文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫)

文学とは何か――現代批評理論への招待(上)の感想・レビュー(138)

内容的には、岩波現代文庫なんぢやないのかとも思ふが、「20世紀の古典」と書いてあるので良いのかなあ。「文学とは何か」といふよりも、「文学批評(理論)とは何か」について述べた本。批評理論とナショナリズムとの関係から説き、批評するといふ行為の背景の意図を解説したのち、現象学や受容理論、構造主義の諸理論の利点と疑問点を挙げる。乱暴なまとめをすれば著者は、様々な批評理論が単なる「言説」に後退し、体制の道具化される動きや、さうならざるを得ない理論的組み立てを細かく批判・検討してゐる。下巻迄読み、改めて感想をと思ふ。
★13 - コメント(0) - 1月7日

分かりやすい。好著。文芸批評はいかに存在し、そして文学はいかに捉えられてきたのか概略的に語っている。上巻では英文学批判から、構造主義的な文芸批評までを扱う。構造主義はなんとなく親しんだものだったので新しい発見はなかったが、あいだの現象学的な「前言語的な心的運動」を伴う言葉活動の下りに興味を惹かれた。卑近な例だけれど、人がやばいとかエモいとかぽろっと口に出ちゃうのって、まさに前言語的な心の動きがあると思う。言葉にできない感興に、言葉を考えずに発してしまう言葉。まさかフッサールからそんな話を聞くとは。
★15 - コメント(2) - 2016年12月25日

古典的思想にも一度は納得させるような分かりやすい書き口により、「自分はいかなるナイーブな見解も抱いていない」という思い込みを和らげる思想史。
- コメント(0) - 2016年8月25日

内容に関しては下巻で。岩波文庫というのは古典というより時代の指標みたいなもの。ポストモダンを批判してきたテリー・イーグルトンが岩波文庫化されたとき、政治的に冷めきったポストモダンや一部カルスタは本当に終わったのだなあと思った。
★11 - コメント(0) - 2016年4月15日

「文学部唯野教授」は、本書から生まれた-感想は下巻にまとめて。
★11 - コメント(0) - 2016年3月27日

大戦を経て荒廃したヨーロッパ精神は、神に代わる絶対的なシステムを必要とした。本書では、そのような状況下に広まった哲学思想がどのように文学批評に利用されたかについて書かれている。現象学の方法を応用して、テクストを純然たる作者の精神だと考えれば、読者は与えられた作品の内に篭って作者の意図を汲むことを余儀なくされる。あるいは構造主義者によって、テクストを作者や時代といった諸コードから切り離すことが提唱される。しかし、これは主体を人間からシステムそのものに移すという方法論に過ぎなかった。下巻に続きます。
★19 - コメント(1) - 2016年3月18日

かねてから気になっていたものの、ずっと手を出せずにいたが、文庫化されたのを気に挑戦。思ったよりはとっつきやすかったとはいえ、やはりそれなりの歯応えはあり。序章の「文学とは何か?」という一見単純な問いかけから多種多様な議論をすっきりとした語り口で読者に畳み掛けてくるのは見事。それに続く章での英文学史の解説も非常にまとまっており、英文科の学生はこの章だけでも読む価値があるのでは?と思わされた。現象学への言及など、哲学の素養がないと分かりづらい箇所もあるが、それは読者につきつけられた課題と言ってよいかと思う。
★4 - コメント(0) - 2015年11月9日

文学理論の概説書。上巻では英文学批評の誕生から現象学・解釈学・受容理論、構造主義が論じられる。初版から30年を経て内容的には「アップデートが必要」との評をどこかで読んだけれども、それはさておき面白く読めた。その理由は、それぞれの文学理論を批判するときの舌鋒の鋭さにあるというような気がする。理論を紹介されてなるほどなーと思わされた直後にそれがイーグルトンによってすぐさま否定されてまたなるほどなー、となる、みたいな感じ。
★5 - コメント(0) - 2015年7月28日

私の能力では、大変難しい書である。マルクス主義からの考察であり、20世紀後半の学説の批判は読み取れるものの、消化する事はできなかった。
★8 - コメント(0) - 2015年6月2日

ほとばしるマルクス力。文芸批評を、ヴィクトリア朝イギリス帝国において力を失った宗教の代わりに下層階級を統制し、階級社会を維持するために貴族階級が生み出したものと定義し、それによってロマン派時代のイギリスを警察国家となんらかわらぬものに変貌させたとし、以降新批評も現象学も解釈学も構造主義もすべて(提唱者の意思はともかく)イデオロギー支配と権力闘争の道具であったとぶち上げるその唯物論的文学観は、伝統的価値観に収まっている読者には受け入れがたいものと思われるが、もちろん私は大歓迎である。万雷の如き拍手!
★4 - コメント(1) - 2015年5月24日

文学とは何ぞや、と思っていたところに紹介された一冊。まず文学とは定義できないものだ、からはじまる。次に19世紀イギリスの文芸批評史、それを引き継ぐ思想として応用された哲学、さらに構造主義と続く。思想・哲学では文学を定義しえず、構造主義であれば文学という概念は置いておいて作品そのものは批評可能といったところなのか。このあたりは下巻も読んでから。しかし、イギリスの歴史と当時の思想哲学、批評について自らあたってみないことには読み解けないですね。
★12 - コメント(1) - 2015年3月11日

文学はポストキリスト教になり得るものだとか、文学を主観的なヒューマニズムで読むのはナイーブ過ぎる、とかいうことで、第一次世界大戦後あれやこれや哲学的に文学を分析してきた文学批評の流れの前半戦。現象学〜構造主義。肝心の思想を深く分かってないと??著者はこの後のポスト構造主義がお気に入りのようでどの理論も軽い説明の後、難癖をつける。ハイデガーに至ってはナチに利用された理論だからかなり酷評。民族主義に利用された論点も飛躍していてよくわからない。結局、私の無知からくるのだが…。後半のポスト構造主義に期待する。
★8 - コメント(1) - 2015年3月3日

18世紀から20世紀末にわたる欧米文学批評について、各時代の社会・政治的背景、歴史の流れと絡めて、哲学を含む思想史を軸に描写してゆく。英文学批評の誕生から、現象学、受容理論、構造主義、ポスト構造主義、フロイト、ラカンなどの精神分析、カルチュラル・スタディーズとポスト・コロニアリズムまで。終章で、「本書は、文学理論への手引書ではなくて、文学理論への死亡記事であ」ると告げる著者の、「文学」の幻想への批判は鮮やかで(柄谷と同様に、中途半端で無責任なポストモダニズムには特に手厳しい)、彼の眼差しは社会に開かれ、社
★1 - コメント(0) - 2015年2月27日

本書は20世紀における文芸批評史であり、更に言えば2章以降は20世紀大陸哲学から見た文芸批評とは何か、という点に尽きるのだろう。そもそも現代思想が問いの中心を対象そのものから言葉それ自体に置いていることを考えればそれが文学理論と結びつくのは当然であり、現代思想って実際文学/文学批評そのものだよねってのが個人的立場。そんな訳で最初の英文学批評の誕生の箇所が個人的に一番興味深かったのだが、古典研究に対応する形で現代英文学研究が学問として成立するのが第一次世界大戦という時代背景に負っているとする指摘は興味深い。
★43 - コメント(0) - 2014年12月27日

やべー。きもそぞろ。
★1 - コメント(0) - 2014年12月25日

みなさん立派に感想を書いていらっしゃるなかに恥ずかしいが難しすぎた... 文学とは何ぞやというところから、いったいそれを定義できるんかいな、と疑問が深まるなか、読者の存在についての言及が出てきたところに「ああ、これでちょっとわかるかも」と思った。が、そっちはあまり深まっていかなかった。読むことって結局はいち読者による個人的な経験でしかなくない?と思うし、文学批評によって、自分では見つけられなかった観点を提示されるのは大事だと思うけど、それを受け入れられるかどうかも個人的なもので、万人の正解はないのでは。
★5 - コメント(0) - 2014年12月24日

19世紀後半〈英語英文学〉の発展から1960年代構造主義と記号論まで、文学理論の変遷を述べ読み応えがある。読書好きの自分もこの本で授業を受けていたら、様々な理論を手掛かりにより深く読書を楽しめたのにと感じた。解説に沿って各々の理論を読むと、どれもなるほどと思うが、著者がそれに疑問を呈し批判するとそうだなと思ってしまう単純な自分がいる。構造主義の影響の大きさと問題点について皮肉めいた見解を展開する第3章がスリリングだ。著者の著述スタイルに乗せられて読了し充実した読書だったが、理解不足の所が多いので再読必要。
★31 - コメント(2) - 2014年12月22日

私が学生だった頃、ちょっと才気走った文学部の学生はみんな読んでいた本。上巻は「序章 文学とは何か」、「第1章 英文学批評の誕生」が重要。近代の“文学”“批評”は成立段階から、ある種の政治性を帯び、その政治性を捨象するところに、“文学研究”が成立したことを明らかにする。日本では「理論」などと声高に叫ぶ研究者ほど、“言うだけ番長”の場合が多いが、イーグルトンは本気なので読む方は納得も得心もする。上巻の最後の「第3章 構造主義と記号論」で構造主義批評を後期資本主義のヘゲモニーの傀儡と看破するところは痛快。
★3 - コメント(0) - 2014年12月13日

文学とは、それぞれみんなの中にあるもの。
★3 - コメント(0) - 2014年10月21日

これを読んで分かるのは「なんとでも言える」ということだけ、問題になるのはいつも「どう言うのか」ということだけに尽きる。さておき構造主義・記号論の知識がないので3章が完全に上滑る。基本的な知識を仕入れてから読むべき本。
★2 - コメント(0) - 2014年10月18日

批評理論の歴史を扱った概説書。テクニカルな話よりはむしろ、各理論の立場および思想的背景が語られている。文学とは何か、に対する統一見解はない、というのが著者の前提だ。文学の価値判断は時代によって変わる。それゆえ文学そして文芸批評は、時代の精神と深く結びついている。興味深いことに、批評理論家たちはいつの時代も文学を特別扱いしたがる傾向にあるらしい。それはそれで微笑ましいのだが、いざ理論の構築となると曖昧さを残してしまう。その部分は往々にしてエリート主義的だ。こうなると当世の理論は先細るのだが、、、下巻へ。
★5 - コメント(0) - 2014年10月17日

流し読み。現象学の部分は竹田青嗣と同じようなことが書いてあったので、もう少し現象学の予習をしたらイデーンに挑戦したい。割と最近の作品なのは驚いた。
★2 - コメント(0) - 2014年10月12日

面白い。序文で文学理論とは何かって言う一般的な話をするのだけれども、それが本当に過不足なく適切な例を挙げているおかげでどのようなレベルの読者にとっても文学理論というものの大枠が理解できるものとなっている。ドーヴァー海峡の向こう側で大陸の文学理論がどのように選別的に受容されてきたのか、また大西洋の向こう岸ではどうだったのか、そういった視点もあり面白い。文学を学ぶ、研究するという行為が婦女子の手遊びから、知の集大成にして唯一真面目に扱われるべき重要事にまで上り詰めた過程も面白い。
★12 - コメント(0) - 2014年10月8日

他の理論を方法論と切り捨てて、自分の専門は他と同列になるから、とあえて余り説明せず。 ただ随所になるほどと思う箇所がありました。言いたいことあれば、ツールはチョイスすればいい、とか。
★2 - コメント(0) - 2014年10月1日

イーグルトン流の文学理論史。一巻は19世紀末の英文学(印象批評等々)の状況から構造主義までを駆け抜ける。スクールティニー、エリオット、果てはフッサールやハイデガー、ガダマーら現象学/解釈学をも巻き込んで解説。通史なのに語りに躍動感があるので読んで楽しい。ただ、『イデオロギーとは何か』と同じく一癖あるので、知識を取り入れたり文学理論を学ぶにはちょっときついものがある。
★2 - コメント(0) - 2014年9月10日

題名そのまんまをテーマにさまざまな文学理論を一般人にもわかりやすく解説する名著。筒井の『文学部唯野教授』の元ネタで特に読むこともないと思い込んでいたがこれは大反省。博覧強記な知識を整理して巧みな表現で各理論を論評批判していくのは痛快だ。この本は1983年に出版されて内容が古いところがあるのだが著者の語り口に皮肉やユーモアがあり読むのが楽しい。この種の本としては珍しく一気に読み続けてしまった。自分は十分楽しめたが文学理論の本を前もっていくつか読んでおくと戸惑いが少ないのかと思う。下巻が楽しみだ。
★29 - コメント(0) - 2014年9月9日

挙げられている本をことごとく読んでみたくなるから困る。
★2 - コメント(0) - 2014年9月5日

文学とは何かを知らずに、「これは文学ではない」「いや、文学だ」と議論する人が多い。そういう人にこそ、手にとってほしい一冊。19世紀の印象批評から、フォルマリスム、現象学、記号論、構造主義までの知識を仕入れることができる。文学批評についての世界で最も有名な本だが、現代思想についても理解を深めることができる。その意味では、現代思想の高度なガイドブックとして読むこともできる。この文庫化は、2014年の日本での文学的事件である、とぼくは言いたい。
★9 - コメント(2) - 2014年8月23日

今読んでいるみんな最新5件(27)

01/13:matoryoobake
10/30:初音トク

積読中のみんな最新5件(38)

03/17:dantom
01/28:momonga@P.
10/28:田中

読みたいと思ったみんな最新5件(133)

03/25:Matthew
03/24:yu-ente-isra
03/19:久生奈々
03/03:ふくろう
03/03:dripdrop
文学とは何か――現代批評理論への招待(上)の 評価:44 感想・レビュー:29
ログイン新規登録(無料)