或る女 (新潮文庫)

或る女 (新潮文庫)
あらすじ・内容
超・肉食系女子の狂気! 愛に生きたその結末とは――リアリズム文学の最高傑作。

美貌で才気溢れる早月(さつき)葉子は、従軍記者として名をはせた詩人・木部と恋愛結婚するが、2カ月で離婚。その後、婚約者・木村の待つアメリカへと渡る船中で、事務長・倉地のたくましい魅力の虜となり、そのまま帰国してしまう。個性を抑圧する社会道徳に反抗し、不羈(ふき)奔放に生き通そうとして、むなしく敗れた一人の女性の激情と運命を描きつくした、リアリズム文学の最高傑作のひとつ。

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或る女はこんな本です

或る女の感想・レビュー(278)

人目を引く美貌に加え、男性を魅了してやまない魅惑的な仕草や姿態を持つ葉子が、社会からの攻撃に加え、自らの中に芽生えた強烈な嫉妬の業火に操られ、愛する男性や家族ばかりか、われとわが身をも滅ぼしていくデモーニッシュな小説。発表後100年を経てもなお読み継がれるのは、制御不能な嫉妬心に苦しみ、死をも希う葉子の内心に迫っているからであろう。解説の加賀乙彦の「この世間は、自分こそ道徳の権化であると信じていながら、そのじつは虚栄や金銭欲にこり固まった人々」という指摘は、21世紀に入ってもなお変わらない人間の有り様だ。
★5 - コメント(1) - 3月21日

「欲しいものは自分で手に入れますわ」というセリフが聞こえてきそうな、女・葉子が主人公。葉子は木部と恋愛結婚をしたが、すぐに破局。その後、木村との結婚が決まり、アメリカに船で渡るが、倉地という男と出会ってしまい…。なかなか、読み進めずにいたが、船を降りてからあたりで、急に読み易くなった気が。庭の描写など素敵。葉子の心情が月の描写越しに描かれている場面が良かった。葉子、愛子、定世の肖像画を想像するのも楽しい。
- コメント(0) - 1月2日

時代は明治中期。良家の長女に生まれながら奔放で先進的な主人公が、親の決めた婚約者のいる米国に向かう船の中で妻子ある船員と恋に落ち、下船せずに帰国し一緒に暮らし始める。互いを貪るように求め合う激しい愛の果ては… 実際に貪り合うシーンは皆無に近くその点では肩透かしだが、それを補って少し足りない程度にそれを想像させるような2人の容姿や感情の描写が細やか。加えて、主人公の感情の振れ幅の大きさに振り回される男達や常に顔を顰めている親戚のおばちゃん達が、これ以上ないほどの予定調和で最後まで話を盛り上げてくれる。
★1 - コメント(0) - 2016年12月30日

前半と後半で全く別の物語のように感じる。葉子と倉地の愛を、アメリカへの旅路のなかで綴る前半には、希望というか、少なくとも未来という拓けた時間性への飛躍を感じる。後半はしかし、葉子の女性性を子宮(の病)と結びつけ過ぎている。「とうとう倉地の心と全く解け合った自分の心を見出した時、葉子の魂の願いは生きようという事よりも死のうと云う事だった」(378頁)。二人のエクスタシーは死への入り口なのか?有島自身が波多野秋子と心中した時も、こんな気持ちだったのか。葉子は、有島の分身なのかもしれないと思います。
- コメント(0) - 2016年12月23日

中盤あたりから引き込まれた。1文が短くリズミカル。葉子の言葉使い以外に時代を感じさせない。 最後に書いた手紙に救いの手が差し伸べられていることを感じる。普段の行動が慣性となってその手をつかむことができない。有島くんは分かってるな~。
- コメント(0) - 2016年10月15日

倉地との幸福な生活から破滅に向かっていく際の心理描写は圧巻。
- コメント(0) - 2016年9月14日

葉子にはモデルがいたと言われていますが、それにしてもまるで女性が書いているかのように、生々しく女性の本音・本性が描かれていると感じました。美しい女性が堕落し、病に侵され狂気じみていく終盤は、儚く、哀しく、ゆえに美しく、だから引き込まれるのだろうと思いました。
- コメント(0) - 2016年8月12日

明治三十年代、主人公・早月葉子は世間の常識や古い道徳観に反抗して自分の思うままに生きようとするが…
★2 - コメント(0) - 2016年5月9日

大正の男性作家の作品とは思えない女性の心理描写。女性の多くは、恋に悩む時、本当にこの人で良いのかとゆう不安と、打算が混ざると思う。人並みはずれた容姿と聡明さを持ってしまった彼女は物に不自由がなすぎるあまり、何にも満足できなくなってしまう人生だっただろう。そしてその不幸さを彼女自身が一番理解し持て余している。ここまで過激でなくても、女性ならこんな悪魔なような感情を持っていると思うし、それをうまくコントロールすることがいかに大切か思い知らされた。凡庸な幸せを掴むことが実は一番大変なのだと感じる。
★3 - コメント(0) - 2016年3月14日

冒頭の新橋駅の登場シーンからは、高慢ではあるが美しく、運命を自分で切り開いていく主人公が想像されます。しかし、道ならぬ恋による嫉妬が主人公の若さ、健康な精神を奪っていきます。肉慾、独占欲という悲しい人間の性を見せつけられた物語でした。物語の舞台は明治の中期で、書かれたのは100年前ですが、全く古臭くない文体に驚きました。
★4 - コメント(0) - 2016年3月11日

レビューを見ると葉子はなんという悪女だ!ゆるせん!と言う方もいらっしゃるが、葉子の心の動きをずっと追っていくとこれほどの激しくて、純粋な恋はないのではないか。仕方ないよとすら思ってしまう。この葉子の虚栄心が強く、自分を客観的にいかに魅力的に見せるかに長けている性格も連綿と綴られる葉子の生い立ちを読むとこうなるのも仕方がない…とうなづいてしまった。そして恐ろしい…と震えるのがこれを書いたのが男性だ、ということだ。葉子の性格にとって死よりも残酷な最期を用意した点にここまで追い込むか…とゾッとした。
★11 - コメント(0) - 2016年2月13日

それまでは、その時までは、自分の生き方を、まわりの誰彼をタクトしていた、思いのままだった。奔放という非難さえ勲章であった。どうにもならない熱情にほだされるまでは、狂わされるまでは。それは恍惚であった。しかしそれがどうにもならないものである時、恍惚に疑心のかげがさす。はじめそれは小さな嫉妬であった、しかしその眼は確実に世界の見えを狂わせはじめる。嫉妬は妄想によって補われる、視界は絶望的なまでに狂う。『浮雲』の内海文三のように、そのいやはてには破滅が待っているだろう。そんな熱い、熱すぎる恋愛が、かつてあった。
★2 - コメント(0) - 2016年2月2日

たまたま他の方の感想からボバリー夫人と共通点を知り、読んでみた。乗船中で惹かれた事務長の倉地は日に焼けて頑丈で男性的な顔をしていて皮膚から酒や煙草の匂いがしていると描写されているのだが、時代の流れのせいか、最後までそのような男性が魅力的とは全く感じられず、その点残念だった。葉子が倉地を愛している程には愛されていない不安の為に、倉地を痴呆のようにしてしまいたいという激しいさ、倉地を妻子から別れさせてもなお元婚約者木村から仕送りを受け取る厚顔さ。美女葉子という心のさもしい女を長い小説で描いている。
★17 - コメント(6) - 2016年1月19日

ボヴァリー夫人を読んだので、その流れでこれも。葉子がだんだん壊れていく様子が淡々と書かれているのが、女が自由に生きるとこうなるよ、不幸になるよ、とさりげなく言われてるようで複雑な気持ちになった。でも葉子は決して自由に振舞ってるわけではなく、むしろがんじからめになってる気もするし、それよりも何よりも性格が悪いからなぁ。この結果を招いたのは葉子の自業自得では、とまんまと思ってしまいます。あとは、ところどころに英単語が散りばめられてるのが新しく感じた。
★4 - コメント(1) - 2016年1月2日

姿の見えない語り手が主人公葉子をヒステリーに追いやる。この小説が葉子の一人称でなく、三人称一元描写で書かれたことが、その効果を高めている。当時想定されていたステレオタイプの女には乗らず、自身の容貌と才気を思うままに操り男を手玉に取っていた女が、その男のために狂乱のなか身を滅ぼしていくという筋書きを語る語り手の口振りは限りなく男ジェンダー化されている、いやらしい構造。こういう女を小説に書くということ自体の新規性は当時あったのかもしれないが。
★8 - コメント(0) - 2015年12月26日

華麗なる一族。有島3兄弟(有島武郎、有島生馬、里見弴)は1910年の『白樺創刊号』に揃って名を連ねました。兄の武郎を武者小路実篤と志賀直哉に引き合わせたのは弟の里見弴ではあったけれどハーバード大帰りの有島武郎は理論派として「白樺派」の中心勢力になっていきます。代表作『或る女』は1911年に「前篇」そして1919年に「後編」が「白樺」に掲載されました。ヒロイン早月葉子のモデルは当時マスコミを騒がせた佐々城信子。有島武郎が佐々城信子とどこまで交流があったのかはわかりませんが小説としてなかなか面白いです。。
★40 - コメント(1) - 2015年12月24日

「大田文学ってどう」;葉子が新橋から横浜へ向かう冒頭のシーンに大森から川崎の車窓風景が出てくる。解説の加賀乙彦氏が触れているように自然主義が風景を作中に丁寧に読み込むワンシーンであろう。大正期の文学としては秀逸なのであろう。この作品に魅かれ、試みに小説にチャレンジした当時の文学青年が、本作品に及ばず、挫折したであろうことが推察できる。尚、本書に関する幾多の感想レビューが実に多彩で面白い。
★3 - コメント(0) - 2015年9月30日

あえて区別するなら序盤のほうが好きでした。結末に近づくと、葉子という人間がほとんど確立され、もちろんその筆致だって鼎をあぐようなものですが、たとえば乗船中もしくは乗船直前後の心理描写の巧みさは、それをも凌いでいると思われたからです。そこには、謳い文句になっている「肉食女子」的な精神の兆しが見え、一方で彼女の潔癖な繊細な心持ちも描写され、さらには冷淡に外部を見つめる視線がある。こうした複雑な心理があることで、葉子の言葉には何重もの意味がかかり、会話の場面にスリリングな味わいが付与されるのです。傑作でしょう。
★13 - コメント(0) - 2015年9月11日

結末から何まで、当然の報いだろう。最後まで同調することなく、俯瞰の読書だった。
★21 - コメント(0) - 2015年8月23日

作者は意図的にヒステリックな女を描いていると思われる。時代的に女性が下に軽く見られ、かつ何だかよくわからない、理解し難いモノとして扱われているのかな。それにしても、これはめんどくさすぎなクレイジー女だぜ......
★3 - コメント(0) - 2015年7月6日

火のような気性を持つ美貌の令嬢、葉子の人生を綴った物語。最初はスカーレット・オハラのようだなあと思っていたけど葉子のほうがもっと激しい。何となくエリザベス・テイラーの姿が浮かんだ。
★2 - コメント(0) - 2015年6月7日

丁寧に読もうとしたが、途中からもう速読(笑)要は、なめた女が意地からアメリカ行くが退屈だし好きな男ができたしで出戻りするものの幸せな生活は得られず(性格的に一生無理!)入院して最後は煩悶。勝手に自爆自滅。浦沢直樹の『monster』みたいに、自棄になり若さも失ったあばずれが葛藤・成長する話なら面白かったのに。クンニしろオラァァァ、の人も久々に思い出す。文体を楽しみ、当時を知る以外、本作は自分にとって無価値だった。現代にはこのテーマがもっとわかりやすく簡潔な漫画、映画、小説は昔に比べ沢山ある。
★4 - コメント(0) - 2015年5月29日

やっと読了しました
★2 - コメント(0) - 2015年5月22日

凄まじいドラマでした。長かったが入り込んで読めた。大河とも言える傑作 でした。
★5 - コメント(0) - 2015年5月7日

やっと船に乗ったところで挫折 またのリベンジを誓う
★2 - コメント(1) - 2015年4月13日

読了。特盛り。強烈な膚の匂いで魅了する倉地。頬を赤らめる岡に、愚直に真実一路をひた走る古藤。婚約者の木村はコンコルドの誤りよろしく、純真なるATMであり続ける。ついでに元夫もひょっこり再登場。男たちを振り回す魔性の女は、奔放な生活の果てに、妄想と痛覚の渦中へと堕ちゆく。……って、これ作中でわずか1年の話かよ、という濃厚ぶり。途中、幾度も挟み込まれる表情豊かな情景描写はわりと好み。
★4 - コメント(0) - 2015年3月23日

主人公・葉子の感情の起伏が激し過ぎて、こういう人が周りにいたら大変だろうな〜と思いながら読んだ。泣き過ぎだし。
★2 - コメント(0) - 2015年2月22日

リアリズム文学の最高傑作の一つといっても過言では無いです。
★1 - コメント(0) - 2015年2月13日

帯に書いてある肉食系女子とは葉子のことなのだろう。どうも納得がいかない。論文の見直しにあたり再読。何度読んでも、自尊心が高くその癖倉地の前では従順な世話女房になる葉子という女性が大好き。
★5 - コメント(0) - 2015年1月26日

リアリズム文学の傑作として名高い、約700頁の長編小説。同じ作家の「一房の葡萄」からは、子供の心に寄り添うような優しさが感じられて好感を持ったけれど、この本は全く好きになれません。45歳で、29歳の人妻と心中した作家がファム・ファタールを描くとこうなるのね、と少し醒めた目で見てしまいました。トルストイのアンナ・カレーニナのほうが、堕落していても美しく聡明で優雅で、最後まで魅力的です。それにしても、男性の描くファム・ファタールは、なぜ破滅型なのでしょうか。 女はそんなに弱くないのに。付箋38枚。
★3 - コメント(1) - 2015年1月17日

再読。若い時分に読んだときも面白かったけれど、今回もはまった。大正期に書かれたとは思えぬほど熱っぽく骨太な、「女」小説。有島武雄はもっと長生きして作品を遺すべきでしたね…
★4 - コメント(0) - 2015年1月11日

スローな物語展開に辟易だし描写がひたすら冗長。話しの展開も一様で退屈極まりない。但しこれは前半の話し。ところがドッコイ後半はいやいや面白い。主人公葉子は衆目一致の美貌を有し自尊心が異常に高く、頭の回転が効き瞬時にしかも巧妙に話しを紡ぐことが出来る。意地が悪くとことんジコチュウで武器"女"を自由自在に駆使して男心を手玉にとるなんて朝飯前。執着心が異常に強く、兎に角負けず嫌い。内なる心はダッチロール飛行なのに、外に出す表情は見事にコントロール出来る女の凄み。あぁ、女は怖い、、、。あと少し続きが欲しかった。
★3 - コメント(0) - 2014年11月10日

もう少し若い頃なら、こんな破滅に向かう男女の姿も、怖いもの見たさに楽しめたものですが・・もう楽しく読める年齢を過ぎたようで、読み終わってグッタリ。でも女性は誰しも、例え一見地味な女性でも、こうなるスイッチは持っている気もしないではありません。それにしても、女性の機微やえぐさをここまで描ける有島武郎って、、一体どんな事があったのか。こんな波乱な女性の人生を「或る女」という突き放した題名にした作者の冷たさも小気味良く、読了後に題名を見返すことで、読者が抱いた葉子への怒りややるせなさも少しは鎮まるのでしょう。
★3 - コメント(0) - 2014年10月29日

こういう小説なら百冊から読みたい。
★3 - コメント(0) - 2014年10月18日

重量級だけども確かに名作だった!
★3 - コメント(0) - 2014年9月26日

葉子の男性に対する高慢な態度にしばしば腹が立った。しかし、恋愛の絶頂期から倦怠期に至り、不安や嫉妬でヒステリーを起こし、じわじわと病に侵されていくまでの過程の描き方は見事だった。まるで、女性が書いたように女性の心情について知り尽くしている。本文とは全く関係ないことだが、帯に「超・肉食系女子の狂気!」とあった。こういう宣伝の仕方をしないと、若い人に本を買ってもらえないのか…と思ったら少し残念。
★14 - コメント(9) - 2014年8月26日

破滅へと階段からこけ落ちるヒロインの姿に、二人のヒロインを思いだした。フローベルの写実主義文学の代表作品ボヴァリ一夫人のエマ、それと東野圭吾の白夜行、あっ名前忘れた(≧▽≦)
★20 - コメント(4) - 2014年8月24日

美を追い求めなくとも、こんなに凄みが出せるのか。リアリズムの面白さを思い出しました。
★3 - コメント(0) - 2014年7月7日

以前より興味のあった有島武郎の金字塔を読了。シーン毎に容赦のない状況描写が登場し、くどいがそれに夢中になってしまった。この本はフェミニズムとして紹介されているが、早月葉子がおかしくなってしまう原因としては病理学的側面があり、決して大正の女性らしさが障害故に挫折してしまうだけとは言えない。diabolicな葉子の魅力だけではなく、いじらしい岡を愛おしく思う気持ちであったり、妹を可愛がる気持ちは真心が溢れている。愛子に対しては心理学的に"投影"と言われる現象が発生しているが。後半の虚実入り混じる展開は圧巻。
★3 - コメント(0) - 2014年6月24日

毎晩1節ずつ読むのも苦痛な程最初は退屈だったけど、葉子の気が狂ってからはなかなかスリリングだった。
★3 - コメント(0) - 2014年6月21日

或る女の 評価:88 感想・レビュー:74
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