予告された殺人の記録 (新潮文庫)

予告された殺人の記録 (新潮文庫)
あらすじ・内容
町をあげての婚礼騒ぎの翌朝、充分すぎる犯行予告にもかかわらず、なぜ彼は滅多切りにされねばならなかったのか? 閉鎖的な田舎町でほぼ三十年前に起きた、幻想とも見紛う殺人事件。凝縮されたその時空間に、差別や妬み、憎悪といった民衆感情、崩壊寸前の共同体のメカニズムを複眼的に捉えつつ、モザイクの如く入り組んだ過去の重層を、哀しみと滑稽、郷愁をこめて録す、熟成の中篇。

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予告された殺人の記録の感想・レビュー(1937)

ある村で実際に起きた怨恨殺人事件を基に語り手である私を村のひとりとして27年前の出来事を回想する形で描かれている。様々な偶然と不運がどうしようもない形で重なり最後の最後まで何故彼が死ななければならなかったのかについて結局は明確な答えが導かれないままナサールは惨殺される。殺人の暴力的な描写で話は締められる為読後には底気味の悪さだけが残る。ナサールの死をかなり早い時期からほのめかし小さな村で住む人々の心理と行動の描写と人間観察と読者を最後まで惹きつけこの物語の事が頭を離れないくらい印象的だった。
★87 - コメント(0) - 3月23日

「自分が殺される日、ナサールは~略~朝、五時半に起きた」という文で始まる物語。そう、彼は殺されると決まっていて、いったいなぜ、そしていつどうやって殺されるのか、家族や町の人々の見聞きした話で語られていきます。あちらからこちらからセリフが飛び出してくる群集劇のようで、これは誰?と何度も前のページをめくってしまいました。結局彼が殺されたのは最後の1行。南米特有の不条理な因習と情熱に振り回された人々の怖ろしく、哀しく、そして滑稽にも見える殺人の記録でした。この独特の雰囲気を受け入れるのは難しいけどおもしろい…。
★75 - コメント(2) - 3月13日

装丁に惹かれて一気読み。本書にはモデルとなった事件があり、ルポのような文章に虚構を絡めたリアルな描写に戦慄が走った。ある時代、ある土地の価値観や因習が、劇場型の殺人事件を巻き起こすまでの過程が街の人々により語られるのだが、いつの間にか自分も目撃者の一人として事の成り行きを追いかけ夢中になった。一転、犠牲となった男の最期は凄惨で生々しく著者の精緻な描写が冴え渡る。予告された殺人は名誉のために実行され、悲劇の登場人物達は咎を受けることなく幕を閉じるが、何とも複雑で心を掻き乱される読後感だった。さすがマルケス。
★103 - コメント(4) - 3月6日

本当に起こったことのようだなと思っていたら、やはり元となった殺人事件があるとのこと。150頁に満たない作品にも関わらず続々と登場する町人達に困惑しながらも、緻密な描写に引っ張られ、最後の数頁の「記録」はお見事。アンヘラとバヤルドのエピソードも、やられた! といった感じ。「コレラの時代の愛」にも続いていったようなので、読んでみよう。マルケスに限らず、海外文学に触れるとき、文化や思想や風習に自分がついていけないことがある。それが醍醐味でもあるのだろうけど、読んでいる間だけその土地の人間に変われたら楽なのにな。
★12 - コメント(0) - 2月23日

名誉をかけて決闘するヨーロッパ的な感覚って日本的な感覚からはちょっと理解しにくいなといつも思う。武士道とも少し違うような、血と肉の激情を感じる。とはいうものの、いざ決闘に至ってガタガタと震えるというような描写もよく見られて、その辺の人間臭さに共感することもままある。この話で興味深かったのは、復讐する双子もずっと誰かに止めて欲しいと思っていたという所で、実際に止めようとした人がいたにも関わらず、殺人は実行されてしまった。ある種の事件は偶然の積み重なりによって宿命であったかのように見えて来る。読み応えあった。
★7 - コメント(0) - 1月29日

タイトルから想像されるようなポップな物語ではない。 南米の閉鎖集落で起きた一件の殺人事件を経緯を「わたし」がWikipediaのリンクを手当たり次第に踏むかのように語るので読むのに骨が折れる。登場人物も多い。しかし、それこそが主題。「殺人」はあくまで集落の人々を語る上でのきっかけ。閉鎖集落の濃すぎる人間関係、しがらみが「殺人」を語る「わたし」によってリアルに浮かび上がる。
★3 - コメント(0) - 1月24日

殺人の記録。まさに。
- コメント(0) - 1月21日

http://booklog.jp/users/beta-carotene/archives/1/4102052119
★8 - コメント(0) - 1月19日

サンティアゴ・ナサールは婚礼のお祭り騒ぎの翌朝に、街中の人々がその襲撃を知っていたにもかかわらず、なぜ殺されたのか? ガボの手にかかれば事実も寓話の魔法がかかる。ルポを書こうと入念な取材をした実話を、関係した親族が亡くなってから、20年後に小説として仕上げた作品だそう。おとぎ話の感じを楽しんでいると、事実の生々しさにはち合わせしてぎょっとした。
★24 - コメント(0) - 1月15日

サイバーパンクはこのあたりから始まったんじゃないのかと。
- コメント(0) - 1月12日

IKR
慣れない名前のたくさんの登場人物で読み始めは覚えるのが大変だったが、読み続けるにつれてだんだん馴染んでいったと思う。あの兄弟が花嫁が処女ではないということで実家に返す相手の男の方を恨む気持ちはないのかなあ?
★2 - コメント(0) - 1月4日

それで結局ナサールでなければ誰だったのか、答えはない。ナサールも気高い人物ではなく、金持ちの人でなしな男だったから選ばれたのだと。アンヘラはナサールとすれ違った場面ですでに青ざめていたのだから終わっていたのだ。アラブ系移民のナサール、地元のアンヘラ、よそ者のサンロマン。港町の共同体の中の殺人はアメーバのようにうごめく情報の中、排除するものを決めていたのだろう。アンヘラは共同体から弾かれたあとサンロマンを求めるという皮肉な結末を迎える。豚のように殺され腸をはみ出させてバケツに入れられ、ラストで→
★11 - コメント(1) - 1月1日

初マルケス読了。ノーベル文学賞受賞者の作品を初めて読んだ。前から興味があったものの何か敷居が高い感じがして手に取るのを躊躇してたのだが、薄くて短い本作を選択して読んだ。これはいかん。面白い。作中の情報量が半端無く多い。序盤人物の多さに戸惑ったがそれに慣れてからは最高だった。まんまタイトル通りの内容ながら読み応え充分でした。大満足です。
★5 - コメント(0) - 2016年12月29日

ナサールが殺害さることが告知された。しかし、知らされた多数の町人は防止することが出来なかった。勘違い、すれ違い、思い違い等々、民衆のあやふやな見識が惨劇につながる。首謀者ビカリオ兄弟もそもそも望まなかった凶行だったのに。まるで宿命のように流れていく。濃厚な悲劇ではあったけれど、それと同時に、どこか夢幻的な空気が漂っている。だから、この救いのない物語にも奔放性を感じた。マルケスのひとつの魅力かもしれない。
★51 - コメント(0) - 2016年12月27日

ボリューム的には軽い作品でありながら、数多くの証言や行きつ戻りつする時系列の構成など技巧が凝らされていて非常に面白い。殺されたサンティアゴの最後の一言にしびれた。
★16 - コメント(0) - 2016年12月26日

殺害計画が村中に知れ渡り充分な予告がされていたにも関わらず、その男はなぜ殺されてしまったのか。事件の真相を追う主人公目線で少しずつ全貌が明かされていくため、ミステリー小説としても読めそうです。序盤は登場人物の長ったらしい名前や人間関係を覚えるのが大変ですが、慣れてしまえば物語にのめり込めます。読み進めるごとに、その土地や時代の独特な価値観をリアルに感じることができます。それでも実際に起きた事件を基に書かれたこと知った時には驚きますね。結末はどう捉えればいいのか…。何とも複雑な読後感でした。
★14 - コメント(0) - 2016年12月20日

 作品中の証言者たちはどこまで真実を語れたのだろうか。どこまで自己の内面を吐露できたのだろう。そして「わたし」はその全てを正確に掬うことはできたのだろうか。 この「わたし」によるルポルタージュはサンティアゴ・ナサールの殺人事件について大量の人物からの証言を元にした、客観的で精緻な記録である。客観的な記録にはより事実に近づけるという利点の反面、関係者のそれぞれ個人的な主観や感情を捨象してしまう範囲が多くなるという欠点がある。パブロ・ペドロ兄弟の十分すぎる殺害の予告が、街全体をするすると通り抜けて実行に至って
★6 - コメント(2) - 2016年12月20日

ルポルタージュ調でありながら、ルポルタージュではない一種の分かりづらさがある……けれども一気に全部読み進められた(人物相関図は作らなかった)。事件の目撃者・関係者たる登場人物の多さと、それらの人々の証言を分割せずすべてある語りの流れの中に取り込んでいることが、混沌とした事件の状況を「再現」し、さらに小説の中で描かれる偶然のある種の陳腐さを軽減させているのだろうと思った。偶然の出来後が一人だけにではなく複数人に割り当てられたとき、それはもはや必然のようにすら見えてしまうのかもしれない。
★7 - コメント(0) - 2016年12月7日

それぞれの虚しい人生を、なんだか分からないまま、精一杯生きて死んでいく沢山の登場人物たちが生き生きと書かれていて、夢中で読みました。 「いつだって死んだ人間の側についてやらなけりゃいけないんですよ」 という言葉が忘れられない。 アンヘラ・ビカリオの事件前夜の行動や、その後の人生にとても惹き付けられる。
★9 - コメント(0) - 2016年11月29日

『百年の孤独』ほどではないと聞いていたが、それでもやっぱり登場人物が多すぎて、相関図を書きながら読んだらp40くらいで紙がいっぱいになった…。また、1行の中に情報が凝縮されていて、そのため気を抜ける部分がなく、読むのにたいへん時間がかかった。もともと遅読ということもあるが、140ページの中編で4時間以上を要するなんて思わなかった。“予告された殺人”の一部始終は、最終節になってようやく明かされる。ここまで引っ張るのもすごいし、さんざん待たされた読者を納得させる迫真の筆致に恐れ入った。さすがノーベル作家!
★16 - コメント(0) - 2016年10月29日

正直、登場人物が多く完全には追いきれなかった。殺人を日常から遠いものと考える人々には、起こりうる悲劇を止めることはできなかった。その彼らがまるで感情を持たないかのような薄ら寒さを感じた。
★2 - コメント(0) - 2016年10月13日

suu
とにかく構成の緻密さに舌を巻かざるをえない。構成の追及がそのまま物語の重厚感につながり、複雑化する関係の描写に生きてくる。比喩を少なく、筋書きの強さを信用した文学。ジャーナリズム的な事実追及による真相究明機構が、物語の機構として働きながら、リアリティーを失わない。時にリアルを逸脱する比喩が、荒唐無稽に思わせないのは、物語の成立している筋書きが恐ろしく精巧緻密ゆえ、思わず首肯してしまう錯覚に陥っているのかも知れない。まるで普段冗談を言わない人の冗談が、本当なのか嘘なのかわからなくなるみたいに。
★2 - コメント(0) - 2016年10月10日

「自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは~朝五時に起きた」これが物語の第一文である。のっけから持っていく作品である。様々な要素が絡み合い、何箇所もある分岐路をたどった後にナサールは殺害される。その分岐路の一つでも違っていたらこうはならなかった。喜劇は悲劇と表裏一体というが、確かにここまで殺されるという選択肢が重なると喜劇かもしれない。しかし人生に関して言えば今というのは数え切れない選択の末にあるものだから、どれが避け得たかというのは主観の入り混じった後知恵に過ぎないと思う。考えさせられる一作だった。
★8 - コメント(0) - 2016年10月10日

人生が自分の手にゆだねられているものではないという思いを強くする。殺した人間でさえ、ほんとうは殺さないですむことを望んでいた、というのは奇妙な気がするが、その矛盾する感情はいずれもまぎれもない真実なのだと信じられる語りの妙。読了後、自分の中にどこか捉えどころがなくもやもやとした思いを残していたのは、私自身がこうした「共同体」に属することを厭うタイプであり、おもに祝祭を通して顕在化しがちな無意識下の"民衆の総意"に小さな恐怖心を抱いている人間だからなのかもしれないと思った。
★16 - コメント(0) - 2016年10月5日

「百年の孤独」以来だが、この作者は共同体の不思議さを書くのが本当にうまい。偶然が重なりに重なって、十分に予告された殺人ーーしかも、望まれなかった殺人ーーは完遂されてしまった。何事にも説明を求める、われわれの本能をあざ笑うかのような殺人の記録だ。
★70 - コメント(0) - 2016年9月13日

予告された殺人、町の人の多くが殺人予告をしりながら、誰も止めなかった事件が描かれる。舞台はコロンビア、時代や国の文化が異なるが、とても詳細な記述によって、私らに訴えかける。語り手の視点で事実(もしくは想像)が書かれ、心理描写は少なく、個人の真意は分からぬまま、話は進む。偶然が重なった悲劇、華やかすぎる婚礼がその事件を引き立てる。本当に偶然だったのか?
★23 - コメント(0) - 2016年9月5日

4/5
★1 - コメント(0) - 2016年8月28日

初ガルシア。短いながらも凝縮された内容で、一度読み出すと頁をめくる手が止まらなかった。計算し尽くされた構成と緻密な描写はお見事としか言いようがなく、社会的背景を交えた上で淡々と語られる事件の裏側に隠された真相には感嘆。人間の悪意がもたらした悲劇を描いた傑作。
★9 - コメント(0) - 2016年8月24日

結末が最初に示される。というか、タイトルで殺人という言葉が示され、本分の一行目で誰が殺されるのかも明らかになる。そこから時が行きつ戻りつしながら、事件は進む。多大な数の登場人物。描写はいまでありながら常に過去である。事件から年月を経たエピソードに戦慄した。
★6 - コメント(0) - 2016年8月23日

次から次へと登場する人物の多さに一回読むのを断念。この人は誰なのか名前をメモしながら再度読み進める。町中の人達がこれから殺人が起きることを知りつつ、誰も止められない滑稽さが直球で綴られていた。「今すべきことは、サンティアゴ・ナサールに用心させることだ。謹賀新年、めでたし、めでたし」なんて能天気な台詞だ。
★7 - コメント(0) - 2016年8月22日

帰国後、初読み。切れ切れに読んだせいか奇妙な読後感。前に読んだ年寄りが娼婦を買おうとする話ほど強い印象は受けなかった。時差ボケも治ったので、ぼちぼちならしていこう。
★20 - コメント(0) - 2016年8月16日

魅力を私の頭では到底説明できないのですが、とにかくマルケス作品が好きでして。とくに本作は読みやすいのでおすすめです。
★1 - コメント(0) - 2016年8月13日

独特の語り口で、書き出しから惹き込まれて読み始めました。作品の時間軸があちこち行ったり来たり、登場人物の名前が前置きも説明もほとんどなくどんどん出てくるので人物把握に苦戦。話は面白いのですが、正直とても読みにくかったです。できるだけ間をおかずに一気に読みました。登場人物が証言台に立って話をしているような場面展開が印象的。
★2 - コメント(0) - 2016年7月27日

1年半ほどの間積読の末、遂に読了した。読み出すと止まらない面白さだった。様々な人間に予告され周知された殺人が、最終的にその予告通り成されていく。その一部始終が、なんだかスローモーション再生のように繰り広げられていく、そんな印象を受けた。 すべての謎が明らかにされるわけではなく、各々の証言と「わたし」なりの解釈のみが記され、後は読者の想像と解釈に委ねられる、というところも、余韻が残る読了感となった。
★9 - コメント(4) - 2016年7月18日

サンティアゴ・ナサールが雑過ぎる解剖で死んでからも惨殺されるシーンがかなり笑えた。個人的にやもめのシウスが可哀想。アンヘラの心情の変化が面白かった。
★6 - コメント(0) - 2016年7月11日

『百年の孤独』にひけをとらない素晴らしい小説でした!複数時制の過去をパイ生地のように重ねた完璧な構成にため息。また、豊かな筆致が描くカリブの母系制社会は、その血の濃さが感じられるほどでした。厳密な意味でのマジックリアリズムはないですが、ところどころの細かい描写に、現実をひょいと超えてしまったような可笑しさがありました。短いながら圧倒的な完成度に、読了後しばらくぼーっとしてしまいました。
★10 - コメント(0) - 2016年7月10日

読み終わったいまだに興奮しております。思わず読み返してしまうほどに。ヒロインは姦通相手について嘘をついている。この謎は永遠に解かれないんでしょうね。そう思うと余計に興奮します。
★6 - コメント(0) - 2016年7月6日

死に際のラストが最高。またユーモラスな文章、バージンに見せかけようとして失敗したり、豚切りのナイフ、兎の臓物、青いバナナ畑…土鍋で沸かしたラム酒入りのコーヒーをおれも飲みたいのである。
★11 - コメント(0) - 2016年6月29日

司教への怒りの矛先は、運悪くもサンティアゴ・ナサールに向かった。 暗黙の了解。その予告を知らないのはサンティアゴ自身と、その家族だけだった。 証言を組み合わせた文章、時間軸は前後し、誰が正しいのか分からない。サンティアゴも、叩けば埃が出るような人物だったとは言え正当な理由なく殺された可能性の方が高い。真実は闇の中。一人を血祭りに挙げて自分たちの不満を晴らす大衆感情の恐ろしさ、今の日本社会の風潮に似ていないだろうか。
★28 - コメント(0) - 2016年6月21日

予告された殺人の記録の 評価:70 感想・レビュー:598
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