形式:文庫
出版社:新潮社
町医者の開業医は金はあるが権威はなく、国立大学医学部の医者は権威はあるが金はない。そうした中で、財前五郎だけでなく、誰もが欠乏を抱えており、それを埋める果てしない欲望を持つ。「白い巨塔」というタイトルについて、初めは国立大学の医学部を指していると思っていたが、読み進めるうちに、医学会全体、ひいては日本の組織全体に通じる病を表しているように思えた。 そうした富と権力の獲得競争に奔走する人びとの対極あるのが、財前五郎の同期の第一内科の里見助教授だ。当初は研究に打ち込むものの、
「今、目の前で苦しみ、死んでいく病人の体にじかに触れ、診療して、その生命を守りたいという希いに駆られて」臨床に転じた。組織人としては不器用であり、青臭いと言われるかもしれないが、常に利己ではなく利他の思いで行動する数少ない登場人物であり、「白い巨塔」に取り込まれない、ヒューマニズムの最後の砦のように感じた。 「いや、僕は無理をしたり、妙な画策をしたり、 自分の良心を失ってまで教授になりたいとは思わない。自然になれれば、それは幸いなことに違いないが、なれなければ、それだけのことだよ」
ね。そんなに教授になりたいんかって思うよね(笑)。
娘の結婚まで絡めるのもなんだかなぁ、って感じです。
honさん。ね。狸しかいないので、もしかしたら狸小説なのかもしれんと思ってしまう。
のんさん。読んで読んで。若い頃番宣でしか目にしてなかったドラマがこんなに面白いとは。今との生き方の違いを凄く感じる本だよー。親知らずねー。歯を掘削機?で2つに割りながら、根をぐいぐい引っ張って抜いたよ。加齢のせいか癒着が凄い。おかげで3週間くらい薬飲んでもずーっと痛くて、若いうちにビビらず抜いときゃ良かったと後悔ね。
男の内なる嫉妬の世界だ…。東は財前が嫌いに尽きるじゃないか。この昭和の世界とギラつきがクッソ面白かったよ。それにしても助教授の待遇って酷いんだね。あれは教授になりたくなる。そしてその後の諸氏の出世欲も貪欲。すげー。
巻が進むに連れて、嫉妬や傲慢がどんどん内から外に溢れてくるよ(笑)。このスマートじゃなさが昭和だよねー。昭和な俺ですら「そんなに教授になりたいんか?」と思うもんね。
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