夕暮まで (新潮文庫)

夕暮までの感想・レビュー(377)

読み終えてみるとなんてことのない姦通小説だったのだが、卓越した文章で物語の世界に引き込むあたりは流石だと思った。純潔にしがみつく処女と中年男との間に営まれる特異な官能がひたすら描かれる。ただそれだけなのに、作品の世界に妙に惹かれてしまったのは、吉行淳之介の優れた文学性に耽溺したからであって、別にあっちのそういう系の嗜好が共鳴したとか、そういったあれでは断じてないということをちゃんと名言しとく。
★3 - コメント(0) - 1月6日

散りばめられた符号をもう一度たどりたいけれどその気力がなく、血液の描写だけが鮮明に残る。終始描かれていたのは肉体ではなく感情。取り返しのつかないことはそれでいいと思うのだ。森茉莉さんのお気に入りだそうで、もう少し読んでみる。
★18 - コメント(0) - 2016年11月4日

すらすら読めた。いわゆる不倫関係だが全く男の家に対してヒヤリとすることもなく、ただ杉子という女に対しての性行動のみの内容かな?
★4 - コメント(0) - 2016年10月25日

中年の男と22歳の処女の流れていく日常を描く。 吉行淳之介の有名な小説と言う事は知っていた、だが手を伸ばしたのは初めて。 中年男の恐れと戸惑いが良く表現されている。 ただ、何故、素股にこだわるのかが、最後まで判らなかった。 そして、簡単に貞操を許してしまうのも・・・「夕暮れまで」のフレーズに何かを期待していた見たいです。 何しろ古い話なので「時代」が違うのかも知れませんね。
★15 - コメント(0) - 2016年10月13日

メタファーの多用によって重層化されたイメージと、そこに染み込むような色彩の、はっとする美しさ。
★5 - コメント(0) - 2016年9月30日

目を瞑ると、赤い染みが浮かび上がってくる。その染みはやがて朧気な輪郭のようなものを形作り、そして黒ずんでゆく。暫くして目を開けると、真っ先に光が飛び込んでくる。光は、黒ずんだ染みを更に曖昧なものに変えてしまい、欲情と共に拡散させる。ずっとずっと広がっていく。吐き出された煙草の煙みたいに、ずっとずっと。
★3 - コメント(0) - 2016年9月24日

<プレイバック 1978年> 吉行淳之介を読むのは初めて。純文学とか、現代人の孤独と性愛とかは苦手で敬遠している分野なので、感想の書き方がよく分からない(笑)。正直言うと、あまり文学的に評価できる作品とは思えなかった。ただ、時代性という観点から考えると重要な作品である。80年代の夕暮れ族事件のネーミングとなった作品でもあり、性の解放感といった時代性にマッチした内容でもある。好むと好まざるを問わず、セックス産業が産業と呼ばれるほど発展して行く過程に於いて、肯定性を助長する流れを作り出した作品であると思える。
★22 - コメント(2) - 2016年9月5日

厄介の根にある、他者のことを思う。自分以外のすべての者は、どうしたって他人なのだ。親子ほども歳の離れた中年の男と若い女との親密なる関係は、互いに相手が一人ではない関係の妙、誰の目にも触れさせないように気を配る思考が目を引く。次に云おうとしている言葉を先読みし、細かに言葉を選ぶ。考えを巡らせ、予想通りのことを云わせる。そこに在るこだわり、興味、主義主張は、誰もが抱え得るもの、押しやっている感情そのものを思わせた。心の隅の無意識の部分で思う“厄介な他者との関わり”は、心模様の危うさと立ち入る領域を巡らせた。
★25 - コメント(0) - 2016年9月4日

官能的でもありながらひどく奇妙な小説だった。ここに祐子や園子が加わり一層複雑なストーリーに仕上がっている。どうでもいいけどなんで素股するのにオリーブオイルを用いるのだろうか。
★16 - コメント(2) - 2016年8月11日

110-20160621-16 古い本だけど、読んでいて普通だった。そこまでエロい訳ではない。ただ、40代のオヤジが何故、妻子もあってこんなに若い娘たちとやれるの?という設定に無理がある。処女を守っていたけど、あっけなくという展開はよかった。しかも他の男にとられてやんの。この本が書かれた時よりも、今の20代の方がもっと上手だなっていうのが正直な感想でした。事実は小説より奇なり。
★2 - コメント(0) - 2016年6月21日

1978年に発表されたこの作品。中年の佐々と 若い女性杉子の会話がひどく艶っぽく 感じるのは「夕暮族」のイメージが強すぎる からなのだろうか。 男女の官能的な描写は艶かしいが、杉子の 圧倒的な存在感は会話が多いこの小説に リズムを与えている。それにしても この本、 登場する女性たちがいずれも割り切ったように 薄幸で透明感を感じるのは 著者の好みなのだろうか..ひどく大人の物語だった。
★214 - コメント(0) - 2016年6月11日

75*
親子程離れている組合せはどうして発生するのだろう。美味しい思いで繋がる中年男性と20代女性。男は若い娘を抱けるし、女は美味しい物が食べられる。会話と致すシーン描写が好み。後ろ暗い欲望の中でのみ共に過ごす関係には、薄紫色の物寂しい空気が付き纏う。杉子のヴァージンの扱い方に少しシンパシーを感じた。純潔である事には頑ななのに、割と興味津々な所。色々してみたいけど、貞操観念は大事だと思う。理由が分からないものだからこそ、大切にしないといけない気がする。いい思いをする事といい経験をする事は違うのだろうと思った。
★9 - コメント(0) - 2016年5月28日

501
中年の男と22歳の女との性愛の物語。女は自らの処女を守る以外の肉体関係を男の求めるままに受け入れる。二人の会話は男女の会話であり生々しく、人物描写や情景描写が精密なのに対し抽象度が高い。彼らの肉体関係が歪に見えるのは処女が持つ社会性が歪だからなのだろう。一章はそれ自体で独立し物語全体を覆う。人のいない公園で男女ふたりを包む色濃い夕暮れと経血の赤のイメージが印象的。文体はさらりとしているけど内容はどろり。
★21 - コメント(0) - 2016年4月29日

理屈っぽくないすっきりした文体がよい。
★3 - コメント(0) - 2016年3月13日

1978年第31回野間文芸賞受賞作品。初吉行淳之介作品。1970年代後半の作品で、中年男性と処女を守ろうとする若い女性の奇妙な愛を描いている。作品冒頭部では、色を使って表現することが多い、という印象を抱いた。処女性を感じさせないくらいに性戲に長けているし、そして恋愛の駆け引き。時代を感じさせないくらいの刺激的な作品であった。
★7 - コメント(0) - 2015年11月29日

裏表紙のあらすじを読むと、露骨な表現にあらまあと思うけど、実際はそっけないとも言えそうな淡々とした文章と、抑制された表現が徹底されていて、すんなり読めた。丹念に読めば時々でまた違った感想が持てそう。そして改めて、うまいなぁ、と…。ただ筆者はどうも短編の方がいいような気もする。読んでいてギョッとする鮮やかな展開をさせていたような。うろ覚えなので、短編集を発掘しよう…。
★8 - コメント(0) - 2015年11月22日

【再読】ちょうど杉子の年頃以来の再読ですが、今となっては114頁の園子の台詞「そういうのが、一番、悪質なのよね」の心境。しかしこの物憂い小説の真髄をどこまで理解できているのか心許ない。余談ながら私が所有しているのは前川直氏のイラストが素敵な旧い版。文庫本は得てして昔の装丁の方が洒落ていると思うのは私だけでしょうか。
★45 - コメント(39) - 2015年9月22日

妻子持ちの中年男性と処女にこだわる22歳の女性との奇妙な愛の物語。いや、愛?とはてなをつけたくなる物語です。読んでいるときは気にならなかったですが、今思うと22歳ってもういい大人ですよね。そう考えると何やってんだこの二人、とひいてしまう。まぁ相手が10代だったら余計ひきますが。難しい言葉や言い回しがあるわけではないのでサラッと読みやすいけれど、内容を理解しようと試みると眉間に皺が。終わり方が好きでした。
★34 - コメント(0) - 2015年9月1日

★8 - コメント(2) - 2015年8月9日

初読。2015年941冊め。妻子持ちの中年男性と22歳の女の奇妙な肉体関係。奇妙というのは、「真っ白なウェディングドレスを着てお嫁に行く」のが夢だという女が、かたくなに処女を守ろうとするから。結果二人の関係は女の太ももにオリーブオイルを垂らしての素股というものになる。この著者の作品は概ねストーリー展開を楽しむというよりも、散文詩のような繊細なあいまいさを楽しむものなのだろう。若い男により彼女が処女を失うと関心をなくしてしまったという中年男を、もっと引っ掻いて噛みついてやればよかったのに。
★64 - コメント(0) - 2015年8月6日

オリーブオイル…。
★1 - コメント(0) - 2015年7月25日

中年男と若い女の恋愛関係。純潔に拘りながらも性に奔放な女。女に惑わされながらも、欲望に忠実で淡々とした男。詩的な文章と官能的な描写、奇妙な挿話が織りなす、名状し難い浮遊感をもった作品。まるで作品そのものが一夜の夢であったような。川村二郎氏の解説も秀逸であった。
★3 - コメント(0) - 2015年6月11日

読みやすい、けれどむつかしい。
★1 - コメント(0) - 2015年6月11日

どこか非現実的な雰囲気が好い。文体に於ける簡潔と精緻の絶妙な均斉が生ぜしめているリリシズムが全篇に満ち満ちている。心理描写や会話文は行間が広く奥行きがあり、一方で躯や行動の描写は緊密さを失っていず、好対照を成す。短く区切られた一文や多用される改行も、文章を詩的なものにしている。初期の短篇や『砂の上の植物群』などに比べて、一層の深い詩情を湛えた文体は、川端康成のようでもあり、或いはチャンドラーの『プレイバック』をも想起する。夢を描いた第一章と、現実の出来事である最終章のラストシーンの微妙な類似性も興味深い。
★25 - コメント(1) - 2015年3月20日

YM
妻子持ちの中年男と、22歳の女性の奇妙な関係。付き合っているが、女性は処女を守るため最後までさせない。代わりにオリーブオイルを股に垂らして…。ここを読んだらドロドロの不倫小説かと思いきや全然違う。主題は2人の距離感だろう。恋に溺れるでもなく、本当に処女かも分からず、ゴールがないことも理解しつつ嗜んでいるよう。でもお互い重要な存在。仕事もバリバリで、家庭もあって、他にもガールフレンドがいて。ピグマリオニズムの要素もちょっと感じる。都合いいけどそのダンディズムに魅かれる。
★85 - コメント(1) - 2015年2月26日

他の方も書いている通り、つかみどころのない、とらえどころのない小説だと思う。中年男と若い女性の奇妙な恋愛関係の話で、これといった変わった部分があるわけではないのだけど、ストーリーだけを純粋に追っていると本質を見失ってしまうような作品だと思う。とても読みやすいのにいろいろと仕掛けがある感じ。中年男の細かい心理描写やちょっとしたことの表現力はさすが。吉行淳之介は性に関する作品が多いけど、その性表現の多くに粘り気や汗っぽさがなく淡々としているのが良い。
★16 - コメント(0) - 2015年1月5日

何だかつかみどころのない感じ。でも、嫌いではありません。気に入った台詞が二つほどあったので読書ノートへ書き込みます。
★13 - コメント(0) - 2014年9月16日

セックス以外の性行為を中年男に許す処女について話が進む。オリーブオイルでの素股など性的に技巧を持つ処女というのも悪くないが、これといったとらえどころが表現しようがない作品である。
★6 - コメント(0) - 2014年9月9日

無味乾燥しながらも何か情熱的な物を含んでいる。そういう物がこういう文体においてよくあるものなのだがこれには全くそれが含まれおらず、違和感と言い知れぬ不安感がやってくる。 ニヒリズムが溢れ、再読の気持ちが湧かない。
★3 - コメント(0) - 2014年8月29日

冒頭の薄紫に包まれる日暮が美しく拡がる描写、それは男の心情の表れだったのだろうか。男は若い女に処女を求め、女は頑なに挿入を拒む。慎重や潔白にも見えるその奥底にあるのは実は、男の臆病と疚しさ、女の男からの強引さの期待ではなかったのか。男の目の奥に、家庭という動かし難い大きなものによる遠慮を感じ取ったとき、若い女はたまらなく淋しい気持ちになるのではないか。むしろ強引に膜を突き破って欲しかったのではないか。「幸せになってほしい」物分かりのよい言葉は優しさではなく男のずるさ。そしてそれを盾にするのは女のずるさ。
★97 - コメント(0) - 2014年8月8日

若い女と中年男の不倫関係。だが女は処女を守り通し、それ以外のことはなんでもするという、40年近く前の作品。男の方がむしろ、守らせたままの関係を無意識に求めているようだ。
★4 - コメント(0) - 2014年5月24日

まったく最低、しかし女にすれば拒みがたい魅力のある人物が書いたんだろうと思ってグググッたら、そんな人となりが解説されていて妙に納得した。昭和の大性豪・アブノーマルモンスター野坂昭如をして、変態だとか助平だとか尊敬せしめただけのそこはかとない淫靡が感じられる。「処女性」という現代ではカンブリア紀の遺物がごとく扱われるようになってしまったレアメタルのつぼみを、中年の指でねちねちと弄ぶ気色悪さがこ小説の醍醐味で、おもしろくはないがうまいと思う。前々から吉行和子さんて色っぽいなあと思ってたが、遺伝だったのか。
★13 - コメント(1) - 2014年4月20日

官能小説とはちょっと違う。なによりムラムラしないし、杉子にも魅力を感じない。娘のような年頃の女をただ愛でるのかと思えばそうでもない。ヴァージンを失くしたとたんに興味をなくす中年男の身勝手さが匂う。
★12 - コメント(0) - 2014年4月7日

断片的で散文詩のような情景描写は、多重な人格の萌芽に見えて、著者に危うさを感じる。不安定な安定感。不協和音みたい。とにかく読みやすい文体にはテクを感じずにはおられない。巧い。そして、美しさは、徹底的に何かを損なってるそれで、もっと知りたいのは正体を表さないから。処女膜を鍵に繋ぎとめた「厭よ、厭よも好きの内」の女心が夕暮れの黄昏泣きしたくなる恋情とリンク。切なさととるか、したたかさととるか。何れにせよ当事者だけにしか理解出来ぬ恋愛小説は解りやすいものより面白いです。
★20 - コメント(1) - 2014年2月26日

中年男性のとりとめのないモノローグだが心地よい。個々のエピソードの集まりはモザイク画を連想させる。あらすじは文庫の裏表紙にあるとおり。性倒錯のきわどい愉しみも謎が解けたらおしまい。
★10 - コメント(0) - 2014年2月8日

不倫の相手である杉子は二十歳を過ぎたばかりの良家の子女。主人公佐々と性的関係を持つが結婚までは処女にこだわる。佐々は幾度もその牙城を突破しようと試みるが執拗な抵抗に遭い思うように進まない。このきわどい平衡は1年半も続くが或るとき若い男があっさりと彼女の処女を奪ってしまうことで終わりを告げる。 妻子或る中年男と良家の子女との間に生じた性的関係を通して、不毛の性愛の彼方に漂う男女の関係を乾いた感性で描いた意欲作。7編の短編で構成された長編だが完成までに13年の歳月を要したことを思うと彼の私的小説ともいえる。
★5 - コメント(1) - 2014年1月8日

Aki
久しぶりの再読。流石に言い回しがうまい。LEDより白熱電球の明るさが似合う小説。
★5 - コメント(0) - 2013年12月7日

知人が勧める「官能小説一覧」の一冊。短い話なのですぐに読了できる。現代のあからさますぎるエロよりもこのぐらいがいい。
★6 - コメント(0) - 2013年11月20日

現代では処女性をテーマに男女の話は進められない。だから、杉子が拒む理由、佐々の杉子への想いの形はわかりにくかった。杉子が決して許さなかったのは、処女の喪失ということではなく、許すことで男が去っていくことではなかったか。男が、杉子より家庭を愛しているということはない。女好きの男は執着などしない。視点は佐々から発しているが、これは、佐々の男の非情さを杉子が受けとめられるまでの時間の物語だったのだ。もっと引っ掻いて血を流させてやってもよかったのだ。
★48 - コメント(0) - 2013年9月23日

夕暮までの 評価:72 感想・レビュー:92
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