夏目漱石―決定版 (新潮文庫 (え-4-2))

夏目漱石―決定版 (新潮文庫 (え-4-2))
あらすじ・内容
従来の漱石神話をことごとく打破して、生活人漱石の内面に肉薄した画期的論文『夏目漱石』は、著者23歳の年に刊行された。以来漱石とのつき合いは二十余年に及び、批評家江藤淳の多彩な評論活動の根幹をなしている。明晰な論理と豊かな洞察力で卓越した漱石観を示す著者の漱石論考のすべてを収録した本書は、漱石論の白眉であると同時に、最良の漱石文学案内の魅力にあふれている。

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夏目漱石―決定版 (新潮文庫の感想・レビュー(55)

「苛烈な厭人家などというものはいつも理想を背にかついでいる。」そして、おそらく同じだけの悲しみも前に抱えているのだろうと思う。漱石の不機嫌も、鴎外の諦念も、太宰の絶望も、背にかついだ理想と抱えた悲しみが底にあって、それは江藤淳も間違いなく共通している。漱石を"my life-long friend"といった江藤の手によって、生々しく浮かび上がる漱石の姿は、江藤の姿もまた生々しく逆照している。それは漱石を一歩引いて批評するのではなく、漱石に寄り添って紡がれた「ぼく自身の漱石に対する共感の過程」だからだろう。
★10 - コメント(0) - 2月11日

村上春樹の総合小説を書きたいとの意思表明を目にした時に、大昔に読んだ『夏目漱石』の「明暗」についての二つの章のことが思い浮かんだ。それで読み直してみた。近代小説の誕生として語られていた、<文豪>漱石から再度「社会のただ中に投げ返され」ようとする漱石の姿が捕らえられた作品だとの論評、村上の言う「デタッチメント」から「コミットメント」への発言との類似性を確認できた。前回のこの著作、漱石の解説本として読んでいたが、今回は江藤の作家性を強く感じる読書となった。<コメントに続>
★1 - コメント(1) - 2016年8月15日

今を去ること約半世紀前、大学で漱石を卒論に選んだ先生の熱い授業を聴く際の副読本だった いつかは 漱石とその時代もやらんといかんと思いつつ。。。幾年ぞ
★15 - コメント(0) - 2015年8月25日

全三部構成になっており、著者のデビュー作も収録した一冊。二三歳の若さで書いているというのだから驚きなのだが、ある程度読み進めると、だからこそこういった書き方ができるのかもしれないと思うようになった。「神話」としての漱石を否定し、その偶像を完膚なきまでに叩きつぶす姿は、颯爽とはしているが、どこかに恐ろしさもある。漱石を論じながら明治という時代にも言及しているので、「成熟と喪失」を書くにいたる動機も納得できる気がした。「『テクスト読みの人間知らず』になってはいけない」という言葉に著者の批評精神がかいま見える。
★1 - コメント(0) - 2015年7月21日

「文学史」という体系の中に漱石を位置付ける風潮や、漱石神話を造り上げる盲目的な漱石門下生の理論や、作品の表層のみを問題にして実証主義的に漱石という人間を規定する文芸評論家の態度などを筆者は徹底的に拒絶する。漱石の文学史的位置を決定することや、偶像化して崇拝することは、漱石という一人の人間を非個性化することであり、漱石と読者との繋がりを断絶することだからだ。筆者は漱石の苦悩の内に自身を見ており、批評家達に漱石が汚されていくのに我慢できなかったんだろう。
★1 - コメント(0) - 2015年5月17日

漱石の幼少期の両親による愛の不在。それにより、自己は何故存在するのかという疑問が生まれたという筆者の想像。この疑問を読むとユダヤ人という民族がなぜあれほどに頭脳がよいかという内田樹の指摘が思い出された。それはユダヤ人は放浪の民で、安住の地が与えられておらず、そのため常に自己を見つめるしかなかったからだという見解である。これが夏目金之助がなぜあれほどに秀才だったのかに一つの要因として提示できるかもしれない。
★4 - コメント(0) - 2015年1月20日

RY
旧版で読んだが、思うところあってこちらで記録。混乱を招いたとしたら申し訳ありません。 江藤が学部時代に書きあげた処女作。自分はつい最近まで存在を知らなかったのだが、とても明晰かつ精密な印象。とても二十歳過ぎの作には思えない。文量に比して内容がとても濃密。文章術としても有用な本と言えるかもしれない。
★2 - コメント(0) - 2014年10月18日

漱石没後40年頃になって大きく見直される契機となった本。漱石門下で定説とされてきた則天去私という晩年の心境に疑問符が打たれることになった。であるが、個人的にはやはり正岡子規との交流などのホトトギス関連の研究がまだまだ不十分と言う感はある。また、クレイグ氏から学んだとされる沙翁についての漱石の考察はどうであったかの論も。この本に対してでなく、世間一般の研究に対して。
★1 - コメント(0) - 2014年7月21日

「当時漱石に敬意を払ったりするのは知識階級の通俗読者であって、いやしくも作家たろうとする者の心得ではなかった」「漱石は赤貧洗うがごとき貧乏をしたこともなければ女の問題で苦労したこともない。貧乏と女という作家になるための二大条件を欠いた大学教師上がりの常識家」「彼らの決定論によれば…芸術家は逆に貧乏で破滅的な情熱に身をこがしていなければならぬはずだったからである」
- コメント(0) - 2013年1月14日

漱石論者と言えばこの人。いくつかツッコミどころはあるが、未だに第一線でありうる漱石論。
- コメント(0) - 2012年4月5日

決定版にふさわしい深度、鋭利過ぎ。論中で引いている正宗白鳥、吉田六郎の漱石論は是非読んでみたい。
- コメント(0) - 2011年10月14日

夏目漱石についての評論を集めたもの。漱石作品の意味,鴎外との関係などがわかる。評価4
- コメント(0) - 2011年6月5日

ガチの文芸批評とはかくもガチ感が伝わるものなのか・・・と思った。単に全集通読しましたというのではなく(当然)。漱石の作品は何気なく読んでいたが、常に死に脅かされてきたと書いてあるのを鑑みると、改めて読めば江藤の言うように「重低音」が聞こえてくるかもしれない。
★3 - コメント(0) - 2010年11月10日

「明暗」についての批評はとばした
- コメント(0) - 2010年8月6日

社会的と殊に文壇的な派閥感から演繹する芸術観から見ての、漱石作品と漱石が描く人物に好き嫌いの感情がさも評論となるように理論武装する手法の評論がよくあることからすれば、戦後の漱石を評論するものの中で名著のひとつと言ってもいいのではないかとわたしは思う。内容が深い一冊である。特にわたしもこの著者が感じるのと同じ漱石観は、読み手のこちらが成長してくるにつれて、さまざまな新しい魅力を表してくれる稀有な作家だということです。「登世という名の嫂」「鴎外と漱石―その留学と恋と」この二篇は漱石研究文でも括目と思えた。
★9 - コメント(0) - 2010年7月5日

こういう批評家による、漱石像はなるほどと思えるところもあるけど、どうかな?と思うところもある。
- コメント(0) - 2008年2月20日

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