きことわ (新潮文庫)

きことわ (新潮文庫)
あらすじ・内容
貴子。永遠子。25年ぶりの再会。読むことの愉悦に満ちた、小説の奇蹟。芥川賞受賞作。

貴子(きこ)と永遠子(とわこ)。葉山の別荘で、同じ時間を過ごしたふたりの少女。最後に会ったのは、夏だった。25年後、別荘の解体をきっかけに、ふたりは再会する。ときにかみ合い、ときに食い違う、思い出。縺れる記憶、混ざる時間、交錯する夢と現。そうして境は消え、果てに言葉が解けだす──。やわらかな文章で紡がれる、曖昧で、しかし強かな世界のかたち。小説の愉悦に満ちた、芥川賞受賞作。

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きことわはこんな本です

きことわの感想・レビュー(938)

別荘を取り壊す今の進行と、その別荘で過ごした二十五年前の過去とが急に切り替わることで、現実と思い出の境目が曖昧になる。春子の早逝という出来事はあるものの、特別なことのない日の話が丹念に描かれているように感じた。水に関連する描写が綺麗。時間を置いてまた読みたい
★4 - コメント(0) - 3月24日

読む前に母親の酷評を聞いていたが、個人的には好きな作風だった。ただ文体はあまりなれないまま読み切った。 作品の中で永遠子が想起させる25年前の記憶は現在の点において再び会った貴子との間でそのたしかな輪郭を失う。それは夢と現実の境界を溶かすような、またその虚像のように生まれ続ける夢の記憶のなかに紛れ込んだ現実の記憶を探すような作業に感じた。 美しい文章と評価される面が多いが、個人的にはあまり気づけなかった。けれど物語の世界はとても好きだった。
★7 - コメント(0) - 3月15日

読みはじめ、空気が違うな、と思いました。良い意味で、引き締まっているというか。この作品はそんなに大きくはない出来事を、ゆっくりと、ていねいに描いているという印象です。でも、全体的に一回目だけじゃ良さを味わいきれなかったです。再読をしたらもっと分かると思ったので一年くらい経ってからまた読みたいです。
★11 - コメント(0) - 2月25日

「芥川賞受賞作を1冊消化できた」ただそれだけ。話が面白いというわけでもなく、文章が美しいとも感じない。日本語の表現で違和感を覚える箇所もある。他の受賞作と比べても数段落ちる。純文学というジャンルが芸術性寄りであるなら、自分には芸術を解する目と心が育っていないのだろう(皮肉)。受賞作であるというフィルターを通さず、読んで絶賛できる方は相当な審美眼をお持ちだと…(さらに皮肉)
★6 - コメント(2) - 2月19日

ひらがなを多目に使い、修飾語の置き方で独特のリズムを作っている文体が、夢と現実の曖昧な境界を見事に表現していました。登場人物がリアルに覚えていると思っていた記憶が実は不確かで実際の出来事とは異なっていたり、記憶と記憶が作用しあい現実に影響を及ぼすというシーンがとても印象的でした。余計なお世話ですが、キャリアの初期にこのような完成度の高い作品を書いてしまうとキツいだろうなと。是非ともブレークスルーして欲しいと思いました。
★23 - コメント(0) - 2月12日

追憶は甘美である。夢とうつつの狭間をたゆたいながらも同時に窓の外の雨音を意識している自分。これは、良い小説だ。
★7 - コメント(0) - 2月5日

なかなかノレなかったが、ドラマ『カルテット』を見た後だとするするイケた。過去の折り重なり、唐突なことばや行動、その行間にあるものとかが共通するのか。あー単に別荘ってだけかも。
★1 - コメント(0) - 1月25日

貴子と永遠子で「きことわ」。夢とうつつ、過去と現在が行きつ戻りつする、それはまさに胡蝶の夢。ある時は風に舞い散らばる色褪せた数十枚の古い写真、またある時はタイムトラベルもののアニメでよく表現される七色の時間の海、そんな画像が頭のなかにとりとめもなく浮かんでは消えていった。序盤の露骨なまでの反復は作者による高らかなヌーヴォー・ロマン宣言だろうか。ラカンとロブ=グリエの影。そして生と死。およそ人間の一生にあたる時間「百年」というタームに馳せる想いは、同時に死への秘された憧憬でもある。
★16 - コメント(0) - 1月22日

夢か現か、分からなくなり、少し混乱してしまった。しかし、最近ミステリーが続いていたので、たまに本書のような純文学を読むと日本語の美しさを再認識できる。川上弘美さんの『センセイの鞄』も同様。
★4 - コメント(0) - 1月16日

何ページ目から読んでも空気が変わらず安心感みたいなのがある。。。。以上です。
★3 - コメント(0) - 1月16日

純文学ってなんでしょう?考えさせられます。ミステリーだとプロットが弱かったり、オチの整合性が取れてなかったりすれば、酷評されます。純文学とは云え、ここまで淡い印象派のような作風だと、いいのか悪いのか、自分の感受性に不信感を持ち、重なり合うタペストリーのようにと評すれば聞こえはいいが、要は、メリハリがなく、どっちつかずの作風に感情移入が全くできないのでした。いつも、初の作家さんに慣れるのに、50から100ページくらいかかるのですが、最後まで慣れませんでした。好みの問題ですね。感性が足りないのかなぁ、、、
★5 - コメント(0) - 1月14日

静謐な物語。遠い日の思い出、それは確かに存在し、その一瞬一瞬の積み重ね、過ぎ去って行った過去の積み重ねが、今なのだ。今の自分は過去の自分の積み重ね。
★14 - コメント(0) - 1月6日

言葉や描写が綺麗ですね。品があるというか。当時の出来事が夢か現実かなんていうのはどっちでもよくて、その曖昧さも含めて愛おしい過去を共有している2人は幸せだ。静かな映画を見ているよう。小津的な。
★4 - コメント(0) - 2016年11月30日

淡々と過去と現在を行ったり来たり。途中でパラパラとページをめくり、解説が町田康と気が付いた。一気にテンションが上がり読む力が湧いてきた。25年という歳月は永遠という2文字に繋がるんだ。一日が永遠が全125ページに綴られている。そして官能小説なんだ、この本は!それを気づかせてくれた町田康、すげぇ~!あっ、それと叔父の和雄は春子の義兄って!
★7 - コメント(0) - 2016年11月30日

rh
「この切れ目のない皿洗いの果てに老年があると言った。切れ切れにはさまれる立食パーティーだのシンポジウムのあとの外食だのがあるとしても、結局、皿を洗って死ぬ運命にある。人は皿洗いの果てに死んでゆくものなのだと言った。」
★3 - コメント(0) - 2016年11月20日

続きが気になってどんどん読めてしまうとか一切なく、ただただ日常をきれいな文章でつづられた物語でした。芥川賞作品って私には高尚すぎて理解できないのかも。
★8 - コメント(0) - 2016年11月15日

眠っているあいだにみた夢に説明をつける必要がないように、手を加えずこのまま取っておきたいと思うような貴子と永遠子のじかんでした。あの頃と今を結ぶのは一本道であったはずなのに、記憶と、夢と、時間、それぞれが異なる線上に存在していたよう空間は白いぼんやりした光を発していました。いつかどこかで目にした光景の断片が風のように通りすぎては消えていって、記憶が夢のなかに紛れこんだような、夢のなかの出来事が現実と重なったようなあいまいさの中でふと、覚えているほうといないほう、どちらが善いだろう、と静思しました。
★17 - コメント(0) - 2016年11月12日

芥川賞受賞作。年の差7歳の幼なじみの永遠子と貴子。永遠子は貴子が夏の間しばしば滞在した葉山の別荘の管理人の娘であり、毎夏のように親しく過ごしていた。貴子の母が病死して以来、40歳と33歳になった二人が25年ぶりに再会する話。時間と空間が自在に移動し、二人の女性それぞれの人生が描かれるが、文体がゆったりとした独特なリズムをもっている。読みやすい文章だが、独特の世界観を掴むのに苦労し、以前に一度挫折した本。頁数は少ないのに今回もなかなか進まなかった。夢の中のようなフワフワとした印象が残った。
★38 - コメント(0) - 2016年10月30日

幼年時代のひと時を共に過ごした7歳違いの永遠子と貴子。25年の歳月を経て再会する二人にたゆたう現実とも夢幻ともつかぬ、時の流れが美麗な言葉でつづられます。表現し難いものを如何に表現するかが純文学ならば、まさに本作品は純文学の真骨頂なのでしょう。少ない頁数でありながら、細やかな表現をリフレインし、絵画的とも言える忘れがたいシーンを構築しています。文学賞受賞作が好きでよく読みますが、本作品の美的感覚にはとても感銘を受けました。何か特別な事件が起こるわけではないので、小説にそれを期待するのであればハズします。
★43 - コメント(0) - 2016年10月29日

時間の流れ、その間の出来事。一緒に過ごした時間と思い出。ただただ優しい気持ちになれる本でした
★2 - コメント(0) - 2016年10月27日

思い出とともに今を生きるって素敵な事だと思う。
- コメント(0) - 2016年10月22日

歳の離れた少女二人の夏の思い出は、遠い昔の記憶と夢とに霞むようにその輪郭が曖昧になっていて…。終始、淡々と語られるように進む物語は、クロード・ルルーシュの映画を観ているような、モノクロームの静かなイメージで読みました。少女の頃の貴子と永遠子の関係は、歳の離れた姉妹のようというよりも、もっと甘美なものを内在しているように思います。二十五年を経て再会した二人が、会わなかった年月を感じさせず自然体だったことが、この物語の全体像を表しているようです。
★13 - コメント(0) - 2016年10月17日

過去と現在、現世と来世、夢と現実そして生と死を行きつ戻りつし読ませる一冊。必ず一気に読み切ってください。そのように読ませる仕立と文量です。多分、読後感は十人十色か、いや十人二十色かも。
★25 - コメント(0) - 2016年10月14日

うーん、雰囲気小説!きれいな文章です。夢の中の風景みたいな。現実的な事を言えば、少女時代の貴子と永遠子の年齢差7つは離れすぎでは?2つ差ぐらいでいいのに。8歳と15歳では単なる子守、発達障害持ちでない普通の15歳の少女なら、本気で8歳女児と深い想い出になるほどのめり込んで遊ぶことはないでしょう。同年代ならまだしも。そういう現実的な事はさておき、この別荘の雰囲気が本当に素敵です!こんな別荘で夏を過ごしたかったな。やっぱりお金持ちっていいですね………おっと、やっぱり現実的な話になる………
★6 - コメント(0) - 2016年9月25日

はて、これを「読みたい本」に登録するきっかけは何だったかな……。古き善き日本文学の仄かな匂いか、ゆめうつつの融け合うあわい、ひとの記憶や想いのうつろい重なり流れゆく様か。芥川賞受賞作、などと言われてもまるでぴんと来ない不埒な本読みだが、これはそう肩肘張ってどれ、読み解いて批評してやろうなんぞと構えて読むものではないのだろうと思った。ふたりの女が、久方ぶりに出会う。25年という月日は今となり、あの光景は異なる言葉で紡がれる。あれもこれも、夢のようで、あるいは夢そのもので。
★11 - コメント(0) - 2016年9月19日

うーん…まったくといっていいほど良さがわからなかった。文章のリズムがひたすらに合わない。読みにくいし、さして美しいとも感じない。
★1 - コメント(0) - 2016年9月6日

なんとなく分かる様な、分からないような・・・。自分が育って来た中で年の違う従妹と一緒にいつも過ごした夏休みを思い当てはめて読みました。 古い家の薄暗い昔造りの家。空間の匂い。そういえば、このような情景が思い浮かぶかな?春子の死がこのような思いのきっかけなのか?何を言いたいのか分からなかったけど情景を描くのは物凄く繊細で読み進めるのに時間がかかりました。読後感がどうしたものかと着地できない感じです。
★3 - コメント(0) - 2016年9月3日

美しい文章だった。濃密な描写は甘美を通り越して言葉そのものの凄みすら感じた。起きる事柄をこれだけの言葉に紡ぐことが出来たら毎日どんな心持ちがするんだろう。「読むことの愉悦に満ちた、小説の奇蹟」なるほど。まさにその通りだ。上手いこと言う。
★3 - コメント(0) - 2016年9月1日

薄い本なので、すぐ読めるだろと甘く見たら濃厚な内容で読むのに時間がかかりました。私は、小説の登場人物のやりとりを理解するのが苦手ですが、神奈川県が舞台で海を感じてよかったです。私は女性作家の作品を読むときは、花の種類をどう表現するかを見ますが、朝吹さんは、植物を丁寧に書いていてよかったです。今後も女性作家と植物というテーマは、読み深めたいです。他のどの女性作家とも異なる世界観がよかったです。朝吹さんの他の作品も読みたくなりました。
★16 - コメント(0) - 2016年7月31日

nkn
女性2人の数十年ぶりの再会を描いた作品なんだけれど、時間の経過に対する表現が優しくて、その分ちくっとなった。白昼夢みたいなシーンを差し込みながら、何気ない日常を描き上げてる。自分が送ってる毎日も些細な事件があるような、ないような、こんな感じだよな、って思える、日々に寄り添うような作品。
★3 - コメント(0) - 2016年7月30日

芥川賞… 私はこの手のジャンルが苦手だと最近気づきました。 ただただつまらない。
★2 - コメント(0) - 2016年7月23日

解説で町田康氏も書いているが「読み終わったら心が更地」になった。甘美な記憶を美しい文章で綴る素敵な物語。
★6 - コメント(0) - 2016年7月10日

貴子、永遠子の25年ぶりの再会の数日のこと、ただそれだけの話なのだ。「流跡」の直後に読了。記憶の曖昧さのふわふわした感じがそのまま小説になっている。過去は遠くなるばかりという当たり前のことが、ただそこにある。時間が経てば経つほど、夢と現は近しくなる。人と人の繋がりが影のようにからがる。過ぎ去る鈍行のように読んだので、再読せずにいよう。忘れた頃にまた読もう。素直にそう思ったので、読んで良かった。うん、良かった。
★7 - コメント(0) - 2016年7月9日

90年代のちょっと大人になりかけた少女向けの漫画みたい。小説の愉悦に満ちた芥川賞受賞作……という評価も納得の、美しさと完成度とつまらなさ。夢と現在と薄ぼんやりした記憶と過去がまざりあって溶けかけること微妙な美しい試みを、もっとエンタメで読みたい。そう思うと、三島由紀夫って美しくて甘美で純文学だけどエンタメだなーあ。
★2 - コメント(0) - 2016年7月5日

日頃純文学なんて読まないのに、装丁のシンプルな美しさと、ページの薄さに魅かれて手に取った。2人の女性の25年ぶりの再会。その現実と、それを機に引き起こされる、それぞれの記憶の断片が錯綜する。ストーリーの起伏はないが、だからつまらないとも言い難い。2人の夢、思いから浮かび上がるもの。構成は面白いし、雰囲気がある。ただ、髪を引っ張られる現象の意味するところは分からなかった。「母親がいつ死んでしまうのか、という逃れがたい不安から、死んだことによって、ようやく解放されたのだという、奇妙な安堵感」は共感した。
★4 - コメント(0) - 2016年6月30日

図書館で借りる。
- コメント(0) - 2016年6月20日

あいまいな記憶の浮遊感がとても映像的に印象に残る。古いモノクロの日本映画のようでもあり、ヨーロッパのガーリーで幻惑的な画像っぽくもあり。でもやっぱりムカデこわい~(>。<;)
★6 - コメント(0) - 2016年6月9日

再読。大学、大学院時代に朝4時に起き、夜9時に寝る生活を送った著者の言葉は、規則正しい生活と質の高い睡眠の上に成り立っているように感じられる。その文章に身をゆだねていると、私の中で記憶の地層が雲母のように剥がれだす。甘い吐息の雨が降る。失われた色が艶やかに浮かび上がる。懐かしい香りが立ちこめる。今日は、オルゴールを風蕭とも書くと教えてくれた人のことが思い出され、ささやき交わすような雨音を出す楽器に名前をつけるならば雨蕭がいいなどと、ぼんやりした考えが現れては消えていった。日常の小さな起伏が愛おしく思える。
★44 - コメント(2) - 2016年6月4日

夢に現れる子供の頃の思い出が現実の世界と往来する不思議な体験。散文詩のように読んだ。レトリックが時間軸と織り成すそれは正に「言葉の綾」。大人になって子供の頃の記憶が鮮烈に甦る瞬間というのはきっと誰にでも、多分時々ある。それだけ子供の感受性というものが大人よりも豊かなのだろう。不思議な縁に導かれ再会を果たす貴子と永遠子は「この世の不在」によって生かされている。それは死んだ春子かもしれないし生まれてこなかった永遠子の妹の存在かもしれない。家に根をはる黒い影のそれは髪に命を宿し細く頼りなく見えてしなやかで強い。
★60 - コメント(1) - 2016年6月3日

きことわの 評価:74 感想・レビュー:371
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