あの夕陽・牧師館 日野啓三短篇小説集 (講談社文芸文庫)

あの夕陽・牧師館 日野啓三短篇小説集 (講談社文芸文庫)
あらすじ・内容
最初の小説「向う側」から近作「示現」まで日野文学の精髄を示す8篇を収録。 ベトナム戦争中、失踪した記者の行方を追う著者初の小説「向う側」、自らの離婚体験を描いた芥川賞受賞作「あの夕陽」等初期作品から、都市の中のイノセンスを浮上させる〈都市幻想小説〉の系譜、さらには癌体験を契機に、生と死の往還、自然との霊的交感を主題化した「示現」まで8作品を収録。日野啓三の文学的歩みの精髄を1冊に凝縮。

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あの夕陽・牧師館 日野啓三短篇小説集の感想・レビュー(38)

自分の素質とは違う方向へと進んでしまったことに、この芥川賞作家の不幸はあるのだから、その作品の拙劣さを口汚く罵ることには少しためらいを覚える。すでに代表作であるはずのものを含め多くが品切れとなっている物故作家を今更批判したところで暖簾に腕押しかもしれない。しかし安易な文明論を凡庸な道具立てと通俗的なイメージによって説明しただけのテキストを読んでしまった不幸を嘆くための個人的な捌け口としてこのスペースを使わせていただく。
★5 - コメント(6) - 2016年5月1日

「あの夕陽」は、第72回(1974年下半期)芥川賞受賞作。’74年にしては、描かれている時代の古さを感じる。選考委員の誰もそのことを指摘していないのが、むしろ不思議なくらいだ。語り手の「私」の万事に投げやりなデカダンスぶりも、戦前・戦中の引きずり方も’60年代前半くらいの感じにしか見えない。妻の令子との関係のあり方も、あまりにも身勝手である。主人公の日常レベルでのエゴイズムが、男の読者である私でさえ許容の範囲を逸脱しているのだ。ただし、そうした情景を細部にわたって描き出していく筆力には大いに感心するが。
★230 - コメント(4) - 2016年2月10日

「今、ここ」から「明日、どこか」へ姿を消そうとする人物に寄せた作品集。主人公達は日常に埋没するのに抗い、彼方から吹く熱風に心惹かれる。何故、現実との格闘を回避し、偽りの夢を見て生きるのか。1966~94年8作品全体に漂う虚無に陥る寸前の苦闘は①爽やかな開放感を与えるもの②許し難い苦みの味に拒否したくなるもの③目の前を浅く通り過ぎるもの、と多様な彩りを残す。①限りある命が川向こうに自らの姿を見出す『牧師館』異国の広い大地の中に人間的な絆を実感する『示現』が好きだ。この2作には真実味が緩やかに表現されている。
★27 - コメント(1) - 2015年8月22日

「人間とは(…)人間の条件を絶えず逃れようとする忌まわしい傾向性だ。」著者の60年代から90年代にかけての短編が収録されていて、文章のスタイルの変化や、その変化の中に一貫して流れているものが感じ取れる。やっぱり80年代以降の作品が好みかもしれない。爽やかな読後感を与えてくれる「風を讃えよ」、痛切に美しい「星の流れが聞こえるとき」が特にいい。
★9 - コメント(0) - 2014年9月24日

【芥川賞】描いていることは、一つの現実なのだろう。男視線炸裂。甘さがあるとすれば、踏み込んでいないところがあるのかもしれない。自分が傷つかないところで勝負している感が残る。 
★99 - コメント(0) - 2014年2月7日

「彼岸から吹く風」池澤夏樹のあとがきがよい。
★2 - コメント(0) - 2014年1月22日

表題作を含め、短篇を八つ収録。「あの夕陽」は第七十二回芥川賞受賞作。解説で池澤夏樹氏が言及しているように、この短篇集に登場する人々は《別の世界への通路を探している》状態にある。別世界との繋がりは風や樹々といった自然に存在する。だが、氏はその自然を愛しているというよりも、おそれている。ほんの一瞬だけ垣間見る自然の本質に《見てはならない別世界をのぞき見るようなこわさ》(「風を讃えよ」)があるのだ。別世界は決して桃源郷ではない。それでも「向う側」へ行こうとする人々。氏はこのこわさを幻想的に表現しているのである。
★2 - コメント(0) - 2013年12月31日

全編通して幻想的という印象だな。
★1 - コメント(0) - 2013年6月13日

日野啓三氏の代表的な短篇が収録された作品集。芥川賞を受賞した「あの夕陽」収録。人間関係をもとにしているものもあるが、どことなく、年ごとに、幻想的なものが徐々に増している。とても不思議な感覚に浸れる一冊。
★3 - コメント(0) - 2013年5月5日

こちら側で生きている心地がしないので、向う側へ。ユートピアではない、はず。
★3 - コメント(0) - 2012年12月1日

読みやすい文章で、端整な小説を綴る。現実に即したところ、けれども中心から少し外れたところ、すなわち辺境や症状に幻想を見せる。それは土着のようで、未来的だ。なにより格好いい。それでいて頭上から光が舞い降りてきたかのような感動を与えてくれる。短編集。
★4 - コメント(0) - 2012年6月17日

短篇集。風を讃えよがすき。
★1 - コメント(0) - 2012年6月6日

むーむー
- コメント(0) - 2010年4月27日

つうか、講談社文芸文庫、もっと日野啓三作品を出してくれないものか。個人的にこの人の書くものは大好きなんだよ。
★3 - コメント(0) - 2002年11月24日

風を讃えよが好き
- コメント(0) - --/--

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