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死の棘 (新潮文庫)

感想・レビュー
389

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梶
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3、4ヶ月は読んでいただろうか。夫の不貞により狂疾を得る妻。妻の執拗な詰問の「発作」に夫は消耗し、自らも狂気のふりをする。以上の単調な繰り返しゆえ、流れる様な端正な文章でなければ読めない。語り手の疲労感、うんざり感も読みつつ伝わる。医者やアルファベットで表される周辺の人々については何とも関心の無い描きぶりで、この一家が周囲にいたら滅茶苦茶に面倒くさいだろうなあと思った。昭和という時間に包まれた失墜していくひとつの家族。
0255文字
遠山
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岩をどんどん口に突っ込まれて、えずきながら、なるほど岩もそれぞれ風合いが違いますねって言っているような具合で、中盤までは読むのが苦痛だったけれど無理やり進めると嵐を敷き詰めたような応酬の中で事態が着々と動いているのが分かってきて不思議だった。自虐の詩を読んだ直後だったから、夫婦像を色々と比べてしまっていたけれど、清濁併せ呑んだような妙な気持ちで、色々な形がすとんと腑に落ちてきた。こんな、骨身を削ったようなものが読めて、幸せ。子供たちが気の毒でならなかったけれど、二人が消えた後の穏やかな居間、よかったな
0255文字
みのるん
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島尾敏雄の浮気によって妻ミホが精神の病に冒されたという実際の出来事を自分で小説化した作品。「私小説の極北」と呼ばれているそうです。彼女の症状は良くなったり悪くなったりを繰り返すので、小説の中身も同じことの繰り返しという感じで、読み通すのがかなりシンドいです。そして、16年もかけて少しずつ発表されたかなり長い作品であるにもかかわらず、なぜか彼女の病が克服されるまでは描かれておらず、状況が悪いまま、救いも破滅もなく小説は幕を閉じてしまいます。色々と意図のわからないところがある奇妙な作品です。
みのるん

妻が夫の浮気を知ったのは彼の日記を読んだからなのですが、夫は作品のネタ作りの為にわざと妻の目につく所に日記を置いておいたという説があるそうです。ホンマかいな。

03/30 22:52
0255文字
みや
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自身(作者)の不倫を機に精神が崩壊していく妻・ミホとの格闘の日々を綴る私小説。徐々に共倒れの様相を呈し、破滅へと向かう絶望的な生活と、巻き込まれる幼い子らの姿に、正直、暗澹たる気分になる。明らかに病気であるから短絡的な物言いはできないが、相手に対する過大な依存や期待が狂乱の一因なのは間違いあるまい。相互のあり方に強く拘り続け、くんずほぐれつしながらもいっかな離散しないところに相愛の過剰を感じ、呆れないこともない。ともあれ、本作後、妻の故郷近くの南方に移転し、快癒した事実が救いだ。
0255文字
源シタゴウ
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どんな本でも最後まで読むのを信条にしていたが、これは無理だ。ギブアップ。まず、これが映画化され、傑作と持て囃されていたことが理解できない。 ほぼ実話だと言う。それだけに子どもが哀れだし、何で離婚しなかったのか。奥さんは完全な統合失調症の症状を呈している。 妻が狂っていく過程を描いていると言うが、なぜ第三者の力を借りるなり、入院させるなりしなかったのか。 なぜ、子どもを信頼に足る親戚に預けなかったのか。 この手の作品は現代では読む価値はないと思う。
0255文字
ふう
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積読本。いや〜読了まで時間かかった〜。時おり難解な単語が出てくるが文章は平易だった。終戦前夜、死装束で会いに行った恋人の10年後のなれの果て。無事結ばれ子ども2人も生まれたのに、夫の度重なる浮気に精神を病む妻。妻の機嫌は取るけど浮気自体には罪悪感なさそうな夫。『荒地の恋』の妻もそうだったけど、ここまで異常を来たすのは、女性の経済力のなさも関係するのかもと思ったり。現実にはこの後平癒して平和?に暮らしたらしいが、子どもたちが健やかに成長したのか気がかりである。
0255文字
西野西狸
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ネタバレ「私が何で怒っているかわかる?」というドロドロした小説なのにすらすらと読めてしまうのがすごい。モデルがいるせいかセリフのよどみなさに読んでいると胃が痛くなってくる。トシオの自業自得とはいえ、「カテイノジジョウ」に振り回される子供たちが本当に可哀そうになる。救いのない展開が永遠に続くように思えるが意外な結末で終わり、この夫婦(島尾夫婦ではなく)がいかにやり直していくのか、それを日記のように克明に描いていくのはすごい。
0255文字
こけこ
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40年前の作品とは思えない。今でも共感できる。不倫で10年耐えた妻が狂っていく。子供たちも情緒不安定となる。途方に暮れながらも妻に寄りそう島尾氏。島尾氏の不倫相手へ別れを告げる場面は、しっかりして!と言いたくなった。女の敵は女で、妻は不倫相手に嫌がらせや嫉妬をするというが、ここでは島尾氏に矛先が向かう。不倫相手からの脅迫状とされているが、私には妻が書いているのでは?と思えてしまった。
0255文字
tsukamg
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夫が長年よその女と関係を持っていたことを知り、妻の心は狂った。夫がしでかした過去の不実を一つ一つほじくり、あらゆる秘密を白状させ、あの女とこれこれをしたかと、答えるまで詰問を続けるようになる。妻の状態は日に日に悪化し、夫は自分もおかしくなったフリをする。やがて、田舎へ引っ越そうとしたり、実際に千葉へ引っ越したりと家族は流転。しかし夫は、その折々に、ビニールのプチプチをつぶす勢いで地雷を踏みまくり、妻の発作を誘発するんだなこれが。作者は、分身である夫を、贖罪のためことさら低い存在に描いているようだ。
0255文字
小説大好き
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評判通り、通読にエネルギーのいる内容と分量でした。ただ分量についてはこのボリュームだからこそ読み進めていくうち作風に慣れていく部分もあるかと思います。色々感想が浮かぶ作品ですが、まずはこの破滅的な夫婦関係が幼い子供の犠牲の上に成り立っている点、土地の移動が猜疑心のテリトリーを広げる役割を果たしている点、一方南島は無垢性を増していく点、同時に南島の地元言葉が目立ってくる点、夫と妻の訊問/被訊問の関係が少しずつ入れ替わる点、男性性に悪の源を見出している点、家庭に男性を縛り付ける女性像などが注目点となりました。
0255文字
まゆみ
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ネタバレ私小説なだけにリアルな出来事と感情が重苦しい。「限界に追いつめられるとこうなる…ふだんの場所にはもどってこられないかもしれない。」信頼し夫の為に尽くしていた妻への裏切る行為、また不貞の相手には、中絶という不幸を背負わせたトシオは、罪深い。狂気に満ちていくミホただひたすら反省し許しを願う姿や胸の内を赤裸々に綴られる長々とした文章は、時に嫌気がさしたり、ミホの狂気ぶりにのまれそうになったり、メンタルが健康で読破耐力がなければならないと感じた読書でした。彼らのその後が気になるので、ネットで検索しよう~
0255文字
au
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いい加減にしろーッ!!
0255文字
Kay
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【図書館本】「やっと終わった…。」これが率直な感想。改行が少なくて何とも読みづらかった。夫・トシオの外出中に彼の不貞を知ったことから精神疾患を発症した妻・ミホ。トシオに対して所構わず過去を詰問→トシオ発狂を装い『死んでやる!』→『やめてください!』ミホがトシオにすがる→もつれ合い、お互いひしと抱き合い短い平穏が訪れる。見事なまでに600頁中この繰り返し。終盤では夫婦がお互い狂気の日常に溺れているような印象も。この夫婦に共感は微塵も感じられませんが、幼い2人の子どもたちが非常に気の毒でした。
0255文字
ゆきらぱ
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一度大学生の時に読んでその内容に恐れおののいて封印していた小説。今回もう私もいいトシだから動じないでしょと読み始めたがダラダラと続く地獄に苦しんだ。そして今回はこんなに分厚い小説の中にめくってもめくっても島尾と愛人との肝心の始まりが書かれていないことに気づいた。その女のどこに惹かれたのですか?その女の人に愛人関係を止めてくれる友人や身内はいないのですか?結婚を匂わせていたのですか?とミホが私に乗り移ったかのように考えました。作中にある板塀、蝙蝠、肥後守、半纏、などのちょっとした名詞が趣がある。
0255文字
なおぱんだ
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内容としては、不倫していた男が反省の態度を示して妻の追及に誠意を込めて応じようとするものの、夫が不倫するに至った理由を理解できない妻が次第に精神に異常をきたすようになり、夫婦で精神病院に入院することで家族の再起を決意するという、よく言えば家族の再生の物語といったところですが、二人の救いようのない不毛なやり取りが500ページにわたって延々と繰り広げられる中で、妻の言動が次第に狂気を帯び始める過程が克明に記録されている点に作品の異常さを感じます。
なおぱんだ

追記です。妻からの執拗な追及に自らも病的な反応を示しながらも、異常をきたした妻を最後まで見放そうとしなかったのは妻を心から愛するが故だというにはあまりにも自分本位であり、人を憎むことを知らずに育てられた純粋なまでの妻を裏切り、なぜほかの女性と関係を結ぶに至ったのかが明らかにされないままでは、夫の立場は常に加害者であるに過ぎないのではないかと感じました。

05/09 14:56
なおぱんだ

追記です。著者の行動を悪意を持って眺めると、自らの稀有な経験を作品として世に出すために自分の妻を人身御供にしたのではないかという勘繰りに捕らわれ、そら恐ろしささえ覚えました。最初から最後まで延々と繰り返される精神の正常と異常を行き来する妻の存在に精神的な苦痛を強いられ、負の感情に足を引っ張られながらも最後まで読み切りましたが、メンタル的に影響を受けやすい人にはお勧めできない作品です。

05/09 14:56
4件のコメントを全て見る
0255文字
なる
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精神病院で入院した夫婦のエピソードをそのまま小説として体現した作品として捉えても良いかもしれない。とはいえそもそも夫婦がそうなるに至った原因は著者自身の不倫から始まっており、それを糾弾して病んだ夫人を介護するという形から共々に滑り落ちた、という感覚がある。精神病棟へと赴く様を冷静に描いてはいるものの、どこか俯瞰で見ているような感覚が拭えない。圧倒的な他人感、自ら引き起こしておきながら冷静に綴るという、文章の美しさと作者のクズっぷりは比例するという(仮)説を見事に体現する作品の凄みに圧倒される。
0255文字
おおかみ
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現代においてこそ妻の症状には診断名が付くし、適切な医療も期待できるのだが、本作刊行の昭和30~50年代ではとてもそうはいかなかっただろう。作品完成に費やされた歳月は16年あまり。600頁にわたって壮絶な生活と作家の苦悩が綴られる。しかし激情の渦の中にあっても、作家は不気味に思うほどに出来事を客観的に捉え、そして流麗な文章に仕立て上げている。他の手段を選べなかった小説家にとってそれは妻への贖罪と恢復の祈りだったかもしれないし、芸術家の背負う「業」のようなものとも感じられる。
おおかみ

「つらそうな表情は、私の願望に添えぬ詫びのきもちのあらわれのようにも思え、また彼女の意志に反して、何かあらぬ方向に引きずられて行く困惑の哀願とも受け取れた。それはまだ発作にははいっていないが、やがてはそこに行くことを避けることができない状態なのだ。滝の落ち口の手前のところのゆるやかな渦、たとえそのあたりに緑の草の生えた小さな島があったとしても、とどめることができぬ流れて行く水を、見ているようなものだ(472頁)」

02/20 13:26
0255文字
lsfid
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トシオとミホの終わることのない夫婦関係、何度も繰り返し行われるカテイノジジョウに不謹慎ながら爆笑してしまう私は自分の家庭は大丈夫か(汗)。自分の不貞から妻をおかしくさせときながら、無責任な姿勢を取り続ける卑怯な夫。男は勝手に過去を捨てて先に進もうとするが、女は一生根に持つものだ。故に最初に不貞した夫が100%悪い。そんな中でも二人の依存の具合は凄まじすぎてお似合いだ。だけど、こいつら夫婦はどうでもいいが、伸一とマヤが本当にかわいそう。しかし妙なリアリティ感。現在においてもこれに近い夫婦は少なくないと思う…
0255文字
chanvesa
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地獄の日々。しかし、現代の我が子への虐待のような地獄絵図に比べると、コントのようでもある。トシオが血痰をミホに見せる場面。「あああ、笑っちゃった。大いばりであたしに寄こしてんの。血痰だと思ったんでしょ。安心しなさい、それは飴ですよ。赤い飴のとけた色。あなたがさっき飴をしゃぶったでしょ。(322頁)」トシオも最後は精神病院に入るが、「一種の安堵と奇妙な誇らしさを私は感じていた(607頁)」という本音。死を口にする両者だが、「いやなこった。もうなにもかもいやーになってきた。(219頁)」面倒くさいのだ。
chanvesa

私小説的なもののうさんくささ。ミホが病院でトシオにぶつける「こんな恥しらずの人!じぶんたち夫婦の恥を、得意になってべらべらしゃべるような夫が、どこの世界にあるものですか。(357頁)」自覚がある上で書いている。私生活の切り売りで何が悪いという開き直りと、「なにもかもがいやーになってきた」がつながってくる気がする。巻末の解説で、本作と記紀神話の狂いを結びつけようとしているが、この開き直りから疑問が残る。指詰めの場面(331頁〜)、「みんな気がへんになれ(477頁)」のトシオの全裸場面、作為とブレーキ。

11/19 13:25
chanvesa

精神疾患をある種もてあそんではいないか。昭和30年代だからしかたがないのかもしれない。しかし自身の愛欲の関係が発端にもかかわらず、責任回避のメンタリティと追い詰められたらしかたがないと開き直り、しまいに具合が悪くなりましたと避難所に駆け込もうとする人間性。何が悪いのかと開き直るより、何が悪いのかがあんまり良くわかっていないことの方が危険だ。

11/19 13:41
0255文字
優希
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夫婦関係の地獄の協奏曲。読んでいてしんどかったのでななめ読みになってしまいました。
0255文字
バーベナ
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リミッターが外れた時、人はここまでエネルギーが放出されるものなのか。
0255文字
サイキ
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他の方も書いているがとにかくしんどかった。執拗に夫を責め続ける妻と卑屈に従う夫のやりとりが延々と書かれている。それだけなら勝手にやってろなのだがこの夫婦には幼い二人の子供がいて、兄の方は冷めた目かつ反抗的な態度で両親を見ている。さらに幼いはずの妹も何かに遠慮するような、怯えるような様子を見せている。 そんな子供たちのことを思うとなんだか暗澹とした気分になると同時にこの夫婦に対しても怒りが湧いてきた。
0255文字
Kaoru
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内容は家庭の崩壊なのに反して、文体や表現が、詩的で美しいのが面白い。引き込まれてすぐ読んでしまった。
0255文字
R子
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許せぬ妻・詫びる夫、エンドレス。夫婦関係の地獄をみた。執着の為に相手を切ることができず、その弱さが互いの心を傷つけ壊していく。繰り返す妻の“発作”にこちらまで息が詰まるよう。見方によっては滑稽ともとれるが、度が過ぎるよ、、、。読み手のスタミナを奪っていく恐ろしい本だ。事実にもとづいて描かれているということがまた信じられない。かなり歪んでいるが、これも1つの愛の形なのか。
0255文字
Rosa
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病める妻ミホ その原因を作ったのは夫である私トシオ 読み始めてまもなく これって結局ミホとトシオの激しいラブストーリーじゃん?なんて思ってしまいます 狂った日々を楽しんでるみたいなんだもの 滑稽なほどにね そもそも情事を日記に残すなんてトシオさん こんな壮絶な日々が訪れるってわかってて仕組んだんじゃないかしら? ミホの愛を確かめたかったの? 疲れ果て隔離された場所で二人きり よかったわねミホ これで愛するトシオさんをひとりじめよ でもきっとまた束の間の平穏とすぐに訪れる事態の悪化の繰り返し
0255文字
デンプシー
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美しい小説。流れる様な濃密な文章に感心した。悲惨なのに夢の中の詩の様に感じるのは苦海浄土のようでもあり、憎しみと愛が裏返しであるのは嵐が丘の様でもある。日本の神話になぞらえた解説文に納得した。島尾敏雄には何となく怖れを感じて読めなかったが「おこってしまえばこわくない」という小説中のセリフの様な読後感。出会えて良かった。
0255文字
こまら
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つらい重い長い。じりじりと人格と家庭の崩壊が進む様子が延々と描かれる。読み始め、従順だった奥さんが「バカヤロウ」と叫び旦那さんを平手打ちし始める部分だけはちょっと笑ってしまった。描写は言葉が美しく良いのだが、一人称で語られるとだんだん「お綺麗な表現してる場合じゃないだろ」と思うように。
0255文字
ししゃも奢り
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お互いよく付き合いきったと感心する。これは笑うしかないと思った。ドラマ・ホワイトロータスで夫婦が上手くいく秘訣は、すべてを知ろうなんて思わないことよって言っていたのが、分かった。ただ、伸三さんのコメント。「あんなにぼくや妹に失礼極まりないことをやっておきながら、生前そうであったようにぼくのお金や精神肉体を奴隷のようにこき使います。」は子供にしてはたまったもんじゃないよな。そして、この夫婦の孫がしまおまほというのがすごい。600ページ超える本は面白くてもしんどいのをどうにかしたい。
0255文字
110rion
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至福の読書だった。 「メンヘラ」という言葉は人口に膾炙して久しいが、その実況中継はやはり壮絶で、心の病は厄介なんだなと読者を心底、納得させる。島尾の観察眼は冷静沈着。まるで、論文のようだ。それゆえ、自己撞着に陥りがちな私小説にあっても、胃のムカつきはなく、むしろ心の奥がゾワゾワする。 加えて、ミステリーの要素もあって、読書を飽きさせることはない。優しかった妻のミホを狂わせたトゲとは、一体なんだったのだろうか。もちろん、最後まで読んでも、その答えは書かれていない。
0255文字
tnyak
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狂気の夫婦愛を描いた小説家。とにかく長くて、かつ字数も多く、さらに重い主題で、読み終えるのに相当のエネルギーを要した。
0255文字
本のサナギ
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"きたない"人間のトシオによって変わってしまった妻のミホは、発作のように夫の過去を暴きたてようとする。ミホが死のうとするのをトシオが止めて、「じゃあおれが死ぬ!」と言うトシオをミホが止め…もつれあってこじれた先で家族はどうなるのか。全体を取り巻く不穏な空気に息が詰まる。登場人物たちの暗い気持ちが読んでいくうちにのりうつっていくようだった。
0255文字
なーちゃま
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ネタバレ凄絶な本としか言いようがない。あとがきにあった「少し息継ぎがほしい」には、その通りすぎる!と思わず笑ってしまった。インキ壺が投げられてから途切れることなく断続的に続くミホの発作。発作という言い方があまりにも言い得て妙。ミホを欲の対象としての女としてはもう愛してはいないのに、ふと見せる愛らしさとかいじらしさゆえに、彼女をうっちゃっておけないトシオ。彼女が自分に奉公しているうちには見向きもしないくせに、いざ失うとなると、過去の女を打擲してまで庇う。くせに、女への情も抜けない。人間らしすぎる小説だった。
0255文字
豚肉
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お孫さんのしまおまほのファンで、そこから辿り着いたのですが、まあ、強烈。夫婦間の所業もすごいんですけど、子に対しては完全に虐待。衝撃的な私小説ではありますけど、夫婦ともろくでもないな、というのが率直な感想でした。
0255文字
桜海老蔵
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ネタバレ初めて読む作家さんです。「凄い」の一言しか出ません。私小説に近いからか、かなり細部までリアルに書き上げられていて、読んでいてドンドン引き込まれました。最初手に取ったときは「こんな内容だけでこれだけの頁を書けるのかな?」と大変失礼なことを思っていましたが、杞憂でした。むしろ「もっともっと」と頁を捲る自分がいました。精神崩壊したミホに振り回されるトシオの心の動きや行動がありありと目に浮かびました。そして、再生と崩壊を繰り返して、最終的には精神病院に入院しますが、その時のトシオの安堵感には共感してしまいました。
0255文字
Wisteria
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夫の十年来の不貞に、ある日妻が大爆発&大豹変!ほぼずーっと同じ展開で非常に鬱憤が溜まりつつ、いつか何か変わるはずと信じてウン百ページ。変わりません。途中、医者に掛かる事になったり、不倫相手の女が突撃訪問して来たり、子供が捻くれたり、小さな出来事(?)はあるものの、基本ずっと同じ繰り返し。で、なんとそのまま終わった…!!何日も掛けて苦しみながら読んだのに。こっちの頭がおかしくなりそうです。しまおまほちゃんの祖父母だとか。まほちゃんのどこか南国風のお顔立ちに納得。
0255文字
 マサ
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ネタバレ本の外から覗いてる分にはこういう話は面白い。面白がるのは野次馬的で趣味が悪いと思うがまあ仕方ない。中盤あたりで自殺衝動ラリーのテンポが速くなり、争いの強度や狂気も増してエンタメ性が高まっていく。浮気相手の名前で呼べ、私の嫌いなところをいえ(その押し付けが嫌なんだ)、病院などでの突然のビンタ、作らせたみそ汁をぶっかける、ムガリからのグドゥマ、浮気相手との肉弾戦、映画映えしそうなシーンたくさん。そのなかで子供が絡むシーンはしんみりしてしまう。伸一とデパートと電機機関車。ミホの発作がおさまったときの安息に共感。
 マサ

ラストで自由を手に入れたかと思いきや、浮気相手への手紙を回収してこいという悲惨な要求に縛られたまま終わる。この物語に終わりはないのだろう。

10/27 12:30
0255文字
チョコレートコスモス
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三浦しおんさんのエッセイで紹介されていた作品。夫婦の愛…それも美しさ純粋さで表現される夫婦愛ではなく、狂気を感じられるほどの夫婦愛。可愛さ余って憎さ100倍。お互いに傷付けあい離れたくても離れられない。血は繋がっていない、所詮他人なのに…。ここまで自分の鬼の部分を見せ合える関係、永遠を誓いあった夫婦だからこそなのか。少し羨ましくも感じた。
0255文字
belier
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浮気をした夫に怒り狂う妻とその夫の姿を描いたこの作品は、島尾の代表作で「私小説の極北」と評されたという。実際にあったことを赤裸々に書いたのであれば、たしかに「極北」かもしれない。冒頭から結末まで息詰まる状況である。それでも多くの場面でドタバタ劇な様相を呈し、笑いを誘う。だがそれもまた苦い笑いではあった。この小説で書かれた出来事があった後しばらくして、島尾はカトリックになったという。懺悔を小説に昇華させたような作品なのかもしれない。とはいえ、彼が本当に信頼できる語り手なのかは何とも言えないとも思う。
0255文字
はちゑ
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ネタバレ浮気を執拗に追求する妻、逆ギレで発狂のふりをする主人公…結局救いは見えずに600ページ超を費やして終わりました。お金の心配するくせにすき焼き食べるのはちょっとな〜
0255文字
よしこ
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家族ゆえにどこにも逃げられない閉塞感、延々同じ事の繰り返し、はたから見たらどっちもとっくに狂人。 元気な時には読みたくないし、元気ない時には手に取る気にもならない。精神に良くないので途中で読むのやめました…。 ただ文章力がすごいので、読み出すと何故かグイグイ読んでしまいます。 ほんとに棘のように動くたびにチクチクとイヤ〜な感じで刺してくる本です。
スモモ

気になってた本ですがやっぱり読むのはやめた方が良さそう。

04/03 12:01
0255文字
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死の棘 (新潮文庫)評価76感想・レビュー389