綴られ、しかもそれが作品の大部分を占める。しかし、前者が最初から当事者である事を明らかにしているのに対し、後者では終盤に分かる点でより劇的な構成になっている。
★1 - コメント(0) - 2013年12月5日

「おそらく彼自身が哀れな辻音楽師であって、物語をとびきりの非音楽的に演奏して、きみの目の涙によって、とびきりの感謝を受けたわけだ」と『ミレナへの手紙』にグリルパルツァーの『ウィーンの辻音楽師』について書くカフカだった。非音楽的な物語はカフカ自身がそう思うカフカの作品と似ている。音楽を目指しながらも彼女に合わせて歌うことが出来ない辻音楽師の姿はカフカと重なる部分があるのだろう。カフカとグリルバルツァーが共振する。
★2 - コメント(0) - 2013年8月5日

グリルパルツァーは、ケッヘルと同時にウィーンフィルの代表役員をしていたらしい。
- コメント(0) - 2013年6月2日

再読
- コメント(0) - 2013年2月8日

"しかし、晩は私のものです。私のまずしい芸術のためのものです。"滅びゆくウィーンへの挽歌として。爛熟期の世紀末の、壊れゆく和音の崩壊に向けて。過去を回顧するグリルパルツァーの自己告白。
★2 - コメント(0) - 2012年11月13日

★★★★。むなしい。
- コメント(0) - 2012年9月24日

今読んでいるみんな最新5件(2)

08/01:かふ

積読中のみんな最新5件(6)

08/14:KAZOO
01/03:蛇の婿

読みたいと思ったみんな最新5件(34)

02/28:dripdrop
11/20:元気
04/28:
02/19:がう
ウィーンの辻音楽師の 評価:92 感想・レビュー:17
ログイン新規登録(無料)