静かなノモンハン (講談社文芸文庫)

静かなノモンハン (講談社文芸文庫)
あらすじ・内容
昭和14年5月、満蒙国境で始まった小競り合いは、関東軍、ソ蒙軍間の4ヵ月に亘る凄絶な戦闘に発展した。襲いかかる大戦車群に、徒手空拳の軽装備で対し、水さえない砂また砂の戦場に斃れた死者8千余。生還した3人の体験談をもとに戦場の実状と兵士達の生理と心理を克明に記録、抑制された描写が無告の兵士の悲しみを今に呼び返す。芸術選奨文部大臣賞、吉川英治文学賞受賞の戦争文学の傑作。

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静かなノモンハンはこんな本です

静かなノモンハンの感想・レビュー(33)

キッシンジャーの「国際秩序」と同時並行で読んでいて思ったこと。最前線で死んでいく兵士の苦痛と、上層部で戦略を練る将軍クラスの思惑、外交、国益を考える政治家。同じ「時」を共有しながら、決して共有できない情報と経験。駒として死んでいく兵士達に対して、「国」のためという理屈でどこまで上層部の個々人を正当化できるのか、云々。色々考えていたら感想も支離滅裂に。人の身勝手と営為のむなしさよ。それにしても関東軍っていったい何だったのか。東京の幕僚本部との関係は?統帥権ってなんだろうと自分の知識の貧弱さにも驚いた。
★26 - コメント(0) - 2016年9月10日

読み手に語り聞かせるような優しい文章で淡々と綴られているノモンハン事件。戦争を肯定も否定もしていないけれど、そこで戦った人たちのその時の気持ちがまっすぐに伝わってきます。記録文学としてとっても優秀。本を読むことでしか知ることができない戦争の感覚。戦場では降参してきたソ連兵を日本兵が射ち殺しています。捕虜にしても対応出来ないという理由もあるし、味方が殺られた腹いせの感情もあるし…。ジュネーブ条約とかあったって、実際の戦闘となったらそりゃそうだよなと、妙に納得してしまったりして。ほんと、何のために戦ったのか。
★52 - コメント(2) - 2016年9月6日

関東軍の馬鹿さ加減がはっきり示された、どうしようもなく悲惨な、事件ではなく「戦争」であったことが見事に描かれています。白旗を掲げて擱座した戦車から出てきたソ連兵を、できるだけ近づけたあと撃ち殺しています。いっぽうノモンハンの実情を知る下級幹部に対しては、軍はどこまでも監視の目をゆるめず、事あるごとに、その者を危地に追いやろうと意図したようです。軍だけでなく会社にあっても、組織を守るためには、個人は見殺しにされる場合が多分にあると想います。また、自民党の改憲草案にも、そのような雰囲気が感じられてなりません。
★20 - コメント(0) - 2016年6月25日

昭和14年5月に開戦された日本とソ連の国境紛争。日本軍の戦死者は8440名、850名もいた一個大隊が僅か30名程にまでなる程の激戦の中、生還した3名の兵士の体験談を基にしたノンフィクション。もちろん一個人が見た範囲での記録だからノモンハン事変全体を俯瞰している訳ではない。しかしソ連との圧倒的な火力の差の中、次々と周りの兵士が銃弾に倒れていく様をつぶさに見た等身大の戦争がそこにある。自らも二度にわたる従軍経験のある筆者だからこそ書けた作品ではないかと思う。巻末の司馬遼太郎さんとの対談も興味深い。★★★★★
★58 - コメント(1) - 2015年11月12日

今年の夏のマイ課題図書。短文で簡潔な文章。臨場感あふれる。戦争は、ただただ恐ろしく、むなしく理不尽だ。やり場のない怒りがこみ上げてくる。戦争小説で比較的共通しているのは「ある日突然に死地に送られる」ということ。最前線でも銃後でも。毎日毎日、戦争という切迫感(死の恐怖)にあったわけではなく、それはある日突然やってくる(その日までは、けっこう長閑に暮らしている)。情報統制ももちろんだけど、人間は運命を俯瞰して見られないし、切羽詰まるまで深刻に考えられないということだろう。それって「今」でもすごく怖いよね。
★2 - コメント(0) - 2015年8月14日

一般に「ノモンハン事件」と言われているが、実質はノモンハン戦争でしかない。伊藤桂一が描く本書は、兵士として実際に前線に立った人たちからの聞き取りを基にした戦記である。しかし、一般に戦記に描くイメージと異なっている。なぜなら、本書は兵士たちの飢えと渇きの記録だからだ。この種の本はもっと読まれなければ為らない。だが、そんな機運が興ったことはない。人間の本質が歴史に学ぶことを嫌うからに違いない。ノモンハン戦争は日本の非力を見せ付けた結果に終わる。が、日本の軍部や政界では、その意味が解っていない。
★4 - コメント(3) - 2015年7月27日

初めから終わりまで、本当に美しいお話であった。美しいどころか、本当はむしろ顔をそむけたくなるようなむごたらしい戦況が克明に描かれているといって良いはずなのだが、やはり筆者の力量であろうか。極限状態においてもフトした瞬間に感じられる、生命の健気さ、人の営みの悲しさ、美しさといったものをうまく切り取っている。感傷に流されていない、非常に抑制された筆致であるが、奥底に流れる熱いものを感じる。かのノモンハンの地で散った多くの“無告の兵士”たちの思いを感じる。読み終えた後でもう一度題名に心打たれる。傑作である。
★3 - コメント(0) - 2015年6月15日

日本人の同調性の高さ、従順さ、敵に背を向けることを恥とする意識、滅びの美学、そうした特質が、戦場においてはことに悲劇的な結末を招く大きな要因となる。戦場の一兵士の個々の心性は尊く純粋だが、そこから離れ動かす立場の人間からは、単に動かしやすい駒のようになってしまう。日本人が長らくこうした特性・価値観・美学のうえに生きていた(生きている)ことをふまえたうえで、戦場に限らず、それをよい方向に働かせられるところには活かし、悪く働くときには慎重に見極める、そういうことが大事だと思う。
★5 - コメント(0) - 2014年11月16日

鈴木上等兵「どういう戦闘がどういうふうに行われるのかも、まるで予測はつきません。ただ、行き当たりばったりに戦うために前進したのです」小野寺衛生伍長「われわれはチチハルからここへ、何のために来たのだ?このモグラしか住んでいない土地を、何のために、こんなにも苦しんで守らなければならないのだ?」鳥居少尉「帯剣のみで戦車と戦わねばならぬような事態に立ち到りながらも、なぜ、兵員の補充はおろか、弾薬や食糧の補充さえなかったのか、なんの理由で、一兵残らず砂に屍を埋めさせようとしたのか」この疑問に答える責任者は誰なんだ?
★3 - コメント(1) - 2014年11月7日

美しい文章、残虐な現実。言葉もなくなる。
★3 - コメント(0) - 2012年7月21日

吉川英治文学賞受賞の傑作。生還した3兵士の体験談の記録です。
★1 - コメント(0) - 2012年7月19日

恥ずかしながらノモンハンについて碌に知らなかった。 この本を読んで涙した。 戦車に対して、サイダー瓶で作った火炎瓶とスコップで戦う日本兵。 850名の大隊がわずか30数名にまで死傷し尽くしてしてしまう現実。 たった一発の迫撃砲で四散してしまった知人・・・ 生きているうちに読めてよかった本。
★5 - コメント(0) - 2011年12月20日

タイトルの通り、実に“静かな”戦記物だ。当時のノモンハンにいた誰もが理不尽なまでに一方的な死と直面しながらも、それから逃れようとするわけでもなく、かといって立ち向かうわけでもなく、ある種「物事の当然の帰結」として思考しているところに、戦時下という特殊な時代における人間のあり方の凄みを感じる。清岡卓行の『アカシアの大連』などを思い出した。
★4 - コメント(0) - 2011年11月16日

★★★★ ノモンハン事件/ハルハ河戦争に従軍した兵士達の体験談。悪戦苦闘ぶりがよく分かります。
- コメント(0) - 2011年8月11日

「ノモンハンの夏」と対象的に、様々な立場でノモンハン事件に関わった1兵士たちのインタビュー集。1人1人の人生に与えた影響などを浮き彫りにする。
- コメント(0) - 2011年1月5日

★★★★・
- コメント(0) - 2009年12月18日

★★★★★
- コメント(0) - 2008年9月6日

今ここに、失った戦友の死にざまと意思を後世に伝えてくれる一冊がある。これこそが真の軍記であり、そこに学ぶことこそが戦果であると思う。
★2 - コメント(0) - 2008年7月22日

戦争に散った先人たちの悲しみ。若い人に読んでほしい
- コメント(0) - 2008年6月13日

日本とソ連が真正面から衝突したノモンハン事件を北海道旭川第7師団の兵士を中心に描いた本。ノロ高地での悲惨なまでの大隊の奮闘は涙ものです。戦車と歩兵の機甲連合部隊、重機銃や自動小銃を手にする相手に対して火炎瓶と白兵戦で戦う悲惨さをより感じさせてくれる名著だと思います
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