海と毒薬 (新潮文庫)

海と毒薬 (新潮文庫)
あらすじ・内容
アメリカと闘った戦争が、医学も、日本人のこころも汚してしまった。

戦争末期の恐るべき出来事――九州の大学付属病院における米軍捕虜の生体解剖事件を小説化、著者の念頭から絶えて離れることのない問い「日本人とはいかなる人間か」を追究する。解剖に参加した者は単なる異常者だったのか? どんな倫理的真空がこのような残虐行為に駆りたてたのか? 神なき日本人の“罪の意識”の不在の無気味さを描き、今なお背筋を凍らせる問題作。

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海と毒薬の感想・レビュー(5774)

人の残酷さ、醜さが伝わってくるような作品。 思ったより難しいとは思わなかったが、これこの解釈でいいのかよくわからない感じで読みすすめた。 このようなことが第二次世界対戦のとき実際起きていたと思うと怖くて仕方ない。
★4 - コメント(0) - 1月21日

『沈黙』を読んだので『海と毒薬』も再読。戦争末期に行われた米軍捕虜の生体解剖について、登場人物それぞれの目線で罪の意識を考える。戦時中の病院の暗くて重い空気が立ち込める小説でありながら、200ページにまとまっているところがすごい。彼らのその後は気になるが、序章にあるようなごく普通の生活に戻っていったのだろう。恥ずかしさと曖昧に隠れる日本人の対極として、強い正義感をもって振る舞うヒルダの姿が際立っている。世間の罰から逃れられればともかく生きていけるという日本人の姿は、良くも悪くもそう間違っていない気がする。
★5 - コメント(0) - 1月20日

絶対神なき日本人に本当に罪の意識はあるのかというのがテーマだが、私が読む限りでは『ない』と作者は言いたいのだろう。
★9 - コメント(0) - 1月18日

151
自分は今現在、冒頭のような日常的な世界に生きているが、現在にも過去にも非日常的な空間や物事がこの世に存在していることを意識せざるを得ないような作品だった。人間の罪の意識を複数の人間と視点で切り込んでいるように思えた。テレビや新聞などで戦争被害者が痛切な話をしていたりする。でももしかしたら加害者は被害者に対して罪の意識なんて微塵もないのかもしれないし、罪の意識があっても自己嫌悪をするだけでただ傍観しているのかもしれない。でもそれを責めることは誰にもできないと思った。少ない文量だが、話の重さがずしりとくる。
★7 - コメント(0) - 1月18日

捕虜を騙して解剖する話。かなり短いけれど重い内容だった。考えてみれば戦時中のことだし、人を殺した経験がある人が近場ににごろごろいても全然おかしくないんだよなあ。実際の事件の関係者を非難するつもりは無いらしい。確かに非難してる雰囲気は感じなかったし、考えれば考えるほど誰も責められない。勝呂医師、ただの不潔な医者なのかと思ったらなんだか気の毒な立ち位置だったな。
★6 - コメント(0) - 1月17日

[★★★★/○]戦時中実際に起きた敵国捕虜の生体解剖事件を題材に、罪と知りながら加担する心境や罪の意識を描いた不朽の問題作。心の中の見えない闇を見つめるような筆致が重たかった。事の大小はあるにせよ、「正しくないとわかってても抗わない」「社会的制裁の恐れがなくなったら呵責が鈍麻する」ような心理は、共感せずにはいられない。私も危ういのだ。彼らに対する評価も断罪も本書にはないが、「そういう弱さを自覚して道を踏み外さないように生きることが大切」という教訓を私は得たように思う。
★7 - コメント(0) - 1月17日

戦時中、実際にあったおそるべき米軍捕虜の、生体解剖事件をモデルに書かれた1冊。事件そのものはとてつもなくショッキングで、そんな残酷なことがあったのかという衝撃で打ちのめされた。しかし、この小説はそれだけでは終わらない。心にずしんずしんと語りかけてくる重さがあった。日本人の罪の意識、良心はどこにあるのか。自分はどうなのか。「沈黙」「海と毒薬」と読んだので「留学」も読みたい。
★10 - コメント(0) - 1月16日

②おそらく関わってしまった本人も、感覚的には自分が恐ろしいことをしていると分かっている、だけど、あの状況下で、自分の判断が間違っていたと感じる確かな根拠、罪悪感を持つ確かな根拠がないのだろう。読んでいるとき、どこかで、人を殺すことについて、状況によっては許される、むしろ正しい時もあるのでは?という発想をストレスなく出来てしまう自分もまた日本人なのだと実感させられる。そして、作者の文体から、彼もまた徹底的に日本人だからこそ、このテーマにきちんと立ち向かわざるを得ないのだろうと感じた。
★5 - コメント(0) - 1月13日

①戦争に日常を、人生を、人柄をじわじわと犯されていく感覚を、戦争を経験してない自分でも、まさに今体験しているかのように感じられた。高ストレス状態が長期間続いて、無感動、無感覚に陥ったとき、彼らはとても日本人らしい欠点を露呈する。善悪の判断は、あくまでも状況依存型で「人を殺してはいけない」という基本的な善悪の基準ですら、理由があれば覆せてしまうくらい、絶対的な価値基準を持っていないことを。(②に続く)
★4 - コメント(0) - 1月13日

Kei
毒薬とはエーテル?非人道的な事をしても呵責が生まれない異常な状況? 日本人と神や罪の距離感を生体解剖の事件を通じて問うた言わずもがな傑作。
★5 - コメント(0) - 1月12日

第二次世界大戦下現実に行われた、捕虜の生態解剖。その事件を元にしたフィクション。 事実だけでも大変ショッキングな内容ではあるが、人間が何に罪と罰を感じるのか、仄暗い心情を通じて描く。重く痛々しく非人間的。しかし彼らと同じような非情さ、残酷さが自分には全く無いのか、と問われれば… 遠藤周作はこのような、事実を基にした話がとても上手くて大好き。近々(2017年)「沈黙」が映画化されるので、そちらも楽しみ。
★6 - コメント(0) - 1月9日

著者による、いわゆる「純文学」系の小説を読むのは、「沈黙」に続いて二度目。「沈黙」では、キチジローという魅力的なバイプレーヤーが存分に活躍し小説世界の奥行を広げる役割を果たしていたように思います。一方この物語には、上田ノブ看護婦と戸田研究員が事件に関わる重要人物として登場し、物語に多面性を与える役割を果たしています。ところが、著者の人物描写が観念的で説明過剰のせいか、とりわけ看護婦像の「ツクリモノ感」は際立ちました。やはり人物がリアルに描けて初めてよい小説といえるわけで、その点でこの小説は評価できません。
★21 - コメント(0) - 1月6日

今年は読書の年ෆ⃛₍˄·͈༝·͈˄₎ฅ˒˒*ೄ˚
- コメント(0) - 1月3日

今年初めての読破
- コメント(0) - 1月2日

毒薬の象徴が分からないまま読み終えてしまったものの、‬遠藤周作のテーマを抑えた名作。遠藤周作の問いに実直な試み。 『留学』『沈黙』と続く3部作のようなのだが、留学はノーマークなので後で読む。 海と毒薬では、日常生活との接続を第1章で置いたのち、第2章、第3章で人間、こと日本人の本質に迫る。 自分自身の定める良心に従うということをしない日本人。背景知識が少ないと単に「いかにモラル的に生きるか・良心に従って生きるか」を問う作品に見える。
★12 - コメント(3) - 2016年12月31日

『沈黙』が巨匠により映画化された。非常に楽しみだが、違う本を読んでみる。 戦中での人体実験を扱ったものだ。加害者としての罪悪がテーマだ。重い。 遠藤周作先生の小説とおちゃらけすぎるエッセイ、人柄とのギャップに参る。何者なのだろう?
★9 - コメント(0) - 2016年12月30日

読み飛ばした部分が多々あったが、手術風景の描写はとっても心に残ったし、比喩表現も面白かった。もうちょっと時間が経ったら読み直したい本です。
★1 - コメント(0) - 2016年12月29日

あの生体解剖は医学への貢献があったのかはわからないけど、西洋人が信じる神より、実際に生きた人間に影響のある世間様の方が秩序を保つ機能としては優秀なんじゃないかと思ってしまった私は骨の髄まで日本人なのでしょうか。実際に安楽死させようとした看護婦の方に私は同情をしました。西洋人は本当に原理原則に沿って生きているのでしょうか。昨今の西洋圏の低迷を見てそんな事を感じてしまいました。
★10 - コメント(0) - 2016年12月26日

今年は遠藤周作ばかり読んだなぁ。クリスマスイブに読むものではない気がしたけど、読んでよかった。
★6 - コメント(0) - 2016年12月24日

戦争という亀裂に隔てられた過去と現在の日常。しかしその時点での現実であった過去が消えて無くなるわけではない。そして当然現在の現実の中にふいに顔を出す。 そういう人生の難しさに光を当てるのが小説という芸術の役割だと深く思わせる物語ですね。
★11 - コメント(0) - 2016年12月23日

本当は学生時代に読むべきだったと思った。その後、当事者たちはどうなったのか?それが知りたいが、結局、この物語はこれで終わっている。それだけ、テーマとしては重い。生体解剖実験そのものも重いが、それを取り巻く人物たちの人生も重い。人間とはなにかという究極の問いを突きつけてくる本だと思う。
★9 - コメント(0) - 2016年12月23日

この歳になって初めての遠藤周作。キレイな淡々とした文章で描かれる日常に隣接する異常。戦後日本を描きながらも普遍性を持った重いテーマは僕の知っていた狐狸庵先生の真反対。いやはや、衝撃だ。もっと読まなくちゃだな…
★8 - コメント(0) - 2016年12月22日

遠藤周作といえば、『沈黙』の劇的ですさまじいテーマ性が頭に残っていたので、本作は思っていたよりも淡々としていた印象。が、考えねばならないが考えるのが禁忌のようになってしまっている問題を白日のもとにさらすという意味では、まさに遠藤周作。『沈黙』が劇薬なら、本作は文字通り、じわじわと効いてくる毒薬といったところ。どの人物も決して狂人でも極悪人でもないところがかえって不気味さを増している。 最後の解説がまた非常におもしろく、作品の奥深さがより理解できる素晴らしい解説だった。
★11 - コメント(0) - 2016年12月20日

神なき日本人。罪の意識不在の不気味さ。捕虜を生体解剖。
★9 - コメント(0) - 2016年12月14日

幼い頃からチヤホヤされて卑屈な思考をするようになったあの医者(名前を思い出せない)の心理だけが、あの話の意図だけがよく分からない。あの転校生に冷笑をされた(と思いこんでる)事で彼の何かが壊れたってことなのでしょうか。全体的に読み終わりに考えさせられる良質な文章でした。タールで真っ黒の病院の屋上から福岡市を一望してみたいと思ってしまいました。
★12 - コメント(0) - 2016年12月12日

読んでいて心が生ぬるくなる。なぜ、こんな小説がかけるのか不思議。医者が生体実験として人を殺す。その思惑、葛藤がねっとり書かれている。確かに医学の進歩のために生体実験するこは仕方ないかもしれない。それでもけっして許されるものではないのだろう。それにしても軍人にしろ、看護婦にしろ、そして医者にしても今の時代からみると皆狂っている。戦争というものは恐ろしい。
★18 - コメント(0) - 2016年12月6日

zzz
面白かった。けど、分量が短いからか、あっさり終わってしまった印象。もっとネチネチと登場人物の葛藤を描いて欲しかった。
★6 - コメント(0) - 2016年12月4日

遠藤さんの本の英語の翻訳を色々読んだけど、初めて日本語で読みました。遠藤さんの、人間の心の複雑さを分析する力に改めて驚きました。特にこの小説で罪悪感というテーマが中心になって、その感じ方、また根拠が問われていると思いす。暗いけど、大事なテーマで、いろいろ考えさせてくれる小説だと思いました。
★6 - コメント(0) - 2016年12月2日

遠藤周作作品初読了。後期の軟派系?の作品が今いちな印象だったので。しかしこの作品は面白かった。この時代の作品は私好みな気がする。海と毒薬、絶妙な題名だ。戦争中、世界のあちこちで興味本意で遊び半分の生体実験が行われた。この事件は権力闘争まがいの動機が根底にあるとしても、まだ真面目な実験の部類に入るだろう。この手の本を読んでつくづく思う。戦争に関して学校で教わることがあまりにも少なかった。
★7 - コメント(0) - 2016年12月1日

本作が戦争下における異常な行為の根源を見出そうとしたものであることは、とてもよく伝わってきました。戦禍でさえも、権力闘争といった利己的意識に走ることが本当ならば、当時の人間は無意識に狂っていたのかもしれません。
★12 - コメント(0) - 2016年11月29日

戦争中の医者の話。「中支では女とやりまくって楽しかった」と書いてある。また、日本の医者が童貞を捨てる話でもある。キリスト教については運命がどうだとかひとこと書いてある程度。仏教についてもちょっと書いてある。あまり宗教的な小説ではない。まあ、退屈なよくある純文学といったところ。なぜこれがこんなに大勢に読まれてるのかさっぱりわからない。
★11 - コメント(0) - 2016年11月28日

日本人とはいかなる人間か、と一括りにできるかは分からないけれど…作中の罪の意識や良心について考えると、心を深く抉られたような気持ちになります。勝呂医師も、善人なようで長いものに巻かれてしまった挙句に逃げ出してしまうし…そういうところが遠藤周作の暴き出したかった日本人なのかしら。
★10 - コメント(0) - 2016年11月23日

救いようがないほど暗い内容なので、本を閉じた瞬間に広がる現実が明るく楽しく見えます。
★7 - コメント(0) - 2016年11月21日

強烈でした‥ 初めて徹夜で読んだ 本でした。 文章自体激しい表現が 使われているわけでは ありませんが内容が 強烈だと思います。 果たして罪とはなんなのか。 罪悪感とはなんなのか 昔の時代の 倫理を問いかける一冊です。 ぜひ沢山の方々に 読んでもらいたいです。
★8 - コメント(0) - 2016年11月17日

★★★☆☆
★2 - コメント(0) - 2016年11月16日

始終深い闇に包まれた作品でした。現在では顔をしかめてしまう様な出来事もその時代によっては日常の中で起きてしまうことを痛感しました。戦争はやっぱり恐ろしい。
★10 - コメント(0) - 2016年11月10日

「俺もお前もこんな時代のこんな医学部にいたから捕虜を解剖しただけや」
★9 - コメント(0) - 2016年11月4日

絶対的な存在がないからこその、日本人の本質。戦時中のことを描いているのは、その本質が最もよく表れる時代だからかもしれない。戦争などの異常事態はただの引き金にすぎず、自分達も彼らのような良心や罪についての考え方を、気づかないうちに身につけているのかも。実験に参加した人たちのその後も気になる。
★8 - コメント(0) - 2016年11月3日

九州捕虜生体実験の話 日常に潜む歴史、暗闇を、暗いだけでなく、その中に人間らしさ・物語のあるものとして再編したというような感じ 事実を基にしているから?か社会派感があって、『沈黙』『深い河』なんかと比してやや遠さを感じる 彼のアイデンティティーとするものとの距離の問題なのかなあ 善悪、裁く・裁かれるというテーマはやっぱりそういうところから滲み出るものがあるのかなあとも思う 勉強になりました、という感じ 2年周期くらいで読み返したい感じ
★7 - コメント(0) - 2016年11月1日

中学以来改めて買い直す。当時は人間の命に差が有って良いのか。戦争というものは人を狂わせる。という感想を抱いたが、今は誰もが登場人物の一面を持ち合わせ誰にでも彼らになり得る。プロローグにある語り部の私がF市の珈琲屋で思った事と勝呂の言葉も感想そのまま。ヒルダは『神がこわくないのですか。神の罰を信じないのですか』と問うたが日本人はどうか。日本は神不在と言われている。『先祖に顔向け出来ない』『お天道(自然→天照大神)が見ている』という言葉が有るが、私はそれらは日本人の良心でありまた日本に根付く神だと思っていた。
★6 - コメント(0) - 2016年10月28日

海と毒薬の 評価:74 感想・レビュー:1349
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