形式:コミック
出版社:集英社
形式:Kindle版
つまり「ヒーロー達の矜恃」が天賦の才という言わば「才能という暴力」の前に屈するからだ。「力が正義なのではない、正義が力なのだ」という言葉があるが、それはやはり理想論であり、現実の暴力に抗えぬのならばヒーローとしての矜恃とは夢想でしかないのか。この辺りはフブキ組の仲間達を操り人形に変えられ窮地に立たされるフブキにも通底する。まるで容姿や身体の成長と引き換えにしたかの様な姉・タツマキの異常なまでの力は、年相応の美貌を得ながらもどうしても手に入らない力を渇望するフブキの心の傷そのものだ(続)。
「矜恃無き力」のスイリュー、「力無き矜恃」のフブキの二人のドラマは交わらないが、「力ある矜恃」であるサイタマがこの二つを連結し(本人に一切自覚は無い)、その高みを目指すジェノスが正義を体現せんと登り詰める。残るトーナメント選手は四人。引き伸ばしである筈の武術大会もオチが見えつつある中、そこに込められた作者の意図が間もなく明かされようとしている(了)。
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