わたしが棄てた女 (講談社文庫)

わたしが棄てた女 (講談社文庫)
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わたしが棄てた女の感想・レビュー(1086)

再読。
★2 - コメント(0) - 1月8日

タイトルからしていわゆる遠藤周作作品のイメージからすれば通俗小説寄りかと軽い気持ちで読み始めたのだけど案外そうでもなく、「えーそうなの!?」とページをめくる手が止まらなくの一気読みでした。誰かのために生きるとはどういうことかという問いのフックとなるような作品。当時の社会問題との絡ませ方も絶妙。今年は遠藤周作イヤーとなるでしょうか。『沈黙』も未読なので映画前に読んでおきたい。
★10 - コメント(1) - 1月4日

コレはせつねぇ(´;ω;`)ウッ…戦後間もないじっとりとした雰囲気の中、話は進む。吉岡ひどい。男に利用され、やり棄てされた女の話。お人好しで無知なミツは吉岡に棄てられても懸命に彼を思い続けた。恋してたんだ、こんな男に。ミツが健気過ぎてやるせない(T^T)こんな聖女みたいな女は実在しませんがね。ミツは立派だった。「さいなら吉岡さん…」吉岡にとっても棄てたはずなのに、一生忘れられない女になったに違いない。それにしても赤線の女を朝起きて見たら金歯だったって…もはやトラウマレベルでしょw
★38 - コメント(2) - 2016年11月10日

だがミツは、たえ子が自分自身に言いきかせるように呟いた言葉の意味がわからなかった。彼女は布団の襟を手でつかみながら、病院をとりまく闇のふかさを計っていたのである。そう…闇にも音があることを彼女ははじめて知った。それは、雨をふるい落す雑木林のざわめき、山鳩の声ではなかった。闇の音とは静寂にはちかいが、静寂とは全くちがって、孤独に追いこまれた人間の心臓だけが、こういう夜、はっきりと聞こえることに他ならなかった。
★1 - コメント(0) - 2016年10月27日

男性が本気じゃない女に対してどういう目で見てるのかよく分かって、居たたまれない気分に。ミツが吉岡の事を何年も好きでい続けるのを見ると、いい加減諦めた方がいいよ、と言いたくなるけど、それが彼女にとっては心の支えだったのかもしれないし…。「可哀想」と思う気持ちには二種類あって、ミツのように誰かの苦しみを自分の苦しみのように感じるのと、自分より不幸な人を見下しながら憐れむのとでは、全く別物だと思う。それ自体は美しい感情だけど、最低限自分の身は守って欲しいなあ。滑り落ちて行くのが素晴らしい人生とは、私は思わない。
★29 - コメント(0) - 2016年10月24日

深い河の性別逆転バージョンだと思った。ミツは困っている人があれば金を与え、さみしそうな人があれば己を捧げ、病気の人があれば共に苦しむ、自分をすべて他人のためにちぎってはあたえ、他人が少しでも満たされれば自分のことのように喜ぶ。聖人か愚者なのか、ミツの評価は真っ二つに割れる。自我がなく自己肯定感の低い女性が周りに利用されては捨てられていく様が、私は痛々しいと思ったし、与えることが愛ではないのだと思っている。スール・山形に考えが近い。でも、このような人がいることが希望になる人もたくさんいるのではないか、とも思
★23 - コメント(1) - 2016年10月15日

一人の男が一人の女をいわいる“ヤリ棄て”した話を綺麗な文章で切なく描かれているのが、かえって面白く、前半の手記は笑いながら読んでしまった。「足のうらみたいな顔しやがって」など笑えるセリフがあり、俗っぽい表現も魅力的だった。後半の展開はハラハラし、“森田ミツの病気発覚〜誤診と解る”までの流れの感情表現が見事で、思わず涙しそうになった。吉岡の非情さと森田ミツの純な一途さの対比、また堕ちていくミツと一般的な幸せの階段を登る吉岡の対比が、さらに物語を物悲しく、刹那的なものにしている。
★7 - コメント(0) - 2016年10月13日

単なる恋愛小説ではない。恋愛を主題にした「遠藤文学」。「人間は他人の人生に痕跡を残さずに交わることはできないんだよ。」
★3 - コメント(0) - 2016年9月17日

書籍・活字・先入観と言うものは本当に恐ろしい。同じ森田ミツを描写するにも吉岡(凡人)とスール山形(修道女)の視点でまるっきり印象が変わってしまう。前半での吉岡が見たミツの印象はマイナスイメージでしか無く、後半ではまるで聖母扱いである。前半部で「ミツは素晴らしい」と思える人はいるのだろうか。又、そう思える人に成らなくてはいけないのであろうか。ところで果たしてミツは事故死をしたわけだが、不幸な人生だったのであろうか?読者に問うてみればおそらく「幸せな人生だった」との回答が大部分を締めるに違いない。
★24 - コメント(0) - 2016年8月29日

この本の題名が頭に残ってたので中古で購入、再読。覚えてる所もあったが、ミツのその後は忘れてた。20代に読んだ私は、男の身勝手さに怒り、只々ミツに腹立ちながら同情したのだと思う。そして今、やはり男に怒りながら、ミツに苛立ちながらも、男と女の忘れられない愛が有ったのだと思った。名作だと思い思います。
★33 - コメント(2) - 2016年8月25日

森田ミツ 遠藤周作の作品にでてくる この世の中でけして恵まれた環境で生活することがなく、誰かに蔑まされて、虐げられても 誰かを疑うことも 怒ることもしない 登場人物。 遠藤周作のキリスト文学のあらゆるところに 自分の十字架を背負いながら 丘をのぼり苦しみのなかで最期をむかえたキリストのような登場人物がでてくる。 森田ミツを失うことで吉岡が心の十字架に気がつけたのはよかったと思う。
★2 - コメント(0) - 2016年8月18日

ミツの自己犠牲で生きていく姿に憐れな、切ないような気持ちになった。利己的な吉岡からは聖人として映り、愛情とは何かを描く感動の作品。
★3 - コメント(0) - 2016年8月10日

あー、ゲスの極み。薄々理解はしてた筈だけど、女ってほんとに男の都合のいいとこしか見えてないんだなぁ。そしてマリ子への告白シーンを見て、筆者自身もさぞ色々引っ掛けてきたんだろうなって思うわ(笑)吉岡も私も、本当は誰も彼もがゲスだから、寂しさも後悔も涙も一手に引受けさせればいい。病人は純粋だ。神様がいるならば、純粋な人ばかりを選んで連れていくんじゃなかろうか。純粋すぎて泣けてくる恋。ゲスな男と、幸せになれたかもしれない馬鹿な女の話。あの歌詞みたいに、「私やっぱ一人で生きてくわ」位のこと言えれば良かったのにね。
★7 - コメント(1) - 2016年7月28日

途中から何だかこの話知っているなあと思ったが、酒井美紀さんの映画を観ていたんでした。この本は吉岡の手記が多いからまた印象は違うけど、最後はミツに泣いた。感動してなのか可哀想でなのかわからない、ただミツのような人に少しでも近づきたいと思った。というか、今の自分が遥か遠い所にいることに気づいた。最初と最後の印象が全く違う小説だなあ。「子供たちをいじめるものを、信じたくないわよ」「ぼくらの人生をたった一度でも横切るものは、そこに消すことのできぬ痕跡を残すということなのか」
★20 - コメント(0) - 2016年7月25日

再読。森田ミツの「限りなくバカな、そして限りなく尊い」一生に 心打たれる。 人生に迷ったとき、もう一度この本を読もう。
★5 - コメント(0) - 2016年7月5日

「人間は他人の人生に痕跡を残さずに交わることはできない。」
★2 - コメント(0) - 2016年6月16日

俗物的な吉岡と対照的に聖人として描かれているミツ。でももっと自分を大事にして欲しいと感じざるを得なかった。ミツの性格は環境による影響が大きい気がした。あそこまで自分を犠牲にするなんて自分の親のことを思ったら到底できないよ...。自分自身を幸せにすることを諦めないで!って紙面の中に乱入したい気分。「いえ、それが私にとっての幸せなんです」なんてミツは言いそうだけど。
★6 - コメント(0) - 2016年5月29日

心に染みて染みて…仕方がない…。読み終えた今でも。私の人生で、忘れられない1冊となった。「わたし」である吉岡はすがすがしいほど俗物である。葛藤しながらも他人に愛徳行為をするミツとは雲泥の差だ。でも聖女のミツは吉岡をひたむきに愛した。あのとき出逢わなければ…と思うが、これも神の差配だったのだろうか。キリスト教の「愛」をよく知ることができた1冊。私自身の今ある悩みに対しても、答えをくれたように思う。
★20 - コメント(0) - 2016年5月18日

吉岡と似た罪悪を感じながら読んだ読者は少なく無いと思う。自分も利己的、欲望に生きる吉岡を否定できなかった。「人間は他人の人生に痕跡を残さずに交わることはできないんだよ。」この言葉を深く胸に刻んで生きたい。この物語には男女愛の他にも様々な事を考えさせられた。その1つの「神」について。自分もミツと同じ様に神がいるのにどうしてこんなにも不幸な事が起こるのかと言う思考から神を信じてはいない。善人だったミツの悲劇的な最後を読んでもそう思う。しかしこの気持ちこそ利己的なのかもしれないと考えが生まれた。同著者の「侍」に
★9 - コメント(1) - 2016年4月21日

誰かが寂しがっていたり辛がっていたりするのが悲しいからと、男の欲望を受け入れたり、同僚の妻に金を施したりする森田ミツ(ミッちゃん!)。なんて愚鈍な女なのだろう、これでは男に付け込まれるのは当然だとイラついた。しかし、”愛”の行為なのだね、これは。無私の無償の愛。彼女を欲望の捌け口としか思っていない吉岡に恋することをやめられないミツが悲しい。修道女から吉岡に送られた手紙の中の、ミツの最期の言葉に至るまでの言動に涙した。吉岡の心中の言葉「人間は他人の人生に痕跡を残さずに交わることはできない」もまた心に残る。
★22 - コメント(6) - 2016年4月5日

容貌の美醜をはるかに超越した美しい心を持つ聖女との出会いに気づかなかった・・・主人公。悲しい物語だが、これを読んだ人には希望が与えられるのではないだろうか。
★8 - コメント(0) - 2016年3月27日

吉岡はクズだしカス。そうだよねとは思うけど男であれば(行動に移したかは別として)吉岡と似たような異性に対する利己的な気持ちを持った経験がある人は多いと思います。だからこそ、森田ミツの生き様を他人事とは思えなくなる。ミツの逝くまえの一言は、読む度にどうしても涙してしまい、やりきれない寂寥感が残る。生きていて偽善だと疎まれる何かをすることが怖いとき、森田ミツの生き様を思えば『幼児のごとき』小さく素直な愛の行為を施す勇気が出るように思います。
★4 - コメント(0) - 2016年2月29日

だめだ…。何回読んでも何回読んでも、涙がとまりません…。悲しすぎますよ…。棄てた男との対比がえげつなすぎますよ…。初めて読まれる方はバケツ2杯分ほど泣いてしまうので要注意です。
★45 - コメント(0) - 2016年2月12日

慈愛をテーマにした中編。主人公の男をクズ呼ばわりしている人が多くてほっとしました。だって、他人の不幸に寄り添わず、利己的な人ってホントそこらじゅうにいるんだもの。女尊男卑やいろいろな差別、みんな深く考えずしてるんだもの。卑しい人間にはなりたくない。教科書に載せてほしい一冊。 247「私たちの信じている神は、だれよりも幼児のようになることを命じられました。単純に、素直に幸福を悦ぶこと、単純に、素直に泣くこと、-そして単純に、素直に愛の行為ができる人、それを幼児のごときと言うのでしょう。」
★13 - コメント(0) - 2016年2月10日

ミツの生き様を見て、洗礼を受けずとも、実際のカトリック信者以上にカトリック的な倫理規範をもっている人間もあるのだと思った。キリスト教信者とそれ以外の分水嶺は神の存在を信じるか否かだと思うが、実際にはそれは瑣末な問題である。なぜなら、神を媒介とせずとも、カトリック的な倫理規範は広く一般に共感されうるはずのものだからである。そういう意味でも「真実の愛とは何か」を洞察するにあたって、カトリック的なものとの符合は避けられず、むしろカトリック的なものがその洞察を導いてくれるのだと思う。
★7 - コメント(0) - 2016年2月4日

私は生粋の日本人で無神論者だから、ミツの人生を回顧しても聖母マリアのようだと思えないし、正直、どうしてもっと器用に適当に生きられないのかと苛立ちすら覚える。あんなにも人間に対して、自分がなんとかしてあげたいというのは、とても傲慢でおこがましいと感じるのだ。しかも「割を食っている」と感じるなら尚更なぜ?と思う。だけどマリ子と吉岡の関係を知らず死んでいったのは、せめてもの救いか。印象的だったのは「人間は他人の人生に痕跡を残さずに交わることはできない。」の言葉。当たり前だが、まさに。心して生きよう。
★17 - コメント(0) - 2016年2月2日

遠藤周作節というか、何というか。独特の軽妙な語り口で重々しい場面も飄々と流していく遠藤節は読み心地がいい。冒頭の場面から御殿場に流れるとは皆目見当もつかなかった。
★6 - コメント(0) - 2016年1月26日

ずっと前に失恋した勢いで買った本。ずっと本棚に眠っていてこの度読んでみた。これはミッちゃん側の想いや人となりが記されているから感情移入も出来るけど。現実には、実は断ち切れない想いがあったんだよー。言わないしいう術ももうないけれど。と言う恋愛が多いんだと思う。
★9 - コメント(0) - 2016年1月24日

遠藤周作っぽい作品。
★2 - コメント(0) - 2016年1月18日

弄んで棄てた後「一度寝た女が人生を少しずつ滑り落ちていくのを知ると一種の感傷のようなものが起こる」とのたまう男が主人公こと下衆の極みクズ男なのだが…私は彼に人間の哀しさを見た気がして侮蔑することは出来なかった。もう一人の主人公ミツは聖女として扱われるが、他者の憐憫に寄り添いたい、私が何とかしてあげたいと思うのもまた人間の傲慢さではないかと…残酷な気づきを得てしまい悩む。たぶん自分にも同じきらいがあって痛い所を衝かれたからかもしれない…本人は決して割を食っていると思ってないし本能的な反射に近いと思うのだが…
★69 - コメント(2) - 2016年1月7日

無垢で純粋で、心の底から他者と苦しみを分かち合うことのできるミツは、それ故に孤独と苦しみに満ちた人生を送る。一方で、高尚とは程遠い低俗な精神の持ち主である吉岡のような男が、ささやかながらも手堅い幸福を手に入れる。こうした現実の理不尽さを見せられると、ミツの人生とは何だったのかと思ってしまう。だが、偽善や薄っぺらい同情心からではなく、心から他人の辛苦に共感することのできるミツの人間性は、決して誰も真似できない天性のものであり、その天性に忠実に生きたという意味では、ミツは自分の天命を全うしたのかもしれない。
★7 - コメント(0) - 2015年12月20日

通俗的な作品かと思いきや、キリスト教やハンセン病が扱われていて読みやすいながらへヴィな内容に驚かされた。ミツが可哀想で読み進めるのが苦しいほどだったが、こうした読者の即時的な憐憫の情は作中で厳しく批判されているし、そこには主人公のような訳知り顔の態度(「今では彼女を聖女と思っている」とか「みんな一度はしていることだろう、でも心の寂しさを感じる」とかいったふざけた考え)も含まれているんだと思う。誤診と明かされ病院から放たれたミツが御殿場駅で思い返してまた病院に戻ってくるシーンの心の動きが素晴らしかった。
★3 - コメント(0) - 2015年11月30日

キリストの話を分かりやすく書いてくれている。そんな印象でした。遠藤周作さんの事が好きになるきっかけの本でした!
★8 - コメント(0) - 2015年11月11日

吉岡のクズっぷりが凄い。昔の男の人は今より更に男尊女卑だったからなのか余計にクズに感じる。大学進学率も低かったんだろう。時代を感じてしまうのは否めないが罪悪感とか優しさとは?という問いは普遍ですよね。
★5 - コメント(0) - 2015年10月31日

【愛に生きた女性の生涯を描く傑作】時代は戦後の日本、貧乏学生の吉岡は金にも女にも飢えていた。そんな時に出会った森田ミツ。二度目のデートの時、ミツの体を奪うことに。しかし人の良さだけが取り柄のミツに吉岡は嫌気が差し、彼女を二度と誘うことはなかった。だがミツは吉岡を待ち焦がれながら、人の良さが仇となり、転落人生を歩んで行く。吉岡が他の女性に熱を上げ、いよいよ結婚が近づいた頃、ミツの体に変調が起こった。癩病だった。隔離病棟で癩病の恐怖に苦しみ、冷酷な運命にもてあそばれながらも生きた無知な田舎娘の短い生涯を描く。
★17 - コメント(0) - 2015年10月18日

病院から出た時の空気の美味さがありありと書かれてあって、ああやっぱりみんな同じこと思うのね、と嬉しくなった。私は、只の怪我だったんですがね…。借りた本です。
★5 - コメント(0) - 2015年10月10日

他人の辛さを自分のことのように共感できるということを、ある人は「お人好し」「偽善」というかもしれない。でもある人は「聖女」という。辛く悲しい短い運命の中で、慈愛を貫いた女の話。十字架の縦と横が重なるただ一点の交わり、それが人の運命を変えていくのかもしれない。「ぼくは知らなかったのだ。ぼくたちの人生では、他人にたいするどんな行為でも、太陽の下で氷が溶けるように、消えるのではないことを。ぼくたちがその相手から遠ざかり、全く思い出さないようになっても、ぼくらの行為は、心の深い奥底に痕跡をのこさずには消えない」
★37 - コメント(0) - 2015年10月7日

主人公吉岡の利己的な生き方は、「誰だって」ある描かれ方。一方、ミツは、他人の苦しみを無意識でもすぐに自分の人生に合わせてしまう、稀有の魂の持ち主として描かれる。だが、作品は、吉岡のような人間を否定しない。ただ寄り添い、「寂しさ」として気付かせてくれる。「ぼくらの人生をたった一度でも横切るものは、そこに消すことのできぬ痕跡を残すということなのか、神は痕跡を通して僕に話かけるのか」  最後の章は、何度も読み返したい。深い、慈愛のテーマ
★7 - コメント(0) - 2015年9月24日

わたしが棄てた女の 評価:90 感想・レビュー:274
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