顔のない裸体たち (新潮文庫)

顔のない裸体たち (新潮文庫)
あらすじ・内容
顰蹙の中でしか生きられない人々の愛と憎悪。もっと見て欲しい! もっと認めて欲しい!! さもなくば、何もかもをメチャクチャにしてしまいそうだから。

地方の中学教師・吉田希美子が出会い系サイトで知り合ったのは、陰気な独身公務員・片原盈だった。平凡な日常の裏側で、憎悪にも似た執拗な愛撫に身を委ねる彼女は、ある時、顔を消された自分の裸体が、投稿サイトに溢れているのを目にする。その時、二人は……。人格が漂流するネット空間を舞台に、顰蹙の中でしか生きられない男女の特異な性意識と暴力衝動に迫る衝撃作!

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顔のない裸体たちの感想・レビュー(368)

☆☆☆ 描写のリアルさに気分が悪くなる面もあるが、平野啓一郎が描きたいのはそこではない。なぜ自分の裸体や変質的な性行為の動画等をネットで公開する人が沢山いるのか。それを探っている。 人生、普通では物足りない、人に賞賛されたい、名を残したい…そんな願望や不安。ネットが無い時代は、有名になれる人は一握りだという諦めもあったが、現代はそうでもない。何者かにならねばという焦燥感がある。
★4 - コメント(2) - 3月24日

単語ひとつひとつに、平野啓一郎さん独特の描写であると感じた。 男性作家が描いているが、徐々に変化していく女性の心理を的確に表現していて、驚かされる場面も随所にあった。 読後感は正直あまりよいものとは言えないが、これが現代の日本社会の断片なのだろう。
★1 - コメント(0) - 2月17日

「裸体」という概念が、自分の「顔」とは切り離されたものとしてのモチーフとなり描かれていた。内容はかなり過激なものだったが、読ませる話だった。けっこう好き。
★6 - コメント(0) - 2016年12月18日

過激な性描写が印象に残った。吉田希美子本人は自分のことをよく考えていないのに、吉田美和子の思考の流れや行動理由が分析されている。片原もそう。読みやすいが、自分の中に何も残らないのはなぜ? 感情移入できないのは語り手が本人でないから?
★2 - コメント(0) - 2016年12月1日

芥川賞作家、平野啓一郎「顔のない裸体たち」 難しい単語が多いが読まされてしまう。 先日のアメトーーク「読書芸人」で平野氏の「マチネの終わり」が紹介された。ものすごく売れているらしい。 「顔のない…」は ハッキリ言ってR18指定だな!
★2 - コメント(0) - 2016年11月19日

途中まで何の事件につながるかと期待していたが、最後があまりにもあっけない。 なんだこれという感じ。
★9 - コメント(0) - 2016年11月13日

一言で言うと面白かった。自分の中での小説の醍醐味は、登場人物と自分というのは結びつかないと読み始めるが、いつしか自分の一部もそうである、いや大いにそうである小説であった。すぐ側にいる違う自分への恐ろしさ。☆4
★7 - コメント(0) - 2016年10月20日

電車の中で読む時は隣の人から見えないようにして読んだ(笑)それくらい露骨な性描写が多いが、まったく扇情的ではなく、物体と物体の接触という物理現象として描かれている。その第三者的な視線で、主人公の心情的変化も見事なまでに論理的に『解説』仕切っており、奇妙な納得感がある。ここがこの作者の上手いところで、どこから狂ったのかも分からなくなり。自分がこうなっても不思議はない気がする(女性の方ね)から流石です、平野さん。
★21 - コメント(0) - 2016年10月6日

鏡の中の自分も、ネットの中の自分も、どれも真実なのに、あたかも引き裂かれたように感じてしまうのは、たぶん自己防衛なんだと思う。模倣して、バラバラにされて、「自分自身」が至るところにばら蒔かれていったとしても、それは何処までも自分でしかないのだろうなぁ。少し吐き気を催しながら読んだ。村田沙耶香案件ではないのかこれは。
★3 - コメント(0) - 2016年10月2日

★★★:他人の知らないもう一人の自分。あくまで自分ではないはずだった自分が、やがて自分を飲み込んでいく。分人思想のはしりか。
★3 - コメント(0) - 2016年7月10日

読書メーターのあらすじを読むと、とても激しそうだが、変態カップルの顛末をルポ風に第三者の視点から淡々と描写している。巻末の案内では官能的とも評されているが、官能的というよりもむしろドスケベ、凌辱的、と言った方が正しい気がする。これが言いたかったんだろうなぁという決定的な場面が終盤に登場するが、前振りがとても長い。何か消化不良のような印象を、読後に持った。
★4 - コメント(0) - 2016年3月26日

出会い系サイトで男と知り合い、これまでであればゾッとする様な行為にのめり込んで行く女性教師を描く。自分でない自分に積極的になろうとするもう一人の自分。凄い小説だった。普通には知り得ない心境を緻密に掘り起こす一作。
★3 - コメント(0) - 2016年2月2日

よいノンフィクションを読んだような読後感だ。この本の読み説き方は解説が秀逸なのでそちらに譲るとして、性というものに対する氏の感覚の透徹さ、生々しい中にも中立性をたもった筆致が個人的に好みです。私は好きだけど、この分析的な筆致が苦手な方もいるだろうなあ。
★12 - コメント(0) - 2016年1月11日

露骨な性描写がドキュメント風に淡々と続く。感情移入にはほど遠いが、冒頭から仄めかされる事件が気になって読み進めてしまった。でもその事件ときたら・・・しょぼい。
★3 - コメント(0) - 2015年11月21日

ん~微妙。
★2 - コメント(0) - 2015年10月27日

小説だと思って買ったらノンフィクションでした、ってぐらいの淡々具合。週刊誌の記事読んでるみたいでなんとも味気ない。…わざと?希美子と片原の一人称で交互に書くとかすればもうちょっと感情移入できて面白いと思えただろうにもったいない。色々難しく書いてるけどネットに裸upしたり投稿雑誌にエロ写真送ったりするのは結局のところ全部「承認欲求」で説明完了でしょ。だからブスが多いんだよ。美人はそんなことしなくても日常的に承認されまくってるから。希美子のキャラ造形があまりにステレオタイプなのもなんだかなぁという感じ。微妙。
★12 - コメント(0) - 2015年10月21日

501
社会に向けたペルソナに適合できない捌け口は、ネットの匿名性と親和しやすい。主人公のふたりはネットを通じた出会いにより匿名性の延長としてリアル世界で関係を結ぶ。ふたりが起こした事件まで、第三者が神の視点でふたりの生い立ちと出会ってからの関係性を追う構図。そのためふたりの立ち入った心情には言及されずレポートのようになっている。だからこそこの小説のリアルさがあり、著者の後に続く分人の概念が浮き彫りになっているのかもしれないが、匿名性の世界に入り込む心情をもっと追求してほして欲しかったという物足りなさもある。
★9 - コメント(0) - 2015年10月12日

具体的な性描写はあまり好きではないのだが、滑稽な猥談さえも生真面目に詳細な描写で展開をみせる手法は流石なもの。この作者は何もかも見透しているような明晰さがあり、出版される作品はどれも読み応えがある。読みながらにSNSでネット上と現実の人格の相違のある人を想起させるが、この作品は作者が後に提唱することとなる人格概念、分人主義への出帆の序章を感じさせる。またこの時期の作者は犯罪に於ける犯罪者心理状況や事件に至るまでの展開が非常に上手い。
★4 - コメント(0) - 2015年10月8日

ネットで知り合った身体のみの関係を顔のない、裸体のみの関係と称するのは言いえて妙でした。この顔のない関係の二人はどこに向かっているんだろぅと思ってましたが結婚といぅリアルが出てきたとたん破滅に向かってしまったのが残念…顔のない関係でも幸せはあるんだと思いたかった。
★7 - コメント(0) - 2015年8月29日

ひとは必要とされていると感じることでかたちを保てる、そういうものなのだろうか。何万もの男に必要とされたミッキーに、希美子は「本当の自分」が乗っ取られそうになったのか? 「本当の自分」は、どのように欲されているか、その感じ方で、いとも容易く変容してしまうものなのかもしれない。これは主観が頼みだから、ときに砂岩のように崩れるかもしれない。2人のような事件ではなく、たった一言や悪夢の前兆に感じる井戸に落ちるような沈黙だけで。それでもひとは、いま両足で立っている「本当の自分」を信じる他に、生きる術を持たない。
★26 - コメント(0) - 2015年8月24日

北米のnative americanにはpotlatchという無駄遣いの張り合いをする文化が。グラマーおブス教師と出会い系と野外露出変態写真投稿サイトのお話。SMラブホとかあるのか。クライマックスが意外過ぎて良かった。
★12 - コメント(2) - 2015年5月23日

Mas
凄くリアル。まるでノンフィクションのようです。この手の趣味はないので実際はどうなのかと言うとわかりませんが…でも、ネットって怖いです。この位なら大丈夫と思っていたことが、アッという間に広がり周知の事実となってしまう。事実と違っていても…
★7 - コメント(0) - 2015年4月27日

読んだ作品は「高瀬川」と「空白を満たしなさい」だけであり、芥川賞を受賞した「日蝕」は15世紀のフランスを舞台に神学僧の神秘体験を描くというというので観念的な小説だろうか、そういう作品が多いのか、と思っていたが、本作のようにドキュメンタリーのタッチで一気に読ませる作品もあり多才ぶりに感心した。既に、「個人から分人へ」を読んでいたので、「吉田希美子」が「ミッキー」として踏み出し、「片原盈」との関係で生まれた「分人」を生き、一方の「片原盈」は分人化がうまく行かず事件へと突き進む様子が理解でき、興味深く読んだ。
★5 - コメント(0) - 2015年4月17日

著者の分人主義の本を先に読んでいなかったら、全く違う感想を持っただろうと思う。それだけ性的描写がエグい。顔が晒されないと何でもアリになってしまうのか。怖いネット社会。
★10 - コメント(0) - 2015年4月4日

★★★★☆ なぜ平野さんは生理についてこんなにわかってらっしゃる?的確すぎて恐ろしい。比較的読みやすかったけど内容はエグい。事件がなんだったのか知りたくて読み進めていったけど、意外にショボくて少しガッカリ(笑) ミッチー側の気持ちはともかく、ミッキーには共感できる部分もあるかも。しかしネットは怖いなぁ←また言う(笑)
★13 - コメント(0) - 2015年3月26日

性と匿名性が生みだす羞恥を炙り出したような作品。ネットに流される顔のない裸体、裸体を見せない普段の姿。ふたつは同じ人物でありながら、それぞれの人格を持ちはじめ、それを演じはじめる。平野氏が後に辿り着く分人主義が垣間見えた。
★26 - コメント(8) - 2015年2月25日

...
昔の純文学風を現代を扱って書いてくださいといわれたから、書きました。これでいいでしょ、って聴こえてくる。
★3 - コメント(0) - 2015年1月15日

★★☆☆☆最近はまってる平野啓一郎。でもこの本は好きになれなかった…性的描写が執拗すぎる感じがして。あとは女性主人公の生理痛の重さのエピソードは、なんか違和感を感じてしまった…。男性作者っていうバイアスが自分にあるからかもしれないけど。 ちょうどこの前読んだ「分人主義」に繋がるような考え方が出てきたり、これまた平野啓一郎氏の「スロー・リーディング」の本に書かれてた、書き手の技術について意識しながら読めたのはよかった。やっぱりその本人が書いた作品だと、読書技術で紹介されてたことにも気付きやすい。
- コメント(0) - 2014年11月2日

「ミッチー」の心情を読んで嫌悪感。「ミッキー」の心情を読んで微かに共感。女だとこう感じる人が多いんじゃないかと思います。男性だとどう感じるんでしょう? エロいというかゲスい描写多かったなあ。
★5 - コメント(0) - 2014年11月2日

著者がこの先明確なテーマとする"分人"というモデルが所々に著れている作品であるけれど、この作品でこそ、"分人"というモデルでは人間をある観点から見ることはできるものの考えることはできない、ということが明白に暴かれてしまっている。
★3 - コメント(0) - 2014年9月29日

顔と性をめぐる、スキャンダラスでえげつない事件を作者は女性の肉体への意識の芽ばえから丁寧に描き出していく。巧い。指が止まらない読書を満喫して、すぐさまこの作家を信頼した。まとめてしまえば「私の顔がある固有の肉体」と「ネットワークに曝された顔のない匿名の肉体」という両極端におさまるのだけれど、そのグラデーションをさまよう意識の描きかたは目を見張るものがあった。たぶん意識には自己を決する明確な〈この瞬間〉みたいなものはなくて、おおかた「いつの間にか」感が伴っている。そこがいい。
★22 - コメント(1) - 2014年7月16日

tom
初読みの作家。ずいぶん前にラジオでこの人が喋るのを聞き、興味を持てない人と思った記憶がある。たまたま手に取った本だけど、テーマは「現代人の性」というところ。この種のテーマというのは、誰が書いても陳腐化してしまうのです。ということで、やっぱり面白くはなかった。初読みの作家なのに、こんな本を選んだのがまずかったかな。
★8 - コメント(0) - 2014年7月15日

生々しいしい、リアルだ、、、
★2 - コメント(0) - 2014年7月11日

平野作品は3作目の読破です。いつも通り哲学的な問答が描かれていて内容に考えされられることがたくさんありました。欲望というのは行きすぎれば暴力になるという結末のようにも思えた。本書の内容の多くは性暴力的であり、読んでいてナイフに刺されたような痛みがあった。『限りなく透明に近いブルー』を読んだ時を思い出し、こんな世界を覗いてしまっていいのかなと怖々した気持ちなった。今私には好きな人がいるからその人にここで描かれている世界に陥れないようにしたいなと決心しました。
★5 - コメント(0) - 2014年7月10日

目立たない、恋愛も性的にも経験の少ない中学教師が出会い系サイトで知り合った男と交渉を重ねる。希美子のHNはミッキー。男はミッチー。男の乱暴なセックスに戸惑いながらも縛られてみたり写真を撮られてみたり野外露出をしてみたりするミッキーは希美子とは別の人格だ。ここの表現が見事だった。人は職場で、得意先で、恋人の前で、ネットの中で、それぞれの人格を演じることで安定し成長していく。希美子が揺らいだときに男が結婚を口にする。仰天したけどなんか納得。乱暴なセックスにも納得。縛られるのはその圧力がいいのか!
★13 - コメント(3) - 2014年7月8日

リアリティーがあった。今まで自分の考え方が嫌だったけどこれを読んでから少し認められるようになった。なぜかは分からないけど…
★6 - コメント(0) - 2014年6月27日

出会い系で知り合った二人が、徐々に変態的行為をエスカレートさせていき、ある事件を起こしてしまうまでの過程が、内面、外面ともに、とても淡々と描かれています。不満を抱えて生きてきた男の、屈折した性への執着も痛いが、取り立てて不満のないはずの女が、男の言いなりのまま、少しずつ深みに堕ちていく様も、恐ろしい。
★14 - コメント(2) - 2014年6月26日

平野啓一郎は2作目だが、以前に読んだデビュー作の『葬送』とは文体、テーマともに大きく違っており、別の作家かと思うくらいだ。本作においては、主人公2人を徹底して突き放して描いており、そこに作家的共感といったものは全くと言っていいほど見られない。いわば新自然主義といった趣きだ。いわゆる「出会い系」サイトで知り合った、ミッキーとミッチーそれぞれの匿名性と実体としての自分との乖離、やがてはそこに飲み込まれていく自我を描く。ここでは生身の肉体もモノであるかのようだし、またそこにバーチャル空間の不毛を描き出していく。
★175 - コメント(0) - 2014年6月6日

ネット社会の匿名性にどっぷりハマってゆく人々の心の中を、非常に的確な言葉で表現している秀作。ただ私にはそれが『闇』ではなく、閉塞感の溢れる社会に対しての『もがき』に感じられました。自分ではない自分を体験してみたい、という些細な抵抗と性に対する欲望が複雑に絡み合い、日常のすぐ隣合わせでこの物語と同じ世界は存在していると思いました。
★6 - コメント(0) - 2014年5月21日

顔のない裸体たちの 評価:86 感想・レビュー:110
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