教育の力 (講談社現代新書)

教育の力 (講談社現代新書)
あらすじ・内容
「ゆとり」か「詰め込み」か、「平等」か「競争」かなど、教育を巡る議論ほどに対立と齟齬が起こっている問題はないと言っても過言ではありません。しかしそれらは、論者の個人的な感想や、思い込みによる独りよがりである場合がほとんどです。みんなが善意と熱意を持って教育を論じるのだけれど、ある種、独りよがりな「思い入れ」や「思い込み」が先走ってしまい、不毛な対立が至るところで引き起こされてしまっている・・・それが、教育を巡る言説の現実ではないでしょうか。しかし、この種の「対立」は、冷静に考えてみれば錯覚であることが少なくありません。「ゆとり」か「詰め込み」か、と二項対立で問われると、人はつい、どちらかの立場に与してしまいます。しかし実は、それは「問い方のマジック」に陥っているだけなのです。こういった、偽の問題による不毛な対立を避けた、本当に意義のある教育を巡る議論が、いまこそ必要とされているのではないでしょうか。こうした混乱に終止符を打つためには、教育、とりわけ公教育はそもそも何のために必要なのかを、まず定義しなければなりません。著者の考えによるなら、それは一人一人の子供が近代社会のルールを身につけ、その中でより自由に生きられるようになること、ということになります。個々の子供の自由の感度こそが社会に対する信頼の土台となり、みんなでよりよい社会を作るという、真の意味での市民参加型の民主主義社会の礎となるのです。では、どうすればそのような<よい>教育を作ることができるのでしょうか。著者の提案は様々ですが、その一つは、一方的に教師の授業を聞くという受け身の授業を改め、子供たちがある一つのテーマに関して自ら調べ、お互いに教え合う、授業の「プロジェクト化」です。日本ではあまりなじみのない方法ですが、すでにフィンランドやオランダなどでは成果を上げたメソッドです。競争よりも協力の方がそれぞれの子供の学力を上げることは、すでに様々なデータで証明されています。<よい>教育をつくるためには学校の物理的な「構造」はどうなっているのがいいのか?<よい>教育を行うための教師の資質とは何か?そしてその実現のための<よい>社会とは?本書は、義務教育を中心に、どのような教育が本当に<よい>と言えるのか、それはどのようにすれば実現できるのかを原理的に解明し、その上でその実現への筋道を具体的に示してゆくものです。

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教育の力はこんな本です

教育の力の感想・レビュー(207)

苫野さんの考えをもっと知りたくて再読。他の本も再読しよう。
- コメント(0) - 3月10日

主に学校教育に関しての論説。トピックを見ると興味深いものの、もう一つ突っ込みが足らない。新書だから仕方ないかもしれないが、良い学び、良い学校、良い社会とつくるというそれぞれにもっと深掘りして書いてほしかったし、そういった内容を読みたいと思う。隔靴掻痒。
★19 - コメント(0) - 3月6日

気鋭の教育哲学者が書き下ろした、これからの教育のあり方、学校、教師、社会との共存など、教育の本質的価値や問題について深く洞察し示唆を与えてくれる。よく言われるように現代社会や企業が求めているのは、決められた細かな知識を忍耐強く″覚え込む力″よりは、必要に応じて必要な知識・情報を十全に自らのものとしていける″学び続ける力″へと移り変わっている。これからの学校は、授業内容にあわせてさまざまな場所を先生がアレンジすることが求められてくる。道徳教育の本質は、相互承認の感度を子どもたちが自ら育んでいく場を作ること。
★10 - コメント(0) - 2月28日

<自由>と<自由の相互承認>を実質化する,と教育の目的を説明し,なにかと対立に陥りがちな議論を,どこまで共通に理解できるところに戻れるかに挑戦している本.その過程こそが,第8部で説明された共通了解をつくる方法であり,だいたい腑に落ちた.義務教育向けの本なれど,高等教育にも十二分に応用できるし,補完しあうものだと思う.
- コメント(0) - 1月27日

自由の相互承認をする力を身に付けることこそが公教育の目的。第7章「教師の資質」は繰り返し読む。僕達はどんな教師を作っていけるのだろうか。
★1 - コメント(0) - 1月17日

二項対立の呪縛から逃れ、第三の解を生む知の方法に希望を得ました。共通関心から共通了解を探しましょう。
- コメント(0) - 2016年10月27日

学校の、社会からのガラパゴス化をこと最近痛感している。頑健な学校制度を変えていくことは、本当に大変であることは、現場にいればよく分かる。教育に携わる、いや社会全体がどうか危機感をもってほしいと切に願う。「学びの個別化」「学びの協同化」「学びのプロジェクト化」を目指し、少しずつ前進させていきたい。教員は、一度身に付けたスキルや教育観をなかなか捨てきれないところがあるから、まだ経験の浅い同僚から、働きかけていこう。
★1 - コメント(0) - 2016年9月24日

K
あとがきにも書かれているように、理論編である前著を受けての実践編。「自由の相互承認の教養を育むこと」を目指すべき教育の理論的な基盤として位置づけたうえで,そのような教育を実現するための具体的な施策として「学びの個別化」,「協同化」,「プロジェクト型の学び」を提唱する。これら3つの視点の重要視しかり,全体的に個々の主張自体はそこまで斬新なわけではありません。それでも,これらの視点の重要性について教育哲学的な観点から「裏」を丁寧に取ったうえできちんと主張しておくことには大きな意義があるだろうと考えます。
★3 - コメント(0) - 2016年9月21日

☆3 教育の意義を説明しているのですが、個人的には少し遠まわしな文面が多くて分かりずらかったです。
★5 - コメント(0) - 2016年9月7日

最近、ガート・ビースタの『よい教育とはなにかー倫理・政治・民主主義』が翻訳され、その中でよい教育についての問いがなくなってきている現状が批判されている。苫野氏は、この問われにくくなっている「よい」教育について論じている(ものと思われる)。私には、<自由の相互承認>のアイデアは消極的自由を互いに認め合うものに過ぎないように思えたのだが、多分理解不足だろう。旧来型の学校・教育を何の疑いもなく再生産していく教師、またそうした教師になろうとする学生にこそ読んで欲しい。
★2 - コメント(0) - 2016年8月30日

思想と現場を貫こうとする1冊。筆者が哲学者だからか、思想は理路整然としてわかりやすく、良い。言葉も易しい。オルタナティブ教育の具体的な説明部分は少な目だったのでもう少ししっかりと分類してほしかった。ただ、オルタナティブ教育で何をしたいか自体はよくわかった。この本では学びの「個別化」と「協同化」が大事なのだが、そうというと、「真逆ではないのか?」と言われるかもしれないが、そうではない。詳しくは実際に読んでもらうとして、そういった学習が需要としても増えていくのだろう(それも書かれている)。理論として良い
★2 - コメント(0) - 2016年7月20日

学びの「個別化」「協同化」「プロジェクト化」の融合型へ転換していく。 未来の学校教育が上記のようになっていくなら楽しみだなあ。 学習資本主義。学び続ける力がなければ、個人が市場において低い価値しか与えられない。怖い怖い。
★2 - コメント(0) - 2016年7月18日

自由とは自らが自由に生きるためにこそ他者の自由もまた承認する必要があるのだということを自覚し、自らができるだけ生きたいようにいきられること。その自由を達成するためには法の設定、そして、個々人が実際に自由になるための力を得ること。生きたいように生きられるようになるための力は1つめに学力(=学ぶ力)2つめに相互承認の感度が必要。学力保障のために、学びの個別化、協同化、プロジェクト化が重要であり、それぞれは独立ではなく連動している。相互承認の感度は自己承認、他者承認、他者からの承認という条件が揃って育まれる。
★2 - コメント(0) - 2016年7月17日

自由の相互承認だけが、わたしたちが自由に、そして平和に共存するための最も根本的な社会原理。現代の公教育がその育成すべき「学力」の本質とは「学び続ける力」。生涯を通して「学び続ける」ことを余儀なくされた現代社会は、苅谷剛彦によると「学習資本主義社会」。学び続ける力がなければ、個人が市場において低い価値しか与えられない社会。ハワードガードナー、【言語的知能、論理・数学的知能、空間的知能、身体運動的知能、音楽的知能、対人知能、内省的知能、博物的知能】このうち、優れているのは2つか3つ。
★2 - コメント(1) - 2016年7月6日

読みおえていて、登録し忘れていました。現場の教師の教育に関するこだわりは本当にさまざまありまして、ただ若い教師は暴力的とまでは行かないとしても有り余る熱意に対する実務経験の浅さ(そのわりに先輩教師の変わらなさに悪態ついたり軽蔑したり……)、ベテランと呼ばれる年齢の教師は「児童生徒、環境の変化」を見ようとせずに自分のスタイルを貫くことがあり、現場を時代によって変化させるの、難しいですね。「教育」って誰のために何のために行うのか、答えは一つじゃないからこそ難しいです。
★6 - コメント(0) - 2016年6月25日

今後の教育の道筋を考える大きな契機となった。読んで良かった。もう一度読むことが必ずあるだろう。前著も読んでみたくなった。
- コメント(0) - 2016年5月3日

「自由の相互承認」が大きなキーワードになっている。よりよい教育を行うにはどうすればいいか、実に論理的、具体的に書かれている。おまけに読みやすかった。今後日本の教育を考えるうえでとても役に立つこと、踏まえておきたいことなどが提示されているので教育に関心のある人にはぜひ読んでほしい一冊。日本が教育の多様性を獲得するのは、いつになるのだろうか。まだまだ先のような気がしてならない。(メモ:ISBN:978-4-06-288254-5 ★4)
★17 - コメント(0) - 2016年4月24日

自由の相互承認、その感度を高めること。
- コメント(0) - 2016年4月21日

気鋭の教育学者による「自由」と「自由の相互承認」をめざす、新たな教育方法への試論。 右翼的教育に異を唱えているのは何よりですし、個別化・協同化・プロジェクト化のさまざまな取り組みの中で西川純先生の「学び合い」を推しているのはうれしい限りですが、あとがきのとおり前著の実践編となるのを願わざるを得ない現実が残念です。
★2 - コメント(0) - 2016年3月5日

教育という分野はあらゆる人が意見を言いやすい。ほとんどすべての人がそれを受けた経験があるからということもあると思う。 そのような中で、何が共通了解可能な目的なのかというところを整理した上で、現代においてそれを達成するためにどのような方法が考えられるかが分かりやすく整理されていた。 互いの論理を伝えあった上で、共有できる課題まで落とし込み、新たな解決策を考えていくという新しいディベートの形はぜひ取り入れてみたい。
- コメント(0) - 2016年2月28日

教育に必要な平等は、「教育の機会均等」と「教養の獲得保障の平等」。必要な多様性は、これらの平等を実現するための「方法の多様性」と「平等実現以降の教育の多様性」なのだそう。個人的には、多様性実現の観点から、個々人の脳の認知特性やワーキングメモリに応じたカスタムメイドな教育というものに興味があって、オンライン教育がその可能性を拡げてくれるんじゃないかと期待している。そのためには、まず脳の認知特性を計測する客観的な尺度が必要になってくるんだけど、そこのあたりは現代の科学ではどうなっているのか気になる。
★2 - コメント(0) - 2016年2月17日

今後、日本が進めていきたいと考えている「教育」の道しるべのような役割を果たしている本であった。未来の教育者として、このままじゃいけないぞ、と思いつつも見えなかった答えの一部を見せてもらえたような気がします。理論について述べながらも、実践的な例が多く挙げられていたのも良かったです。教育に関わる人(教師、保護者など)全てにぜひ読んでいただきたい1冊です。
★2 - コメント(0) - 2016年2月13日

教育に対する著者の真摯な姿勢は、理論的でありながら実践の要素を多分に盛り込んで、ロジック的にも美しくまとまっている。全てが「教育のせい」ではない、教育に「できないこと」をまず考えるという視点には感動。従来型の黒板にチョークで文字を書き、教員が一方的に話して終わりという公教育はもはや時代の流れから遅れたものなのだろう。教育にIT機器を積極的に盛り込んでいけば、それぞれ個別に段階的に学びを進めていくことは容易だという意見に最も賛成。それだけでなく、共同化という学び合いの場も設けられれば良いのでは、という論調。
★5 - コメント(0) - 2015年9月16日

一貫して,教育の原理に立ち戻りながら説明されていて,具体的な問題からその本質を考えることができた.「教育に何ができないか」という視点は重要であると紹介されていたので,このことについても知りたいと思った.
★2 - コメント(0) - 2015年7月28日

前著「どのような教育が「よい」教育か」に大きな感銘を受けた私にとっては、それを実践に移すための手引書ともいえる一冊。 <自由>と<自由の相互承認>、学びの個別化、協同化、プロジェクト化など、理念が具体的に描かれている。理想的であり、現実的ではない、という人もいるかもしれないが、むしろ学校こそが現実と乖離し始めていることに目を向ければ、この本で言われているようなことを考えなければならないだろう。
★1 - コメント(0) - 2015年7月26日

問い方のマジックにとらわれないで、考える。誰にとって、何がよいのか。そして、その解も完璧な解ではないことを前提とする。本当に大切だけれども、それを妨げる何かに手を突っ込まなければいけない。
★1 - コメント(0) - 2015年7月6日

2015年229冊目。学校への疑問とガッカリ感を抱くこと、そして結局人のせいにして自己の更新を、成長を進めなければ!と思う最近。買ったまま1年積読だったけど、出会いたいときに本ってやつは出会えるものですね。魅力的な夢物語に見えて、具現化していくのでは!いや、いくでしょう!と力をもらえる内容。特に学級のあり方、個別、協同、プロジェクトの学び、競争。自己と他人を信じられるからこそ、この社会を渡っていけるはず、と思う僕には、シンクロ率高い内容の本でした。いい出会いでした。
★5 - コメント(0) - 2015年5月4日

「学びの個別化」「学びの協同化」「学びのプロジェクト化」、それに「多様性」や「自由の相互承認」。漠然と興味のあった分野だけに、こういう理念には共感できる。そしてなぜこういう変革が求められているかというと、「学校」に求められるものが変わったからだ。この点をもう少し深めれば、自分の興味関心が言葉にできそう。読みやすかった。
★5 - コメント(0) - 2015年4月18日

【p111 今日教師に求められている力量は、一斉授業の上手さというより(あるいはそれだけでなく)、一人ひとりの学びを支え導くとともに、「学びの協同化」をファシリテート(促進)する力だといえるでしょう。】 哲学をされている人だからなのか、論に無理がなく、自分の状態に引きつけて考えやすい。いじめへの対応法など具体性に欠けるのが難点か。
★2 - コメント(0) - 2015年4月13日

きっと、ソフトウェアの開発現場とそれの(売れる)価格をずっと見てきた者としての、関心・相関的視点であろう、という感想を述べる。若い人たちがこういう視点を持つことに大いに期待したい。もう、民主主義とかそんな感性じゃなくって、その先を見つめる視点として評価したい。ただ「自由の相互承認」という言葉の使い方は、まだ早すぎるんじゃ、という思いも強い。人のため、世のため、とは親父、祖父母世代からよく言われた言葉だが、咀嚼するのは難しい。成果主義と言う評価者次第と言うのはどう見てもおかしいよな、と思った次第。
★3 - コメント(0) - 2015年3月27日

教育のあるべき道筋を丁寧に思考した著作。教育の一端を担うものとしてはもちろん、社会を構成する一個人としても様々考えさせられる作品。個人の自由を実現するための力を身につけること、互いに自由であると認め合う力を育てること。それが教育のあるべき姿。いつでもその基本に立ち戻って、自分のあるべき姿、なすべきことを振り返り、修正を重ね、後悔しない仕事をしていきたい。
★3 - コメント(0) - 2015年3月16日

学びの個別化、学びの協同化、学びのプロジェクト化に激しく共感。人それぞれの学びを、子どもたちが自分たちで学び合う。学習をプロジェクトにして、課題解決力を養う。
★3 - コメント(0) - 2015年3月14日

おもしろかった。とても楽しめた。
★1 - コメント(0) - 2015年3月9日

著者が強調してる「自由の相互承認」にはかなり共感した。子供の教育に対してそのように強調しているが、本当のところまずは大人がこの考えや思想を持って社会を形成していかなければいけないと思う。「個別化」「協同化」「プロジェクト化」にも共感。日本の教育に取り入れて欲しいが現在の日本の教育とはかけ離れているので現実はかなり難しいと思う。けど、なんとか実現して欲しい。いまできることは自分の子育てに活かしていくことだな。
★2 - コメント(0) - 2015年3月3日

教育の中でこどもたちに何を身に付けさせるべきなのか、またその方法が分かりやすく書かれていました。本書の中で引用されていた他の文献にもとても興味をもちました。全体的にとても勉強になりましたが、私は特に第Ⅱ部以降に心に残る言葉が多くありました。何度も読み返していきたいです。
★2 - コメント(0) - 2015年2月2日

教育の本来あるべき姿を著者の広い視点から訴えている本である。私も、現在の日本の教育は変わるべき時がきているのだなとかんじている。社会の変化に応じて、教育も変わっていかなくてはならないと思う。 でも、何より大事にしなければならないことは基本的に変わっていなくて、子どもたちのやりたい、やってみたいという気持ちの部分を大切にする教育を実践したいと思った。
★2 - コメント(0) - 2014年12月28日

「超ディベート」って響き、なんかいいね。
★1 - コメント(0) - 2014年12月24日

オランダの教育について調べていたら出会った一冊。テーマは「教育の個別化・協同化・プロジェクト化」「学力とは、知識量」ではなく、「学力とは、学ぶ力」である。という考え方に共感。頭のモヤモヤがスッキリしました。また、参考文献も充実しており、年末に読む本が増えました。「専門家は常に学び続けること」心に刻んでおきます。
★3 - コメント(0) - 2014年12月7日

時々読み返して、大切なことを確認する。わたしにとっては羅針盤的な本。
★2 - コメント(0) - 2014年12月5日

【再読】
★1 - コメント(0) - 2014年12月3日

教育の力の 評価:76 感想・レビュー:76
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