流跡 (新潮文庫)

流跡 (新潮文庫)
あらすじ・内容
鮮烈のデビュー作「流跡」。幻の短篇「家路」。言葉でしか味わえない至福のひととき。芥川賞作家の原点

ヒト、密書、スーツケース。夜な夜な「よからぬもの」を運ぶ舟頭。雨上がりの水たまりに煙突を視る会社員。漂着した島で船に乗り遅れる女。私はどうしてここにいるのか。女房を殺したような、子どもの発話が遅れているような、金魚が街に溢れている、ような――。流転する言葉をありのままに描き、読み手へと差し出した鮮烈のデビュー作。芥川賞受賞前夜の短篇「家路」を同時収録。

あらすじ・内容をもっと見る
141ページ
280登録

流跡を読んだ人はこんな本も読んでいます

夜行
5837登録

流跡の感想・レビュー(174)

小説の形を借りた詩のような不思議な形態。小説として出されているが抽象性が強く。イメージは浮かぶが吸い込まれるように消える。どんな筋だったか、何が書かれていたか、と問われれば、頭の中に何かそれらしいものが残っていず、印象的なイメージの断片だけがふと浮かぶ。これを読むとのちの作品の『きことわ』はより小説のフォーマットに近かったのだなと思う。阿部和重氏の相談本(?)で朝吹氏が小説が書けなく悩んでいるという旨を相談していたが、『きことわ』以降に小説は執筆されていない。次がどう変化するのかというのは少し興味がある
★1 - コメント(0) - 3月16日

2つの短篇。どちらも現実の角ばった自明性を相対化し、しなやかで滑らかな「循環」のようなものが活字になっている。 「家路」は面白い。小説の構造は、イレギュラーではあるが、心地よい驚きとともにしっくりと自分の中に馴染んでくる。しかし、表題の「流跡」、意味がわからない。ストーリーが読めない。だのに、この音楽に似た高揚感は何だろう。見事に予測のつかないところで、ふと、説明の付かない興奮や期待感や心地よさに襲われる。これは相当「詩」に近いような気がするがどうだろう。
★2 - コメント(0) - 2月7日

「流跡」と「家路」を収録。どちらの小説もリアリズムとはかけ離れた内容で、特に時間の流れが独特だった。「家路」は短い小説の中であっという間に時間が過ぎ去ってしまうので、読みながら眩暈にも似た感覚を味わった。「流跡」は完成度が高く、これがデビュー作と信じられない。流麗な文体で夢のような世界を鮮やかに描いている。自分がこれまで見た夢を作者が文章化してくれた感じだ。美しいものばかりではなく、醜いものも出てくるが人間の深層心理はそういうものだろう。全てが混じりあい、溶け合って水になる最後の場面で異様な感動を覚えた。
★103 - コメント(0) - 2016年12月25日

最初はなかなか読み進められず、言葉が、文章が、内容が、定着しない。そうか。これはどっぷり浸かる小説ではなくて、流れ去った跡だけ感じ取ってくださいね、とタイトルが言っていたではないか。流れるような流されるような文体は非常に心地よくて、それがまずは好きだ。旧い日本かと思えばUSBなど出てきて時代が引き戻される。けれど旧い感じはずっと付きまとっている。澱んだような文体と時代感、でありながら、流れるような話運び。それがじわじわ来た。まだじわじわしてる。「家路」は最後が今ひとつ。
★4 - コメント(0) - 2016年6月28日

紺色のグラデーションの円をぐるぐる回った感じです。こういう文章を書ける人とは同じ見るもとも同じように見えているのかなと不思議になったり。ご飯がおいしいとか雨は嫌だなあとかとは違う次元というか。気を抜くとはっと字を目で追うだけで自分の思考に入ってしまうので集中して読むのに気を付けました。好きではないけど気になる感じ。読むということに集中ってすごいなー。たしかに作者本人が読んでも違うと感じてしまうってことはそういうことかな。でも作り手の発信とこちらの受け止めという問題もあるだろうしなー。
★1 - コメント(0) - 2016年6月8日

短編2編。朝吹さんデビュー作でもあるそう。語彙が豊富、お話というよりなんだろう…言葉言葉が敷き詰められて鬩ぎあっているという感じ。旧式の言葉尻から、かたやデジタルな物がでて、場面転換、そうしてまた言葉達が流れていく。場面転換も色々です、舟頭であり、父であり、女となり、死体がでたり、祭りの会場であり、子供について話し合ったり、気づけば金魚で街が覆われる。感性と言葉がぶつかってきた、そんな感想。やっぱり私には難しい(>_<)けど何故か気になる作家さん。
★36 - コメント(2) - 2016年5月26日

急にケータイとか出てきてびっくりする
★1 - コメント(0) - 2016年5月18日

仏文学者の堀江さん審査のドゥマゴ文学賞を「朝吹」さんが受賞。他意はないと言われてもだいぶ無理があるよなあ。 表題作はイマイチだったけど、『家路』は内田百閒チックなタッチで面白かった。
★5 - コメント(0) - 2016年4月9日

73
2016年2月13日に読了。人にすすめられて読んでみた1冊。幻想的に描かれているけど、日々を生きるっていうとても現実的なことを描いてるんだよね?、たぶん。何ていうか、とりとめのないことを思想して、現実と想像ってすごく紙一重で、それが毎日だな、と。「死んでいないし、生きていない。夜も朝もだいぶ遠いようである」
★2 - コメント(0) - 2016年2月13日

たしかに鮮烈のデビュー作という表現はぴったり。古文の素養と現代の若い感性、さらにサイエンスの知識が合体した独特の文体が心地よい。物語を読むというより、言葉の流れを楽しめた。折口信夫の「死者の書」を思い出した。芥川賞受賞後なかなか新作が出てこないが、文学者は息が長い。スケールの大きい傑作を引っさげて再登場するのを期待。
★4 - コメント(0) - 2016年2月11日

ただ流れるままに。水面に落とされた一滴の墨汁はたちまち溶けて跡形もなく消えてゆくのか。ここでは、一文字になり、一節になり、一文になり、物語をかたちづくっている。そうして自由気ままに動き始めた言葉でできた人々が何者であるかを問うのは野暮なこと。ゆるやかに変奏を重ねる言葉の妙に浸る。そこに身をゆだねるのはとても心地がよい。文末に書かれた、あるいは打たれた「。」は、次の物語の冒頭の一文まであてどなく流れてゆくのだ。本を閉じてもとめどなく言葉が溢れ出てくる気配を感じる。美しい言葉の連なりが大好きな一冊。
★7 - コメント(0) - 2016年1月11日

素晴らしい筆致。シチュエーションから鴎外を連想した。
★3 - コメント(0) - 2016年1月2日

大変好みでした。話の内容そのものより、ひたすら情景や文字のかたちそのものを愛でていたくなる本。並びのうつくしい文章というのは、ひらがなの丸みや漢字の角のひとつひとつといったものを、何度でも指でなぞりたくなります。気に入った言葉がたくさんあったので、今度はそれを抜き書きしていきたいと思います。
★4 - コメント(0) - 2015年12月30日

イマジネィション(想像)ともイリュージョン(幻影)ともつかぬ、何とも幻想的な情景が古びた和語混じりの現代語で語られる。何という、言葉の使い手だろう。解説には幾人かの名も知らぬ江戸期の作家と泉鏡花が挙がっている。私は今作でもプルーストの面影を感じたが、影響によるものか、製作時の心の状態(意図的な)によるものかはわからない。それにしても、芥川賞受賞後は何の作品も世に出さないのは何とも残念でならない。プルーストも生存時はプロフェッショナルな作家ではなかった。この手の描き手は職業作家としては成り立たないのか?
★89 - コメント(5) - 2015年12月28日

Y
この世界を瓦解して取り込み、そのまま語にしてつらねたような作。この読み物を読むことは、あたかも絵巻物や物語絵図を、ゆっくりと焦点を動かしながら鑑賞し、絵の世界に入り込むような感覚に近い。類い稀なるデビュー作。
★9 - コメント(0) - 2015年11月24日

流跡、水や煙突、姿形が定まらないものがモチーフとして現れ、それに呼応するかのように、物語は確たる形を保持しないまま、流れるように進む。島や、川、室内、バス車内など、限定された空間設定で、語りは主体がない。
★2 - コメント(0) - 2015年8月25日

何というか、「酒を煽りながらシュールレアリスムの画集を読んでいたら、何時の間にか絵画の世界に迷い込んでいた」…という印象を抱きました。読めば読むほど酩酊感や恍惚感に思考を支配されていくようにも感じ取れたので、色々な意味で他の作家とは異なる個性の持ち主なんだなと思います(ちなみに、読了後に本書の帯に載っていた美人が作者だと気付き、二重の意味でビックリしましたww)賛否両論な作風ですが、私はとりあえず今後も読んでみたいかなと。
★1 - コメント(0) - 2015年7月13日

「きことわ」よりも時間を感じたけれど、意外な作品だった。一つの意識なんだろうか? ひとになって、どこかへ流され、さまざまなひとになり、意識を綴り、文字の連なりからほどけていく、そんな小説。笙野頼子の初期作品における祖先との呪術的な連なりと言語の解体、古井由吉の男が老いていく肉体をひたすら綴る小説群を強く感じた。時間の流れの面白さや、文字の羅列が音になって流れるのに浸った。「流跡」も「家路」もおっさんの意識を中心に据えている部分が大半を占めていたのは、本当に意外。
★21 - コメント(0) - 2015年2月1日

「きことわ」の時にも感じた、変化する文体。一処に留まっていない、砂時計のような印象。詩のように思えるけど、底の方ではどっしりとした核が根付いている。「流跡」は、川の流れに身を任せていると、この世の話かあの世の話か、語り手が誰なのか、どこなのか、わからなくなる。遠い昔の話を読んでいるかと思えば、現代的でもある。唐突な変化は違和感なく訪れる。「家路」も同様に、ふわふわと色々なところに連れて行かれる。いずれにしても、朝吹さんは流れるような文体を書きながら、しっかりと映像が浮かぶことばを紡ぐ人だと思った。
★29 - コメント(0) - 2015年1月30日

『きことわ』じつはあんまり好みじゃなくて、それを先輩に相談したところこれをおすすめされました。川上弘美さんの「惜夜記」と雰囲気が似ている。きことわで発揮した描写のうつくしさだけではなく朝吹さんの文章を強く強く感じた。美しいだけではない。併録の「家路」も夢の中を漂うような話で面白かった。
★5 - コメント(0) - 2015年1月29日

1P15行。美女と野獣。ニシムラの著作はわりと読んでいるので、対極に位置する美女のほう、朝吹真理子の作品を読んでみたくなった。厚さの薄い文庫で、すぐ読み終わるとナメてかかると、ドエラい目に合う典型で、改行も会話もない文字ギッシリの見開きで、目が眩んでクラッときて暗っとなるクラッキング小説だった。表紙画が良い。鬼の真理子、蛇の真理子、良質で深みのある書き手として、今また末おそろしい、謎の真理子が日本文学界に降臨したのはマチガイナイ。
★3 - コメント(0) - 2015年1月25日

先に【きことわ】を読んで良かった。表題作【流跡】は難読で、輪廻転生を題材に描かれているのかなと思いましたが、併録【家路】と堀江敏幸さんとの対談の【流れ去る命と言葉】で漸く、創作方法というか文章の書き方が垣間見られ、だから【流跡】のような作品ができたのかなと少しは納得。【流跡】を理解しやすく読もうとするならば先に【流れ去る命と言葉】を読まれることをおすすめします。
★5 - コメント(0) - 2015年1月24日

無茶苦茶疲れてしまった。どこからともなくこぼれ出て、流れ去る言葉。たくさんの(あまりきれいな響きじゃない)擬音。まだ文体が定まっていない感じ。最初の方は句読点が少なくて、野坂か筒井の影響を受けていると思ったけど、いつの間にか短いセンテンスになっている。日常的な情景は短く、観念的な表現は長い文章のような気がする。芥川賞受賞作の「きことわ」はきれいな小説だった。これは何だろう。いずれにせよ、このレベルなら、もう読まない。
★1 - コメント(0) - 2015年1月4日

N
なんだかかっこいい感じはした。始まり方とか終わり方とか。
★1 - コメント(0) - 2015年1月4日

乾いた砂のように指から零れ落ちてゆく言葉。静かなようでいて目まぐるしい文章の変節。弛緩した感覚を持っていた方が的確に断片を捉えられるのかもしれないとも思う。漠然と過ごしてきた日常を、何か意味ある言葉で綴ろうとするならばこの形になるのでしょうか。ただ・・この著者さんははたしてこれからも書き続けていけるのだろうか?という疑問がわいたことも事実です(根拠はない個人的な思いですが)。
★12 - コメント(0) - 2014年12月20日

キノコがびっしり生えたり舞人や船頭というシチュエーションはちょっと陳腐だ。擬音表現のこだわりはわかった。文章は物語ではなく水の持つ熱量や速度、量感をあらわすための媒体として使われているし、タイトル通りに考えるならばここに記されているものは大きな痕跡で本体ではないから、この読後感のうすさも作為なんです、といったとこなんでしょうか。誰かに勧めるのは面倒な作品。
★4 - コメント(0) - 2014年11月27日

様々な感触をもつ多彩なことばの断片。それが痕跡となり動的な感覚も与える。思考を放棄してただただ流れにまかせながらことばの響き、浮かび上がっては消えて行くような世界観をゆっくり堪能した。妖しく美しい小説でした。
★16 - コメント(0) - 2014年11月16日

捉えどころがなく、ひとときも留まっていない様子は、液体を彷彿させる。
★4 - コメント(0) - 2014年11月13日

文学一家に育つとこんな文章を書く人が育つものなんだろうか。字面を追いかけても追いかけても逃げて行ってしまう。読み解こうとせず夢の切れ端を漂うつもりで読むほうがいいかな。
★7 - コメント(0) - 2014年10月31日

YM
信頼してる読友さんのコメントから手にとってみました。まだまだ読書リテラシーの低い僕はまたびっくりしました。こんな体験もあるのかと。。ふわふわ夢の中のようだなと思っていたら、急にどきっとさせられて、後半はなぜか自分にシンクロして他人事に思えなくなり。またひっくり返されて。。最後はそう終わるか…。読み初めと全然印象変わりました。あー、読書ってまだまだ奥行きのあるものなんだなあ。おもしろかったあ。
★24 - コメント(3) - 2014年10月16日

気持ちがよかった。ゆらゆらと、たゆたうようで。ひとか、ひとでないものか、男か女か、境目もわからぬままにどこまでもはみ出してゆくことは、とてつもなくゆるやかな魂の逍遥のようでした。不思議で、不可解で、不気味な言葉の羅列。その羅列に、こんなにも惹かれてしまうのはなぜなのか。その答えさえわからない。そしてそこがきっと気持ちいい。澱んでも澄んでも流れてゆく水のように、とどまらず躊躇わずどんどん移ろってゆく世界の涯て。私はその中にあって、確かなものなど残せずに、ただ受け入れて焼かれてゆくだろう自分を想いました。
★15 - コメント(6) - 2014年10月5日

久々に難関なのを読んだ気分。物語を読むというより、言葉の流れを読むという感覚。主人公はだれ?身近じゃない言葉がたくさんあって、かっこつけた感じだけど嫌味はなく、味気はない。巻末の堀江さんとの対談の中で朝吹さんが仰ってるように、「本当の意味で読めているんだろうかという疑問」がこの作品にもあてはまった。でも、「はれ。ひやらひやら」から突然はじまる大金魚の踊りの場面とか、そんな意味も飛ばしてそのままの言葉の連なりが良かった。少し変わった読み方ができた作品でした。
★22 - コメント(3) - 2014年9月23日

再読
- コメント(0) - 2014年8月16日

カッコつけていて、それでいて、澄ましている話がつらつらと。 このかっこつけてる文章がきっと、かっこいいのだと思う。
★2 - コメント(0) - 2014年8月16日

つまんなかった。ってか面白いとかつまんないとか、そういう小説じゃない。 でも好き。
★1 - コメント(0) - 2014年7月27日

不思議な魅力がある。言葉の流れとか、とても好みです。
★7 - コメント(0) - 2014年7月15日

「きことわ」でこの人の難解さは知ってたけれど、やっぱり難しい・・。
★41 - コメント(0) - 2014年7月8日

『きことわ』も夢と現をふわふわと彷徨うような小説だったけど、これもまた夢の中のようなとりとめなく流れていく小説。夜ごと流れの変わる川、水たまりに現れる幻の煙突、そんなイメージとゆるゆるとした言葉の流れにのんびり浸ればそれでいいのかもしれない。そんな感じ。
★4 - コメント(0) - 2014年7月2日

流跡の 評価:54 感想・レビュー:50
ログイン新規登録(無料)