形式:単行本
出版社:KADOKAWA
超能力が存在している世界においてスワンプマンという言葉が確立される以前にも同じ状況があったと思うんですよね。でもそうした歴史が語られることもなく、それでいて現実と同じような歴史を辿ったというのはやっぱり腑に落ちない部分。極一部の機関だけではなくて、結構な範囲でそれが知れ渡っている感じすらありますし。超能力がある世界で現実的な倫理観というのはこれに限った話ではありませんが、やっぱり納得し難いものがある。
死後の世界が存在するのであればやっぱり哲学そのものも変化している可能性がある。こういう物語の場合やっぱり主役は異能力者と関わりが無い存在であった方が、より『スワンプマン(器は同じであるが意識(魂)は別の存在』であることの苦悩があったと思う。内輪もみんなスワンプマンに対して疑問に持たない部分とか踏まえると、上流階級のお遊びみたいだな(まあ主人公は家族との死別がありますがね)。しったこっちゃねえよってそんなこと。という風に、色々とぼやきが止まらなくなる作品というのは良い部分である。
こういう、与太を真面目に考えるお話は本来は大好物なんだけど、試行錯誤の繰り返しで奇跡は起きうるという世界である以上、論理を突き詰めることに意味はあるか、という気分が拭えぬ。それとそもそも、本人にせよ第三者にせよ誰がどう観測しても違いがないのなら同じと見なすしかないのでは、という問題意識からの思考実験だと思うんで、そこにフィクションの異能で流派に依存するとはいえ、実は観測手段がある、という話の持ってきかたをするのは、前提を引っ繰り返しすぎなんじゃないかしら。
主人公が自分のこととしてスワンプマン問題について悩むというより、自分の中でその答えは出ているし、そもそも複雑だけど少し他人事みたいなポジションなのが、事前の想像と少し違った。
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超能力が存在している世界においてスワンプマンという言葉が確立される以前にも同じ状況があったと思うんですよね。でもそうした歴史が語られることもなく、それでいて現実と同じような歴史を辿ったというのはやっぱり腑に落ちない部分。極一部の機関だけではなくて、結構な範囲でそれが知れ渡っている感じすらありますし。超能力がある世界で現実的な倫理観というのはこれに限った話ではありませんが、やっぱり納得し難いものがある。
死後の世界が存在するのであればやっぱり哲学そのものも変化している可能性がある。こういう物語の場合やっぱり主役は異能力者と関わりが無い存在であった方が、より『スワンプマン(器は同じであるが意識(魂)は別の存在』であることの苦悩があったと思う。内輪もみんなスワンプマンに対して疑問に持たない部分とか踏まえると、上流階級のお遊びみたいだな(まあ主人公は家族との死別がありますがね)。しったこっちゃねえよってそんなこと。という風に、色々とぼやきが止まらなくなる作品というのは良い部分である。