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大江戸釣客伝(下) (講談社文庫 ゆ 3-10)

感想・レビュー
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gpz
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上巻に引き続いて何の役にも立たないホビーに全身全霊を吸い取られていく業の深さをさらに掘り下げつつ、大災害後の閉塞感の中で権力や民衆の愚かさに翻弄されながらもしたたかに生き抜く個人の姿が鮮やかに描かれた快作でした。元禄のお話ですが、あまりにも(そして残念にも)現代と構図がシンクロしてしまっているのですよ。こんな世の中ではありますが、私たちもしたたかに歩んでまいりましょう。久しぶりにハゼでも釣りに行くかな。
0255文字
Toshi
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いよいよ下巻。将軍綱吉の「生類憐みの令」は益々エスカレートし、遂に船釣りまでが禁止されてしまう。楽しみを奪われた采女や、其角、朝湖らは不満の日々を縦糸に、「釣秘伝百箇條」の作者探しや、赤穂浪士の討ち入りなどが絡んでいく。夢枕さんにしては、おどろおどろしいものも出てこず、ちょっと悲しいエピソードはありつつも清々しい小説。こんな面もあるのですね。
0255文字
HerrKatze
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ネタバレなまこの新造が釣にものぐるひになっていく様子が獏ちゃん節全開で圧巻の筆致でぐいぐい読ませる 格闘もので習い覚えた技を使いたいってシーンに似てると思った でもまあ自分は釣には興味ないし釣キチ大嫌いなのでやっぱり獏ちゃんの釣ものはこれからも積極的には読まないと思う
0255文字
Kira
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ネタバレ図書館本。この長編は、釣りが趣味だったらたまらない魅力に満ちていることだろうと思う。釣りがこれほど中毒性のあるものだとは知らなかった。「生類憐みの令」によって命懸けで釣りをする釣客たちの目を通して見た元禄時代は、異様な時代でもあった。赤穂浪士討入りもからんでくるが、吉良上野介がちょっと哀れに思えた。
0255文字
やす
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やっぱり忠臣蔵がでてくる。津軽采女の岳父である吉良上野介は浅野内匠頭に理由も分からず切り付けられる。著者は原因を浅野の未熟と短気に解釈する。しかし世間が許さない。仇討ちをせよとの世論に押されて忠臣の誕生。今のソーシャルメディアと変わらない構造があるなあ。世論ってのは増幅器であって元が正しいかどうかなぞ関係ない。采女にも世間の目は冷たく、相変わらず釣りにも行けない生類憐みの令。釣り仲間の隠密釣行が露見、二人は一方は罪を認め一方は認めないという矛盾で裁きがなかなか下されないところ家綱が死去。釈放されるのである
やす

生類憐みの令は発案者のみが支持していて他の誰もが悪法と思っていた。世継ぎも側近も。家綱は自分の死後100年続けてほしいとハナミヅキのようなことを言い残したらしいがあっさり撤回。 さて本書は何であったのだろう。江戸民の釣りにまつわる群像劇ではあるし水戸黄門、徳川家綱、柳沢吉保、浅野内匠頭、吉良上野介、松尾芭蕉といった有目どころ満載。お祭り小説ではある。大変面白かった。あとがきの著者の理想の釣り宿があったら私も行きたい。

08/04 12:43
0255文字
優希
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下巻になり、物語が見えるのですね。多々の事故が起こる中で、釣り人たちの運命に引き込まれずにはいられませんでした。愚かさと気高さが釣りの世界で描かれるのが面白かったです。
0255文字
優希
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ようやく物語が見えた気がします。赤穂浪士で父・吉良上野介を失う采女。綱吉が相次ぐ禁令を出すのに、どれだけ禁止したいことがあるのかと思わずにはいられません。滑稽さもありますが、ロマンもある、そんな物語だと思います。
0255文字
kiyoka
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この小説は采女が『何羨録』を執筆する話かと思っていたが、そこに至るまでを描いたものだった。実はその前に釣りの指南書を書いている人物がいたのだ。釣りに取り憑かれた投竿翁「そもそも釣りは人の道にあらず」「鬼狂いの一種なり。この道に入りて、もどりたる者なし」この人物については創作が入ってると思うがなかなか壮絶。度重なる生類憐みの令に雁字搦めになっていく、その時代に生きた人々を背景に「釣りとは何か」という大命題に挑む作者。ちと盛り込みすぎのような気もしたが側面から見た忠臣蔵もなるほどな、と思って面白かった。
kiyoka

【釣りと文学🎣12 】こちらも『釣りの名著50冊』から。「自分の握るこの竿は、人が生きていくための杖である」夢枕獏は登山もやるけど釣りの方もそうとうなものみたい。釣りに対する名文句がぞろぞろ。「趣味でだって人は死ねるよ」と『作家の道楽』で語っていたらしい。

09/30 00:24
0255文字
サケ太
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良い物語だった。上巻冒頭の人物、芭蕉の死から浮かび上がる”狂”の字の意味。そして、遂に起こった松の廊下。吉良側の人物の視点で描かれた物語は見たことはあるが、采女の存在は初めて知った。世間の残酷さ。それに負けぬ強さ。何を握ってあの世に行くのか。不幸な生涯を送り続けた男の遺したもの。
0255文字
Dyans
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下巻になって、テーマがはっきり読めてきた。芭蕉の死と投竿翁の生涯が馬鹿を通り越して「狂」うほどに一芸にのめり込む事を描きたかったんだ。だが、そのあと読んでいくと、また、トーンダウンを感じる。結局あとがきを読むと、津軽采女を主人公とした、元禄時代の釣り好きのお話であった。其角と一蝶を交えた3人主人公物語かな。そして、近年見直されている綱吉は、この小説の解釈ではやっぱり馬鹿将軍だったのかな。
0255文字
haru
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朝湖がいい、雨宿り図屏風。糞袋
0255文字
しゅう
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いい話でした。A
0255文字
papakiti
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読み終えてしばし放心状態。其角にはもう少し長生きしてほしかったです。淡々としたイメージの采女身内の不幸続きだったんですね。綱吉がやっぱり悪い!?
0255文字
トレジ
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釣り好きとして読み始めましたが釣りが主題ではないですね。ですが物語として楽しめる作品でした。朝湖と其角の友情に泣きました。
0255文字
うーさん
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★★★
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アニータ
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赤穂浪士の討ち入り、こういう見方もあるのかと思いました。最近読んだ葉室麟さんの「花や散るらん」も少し変わった描き方をしているので、面白いと思いました。釣り好きの人たちが随分苦しめられた生類憐みの令、英明とも名君との見方ももある綱吉が何故これほどまでに人々を苦しめる悪法を発布し続けたのか、不思議に思います。
0255文字
ぷかり
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久しぶりに夢中になれました。
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四四三屋
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釣りに憑かれた男、投竿翁を探すのが前半のハイライトで、中盤から後半にかけてはやはり元禄時代最大の事件「赤穂事件」がひとつのクライマックスとして用意されています。とはいえ、赤穂浪士お話はほとんど出ず、「世間」に殺されてゆく吉良上野姿を描き、忠臣蔵の欺瞞を描いているのは面白です。多賀朝胡は島流しとなり、宝井其角は深酒が祟って亡くなってしまう。主人公津軽采女の周りは大小様々な不幸が起こる。そのなかでも最終的に釣りが残ります。多くの不幸によって洗い流された強い人のイメージがそこにありました。
0255文字
サキノスケ
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☆☆☆☆ 津軽采女「何羨録」が、日本最古の現存する釣り指南書。采女の本、読んでみたい。世界最古の釣り本は、アイザック・ウォルトン「釣魚大全」かあ。
0255文字
meiji
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釣りという地味なというか、お話としてダイナミックになりにくいはずなのに、ぐいぐい引き込まれました。
0255文字
NAO
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「生類憐みの令」のせいで様々な束縛に苦しみ、その息苦しさに江戸の町民たちがあえいでいたからこその赤穂浪士の敵討ちの熱狂。だが、この敵討ちはあまりにも片手落ちな気がしている私には、津軽采女をはじめとする吉良側のもどかしさ不本意さにとても共感した。命を賭して海に向かう釣りバカたちの「狂」と、死の間際まで自分の句を吟味し続けた芭蕉の「狂」と、赤穂浪士たちへの江戸町民の「熱狂」。元禄という特異な時代が見事に描き上げられ、最後に残るのは、そこはかとないもの悲しさ。
0255文字
マサ
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面白かった。下巻は生類憐みの令のせいで釣りの場面は少ないが、禁令によって各人の生きざまが濃く描かれていると感じた。「雨宿り図屏風」が見たい。「あとがき」もいい。
0255文字
さかな
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★★★☆☆
0255文字
sab
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最近忠臣蔵を偶然読んで、敵討ちをよくやった!と言わんばかりの、生類憐みに息苦しさを感じていた江戸の町民たちの溜飲の降ろしどころがこの赤穂浪士の討ち入りであり、だからこそ大衆受けする見世物として現代まで残っているのだが、その反対に吉良と親しくしていたものから見たらこのように理不尽極まりないことはなかったのだろう。
0255文字
誰かのプリン
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津軽采女が著した釣りの本「河羨録」にまつわる話がメインかと思いきや、釣り好きな仲間達が生類憐みの令に対し、如何にして生きてきたか、時代背景を反映して描かれている。 下巻の方が上巻より、まとまりが良く面白かった。
0255文字
平楽
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道楽をお上から禁じられた道楽者は如何様な動きを見せるのか。開き直って続ける者、隠れ潜んで続ける者、一時休断する者、別の楽しみを探す者、人によって様々ですが、共通しているのはなにくそ精神。単に膝を屈するだけでは男がすたる。そんな中、投竿翁なる謎の存在が書き記した釣り指南書が発見される。釣りに興じ、釣りに狂い、釣りに没した彼の翁の顛末を知った釣客達は皆思う。「羨ましい」。生類憐みの令、赤穂浪士、元禄大地震と激動の大江戸の中、「釣りしてぇ」ともがき、のた打ち回る男達の波乱万丈なそれぞれの道。ううむ、圧巻でした。
0255文字
イーグルボーイ
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江戸風情がたっぷり楽しめるだけでなく、釣りという道楽の本質をとことん掘り下げている。何故人は釣りをするのか?采女の己に対する問いかけはなんとも現代的で、素直に共感。今も昔も日本は数寄者の国なんだろう。
0255文字
akuakuma
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★★★★☆
0255文字
9分9厘
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まさか釣り好きの人たちの話しを読んで涙するとは…釣りに全く興味がなかった私が、登場する釣り人たちと共に、天下の悪法「生類憐れみの令」に憤る。不思議なお話です。話しの中に、「寂しい人は釣りをする」とあります。読み終わると納得してしまう言葉です。娯楽が溢れた現代と江戸の釣りを一緒に考えるのは無理があるのかと思うけど、私も寂しいから本を読むのかな~と考えてしまいます。あぁ、いい本を読んだ~。そうそう、著者のあとがきも必読です。
0255文字
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
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面白かった。生類憐みの令や赤穂浪士の討ち入りといった、それだけでも一つの作品になるようなテーマをうまく取り込んでおり飽きさせません。前半の馬鹿騒ぎと、後半の人生の楽しいときを過ごしたあとのちょっと寂しい感じが対照的で、どんどんはまっていってしまいました。釣りに興味のない方でも問題なく楽しめる良い作品だと思います♪
0255文字
葉月
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生類哀れみの令がある時代の釣客達の物語。終盤は涙が滲んだ。いなくなった人、戻ってきた人、二十年近くの月日の中で変わっていったことに寂しい気持ちになった。 他にも心に残る場面や言葉があり、とても良い物語だった。
0255文字
らくだ
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本書の主役の一人である津軽采女は日本初の釣りハウツー本の作者だそうです。 吉良上野介の義理の息子で、綱吉の小姓。よくこんなキャラ見つけてきたなぁ。 表紙は松本大洋。
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ぶんぶん
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【図書館】ふうーっと息をついてしまった。 上・下巻併せて820頁、執筆時間・五年の大作をほんの数日で読んでしまう贅沢、なんと至福の時であろう。 ここに書かれているのは釣りの解説書ではない、津軽采女を筆頭に釣りを愛し、釣りに取り付かれた人物伝である。 しかも、どんな人より釣り好きな獏ちゃんが書いてる、これが面白く無い訳がない! 色々な歴史の背景を散りばめ、其角がいる、朝湖、水戸黄門、吉良上野介がいる、紀伊国屋文左衛門、将軍綱吉がいる、幾多の釣りバカを描く、堂々の大河釣りロマン、完成です。
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かぼちゃ
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ネタバレ下巻はあっという間に読み終わってしまった。投竿翁を探し、分かった彼の凄まじい釣りへの狂い様。島流しになった朝湖の悟りとも言える人生観。其角との友情。采女の哀しみ。世間の人々の魔物の様な冷たさや愚かさ。釣りを通してその時代の出来事が生々しい。陰陽師とは全く異なる語彙の多さや文章の巧みさに満腹感。尻込みしていたが読んで良かった。
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うたまる
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「もし、くたばるんなら、釣りのことでくたばりてえ。ここを出てけってえんなら、あたしをここで殺しておくんなせえ。おいら、犬だ。犬でいい。犬を飼ってると思って、あたしをここに置いてやっておくんなせえ…」……上巻が趣味の釣り、娯楽の釣り、競技の釣りなら、下巻は求道の釣り、中毒の釣り、退嬰の釣り、といったところか。釣りの話をしながら、同時に人生の話をしている。釣り自体が良いとか悪いでなく、人が釣りとどう付き合うか、どう活かすのか、を問うている。いずれにせよ、狂うほどのめり込めるものがあることが羨ましい。
0255文字
gold-fish
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なるほど、采女が書いた釣りの指南書につながる話だったわけですね。そう考えるとまあ波乱万丈のロマンが立ち上がってくるということで、朝湖と其角の友情にぐっときました。 采女の生涯は不幸の連続で、生きる糧に釣りが必要だったのもうなづけますが、小説上はあまりここに焦点が当たってないみたいで、采女のキャラはすごく淡々とした印象でした。 歴史に全く興味なかったんですが、こうやって妄想を膨らませながら、歴史を掘り下げるのが面白いっていうのがなんとなくわかるような気がしてきた。
0255文字
ゆうこ
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「魚釣りが好き」と言うことではなく「釣りにのめり込んだ」男。家庭も仕事も何もかもなくしても、竿を握ったまま笑って命を落とすまで。生類憐れみの令が出ても、隠れて魚を釣る。それで捕縛されようと島流しになろうと構わない。犬よりも人の命が軽い時代に釣道を突き進んだ男の話。犬公方より長生きできたことは幸いだったのかもしれない。東京湾の豊かさや魚の生臭い臭いまでも伝わってくるような本でした。釣りをする人もしない人も楽しめる本だと思います。
0255文字
Jiemon
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ネタバレ下巻は、釣秘伝百箇條に纏わる話、松尾芭蕉、朝湖の島流しに、討ち入りと目まぐるしく物語りが進展し、あっという間に読了。なんだかんだといっても上巻の最初に土左衛門で登場する新造さんの話がやっぱり面白い。釣にのめり込んで、家族も省みず、自ら破滅していった新造さんの娘が元禄大地震の後に困窮した体で現れるけれど、死んだ新造さんの供養と言って、紀伊国屋文左衛門が仕事の世話をしてくれる。本人は死んだ後だけれど、なんとなくほっこりとしていい話だ。死んだ父親に手を合わせるべきかどうか、複雑な心境だろうところがまたにくい。
0255文字
ゆーちん
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上巻はのほほんとした雰囲気だったのに下巻はシリアスで何人か人が死んだりして全く空気が違った。最初は完全な創作だと思っていたけど、かなり忠実な史実小説だった。赤穂浪士討ち入りの話もあって歴史の勉強にもなった。ほんとに面白かった。其画と朝湖の別れと死別には涙してしまった。采女の掛け軸を朝湖に見せるシーンはたまらなかった。
0255文字
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大江戸釣客伝(下) (講談社文庫 ゆ 3-10)評価59感想・レビュー98