文学とは何か――現代批評理論への招待(下) (岩波文庫)

文学とは何か――現代批評理論への招待(下)の感想・レビュー(95)

ポスト構造主義、精神分析から「あらゆる言説は政治的である」という結論を素に、文学理論全般をメタフィジカルに捉え直す、というのが下巻の流れ。結論自体は興味深いし、補遺の「新版あとがき」では70年代の学生運動から、ポストモダン、ポストコロニアル理論まで俯瞰していて、頭がうまく整理された。一方で、もう一歩先の話も欲しかった。現代日本のように、政治はもはや語られず、デジタルが人を変え、資本主義は批判されず、反知性主義的でもあり、尊敬される人物が経営者になった、なんだか複雑な世界で、文学って何なんですかね。
★11 - コメント(2) - 2月26日

「いかに政治的であるべきか、又はないべきか」ということについて丁度悩み始めていたので、「いかなることも既に政治的である」ということを強調するスタンスとそれに付随する話にはオルグされるところがかなりある。
- コメント(0) - 2016年8月27日

異化、現象学、解釈学…理論を述べては否定し、また述べては否定し…そして結論。理論なんてどうでもいい。使いたい時に使え-示唆に富み、ユーモアもあるにはあるが、全体的に硬い。良くも悪くも古典。「文学部唯野教授」を先に読むべき。ちなみに著者はマルクス主義をとり、歴史から文学を見る立場。
★14 - コメント(0) - 2016年3月27日

巻末で文学理論の無用さについて語る文学理論入門書…そこに本書の醍醐味があるのでは?と思わされた。普通、最後にそんなことを言われると、「ふざけるな!」と怒り出すところだが、なぜか妙に納得してしまう。「無用の用」というのはあまりに紋切り型な言い草だが、とにかく無用でありながらも、それでも取り組まねばならない何かを孕んでいる。いわば、文学理論に限らず、人文学全般に共通する課題ではないか?と思わされた。デリダの解説など、分かりやすく解説しているものの、こちらの理解のほどはあやふや。また改めて読み返してみたい。
★3 - コメント(0) - 2015年11月15日

下巻では、ポスト構造主義、精神分析が扱われたのち、著者の文学理論観が開陳される終章、そして出版後約15年を経て書かれたあとがきを収める。文学理論のイントロダクションと思われた本書がその実、旧来の文学理論を葬って新たな局面を開こうとする意図をもって書かれたことが明らかになる終章が熱い。文学理論は単なる言葉遊びではなく、現実を変えていく可能性があるのだと力強くカルチュラルスタディーズはこういう現状認識と戦略的な目標をもって出発したのだなあと。
★2 - コメント(0) - 2015年8月9日

Iko
『本書は、文学理論への手引書ではなくて文学理論への死亡記事であり、本書のなかで多くの人に理解してもらえるよう苦心惨憺して掘り起こしてきた文学理論を、いま私たちは埋葬して終わらんとしている』(pp.177-178)こんな言葉が「なるほど確かにそうだ」とストンと落ちる。「文学理論」が、西洋哲学・思想の動向と政治状況に分かちがたく結びついていることがよく分かる本で、フッサールやハイデガー、バルトやデリダなどの思想の入門書としても、たいへんおもしろく読めた。
- コメント(0) - 2015年7月25日

「政治的批評」がメイン。というかすべて。「ただ解釈の闘争だけがあり、解釈の優劣は、最終的に真実というよりも権力によって決定されるのである」権力者が自らのヒエラルキーを確固とする目的で創始した英文学は、その進展の結果、文学の存在自体を否定するにいたった。むしろ、筆者に言わせれば、古い文学にとどめを刺し、新たな時代の文学へと脱皮しなければ、文学は生き残れない。だが、新たな文学を創始するためには、新たな社会、新たな経済関係を構築しなければならない。それこそ、あらゆる分野における革命になるだろう。
★1 - コメント(1) - 2015年6月28日

非常に示唆に富む入門書、といいたいところだが、極めて客観的な判断を敢えて排した理論書であることは念頭に置きたい(なぜかは本書に書いてある)
★2 - コメント(0) - 2015年5月18日

難解というか読みづらい。話が飛び飛びになるので、下巻からついていけなくなった。しかし、頑張って読んだのに「文学とはっきり定義できるものなんてないし、っつーことは文学理論なんてものもない」って締めはどうなのよ。
- コメント(0) - 2015年5月8日

下巻はポスト構造主義と、フロイトから始まる精神分析批評、そして文芸批評理論と切っても切り離せない政治的側面についてです。わずかにポストモダニズム、ポストコロニアルにも触れています。入門書ですがそれぞれの理論を再度それぞれの専門書等で噛み砕いた上で読むことが望ましいでしょう。要再読。
★8 - コメント(0) - 2015年3月30日

読み進めるのに何度か中断したが内容が濃いためで、何度か読みなおしていた。  文学理論の一般向け解説書本だ。原書は1983年に書かれて、12年後に新版としてあとがきが追加された古い本なのだが、この本の意義は褪せることはない。わかりやすく書いているはずだが、解説される思想自体が難解なことと、シニックな言い回しなどは刺激的挑発的だがその分遠回しに感じるところがある。だが非常に重要な問題提起をしているのは分かるし、説明の比喩などのレトリック感心する部分が多い。語り口自体に面白さがある。文庫化を素直に賞賛したい。
★38 - コメント(2) - 2015年3月21日

イーグルトンも一種の“文学の終わり”を予言してたということがよくわかる。文学とは、ある種の政治的課題を引き受けていたからこそ意義があった。新版あとがきの最後の一文は、そういった政治的課題が実現されない限り文学は終わらないが、それを放棄すれば、別の意味で文学が終わることを示唆する。では日本はどうか。ポストモダンの極致のような日本社会では、悪い意味で文学は終わっているのかもしれない。
★1 - コメント(0) - 2015年3月8日

文学自体も時代によって変わっていくが、批評も政治やイデオロギーによって変わるのだな。もう時代遅れかもしれないが、それでもこんな思想(批評)史を知っているのと知らないのでは違うと思う。フロイトの精神分析などは臨床的に今ではオカルトの域だが(私見)多くの用語が今も使われている。今の物語創作法などもこれらの偉業なくして生まれなかったのではなかろうか? シェイクスピアだって批評にさらされて語り継がれるからこそ、現代にも通用する戯曲なわけで。ああ、思想史の基礎知識の少なさゆえ、大きな誤読をしていなければいいが……。
★6 - コメント(1) - 2015年3月5日

「1968年」の所産であるポスト構造主義、フロイトからラカンに至る精神分析批評、リベラル・ヒューマニズム等政治的批評までが旧版(1983)で、新版(1996)あとがきにこの間の展開を述べる。ポスト構造主義批判を鋭く語る箇所が刺激的だ。フェミニズムとの繋がりの文章も熱を帯びている。精神分析批評、特にラカンについてが分かり易くて自分の理解が不安になった。ロレンスの作品分析も面白い。著者がフェミニズムとマルクス主義を高位に評価する点をより詳しく知りたくなる。注や参考文献も充実していて今後もこの書を参考にしたい。
★30 - コメント(2) - 2015年1月10日

「文学とは何か」ではなかったよね。文学批評とは何か、でもなくて(でもないことはないけど)、批評とは何か、というところだったと、なんとか最後まで読み終わって感じている。書き手、あるいは読み手はある程度個人の自由、表現の自由やら嗜好の、解釈の自由やらでいい気がするけど、それを批評する立場にあるとき、その行為自体が政治性を帯びイデオロギーの尖兵ともなりうるという意識は忘れてはならず、文学だけでなく、よりよい社会に、世界にどう貢献しうるかまで考えねばならない、ように思ったなぁ。いや、ほとん理解できてないです。
★2 - コメント(0) - 2015年1月8日

下巻ではポスト構造主義、精神分析について解説した上で終章では政治的批評という側面からイデオロギーについて語られるのだが、後期産業資本主義の支配的イデオロギーに対する文学理論の無力さといいう指摘は正に現代思想の行き詰まりと照応している。文学理論ついて触れながら最終的にそれを埋葬しようとする結論には驚きであり、新版あとがきで触れられる90年代以降の理論についてもその脱政治的であるが故に支配的イデオロギーから抜け出せないジレンマを抱えたままである。イデオロギー論には多少疑問を感じつつも興味深い内容であった。
★36 - コメント(0) - 2014年12月30日

【BOOK(2014)-221】!!!!!!!!
- コメント(0) - 2014年11月21日

著者は、マルクス主義者という自分の立場を隠すつもりはないというが、出てくる文学理論を次々に批判しつつ、個々のマルクス主義批評家について解説しないのはやはり印象操作に感じられてしまう。ガダマーやラカンは紹介されるけど、ルカーチアドルノベンヤミンはまともに紹介されない。マルクス主義者イーグルトンが他派閥の文学理論の欠陥をひたすらつき続けるというコンセプトの本だったのかな?だとしても、文学理論入門書の体裁でそういうことやるのは納得いかない。わかりやすさという点でも微妙。ちょくちょく面白い指摘はあるけど。
★1 - コメント(0) - 2014年11月11日

流し読み。上巻はわからんでもない内容がチラホラあったけど下巻はほぼわからん。
- コメント(0) - 2014年10月30日

面白い。文学に関わる人にとってはもちろんだが、むしろ他分野の大学1、2年生に読んでほしい本でもあると思う。といっても、単なる入門書というわけではない、次元の異なる理論をさもレモンとミカンのように並列する概説書などではなく、20世紀最後の数十年の人文学の歩みというとんでもなく大きなものを鷲のような視力で一括する本。自分がどういった理論の影響下のもとに「ニュートラルに」読んでいたつもりであるのか、ということを突きつけられ、どんな読者にとっても自分の足元が三重以上に突き崩される読書。
★19 - コメント(0) - 2014年10月11日

個人的には上巻で扱っていた話題や、紹介されていた本のほうが興味を惹かれるものが多かった。それはつまり文学論としては自分のセンスが古いということなのだろうか? それにしてもこの本の話題も1983年あたりのことなので、こういった総括的な話題を扱った最新のものも取り入れていきたい。
- コメント(0) - 2014年9月29日

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