坑夫 (岩波文庫)

坑夫 (岩波文庫)
352ページ
84登録

坑夫はこんな本です

坑夫の感想・レビュー(62)

漱石版ブラック企業職業記的小説でもあり、『海辺のカフカ』でカフカ君が読んでいた本。でも私は自意識過剰で周囲には無頓着な主人公にイライラしてしまって・・・。結局、家出したのは女性二人にいい顔してフラフラしていていた事を家族から追求される嫌さから。意志がないのに他者に上から目線。元学生の坑夫、安さんの言葉も馬の耳に念仏で「彼がカリスマになれたなら俺もなれる」と謎の自信。挙句は「俺は美女二人が取り合うほどの男だったんだぞ」って思う所は呆れ果てるしかない。働くのも、生き抜くのも大変なのに何をいけしゃあしゃあとボケ
★80 - コメント(4) - 1月10日

『虞美人草』が比叡(山)に登る話から始まる。次の『坑夫』が鉱山に潜る話。足尾鉱山のことを書いているのだが、鉱山に行くまでが長い。エリート意識がありながら世捨て人。厭世的な気分で坑夫に身を落とす。漱石のプロレタリア文学かブラック企業小説かと思ったが、主人公の自意識だけで進んでいく地獄の三丁目。身分の違い、人間性の問題、青年は鉱山に登って降りていく潜入記。自己の境界=モラトリアムの遊民から人間以下の労働者への転身。でも娑婆にまた戻っていく。だから小説(手記)を書いている。その滑稽さ。
★11 - コメント(2) - 2016年12月16日

 2014年 2月14日 改版   1刷
★9 - コメント(0) - 2016年11月29日

tom
漱石を順番に読んでいる。順番だからということで、評判の悪いらしいこの本を読み始めて、電車に乗るときだけ読んで、ようやく読了。後書きを読んでみると、村上春樹さんが「カフカ」の中で取り上げてるらしい(カフカは読んだけど、記憶にはない)。この本、評判と違って、私にとっては、ちょっと面白い。私の理解では、漱石さん、「坊っちゃん」の雰囲気をもう一度という気持ちで書いたのじゃないかなあと思うのです。いろいろなことがあって、それなりに大変で、でもどこかで目覚めるという感じ。少年の成長物語という雰囲気の本です。
★15 - コメント(0) - 2016年11月15日

漱石作品のなかで評価が低いと言われてるようですが、私は面白く読みました。色恋沙汰で家出したお坊ちゃんが斡旋屋に誘われるまま抗夫になろうと、鉱山へついて行くという話。もう死んでもいいやと思うほどのどん底に落ちながらも、ゆらゆらと揺れ動いてしまう心。漱石は人の心の捉え方が上手いなあと思いました。
★16 - コメント(0) - 2016年10月12日

場面転換による省筆が一切無い、ワンカットの奇怪な小説。開幕ポン引きの口車に乗る形で坑山へ連れられるのだが、着いた時にはなんと本の半分が過ぎている。休んだり山の案内をされたり健康診断をしているうちに仕事もせぬまま小説は終わる。暗夜を歩き続け山に入っては地下へ地下へと降ってゆく描写は実に不気味で、この路は夢十夜や百閒に通じていると思う。
★4 - コメント(0) - 2016年5月18日

NAO
金持ちの坊ちゃんが足尾銅山に連れて行かれた実体験を、漱石が小説化したもの。華厳の滝に飛び込むつもりで家出をしたらしい主人公は、炭坑の穴を一段ずつおりていくことで、死を仮体験し、生きることを選ぶ。「生きて登って行く。生きると云うのは登る事で、登ると云うのは生きることであった。」主人公を虐待したり、半死の病人をからかったりと荒々しく残酷な坑夫が多い中、早く娑婆に戻れと諭す飯場頭や主人公と同じような過去を持つ安さんの存在が光っている。
★47 - コメント(1) - 2016年3月18日

お金持ちのお坊ちゃまが家出の途中にポン引きと出会い誘われるがままにに炭坑へ。坑夫になることを「堕落」と言い、生きながらに死んだ状態と表現。仕事に貴賤なしと言うものの漱石(明治時代)の差別感、上から目線が随所に表れている。結局、主人公は坑夫になろうと決意するもならなかった(なれなかった)。漱石が言いたかったのは、人にはそれぞれに使命と役割があると言うことなのだろうか。本人がその気になっても、何となく場にそぐわないことって生きていると確かにある。
★5 - コメント(0) - 2016年1月26日

炭鉱に着くまでが話のほとんど。少年は結局坑夫になることはできず、経理をやり、東京へと帰る。家出をして厭世観を持ちながらも結局世の中にすがりついている少年の姿が印象的だった。しかし途中からはあまりそう感じられなくなった。旅や炭鉱での生活は、少年を大人に変えたのではないか。
★8 - コメント(0) - 2015年12月11日

主人公は恋愛のもつれから家出してポン引きに身を任せるほど自暴自棄になる19歳のぼんぼん。飯場頭の親切に触れ抗夫として働かないと面目が立たないと思い、インテリ抗夫に憧れるところなども上流階級の子弟らしい。厭世観に陥った青年は抗夫という異世界に救いを求めるが、気管支炎の診断によってその思いも断たれる。結局、抗夫は無理で帳簿付けの仕事しかできない。流れに身を任せきれなかった青年の決断は東京に戻ることしかなかった。漱石にとって働かない高等遊民の話は自然に書けても、下層階級の話では日頃の差別意識が随所に出てしまう。
★3 - コメント(0) - 2015年10月8日

本当の人間は妙に纏めにくいものだ。神さまでも手古ずる位纏まらない物体だ(14頁)。人間は中々重宝に社会の犠牲になる様に出来上がったものだ(32頁)。現代は原発労働者。もし死んでから地獄へでも行く様な事があったなら、人の居ない地獄よりも、必ず鬼の居る地獄を択ぶ(77頁)。自分は普通の社会と坑夫の社会の間に立って、立派に板挟みとなった。笑い声が起った時は、情ない程不人情な奴が揃ってると思った(147頁)。現代のイチエフで働かされる人を思わざるを得ない。
★34 - コメント(2) - 2015年9月8日

「小説とは」に度々言及し、キャラに性格づけがありゃいいってもんじゃないとばかりにぶった切るのは今のキャラ小説業界にも通用するように思う。主人公は「自殺してやる」から「落ちぶれてやる」という思考をうろうろしながら自分より下にある人間や文化を蔑視するような思考を繰り返し続け、最終的に坑夫になることはなく、己とは違う文化体系にあってもなくてもすべては「ただの顔」であることを理解する。延々脳内でぐだぐだ云っておいて結局坑夫にはならんのかいとは思ったけど、一応思考の飛躍はあったのだとは思う。でも選民思考だよね。
★3 - コメント(0) - 2015年2月16日

勧善懲悪の物語を美文で綴った前作とは内容も文体も全く違う。恋愛問題絡みで世を厭い家出をした語り手の青年が、北関東の銅山へ赴き一種の地獄巡りを経験する話で、あまり筋らしい筋はない。その点かなり地味な小説ながら、解説の紅野氏が指摘する通りこれは「差別的な表現が頻出するテクスト」でもある。それは取りも直さず作者漱石の差別意識の反映だが、一方で主人公が全篇を通じて様々な「汚れ」「穢れ」を受け容れていくのも事実。ある意味潔癖症的な偏見からいかに自由になれるか、というのが本作のテーマの一つだったのかもしれないと思う。
★6 - コメント(0) - 2015年1月27日

朝日新聞「漱石と私」でゆるキャラ「もんじゅくん」のコメントを読み興味を持ちました。がなんせ明治の銅山なので難解な言葉が多く、いちいち巻末の註釈をひくので、とにかく進まない!自殺まで決意し銅山に入ったのに、5ヶ月であっさり東京に戻る主人公(←これじゃ意味不明…)。もんじゅくんのコメントがなければ「安さんと知り合った主人公は急に上から目線になる」こと、「安さんと主人公の選民意識が浮かび上がるように描かれている」こと、劣悪な環境で産業を支えている人が蔑視されていること=作者の言いたいことがわからなかったと思う。
★2 - コメント(0) - 2014年10月12日

主観視点の小説で,地を這うように主人公が当時思った心理状態を描写しながら進む。前半はやや退屈だが,後半になるとこの文体が生きてくる。炭坑の真っ暗闇の息苦しさのようなものまで身に迫ってくる。
★4 - コメント(0) - 2014年9月4日

△ 人が自分自身について考察するのは時代が違っても同じ。その様は好き。
★4 - コメント(0) - 2014年7月22日

何故そんなに評価が高くないんだろう。安っぽいのか・・・?主人公の頭の中で繰り返されるウダウダがとても近しい感じがする。鉱山地下は凄いことになっているが、出てくる人たち皆が何だか人間らしくて良い。やっぱり安っぽいのか。
★4 - コメント(2) - 2014年5月31日

全く古くない。むしろ新鮮。暗い松原を抜け、真っ暗な炭坑の奥深く降りて行く19才の心理描写に引きこまれた。青年期、あるいは悩みを抱える人の心理の象徴のようでもあり、小説を書く行為そのものにも思えた。ポン引きの長蔵、病気の金、意地の悪い初、筋が通っているが訳ありの安、脇役のキャラも立っている。紅野謙介の解説で、村上春樹『海辺のカフカ』はこの作品を下敷きにしていることに気づく。家出中のカフカが図書館で漱石全集を読み司書と語り合うのがこの作品、近年Jル―ビンにより英訳された、と。改めてこの新版が出たのも納得。
★4 - コメント(1) - 2014年4月7日

人間には「性格なんてまとまったものはありゃしない」ふむ、そう思う、サルトルもそんなこと言ってたなぁ。 途轍もなく深い不安、鬱屈、義理人情の葛藤、変化するヒトの意識。 安さんという存在に着眼する。そして、重なる芥川の羅生門の書き換えられる前の下人。 (「地下生活者の手記」を思わせる「抗夫」である、そうな。 漱石氏にとってメレディスは創作のヒントやインスピレーションを与えてくれた存在であったという。しばしば自作の中で引用したメレディスの作品って...?)
★2 - コメント(1) - 2014年3月31日

なぜ漱石は、本書を新聞連載をしたのだろう?と40余年前の感想と同じものを抱いた。研究者にとっては、格好の材料とされる本書ではあるが、一般の読者にとっては、漱石というブランドからすれば、魅力に乏しいのではないだろうか?
★6 - コメント(0) - 2014年3月8日

なぜか漱石(笑)。岩波の改版が2月に出た。一般に本作は評価が低かったけど、最近見直されてるようです。モノローグのルポ風で全編語られているのも入り込みやすく、まあ異次元に行ったぞレポートみたいであるが、クセのある登場者たちなど最後まで一気に読ませます。漱石の中でもランク高いようなきがする。でも新聞小説が初出だけどこんなん毎朝読まされても区切りがないし、一直線ストーリーだからいいけど、まとめて読まないと繋がらないような気がする。岩波の改版は連載時の挿絵が入り、いい感じ。
★4 - コメント(0) - 2014年3月1日

今読んでいるみんな最新5件(6)

12/13:かふ
11/23:たか
04/28:cbileelu

積読中のみんな最新5件(5)

12/26:ユエ
10/23:更紗蝦
04/24:よどば

読みたいと思ったみんな最新5件(11)

11/23:西山洸介
10/27:市太郎
03/30:Matthew
03/19:かごめ
坑夫の 評価:68 感想・レビュー:21
ログイン新規登録(無料)