ソーラー (新潮クレスト・ブックス)

ソーラー (新潮クレスト・ブックス)
あらすじ・内容
太陽光エネルギーでひと儲け! エルサレム賞、ブッカー賞作家が描き出す現代社会の懲りない面々。

狡猾で好色なノーベル賞受賞科学者ビアードは、同僚の発明を横取りしてひと儲けを狙っている。彼を取り巻く、優しくも打算的な女たち。残酷で移り気なマスメディア。欺瞞に満ちた科学界とエネルギー業界。ひとりの男の人生の悲哀とともに、現代社会の矛盾と滑稽さを容赦なく描き切る、イギリスの名匠による痛快でやがて悲しい最新長篇。

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ソーラーはこんな本です

ソーラーの感想・レビュー(196)

書評の、マキューアンの作品で最も笑えて最も悲しい、というのがまさに。どうしようもない男とどうしようもない周囲の人々を描く筆には、たくさんの皮肉とちょっとの同情が込められているように思う。科学的な知識があればもっと楽しめるのだろうが、なくても充分面白い。誰かの悲劇は誰かの喜劇。自分の悲劇も誰かの喜劇。やっぱり上手いなぁ、マキューアン。
★8 - コメント(0) - 2月17日

チビデブハゲと三拍子揃い、女と見れば口説かずにはいられず、食べ物を目にすると食うことしか考えられなくなる自堕落ノーベル賞受賞者のお話。マキューアン的ブラックユーモア、なのかな。スノーモービル事件とポテチ事件は大いに笑わせてもらった。終盤はコメディ映画で結婚式当日に昔の恋人が現れる的なベタな演出で、ニヤリとせずにはいられない。けど全体的に読みづらさを感じたのは、文体からコメディなのかシリアスなのかを掴み辛かったから。にしてもこのおっさん、モテすぎである。科学云々はすっとばしましたごめんなさい。
- コメント(0) - 2016年10月10日

明日のことも考えない自堕落な中年が、未来のエネルギーを語るというプロットからして皮肉の効いた小説。ノーベル賞を人生の無賃乗車券と言う様なクソ男がただただ自堕落に生きることへの恍惚の描写が、それに対する罰の描写と拮抗しながら物語が進んでいく(常に恍惚が上回るが)のが堪らない。マキューアン的な、あまりにマキューアン的なこの結末の向こうにも、さらに自堕落さへの賛美が続いている予感があり、これこそが本当の結末なのではと思わせられる。本当、なにから何まで油っぽい小説(こってりとした、ではなくて)。
★3 - コメント(0) - 2016年7月15日

地球温暖化で危機が叫ばれてもシェール・ガス革命で化石燃料による発電を続け、原発と温暖化では原発の危機を選ぶ現代社会。水を分解して水素をエネルギーに使うにしても金儲けが絡んでくる。そういう現代をデブでチビでハゲのノーベル賞受賞科学者ビアードに象徴させた小説。目先の欲望を満たすことから逃れられないビアードは滑稽だけど、愛おしさも感じさせられる。専門の科学者への丹念な取材によるディテールの確かさは、やはりマキューアンだ。
★11 - コメント(0) - 2016年6月4日

愛くるしいチビデブのおじさん。 飽きもせず自分の欲求に忠実に生き続け、何より自分が一番大事な、このおっさんの行く末は・・・ でもなんだか憎めない、このおっさん視点のストーリーは絶妙。 「ストーナー」とは違ったおっさんの人生をまた垣間見たきがする。
- コメント(0) - 2016年1月18日

頭はいいが性格はかなり難ありなノーベル賞受賞科学者マイケル・ビアード。自分の破滅から目を背け続けた男の悲喜劇
★2 - コメント(0) - 2015年6月21日

たまたまノーベル賞を受賞してしまった、おおよそ魅力的とはいいがたい(けれどなぜか一部の女性にモテる)物理学者の主人公が太陽光発電を事業化しようという話。けれど話の中心は、彼を含めた登場人物の8割位の救いがたい俗物さと安っぽさで、そのため、スラップスティック・コメディのなりをしている本書は、あまりに寒々しく、到底笑えなくなっている。けれど、おそらくそれはマキューアンの意図なのだろうと思う。読んでいてなんだかものすごく居心地の悪い気分になってこそのマキューアンだものね!(多分)
★7 - コメント(0) - 2015年4月13日

イヤミなまでに知的、かつどうしようもなく下世話な、マキューアン一流の高級な喜劇。性欲、食欲、金欲、名誉欲、自己満足欲と、主人公のみならず登場するあらゆる人々のあらゆる欲望がオーケストラで鳴りわたっていて壮観。最後の最後、最大の欲望の成就を前に、破滅へと急降下する主人公の胸に初めて沸き上がる本物の愛情、そしてその瞬間に幕切れ! またもやマキューアンに痺れた。ロンドンでデートしたい(まじで)
★3 - コメント(0) - 2015年1月10日

ずっと、気になって読むのを楽しみにしていたのに、年をまたいでの読了になってしまった。話としては、ノーベル賞をとった学者さんが主人公ということで、僕の好きな物理や科学要素がたっぷりだったし、ドタバタコメディ、風刺も辛口、下半身の話も加わり、最後はブラックと悲哀でっと、まぁまぁ盛りだくさんなお話。本当はとっても面白いのでしょうが、訳された日本語の悲哀か・・・その面白さが文章の読み難さで半減!ここは、原文に忠実にというより、スピード感を大事にしたり前後の文脈を壊さないような意訳で良いのでは?と思うのでした。
★40 - コメント(0) - 2015年1月7日

★★ 非情に読みづらく、ストーリーも頭に入りづらく、多分自分には合わないのであろう。
★1 - コメント(0) - 2014年8月5日

作者の小説は『アムステルダム』と本書の二冊を読んだだけだが、おそらく次のような特徴を持つ作家だろう。まず、時事・社会問題をテーマに取り入れる。しかし説教臭くはなく、ユーモアと皮肉をもって物語とする。詩情を武器に一瞬をつかみ取ったり私小説的な語りをするタイプではなく、虚構の人物と物語を丹念に作り上げる。本書は物理学者が主人公の皮肉っぽい喜劇である。雰囲気としては一貫して喜劇なのだが、生来のだらしなさから主人公が破滅する姿が目に見えており、特に終盤は破滅がどこから飛んでくるか分からない緊張感に満ちている。
★3 - コメント(0) - 2014年8月2日

このおじさん、腹立つなぁと思いながらも目が離せなくなります。不思議なおじさんのお話です。
- コメント(0) - 2014年6月30日

科学の話になると眠くなって、読むのに時間がかかっちゃいました。 嫌なやつなんだろうけど、なんだか憎めないビアード。最後に今までのつけが回ってどうなるのと思うが、きっとうまくかわして最悪にはならずになんとなく良いところに落ち着くんじゃないかな〜? 人生もうまくいかないと思いつつも、最悪だと思いつつも、それなりに良いところに落ち着くんじゃないかな?なんて思ったりした。
★2 - コメント(0) - 2014年6月23日

主人公が犯した罪は一体何だったのか。誰の目にもダメ人間として映る彼。自堕落、強い自己愛、そして誰をも愛さない。でもこれらは誰でも少なからず持っているもの。唯一罪のように見えるアイデアの剽窃だって、彼が形にしなければ誰一人見向きもせず埋もれていたもの。それよりノーベル賞科学者という彼の威光にたかり、食い物にし、それが翳れば巻き添えを避け保身に走る人々や社会の歪んだありようがより罪深い。悪運強く渡って来た主人公にも、最後に貯まったツケが一度に回ってくる。最後の最後、全てを失なって初めて愛するものに気付く皮肉。
★56 - コメント(5) - 2014年6月14日

風刺も効いてて面白そうな話のに、何故か読み辛かった。ポテトチップスを間違って食べる話がおかしい。
★2 - コメント(0) - 2014年5月11日

なんとなく憎めないビアード。どちらかというとビアードをイラつかせる科学を理解してない人の発言に同じくイライラしたりして。
★2 - コメント(0) - 2014年4月24日

1回目に読んだときはよくわからなかったが、これは作者が考える新しい悪の形だ。決して狂暴でも凶悪でも無慈悲でもないが、常にだらしなく利己的で将来を考えない。読者に、思い当たる節を多いに持たせるに違いない。読んでいてイライラしたら、あなたも仲間だ。☆☆☆☆。
★2 - コメント(0) - 2014年3月18日

主人公のビアードは最悪な男だが、なんだか憎めない。人間みんな、究極的にはだらしなくて、欲深くて、こんなものなのかも?
★1 - コメント(0) - 2014年1月16日

コミカルでシニカルで、マキューアンらしい毒を含んでるけれど、今までに読んだ彼の作品の中では、一番とっつきやすかったと思う。主人公があまりに無様だったり情けなかったりダメ男だったりで笑っちゃうんだけど、それだけで終われない後味のざらっとしたかんじ。
★2 - コメント(0) - 2014年1月11日

どこまでも自分勝手な主人公。自分の欲望に忠実で、身の破滅を目の前にしているのに、自分は大丈夫だろうと楽観的に考える図太さに力強い生命力すら感じた。 主人公は現代社会そのものだというあとがきもおもしろかった。文章も読みやすかった。
- コメント(0) - 2013年9月13日

イアン・マキューアンの『ソーラー』を読了。「マキューアンが科学モノ?」と若干訝しげに思いながら読み始めましたが、風采の上がらない、でもノーベル賞を受賞していて、しかも女ったらしという、あまり愛せない主人公の栄光と没落を描いていて、題材は異なれど、マキューアンそのもの。感触としては『アムステルダム』に近いけど、こちらの方が笑いが多い。
★2 - コメント(0) - 2013年7月27日

イアン マキューアンってこんなに面白かったか?というほど笑った。物理学などさっぱりわからないが、新エネルギーはこれまでも、最近もしょっちゅう取り上げられる話題で関心があるから興味深いし、人工光合成は少し前にNHKでも放送されていた。 主人公ははちゃめちゃな人物だが、憎めないところもあり、これからの運命を思うとかわいそうになってくる。そんなことをしたら、どこかでボロが出るよ、と忠告してあげたい気持ちになる。 でも、これまでもなんとか切り抜けてきたのだから、なんとかなるのかな。
★2 - コメント(0) - 2013年7月1日

今まで読んだ著者の作品のように陰惨でもなければ、乾いた感じがするわけでもないのだけれど、主人公の行く末があまり芳しくないことが予想されて、ノロノロ読みしかできなかった。世間一般でいう成功と愛情というか人間としての本来の幸せとは両立しないものなのだろうか。
★3 - コメント(0) - 2013年6月15日

あまりに滑稽な主人公だが、「節電や省エネではエネルギー問題は解決できない」という講演には同意。
★2 - コメント(0) - 2013年5月27日

すごく長く感じた。ほぼ行動説明文だったので、なかなか途切れなくて大変。読むのが大変だった
★1 - コメント(0) - 2013年4月18日

「分かっているけど結局こうやってしか過ごせない自分」が何年経とうと変わらないという実感は苦しい。珍しくきれいな(まとまった)ラスト。しかし今までの妻・恋人達への欲求も愛だと思うのですが、ちがうのか。
- コメント(0) - 2013年1月23日

相変わらずの切れの良い皮肉とユーモア。 物語として面白いかという問題は置いておいても、あまり普段の生活では見せてもらえない人生の一つのあり方を示していると思う。
★1 - コメント(0) - 2012年11月30日

ノーベル賞記念、というわけではないが。欲がなければ名誉を得るのはなかなか難しいのは事実だと思う。このへんの皮肉り方がうまくて、おもしろいなぁ。
★4 - コメント(0) - 2012年10月28日

こ、これが恋?って…アンタ……いや、笑うとこじゃないんだよ。ま、いっか。な生き方、他人事とは思えない。ここまでじゃないとは思うけど、彼もきっとそこまでじゃないと思ってるんだよね。
- コメント(0) - 2012年6月24日

主人公マイケル・ビアードのだらしなさ、ずるさ、不器用さ、自分への甘さ、それらが滑稽であればあるほど、どこか痛々しく人ごととは思えなくなる。自分自身の嫌なところ、隠しておきたいところが、ビアードを通して晒されているようだ。北極ツアーの数々のエピソードなど抱腹絶倒ものなのだが、第二部第三部と進むにつれ、ビアード個人よりも現代社会の欺瞞と愚かさが恐ろしく、笑ってる場合じゃないぞと重苦しくさえなった。とても面白いんだけど、とても考えさせられる魅力ある小説だった。
★5 - コメント(0) - 2012年6月17日

好きじゃないけど嫌いきれない、そんな主人公。自分の欲望に正直。誰もがもつ自分でも見ないフリをしたい面を全開にしてひたすら突っ走るからなのかしら。ずるすると引きずられる。重い、澱のようなものがのこる。
★15 - コメント(0) - 2012年6月5日

マキューアンの強烈な皮肉とユーモア。主人公のダメ男ぶりにひたすら同情しつつ読み進めていくと、自分と主人公を切り離して考えられなくなる。初期の変態小説もよいけれど、こんなマキューアンもいいなあ。器用な書き手という印象を持った。
★3 - コメント(0) - 2012年6月4日

原著は2010年刊行…かったるい前半を我慢すれば面白くなっていくんだろうと思いながら最後までそのままだったときの喪失感というか虚脱感を味わうには最適かも…ファイナンシャルタイムズが現時点での彼の最高傑作と評しているのを信じるならば他作品は別に読まなくてもいいかなと思った…発行:2011年8月25日…本体2300円
★2 - コメント(0) - 2012年5月6日

文学めかしたモンティパイソンじゃねえか!
- コメント(3) - 2012年5月4日

憎めないところもあるけど最悪な主人公。自分はこんなヤツじゃないと断言できないのが辛い。楽しくページをめくれるけど、やっぱり読後感は重たかった。
- コメント(0) - 2012年5月3日

ノーベル科学者マイケル・ビアードはでぶチビではげ!5人目の美しい妻パトリスとの結婚生活は終わりを迎えており彼女はいそいそと浮気。そんな彼は何度も浮気をしているが…。招待された北極ではあわやイチモツが凍ってポロリ?部下がまさかの…?そしてパトリスとの結婚生活を終わらせ、情熱的な女メリッサと関係を結ぶが、彼女は彼を欺き、事実上ふたりの間に子どもをもうける…。間抜けな人間ドラマにみせかけて、地球規模で信仰する温暖化…倫理よりも欲望を優先してきた人類にとって火急の課題となるエネルギー問題を読者になげかけている。
★5 - コメント(0) - 2012年4月25日

なんだかマキューアンらしからぬポップな表紙絵。どんなお話かと思いきや、ちびでデブでハゲでノンモラルなスケベジジイが主人公。もうねー、このおっさんがほんとダメ男でどうしようもないの!そりゃ嫁にも逃げられるって!と、全く同情に値しないのだ。でも、どうにも憎めないんだよねえ…。何度も何度も神様のお仕置きらしき大ピンチに見舞われるのに、どうにかこうにか乗り越えてしまう。その様が情けなくも軽快でどうしようもなくニヤニヤしてしまう。苦い中にも少しだけ希望が見出せるラスト。人間の業って…とかぐねぐね考えてしまう。
★15 - コメント(0) - 2012年4月16日

マキューアンぽくない表紙と思ったら中身はマキューアンの意地の悪い部分フルスロットルのひどい話(褒め言葉)。理不尽で無様な災厄も降り掛かる人が人だとコミカル…なようで、著者の他の作品でしばし見られる「この陰惨な場面でボケるか」という黒い笑いを抽出して全編つっ走っているようで、それも主人公がアレだとそれほど陰惨ではないと油断して笑っているうちに三百ページ過ぎた位で知らない間に体内に蓄積された黒さが致死量に達してくる。読者にとっての「今」「ここ」を使う上手さ、という共通点もあって「土曜日」と好対照。
★2 - コメント(0) - 2012年4月13日

己の欲望しか念頭にないアホなおっさん科学者の話を読んでいた筈なのに、ページが進むにしたがって笑えなくなる。これって本当は誰の話?
★2 - コメント(0) - 2012年3月28日

3ページに1回は笑った。そのうちの5回に1回は声に出して笑った。しかしウディアレンのインテリコメディを見ている時のような白々しい気分になってしまうのは性格上致し方ない。
- コメント(0) - 2012年3月27日

ソーラーの 評価:90 感想・レビュー:92
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