形式:文庫
出版社:岩波書店
情報受領側の能力不足により大した感想が書けなかった。
時代区分は四時代区分。経済の問題(景気)を最重視しつつ、文化の伝播や交通、中国社会の求心力と遠心力など具体的な現象でもって時代を捉える。/「むすび」(下巻)には「歴史家にとって、歴史概説こそが、同時に歴史哲学であってしかるべきだ」との言がある。
興味深い記述。「由来独裁者は文化の境界線から現れるものであって、それは相違なる両種の文明、風気によって鍛錬され、頭脳が複雑に働くので、乱世に処して難局を切抜けるには最も適しているからである。(中略)独裁者が地域の境目に生れやすいという傾向は世界に共通する現象であるらしい。ヒットラーが生まれたのはドイツとオーストリーの境界近くであり、スターリンが生れたグルジアはキリスト文明とイスラム文明との境界に当たっていた。→
→日本では織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三人が揃って尾張、三河から現れたがこの辺は銀使いの西日本と、金使いの東日本の境界付近であった。(中略)乱世に生れて覇を争うには画一的な教育によって頭の動きを固定されず、物事を相対的に考え、平衡感覚を働かせて現実に即した行動をすることが最も必要なのであった。」(「第1篇 古代史 5 前漢」 pp. 204-206) 「独裁者」というところが気になるが……。
242頁。前漢では武帝以来、儒学を尊崇したと言っても、それは臣下が儒教を学ぶことを認めたという程度であって、天子自ら孔子の信徒となったことはない。後漢以後、儒教は中国の国教となった。269頁。魏の九品官人法。狙いは地方有力者と中央政府の結合。332頁。玄宗は唐王朝を再興させた。玄宗は貞観時代に置かれた六都護府にならい、辺境地方に十節度使をおいて、国境の警備、貿易の保護に当らせた。西方貿易に従事する隊商を保護するのが目的。351頁。五代十国時代の後周が中央集権化を始め、継いだ宋王朝が中央集権化を確立させた。
漢代は黄金が多く、インフレ好景気時代(68頁)。世界三大文明の火薬、羅針盤、活字印刷の使用は宋代で普遍化(94頁)。学問の武器は書物で、『春秋』を教科書にしたのは孟子の頃(161頁)。晋王朝が衰えた一因は貴族化、奢侈化(284頁)。公務員だけがボーナス増えてて官尊民卑ってのも衰えてる証で、罰があたる。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます