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蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫)

感想・レビュー
393

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な
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ネタバレ大学の授業で扱った際に結末の「女学生の蒲団の匂いを嗅ぐ」ということだけを知って友人と気持ち悪いねと不快感を共有してから数年、はじめて全文を読んだ。 感想としては、気持ち悪いが思ったより気持ち悪くない。しかし「気持ち悪い」の一言で済ませるには軽すぎるという印象であった。 明治時代、女性の処女性がどれほど重要視されていたのか。芳子が田中と肉の恋をしているならば自分もすればよかったなど「芳子の保護者」面は性欲からだろう。読んでる分には内容としては面白いが、やっぱり気持ち悪かった。
0255文字
スー
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ネタバレ『布団』密かに慕っていた弟子、芳子の不義理により彼女を郷里へ返した後、彼女の布団の残り香にむせび泣く時雄。文学史上有名な作品ですが時雄の独善的で煮え切らない態度が鼻につき私には合わなかった。 『重右衛門の最後』長野の片田舎で狼藉を振るう重右衛門背景と村人とのやり取り。そして最後に村人が取った対応とは?冒頭の、田舎の美しい風景描写(これが伏線にもなるのだが)と重右衛門が悪漢に至るまでの環境・先天的性格の綿密な描写、閉鎖的な村社会と自然との対峙と同化が表現される。こちらの方が面白かった。
0255文字
サン
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結婚生活の倦怠、疲労、冷酷、に慣れた夫の不満足な描写が完璧な作品。 不倫する勇気もなく、他人の手紙を読んだり、嫉妬だけは一人前な小心者の主人公。 感想で「キモい」の意見を多数目にしたが… んな事ないよ‼️ 妻子持ちの中年男性のあるがままの姿を滑稽に描いた傑作。
0255文字
コディアックヒグマ
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ネタバレ女弟子が他の男と付き合わなかったらむしろ不倫の話になるところだったのでしょうか。手を出さずに我慢してたけど、処女じゃないことがわかった途端に追い出すようなことをして、我慢して損したみたいなこと考えてるのが、普通に気持ち悪いです。そして有名な蒲団のシーン。リビドーの抑圧に支配される日本文学の病巣を垣間見ました。
0255文字
MO
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なんとなーく、蒲団ってやばい作品らしい。ってきいてたけど。やばいが一人で走ってる感じ。じめじめしてる
0255文字
恵
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『蒲団』は思ったより地味な作品だった。谷崎の『痴人の愛』が常にぶっ飛ばしていたのに対し、こっちは常にじめじめしていて時雄が独善的で鬱陶しい。結局、芳子カップルは言いくるめられるし、元凶の時雄は蒲団嗅いで咽び泣くしで不完全燃焼。しかし、この「誰も得しない」感じがリアルではある。
0255文字
オリオン
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ミニシアターで映画「蒲団」を鑑賞後に監督脚本出演者の舞台挨拶があり、そこで脚本家の方が原作に触れられていたので興味を持ち拝読。原作はもっと主人公の妄想が激しいという話でしたので楽しみにページを捲りましたが、それが想像していた妄想と異なり少し残念(笑)よほど映画の方が妖艶でドキドキしでした。まあこれも読書の楽しさですね。70年以上も前にこんな作品を書いている作家さんがいたことに驚くとともに昔から男というものは変わらないなあと考えにふけるのでした。
0255文字
まみょんちゃんねる
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『蒲団』キモい中年オヤジが布団を被って泣く話でほぼ相違ない。主人公の心情や行動には普遍性を見出せないこともない、オヤジあるある。時代性を割り引いても共感できず、その滑稽さに失笑するばかり。さすがに時間泥棒とは思いたくないので、文学史的に評価されている点を答え合わせするように読了。『重右衛門の最後』閉鎖的な村社会や障害者への差別など考えさせられるところがあったので、こちらの方が読んだ気がした。とにかく福田恆存氏の解説が痛快すぎて二度読んだが、島崎藤村の『破戒』を読めば『蒲団』への理解が深くなるのではないか。
0255文字
Mirror
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ここの感想で散見する「キモい」という指摘は、妻子ある中年が我が子のように若い女に恋狂うことを指しているのだと思うが、この気持ち悪さこそが花袋の描きたかったことで、福田恆存氏の田山花袋の主体性のなさとワナビー批判に繋がるのだが、そここそが現代にも通用する重要なポイントになっていると思う。大きな金玉が不幸の元となる「重右衛門の最後」も同様に悲喜こもごもでどうしても笑ってしまう作品で、こちらも完成度が高い。
0255文字
桃山
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うちの大学ド田舎だったので、恋愛する付き合う交尾する浮気する泣く喧嘩する乗り換えるくらいしか娯楽なかったの思い出した 外的刺激の少ない環境って恋愛がいちばんの麻薬よな 主人公に対して終始「キモい」と「わかる」の感情が交差してた
0255文字
なか
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妻子ある生活ってそんなにつまらんのか?
0255文字
よこ見
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「蒲団」というタイトルのわりに蒲団の登場シーンが少ない。というか最後の1ページしかない。あらすじを今どきのラノベ風に言うと、「作家で妻子持ちの俺に美少女の弟子ができたが、仲がいい男がいるようで内心気が気でない件」とでもなりそうな本作だが、内容は家父長制や当時の女性観を如実に反映しすぎていて、どう改変しても今どき風に出来そうもない。品行方正や貞淑を求められてがんじがらめの女性キャラに比べて男性陣はわりと奔放だし、とりわけ主人公の言動には眉を顰めたくなるものがある。(1/2)
よこ見

発表当時は私小説にしても開けっぴろげすぎる内容に論争もあったらしいが、それでも発表にはこぎつけられたという事実も含めて、当時は女性に比べて男性の力が強かったのだな、ということを思った。ここまでの自己開示は、当時の女性には世間体的に難しかったのではないだろうか。(2/2)

05/30 20:58
0255文字
Shun'ichiro AKIKUSA
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あらためて読むとちょっと小説、文章として拙い。これを読むと漱石や鴎外ってすごいんだな、と思う。解説の福田恆存も「つまらない」と書いてしまっているし。とはいえそういう下手さも含めて楽しめると言えなくもない。
0255文字
厭世スト
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ネタバレ蒲団をクンカクンカする話だと聞き、下世話な興味から読み始めた。しかし、いざ読むとスケベ要素というのは主軸ではなく、むしろ中年の陰惨たる生活の悲哀に目が向く。ごく真面目な生活を送ってきて、妻も子もあり責任もある。しかし、凡々たる毎日、刺激に欠いた日常、果たしてこれが幸福なのだろうか?こうした問いは多くの人間が中年期に味わってきたものではなかろうか。どうして激烈な恋に身を燃やさなかったのだ。そう煩悶する頃には、疾うに参加権は失われている。解説には心を抉られました。作品の創造より芸術的生活に憧れる文学青年、私だ
0255文字
Gotoran
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自然主義文学のさきがけといわれる『蒲団』に、中編作『重右衛門の最後』を併録。『蒲団』は、生活に倦怠期を抱く中年の妻帯者である小説家が、田舎から出て来た若い女性を 書生として世話しているうちに彼女に恋するようになるが、彼女には同年代の恋人がいて悶々とする様が描かれている。 『重右衛門の最後』は、歪んだ人間性の藤田重右衛門を公然と殺害し、不起訴のうちに葬り去ってしまった信州の閉鎖性の強い村落が描かれている。明治の雰囲気を感じさせる文体と精神背景を垣間見ることができた。また、巻末の福田恒存の解説も有益だった。
0255文字
コトラー
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別の男との仲を引き裂かれ田舎に帰った女弟子の蒲団の残り香を嗅いで悶絶する妻子ある中年男。これだけの前知識で読んだ。平凡な生活に飽き飽きした男の精神が、若い女の登場によっていきいきと蘇る。思いを告げられないまま、女の恋人の出現に憤る心情も分からなくもないが、最後まで読んだら、やっぱり気持ち悪かった(笑)福田恒存さんの解説がおもしろかった。
0255文字
ヒョン吉
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感想としては「キモい」に尽きるのだが、そのキモさに同情してしまう自分もいて、自分もキモいんだなと思いました。(笑)
0255文字
あんり
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キモス
0255文字
百年の積読
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ネタバレいい歳をして若い娘への恋心に惑溺する既婚子持ち男。この主人公をどう捉えるかは、時代によって結構変わるだろうし、もちろん性別によっても変わるだろうが、自分からすればもう「キモい」の一言である。特に芳子が田中とデキちゃってるとようやっと悟って激昂したときの心情描写のキモいことといったら、もう暴力的なレベルである。このように手放しでキモがらせてくれる小説というのはなかなかなく、ことに現代においてはまず生まれないだろうから、確かに歴史的には重要な作品かもしれない。当時の女性読者がこれを読んでどう思ったか気になる。
百年の積読

「重右衛門の最後」は実際の事件に取材しているそうだけど、作家の創作がかなり混じっているようだ。重右衛門の手下の娘の存在があまりに幻想的で、現実のこととは思われない。殺された重右衛門を一人で火葬し、その夜村中に復讐の火を放ち、その中で自分も焼け死ぬって、ドラマチック過ぎやせんか。としても、重右衛門の自滅的な死に様というのはなかなか印象深かった。ただ、いうほど因習村かな?とは思った。そこは描写力の問題かもしれない。

01/05 13:46
0255文字
アルハ
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自然主義文学の代表作として知られる表題含め2作を収録。 内弟子としてやってきた女学生に邪な想いを抱いていた中年作家が味わった失恋と、彼女の去った自宅で及んだ行為を赤裸々に描いた表題作は本当に気持ち悪い。おじさんの中には根拠もなく若い娘に愛してもらえると思っている層がいるが、こういうライフステージに合わせて相手を選ぶ考えがない作家のような人がそうなるんだろうなあ。 併録作は生まれついて正しい道にいけない重右衛門という男の世間に対する復讐のような最期が印象的だが、表題作が強烈すぎてインパクトが薄く感じる。
0255文字
樺澤潤かばさわじゅん樺沢潤kabasawajun
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群馬の英雄のエッセイから私、樺澤潤の名前が生まれた実話 私の父が同郷の群馬県出身で上毛カルタにもなっている田山花袋の作品が好きで 「日光山裏見の瀧の怒れる澤潤はいまだ悉く美しき緑なるあり樺あり靑あり橙紅あり群靑ありて」 から表現と色彩、苗字と名前のバランスが素晴らしくて私の名前をつけたと聞いています。
0255文字
Ohe Hiroyuki
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自然主義派といわれる代表的な人物の一人のこれまた代表的な著作である▼本書は、巻末にある福田恆存の解説の切れ味が鋭い。トーンとしては批判的であるが、それだけ当時に与えた影響は大きかったのである。▼「蒲団」は私小説に慣れ親しんだ現代人にとってはもはや特段思うところがないかもしれない。読んで考えるものがあるのはむしろ「重右衛門の最後」であろう。東京と田舎という対比は、当時の人々にとって活きた話であったのだろうと思う。
0255文字
hirayama46
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はじめての田山花袋。古典文学や海外文学を読む際はバックボーンを先に知っておきたいので、解説に先にざっと目を通すことが多いのですが、表題作について福田恆存が「現代の読者の眼にはこの平凡稚拙な小説」と書かれていて、過激な解説を書くな……と思いました。実際に読んでみるとたしかにわからなくはないけれど、そこまでひどいかな……とも思います。たしかに現代において広く読まれる明治文学のなかでは素朴すぎるかもしれないけれど……。併録された「重右衛門の最後」のほうがむしろいま読んでも面白いサスペンス性があるかもしれません。
0255文字
キカイ
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ネタバレ学生の頃に読んだっきり。野暮用で読了。「重右衛門の最後」は多分、初読み。しかし、この本の解説を書いている人は、花袋のことが好きじゃなかったのかな?と思う解説。不思議。
0255文字
平楽
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『蒲団』って色艶めくるめく危険な私小説なんだろうな、という勝手な思い込みがあったが、読んでみると目が点。これ、おっさんの下心を詳らかにしつつ、全然思い通りに事を運べない情けなくも恥ずかしいコメディやん、と笑ってしまった。時雄、お疲れ。でも芳子なんかより、お前のバカに辛抱強く付き合ってくれる奥方の方が比較にならんぐらいええ女やで。表題作よりも『重右衛門の最後』の方がドキュメンタリーチックで重厚感ある良作だと思っていたら、解説の福田恆存もそう書いていてこれまた笑ってしまった。田山花袋、何とも楽しい文豪である。
0255文字
zooey
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私小説の走り。妻子ある物書きの男性が、弟子の女性に恋をしてしまう。厳格な師匠の皮をかぶったまま、内面では激しく欲情、嫉妬するという気持ちの悪い話。ここまで醜い心情を書くか、というのが当時は驚きをもって受け入れられたのだろう。妻に対する態度や、女性を無教養と決めつける点など、あまりにクズ過ぎてむしろ清々しいくらいだが、当時においてはそれが普通だったのかもしれない。
0255文字
ykmmr (^_^)
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日本にも、海外にも『自然派』があるが、彼は普段の普通の『風景』に『アクション』を加えるが、しかし、何だか、それが微妙に「主人公本意」というか…主人公が我が道を進むが、それが最後には崩れるというか、そんな印象を受ける。しかも、オチが甘くて、余計に失態を広げてしまうような…。まあ、『田舎教師』と比べると、こちらはさっぱりとしたコメディかなと。『重右衛門の最後』は片田舎の閉塞感と起こりうることの、比例差が…。重いながらも読みを進めてくれちゃう。作家としても、正直、「微妙な存在感」。作者も描きながら、
ykmmr (^_^)

こんな事を考えていたのではないか?

09/27 11:27
0255文字
ろみ
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ネタバレ蒲団を読む。たまに教科書に出てくる作家が読みたくなる。今回は田山花袋。読了すると、明治四十年九月とある。この時代、こんなに熱い人間模様があるのか。時代的に、恋愛とかタブーなんだろう。けれど、先生の空想の中、生々しい描写がかなり衝撃。これをエロティシズムというのか。先生と、芳子と、田中と父。下心あった先生、なんて言ったら文学にはならないんだろう。ただ、芳子の気持ちを読み解けない。不倫に走らないように田中という野暮ったい男に向かったのか。またそのうち読もう。
0255文字
ehirano1
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「自然主義文学」なるものに初めて触れました、多分・・・。『重右衛門の最期』が印象的で、主人公というか語り手が「環境的自然」と「人間の本質的な自然」を交えての考察にはえらく考えさせられました。
ehirano1

解説がエグイです。

01/29 20:16
0255文字
D
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自然主義文学の読みやすい文体で一気に読めた。解説でかなりボコボコに批評されているのを読んで笑ってしまった。確かに布団の登場人物には思い詰めるような切実さを感じなかったというのは事実である。布団に顔を埋めて泣くような結末になる前にもっと様々な葛藤があっても良いと思う
0255文字
ともこま
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「蒲団」あらすじで読む前から何となくわかってはいたが、時雄の自分本位の行動には読みながら少々情けなく参ってしまった。若い娘の人生を自分の欲の為に引っ掻き回す様に、その都度「時雄よ、およしなさい」と突っ込みながら読んでいた。そのように面白がって楽しめた。「重右衛門の最後」こちらは、村の閉塞感とどうにもならない不幸の顛末がどうなるのか気になって一気に読んだ。以前読んだ著者の「田舎教師」と違う面白さがあった。
0255文字
&S
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ネタバレ花袋の代表作と言えば『蒲団』であり、自然主義文学の先駆けとなった作品である。しかし個人的には、『重右衛門の最後』の方が小説の完成度は高いと思う。美しい自然描写から始まり、最後には生まれ持った性質によって逃れられなかった不幸をまざまざと描いている。解説には、花袋は芸術家ではなく芸術家に憧れた一般人であるとの記述がある。『蒲団』にある、「一歩の相違で運命の唯中に入ることが出来ずに、いつも圏外に立たせられた淋しい苦悶、その苦しい味をかれは常に味った。」という文は彼の心の声ではないだろうか。
0255文字
ihim
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ネタバレ『蒲団』の時雄と『重右衛門の最後』の重右衛門は、ベクトルは違えどどちらも「弱い人間」であり、2人が社会に封殺されてしまうまでの一部始終を描いている作品であるように感じられました。 重右衛門はともかく、時雄の意気地の無さはおかしみと同時にどこか共感を誘うようなところがあり、読み終えた後は面白さと切なさが入り混じったような気持ちになりました。
0255文字
Shinichiro Furutani
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(重右衛門)健康な身体で生んでくれて、そして素直な心持ちに育ててくれた両親に感謝したい。
0255文字
ザキ
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日本文学に於ける自然主義の嚆矢とされる1冊。 要は作者の体験を赤裸々に綴った小説なのですが、これが衝撃をもって受け止められた明治時代が牧歌的に思えてしまいました。 その点、福田恒存の解説は的を得ていると感じました。(上から目線ですみません!) 登場人物の芳子のモデルであろう、実在の人物が本作の発表後の、ある種の受難を併せて調べてみると奥深いかもです。
0255文字
大豆
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文学史的に重要な位置づけの作品らしいし、いちおう読んでおくか、という心持ちで読んだけど、思っていたより面白かった。歴史的な重要性は認めつつ、小説としては(そして作家の才覚も)大したことない、とばっさりいく解説がよかった。
0255文字
FUJI燦々
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文学作品のひとつとして学生時代から名前は知っていた作品。なんとなく作品名からその当時のひきこもりニートな生活をしている方を主題にした作品だとずっと勘違いしていた。中年作家の美人弟子にたいするある意味気持ち悪いとさえ思われる可能性のあるストーカーチックな恋愛感情を描いた作品だったのね。これが私小説として扱われるなんて、田山さんはこの作品が有名になって、どういう気持ちでいたんだろう?そういうことも考えると何だかイイなと思えてしまうな。
0255文字
♨️
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福田恒存の解説にも言われるように、西洋の写実主義、自然主義の再現として世界を見る眼差しが根底にあり、それが、「露骨なる描写」がそれでもなお作品であることを支えていると思う。日文のゼミで読んでる絓『「帝国」の文学』の「蒲団」が扱われている箇所では「生命主義」的世界観として言われていることだが、そうした美化が、そこで処女から娼婦へと人物族を引き回される芳子(=女)や、同情すべきだが殺されて当然でもある重右衛門(=障害者)を現実存在として排除したうえで
♨️

(アンビバレントな人物が、殺されたが、しかしその後みんなで墓立てたしオッケー、というのは、何もオッケーじゃないだろう)、世界に行動を起こさず情感的に見つめるのみの「文学青年」(福田)=「市民」=(マジョリティのみからなる)「国民」的感性の成立と同時にあることが問題なのだと思う。とりわけ、障害者を排除した村の光景を「ツルゲーネフのよう」と語ることのできる、西洋文化の取り込みがマイノリティ排除と重なっているところの問題。

11/12 09:11
♨️

だってそういう眼差しがなかったらやっぱり、弟子可愛くって男に取られそうでこっち妻いるしで、悶々、全部めちゃくちゃになっちゃった…の話と、悪い奴いるけれど話聞いたらなんかかわいそうで、悶々、そいつも殺されたし仇討ちで全部めちゃくちゃになっちゃった…、だよね その、色眼鏡を通じてリアルを映してる、というところに軸を置いて読むのならば「文学青年」の醜態を曝け出すような文学作品ということにもなるのかもしれない。

11/12 09:23
0255文字
まれむりん
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<蒲団> 蒲団くんかくんか涙。実家に連れ変えられた女学生が寄越した手紙が"いつもの人懐かしい言文一致でなく、礼儀正しい候文"で届くところは、文学を志して都会に羽ばたき出た若い魂が、ふたたび封建的因習の世界に飲み込まれてしまったホラー感があった。 学生の頃にこれを読んでもただ滑稽としか思わなかっただろうが、"「若い鳥は若い鳥でなくては駄目だ。自分等はもうこの若い鳥を引く美しい羽を持っていない」"など、中年の危機おじさんのみっともない切なさが身に染みた。
まれむりん

<重右衛門の最後>しばらく読んでても何の話に行き着くのか分からない流麗な風景描写に戸惑いつつ、たどり着いたゲスな村のエグいドロドロ話から連続放火事件(『つけびの村』を思い出した)が発生。エピソードのエグさは今読んでもなかなか刺激的だが、主人公の立ち位置が余計な感が否めず、取ってつけたような説教オチもなんだか流暢でない。 巻末の福田恒存の残酷かつ的確な花袋評価を読んだらようやく文学史上の位置付けなどが腑に落ちた。

10/30 23:41
0255文字
くわたあかね
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ネタバレ自分を慕って上京してきた10歳ほども若い人に、妻も子供 もいる36歳の男が恋してしまうなんて、いやらしい!と思って読み始めた。だけど読み進めるうちに自分の人生への倦怠感や、才能に対する劣等感「一歩の相違で運命の唯中に入ることができずに、いつも圏外に立たせられた淋しい苦悶」の中に現れた、眩いほどの(将来のある)現代っ子である芳子(しかも慕ってくれる)に、人生変わっちゃうかも…てな感じでグラっとくるの、かなり共感してしまった。最後の蒲団の匂いを嗅ぐのは「嫌〜〜」と思ったけど、この中年の不安感の描写が
くわたあかね

すごく切実で、もう手に入らない青春、失ってしまった青春に焦ってジタバタしている様子が、人生の閉塞感を感じている私にグサグサ刺さって辛かったです。中年の危機小説。 重右衛門の最後は、塩山を訪ねる時の風景の描写が最高にいい。声に出して読んだ。

10/29 01:40
0255文字
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蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫)評価71感想・レビュー393