海と毒薬 (新潮文庫)

海と毒薬 (新潮文庫)
あらすじ・内容
アメリカと闘った戦争が、医学も、日本人のこころも汚してしまった。

戦争末期の恐るべき出来事――九州の大学付属病院における米軍捕虜の生体解剖事件を小説化、著者の念頭から絶えて離れることのない問い「日本人とはいかなる人間か」を追究する。解剖に参加した者は単なる異常者だったのか? どんな倫理的真空がこのような残虐行為に駆りたてたのか? 神なき日本人の“罪の意識”の不在の無気味さを描き、今なお背筋を凍らせる問題作。

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海と毒薬の感想・レビュー(5884)

良心の呵責について扱っている作品だと思います。当時の事件を知らない僕でも、その少し非リアルさにスッと入り込める書き方、伏線など技術を感じました。すごい、とても面白いです。
★6 - コメント(0) - 2月21日

医者が絶対的な権力をかざし、患者を実験材料にしたり、技量向上のための練習材料にしてはならないと思います。また、医療行為が「商売の一分野」で、患者がお客さんというのもおかしいと思います。遠藤周作 著「海と毒薬」1958.4発行、1960.7文庫化です。戦争末期、大学病院での米軍捕虜の生体解剖事件を小説化したものです。海と毒薬、裁かれる人々、夜のあけるまで、の3つの章で構成されています。
★27 - コメント(1) - 2月18日

今でいう、グロいという言葉がすごく当てはまる作品。戦時期、殺すという行為がいつの間にか日常だった状態。そこに麻痺しているのか、死を間近にした患者、敵国の捕虜を人体実験に使い、手術中に殺して知らぬ存ぜぬで、数時間後病室にて、誤差の死を世間に伝える。驚くというより、人を救うはずの医者のクールな実態が見え隠れする。医者って現在でも手術中、簡単なものなら、世間話しながら、施術します。経験者は語る!!!……、医者は人体に対してどこか麻痺してる。ホント、ホント。
★11 - コメント(0) - 2月16日

マーティン・スコセッシの沈黙を見て、そう言えば海と毒薬も積読本にあったな、と引っ張り出し、読了。 自分を含め、無神論者が殆どであろう日本人は一体どう言う人間なのか、を遠藤周作は問う。 読了後に思うことは、想像に過ぎないかもしれないが、自分の中に内なる神を見出す事は、善悪の基準となる定点を持つ事と同義ではないか?闇夜に輝く北極星を見失わなければ道に迷わないように。 それを持たない人は世間や時代に流され善悪の境目が曖昧にぼやけ、罪の意識が希薄に、いや、いつしか感じなくなるだろうか。
★10 - コメント(0) - 2月16日

『沈黙』の再読を機に他の遠藤作品もまとめて、ということで『海と毒薬』を。戦時中の九州の大学病院での米軍捕虜生体解剖事件を題材にした作品。同様のことはナチも行っていて、主導した医師らはサディストの悪魔的な人物だったとされるけれど、ここで描かれるのは多少狡猾だったり小心だったりはしても、どこにでもいるごく当たり前の人間たち。ごく当たり前の人間がふとしたことで非道な残虐行為に手を染めてしまうことが怖ろしい。良心なんて考えよう一つでどうにも変る、という医学生のセリフに慄く。同じ立場にいたら拒否できるだろうか…。
★6 - コメント(0) - 2月15日

病院内の権力闘争と戦争を口実に生きたままの米軍捕虜を解剖する。それに携わった人々の苦悩を綴る。ヒューマニスティックで目の前で起きていく現実に悩み苦しむ「勝呂」良心の呵責のない同僚「戸田」。いつか罰を受けるだろうと苦悩する勝呂にかける戸田の言葉「俺もお前もこんな時代のこんな医学部にいたから捕虜を解剖しただけだ。俺たちを罰する連中かて同じ立場におかれたら、どうなったかわからんぜり世間の罰などらまずまず、そんなもんや」そうなのか。それにしても著者の「沈黙」といい非常に凝ったアプローチ、章立てには舌を巻く。
★8 - コメント(0) - 2月15日

戦争下に置かれた人間の弱さが非常に上手く描かれている。エリートとして育てられたがゆえに良心のわからなくなった医学生。夫に愛想をつかれ、また死産したせいで他人に異常な嫉妬を持つ看護婦。空爆の激しい中で死に方が違うことに意味はないと言いつつも、彼らにも生体実験に対する後ろめたさはあったのだろう。命の重みを感じなくさせてしまう、戦争というものは恐ろしい。
★9 - コメント(0) - 2月12日

日本人とはどのような人間か。戦争末期の米軍捕虜生体解剖事件。勝呂の心の葛藤はわかりやすいけど、戸田のように良心の呵責がない場合は社会的に罰を受けても罪の意識が生まれることはない。人が持つ罪の意識は他人を意識した、社会で生きることが大前提であるなら、人間そのものが恐ろしく感じた。
★9 - コメント(0) - 2月11日

戸田という医学生の章がすごくよかった。罪悪感のない自分を見つめ、ふしぎだ、と評している。なんだか自分に酔っているようにも見えるキャラクターであるけれども、これがあるから勝呂も教授も看護婦もいきてくる。遠藤周作という作家は、テーマをわかりやすく伝えてくれる。そして文章が上手だな。世界を作るのが。序章の不気味さとか、病院やアパートの描写…匂いや湿度まで伝えてくれた。大作家をつかまえて何を言う!なんだけど、それが一番感じたこと。
★12 - コメント(0) - 2月11日

戦時中、医学発展の為という大義名分のもと捕虜を生体解剖して実験を行うという非道なお話。戦時中だからなのか登場人物の命の価値観がおかしくなっているように見えた。オペ中に死亡した患者を体裁を保つために偽装する医者たちの醜さは酷い。病院の腐敗した一連の出来事を見ていた勝呂は段々と心が麻痺していく、そんな中で生体解剖実験の話が舞い込み、流されて参加してしまう。捕虜を目前に凄まじい後悔が押し寄せる勝呂の心情は計り知れない。せめてもの抵抗として何もしないという選択を取るが余りに無力でやるせなく、重たい読後感が残る。
★8 - コメント(0) - 2月10日

衝動や憎しみではなく、極めて醒めた状態で人を殺す。一人の死が万人の命を救う、という一応は合理的な解釈のもと行われる殺人。はたしてこれを非道といって捨てることができるのか。異質なものとして唾棄することはできるのか。同じような心の動きをもっている者は、少しからずいるのではないだろうか。なんて書くとまるでトロッコ問題のようだけれど、この罪の意識に関する問題はとても根源的だ。少しとってつけのような外国の妻も出てくるけれど、「良心の呵責」のない人間の心を罰することのできるのはいったい誰なのか。神は日本にはいない。
★22 - コメント(0) - 2月9日

戦争が、当時の世間が彼らを生体解剖という残酷な行いに走らした。だが、途中の人物たちの手記を読むと皆、苦い、隠している秘密の過去を持ち合わせているのがわかったが、その過去から形成されたものをすら理由に、この実験に参加せざるを得なかったと弁明しているようにみえる。自ら行うことに悪意を、自責の念を感じるか。来るであろう罰に対して彼らは自問し、ある者はまったく気にも留めない。この作品は実際にあった事件を元に創られた作品だが、連合軍の裁判を前にしても、この登場人物達はひたすら罰を受けることから逃れるだろうと思う。
★15 - コメント(0) - 2月8日

普通っぽく見える人も、今、普通風に振舞っているだけで、何かしらの過去をかかえており、日常を生きている。過ぎ去った罪の捉え方は人それぞれだが、罪を犯す過程で流されてしまう人間の弱さに焦点が当てられているなぁと感じた。自分が同じ状況ならば、勝呂と同じ道を辿ったと思う
★12 - コメント(0) - 2月7日

この薄さで、なんという疲労感。旧日本軍が行なった生体実験を真正面から直視し、加害者は異常者であったのか、を問う。満州国の様子が非常にリアルなのは、筆者が実際にその場に身を置いていたから。資料としても貴重だと思う。みんなが忌避する題目を真正面から書き切るのは、相当な覚悟や体力がいる。戦争に反対でもなく、賛同でもない。ここにずっと漂う生への無力感は、戦時中を生き抜いた人でないと書けないと感じた。
★11 - コメント(0) - 2月6日

ちょっと真面目にやりすぎ?
★3 - コメント(0) - 2月5日

映画の沈黙を見たので,その原点を読みたくて読んだ(キリスト教のように絶対的な一神教ではなく,神の観念が大きく異なる日本というのは「沈黙」でもあった話)。究極の選択に迫られた日本人の判断の基準は何なのかという点について,教授の妻のドイツ人の行動と日本人看護師の行動の対比や,主人公の行動,主人公の同僚の行動から描かれている。「絶対的な何か」のない日本人にとっては,まさに流されるがごとく究極の選択も選択しないまま状況に流されて「普通の人が淡々と残虐な行為をして」しまうといったところについて考えさせられた。
★8 - コメント(0) - 2月3日

主体がなければ、もし倫理めいたものを持っていたとしても、それを犯さないという選択をしないことができる。それは主体のなさ故に罪とも悪ともすることができず、向き合う術の存在しない歪な感傷とのたわむれだけが続く。
★7 - コメント(0) - 2月2日

なんかもうどうでもいいや…という投げやりな気持ちに押し流されてしまったのだろうな。自分でもこうなる可能性はあると思う。
★2 - コメント(0) - 2月2日

戦争を背景とした日々の出来事に消耗し、ある種投げやりな気持ちを持って生体実験に参加してしまう人たちに哀しさを感じる。 時代や境遇の違いを超えて、自分も含めた誰もが流されうる人間の弱さを痛感し、「罪を犯したことのない者が、まず石を投げよ」という聖書の一文が浮かんでくる。 戦時中の死が目前の病室の大部屋の日常と、戦後の銭湯での平和な日常に救いが求められているよう。
★6 - コメント(0) - 2月1日

「沈黙」関連で読んだ。自分を押し流す運命のようなものから解放してくれるのが神、ならばおばはんは勝呂の神だったのかもしれない、という場面が印象深かった。
★5 - コメント(1) - 1月30日

読み終えて、また頭から繰る。頁数は決して多くない。法は彼らを裁いた。戦争は終わった。だが罪とは何に規定されるものなのか。戦争の終点はどこにあるのか。胸に訪れたのは悲しみや嘆きといった単一的な感情ではない。大声で叫ばれる訴えでもない。静かに沈殿してゆく粉薬のような、問いだ。
★11 - コメント(0) - 1月29日

まるで私のことが書かれているような気分になった。運命に、抗うこともなく、ただ流されていく。抗うことができないのだから、当然罪の意識もあり得ない。恐れるのは、他人の目ばかり…。『留学』と『沈黙』も読んでみたくなった。
★8 - コメント(0) - 1月28日

『沈黙』を読んだ流れ。 先に観た映画、『この世界の片隅に』と同じ時空で起きていた出来事かと思うと、いろいろやるせない。 でも、今日だって、現実だって、私が知らないだけでいろいろとやるせない出来事はおきている。のだなあ。 <付箋紙> (成程、お前はなにもしなかったとさ。おばはんが死ぬ時も、今度もなにもしなかった。だがお前はいつもそこにいたのじゃ。そこにいてなにもしなかったのじゃ)
★2 - コメント(0) - 1月27日

とても、250文字では語りきれない内容。極限状態に置かれた時の人間の良心の呵責。患者を死亡させた手術を隠蔽するような医師。生体解剖に対し、平然とする医学生と、良心の呵責に苦しみ、ただ傍観者となるだけの医学生。それらの対比。人間の善と悪、内面に潜む暗部を描いている。言うまでも無いが、読み継がれて欲しい名作。
★6 - コメント(0) - 1月27日

生きたままの捕虜を生体解剖にかけるという恐ろしい事件。もし自分が勝呂の立場にいた時どう振る舞っていただろうか。どう感じただろうか。読んでる最中からそれを考え続けていた。遠藤周作の小説は読み終えると心に重いものが残ることが多い。
★9 - コメント(0) - 1月24日

戦争が悪く、その為捕虜の人体実験を行ったのだ。はてしてそうだろうか?現在でも、ここまで酷くはないが似たような事は行われているような気がする。特に貧しい国では、先進国が『医学の発展の為』という名目で今作品と同じ事が行われているのではないか。戦中も戦後も変わっていないのか?
★6 - コメント(0) - 1月24日

生体解剖のシーンが恐ろしさを強調するでなく、淡々と描かれているのに拍子抜けしたのは事実。だがこれは事件に消極的に加担した者やあらゆる物事に罪の意識を覚えない者など、複数の視点からその心理を分析することで、「罪」そのものをあたかも解剖する試みなのだ。生体解剖への異議申し立ても無く淡々と物事は進む、そこにかえって時代の凄みを感じる。ところで、神(キリスト教)なき日本人のあり方を問う作品という、あらすじの売り文句や遠藤の書き方にはやや疑問を感じる。これはもっと普遍的な問いとして受け止めるべきだろう。
★25 - コメント(0) - 1月24日

✴3 毎日が空襲にさらされ生き残りにせっぱつまり、周りが狂気じみてくると自分も善悪の判断が曖昧になってくる、おかしいと思いながらも否定できず運命と思うしかない、こんな半ば誘導された思考回路に落っこちないためにどうするかは今の時代も共通だ、今はまだ少し猶予は有るが…
★10 - コメント(0) - 1月22日

自分が無知なだけで、戦時中はこんな怖い事があったなんて全く知らなかった。外国であったひどい話などは公表されるけど、自国のは隠しているので知ろうとしなければ分からない話だった。いい年して知らない過去では済まされない話なので読んで良かった。遠藤周作自身についても興味深い人だった。映画化された沈黙も読んでみようと思う。
★7 - コメント(0) - 1月22日

戦争中、撃墜されたB29の搭乗員が捕虜となり、九州帝大医学部で生体 解剖実験に供され、戦後裁判に問われ五名が絞首刑となった(Wiki)。軍に すればB二九の無差別爆撃は戦争犯罪で、捕らわれた者は極刑という理屈。 遠藤は一歩退いて、若い医学生勝呂と戸田、看護婦上田の視点から多角的に描き、文学的空間を構築している。F大の医学者と学生、看護師たちは事態の流されるままに生体実験に突き進む。神は登場しない。人間の原罪を考える遠藤周作の広い思索の網の中に、暗い海の圧力に負け、毒薬をあおる白衣の人たちが浮かび上がる。
★2 - コメント(0) - 1月21日

人の残酷さ、醜さが伝わってくるような作品。 思ったより難しいとは思わなかったが、これこの解釈でいいのかよくわからない感じで読みすすめた。 このようなことが第二次世界対戦のとき実際起きていたと思うと怖くて仕方ない。
★7 - コメント(0) - 1月21日

『沈黙』を読んだので『海と毒薬』も再読。戦争末期に行われた米軍捕虜の生体解剖について、登場人物それぞれの目線で罪の意識を考える。戦時中の病院の暗くて重い空気が立ち込める小説でありながら、200ページにまとまっているところがすごい。彼らのその後は気になるが、序章にあるようなごく普通の生活に戻っていったのだろう。恥ずかしさと曖昧に隠れる日本人の対極として、強い正義感をもって振る舞うヒルダの姿が際立っている。世間の罰から逃れられればともかく生きていけるという日本人の姿は、良くも悪くもそう間違っていない気がする。
★10 - コメント(0) - 1月20日

絶対神なき日本人に本当に罪の意識はあるのかというのがテーマだが、私が読む限りでは『ない』と作者は言いたいのだろう。
★11 - コメント(0) - 1月18日

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自分は今現在、冒頭のような日常的な世界に生きているが、現在にも過去にも非日常的な空間や物事がこの世に存在していることを意識せざるを得ないような作品だった。人間の罪の意識を複数の人間と視点で切り込んでいるように思えた。テレビや新聞などで戦争被害者が痛切な話をしていたりする。でももしかしたら加害者は被害者に対して罪の意識なんて微塵もないのかもしれないし、罪の意識があっても自己嫌悪をするだけでただ傍観しているのかもしれない。でもそれを責めることは誰にもできないと思った。少ない文量だが、話の重さがずしりとくる。
★8 - コメント(0) - 1月18日

捕虜を騙して解剖する話。かなり短いけれど重い内容だった。考えてみれば戦時中のことだし、人を殺した経験がある人が近場ににごろごろいても全然おかしくないんだよなあ。実際の事件の関係者を非難するつもりは無いらしい。確かに非難してる雰囲気は感じなかったし、考えれば考えるほど誰も責められない。勝呂医師、ただの不潔な医者なのかと思ったらなんだか気の毒な立ち位置だったな。
★7 - コメント(0) - 1月17日

[★★★★/○]戦時中実際に起きた敵国捕虜の生体解剖事件を題材に、罪と知りながら加担する心境や罪の意識を描いた不朽の問題作。心の中の見えない闇を見つめるような筆致が重たかった。事の大小はあるにせよ、「正しくないとわかってても抗わない」「社会的制裁の恐れがなくなったら呵責が鈍麻する」ような心理は、共感せずにはいられない。私も危ういのだ。彼らに対する評価も断罪も本書にはないが、「そういう弱さを自覚して道を踏み外さないように生きることが大切」という教訓を私は得たように思う。
★13 - コメント(0) - 1月17日

罪の意識といったものをテーマとした作品。キリスト教を信じる西洋人と、特に宗教を信じない日本人の対比が興味深かった。捕虜を生きたまま実験体として殺害しても罪悪感を抱かなかった日本の医師たち。患者を安楽死させることすら罪だとしたドイツ人妻。そんな構図ではあるが、主人公の勝呂はどこか罪の意識に苛まれている。だからといって彼はキリスト教を信じているわけでなく日本の医師の様に開き直るわけでもない。そんな中途半端な位置にいる勝呂がとても人間らしくて好感が持てた。『沈黙』のキチジローを思い出した。
★1 - コメント(0) - 1月17日

戦時中、実際にあったおそるべき米軍捕虜の、生体解剖事件をモデルに書かれた1冊。事件そのものはとてつもなくショッキングで、そんな残酷なことがあったのかという衝撃で打ちのめされた。しかし、この小説はそれだけでは終わらない。心にずしんずしんと語りかけてくる重さがあった。日本人の罪の意識、良心はどこにあるのか。自分はどうなのか。「沈黙」「海と毒薬」と読んだので「留学」も読みたい。
★12 - コメント(0) - 1月16日

②おそらく関わってしまった本人も、感覚的には自分が恐ろしいことをしていると分かっている、だけど、あの状況下で、自分の判断が間違っていたと感じる確かな根拠、罪悪感を持つ確かな根拠がないのだろう。読んでいるとき、どこかで、人を殺すことについて、状況によっては許される、むしろ正しい時もあるのでは?という発想をストレスなく出来てしまう自分もまた日本人なのだと実感させられる。そして、作者の文体から、彼もまた徹底的に日本人だからこそ、このテーマにきちんと立ち向かわざるを得ないのだろうと感じた。
★8 - コメント(0) - 1月13日

①戦争に日常を、人生を、人柄をじわじわと犯されていく感覚を、戦争を経験してない自分でも、まさに今体験しているかのように感じられた。高ストレス状態が長期間続いて、無感動、無感覚に陥ったとき、彼らはとても日本人らしい欠点を露呈する。善悪の判断は、あくまでも状況依存型で「人を殺してはいけない」という基本的な善悪の基準ですら、理由があれば覆せてしまうくらい、絶対的な価値基準を持っていないことを。(②に続く)
★5 - コメント(0) - 1月13日

海と毒薬の 評価:76 感想・レビュー:1383
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