メモリー・ウォール (新潮クレスト・ブックス)

メモリー・ウォール (新潮クレスト・ブックス)
あらすじ・内容
思い出せない、最愛の人の言葉。脳裏から離れない、ある夜の景色。

記憶を保存する装置を手に入れた認知症の老女。ダムに沈む中国の村の人々。赴任先の朝鮮半島で傷ついたタンチョウヅルに出会う米兵。ナチス政権下の孤児院からアメリカに逃れた少女――。異なる場所や時代に生きる人々と、彼らを世界に繋ぎとめる「記憶」をめぐる六つの物語。英米で絶賛される若手作家による、静謐で雄大な最新短篇集。

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メモリー・ウォールはこんな本です

メモリー・ウォールはこんな本です

メモリー・ウォールの感想・レビュー(335)

DEE
記憶というものをベースにした短編集。 カートリッジにいれた記憶をただ機械で思い返す認知症の老婆。ダムに沈む運命の村の記憶。 不妊治療中の夫婦の、まだ見ぬ我が子の思いとそれまでの記憶。 記憶とは過去の夢のようなもので、今思ってることは所詮はその集積物でしかないのかもしれないと、ふと思った。
★7 - コメント(0) - 3月20日

『すべての見えない光』を先に読んでいたので、「来世」は『すべての~』と繋がっていると思えた。先に『メモリー・ウォール』を読んでいたら逆の感想なのだろう。胸に残るのは、哀しみと怒りと、風に震えるあかり。ちいさな光の余韻。
★1 - コメント(0) - 3月18日

悲しい話ばかり、でもとても美しい。すっかり作者のファンになってしまいました。「メモリー・ウォール」では、記憶を失った老女の記憶に大きな秘密が隠されていてそれを見つけようとする少年の行動に不安を抱いたが、クライマックスは明るい希望がほの見えた。「来世」のナチの強制収容所送りを免れた頻繁に癲癇を繰り返す少女が老女になり、少女の頃を思い出す場面は切なく悲しい。
★9 - コメント(0) - 2月19日

長編『すべての見えない光』があまりにも良かったので、ちくちく大切に少しずつ時間をかけて読了。こちらも全編、失われつつあるものへの静かな悲しみが漂う珠玉の6編。なんといっても表題作と最終話が印象的だけど、『ネムナス川』も好き。
★45 - コメント(1) - 2月9日

『記憶』にまつわる六つの短編。激しい物語の展開があるわけではない。起承転結すらはっきりしない。それなのに様々な時代を生きる様々な境遇の人々が記憶に縛られ、記憶の中の何かを拠り所に生きる姿は読者の心を抉り掻き乱す。最終的にはほんの僅かな物でも温かな希望を残してくれるので読後感も悪くない。『来世』が特に好きかな。強制収容所に送られたユダヤ人の孤児達の記憶。誰かの生きた証。悲惨な死に様。全てを記憶してより良い世界について考えることだけが、今を生きる僕たちに出来る唯一のことだと思う。
★24 - コメント(0) - 2月9日

昔は苦手だった短編小説がどんどん好きになる。いろんな国のいろんな時間軸の物語に、自分の中にあるさまざま過去や未来への思いが共鳴して、とんでもなく懐かしく切ない気持ちにさせられる。「生殖せよ、発生せよ」では昔つらかった不妊治療を思い出し、「一一三号村」では山奥の故郷の30年後を想像して少し苦しくなった。
★7 - コメント(0) - 2月8日

素晴らしかった。読み終わったあと、表題作だけもう一度読む。短編なんだけど短編じゃないボリュームに圧倒された。しつこいけど、素晴らしかった。「113号村」立ち退き地区に二人きりでいる、終わりに向かっていく静かさ。ホタルの場面なんか特に。自分はここにいながら、ずっと曇りガラス一枚越しに見てるようだった。
★43 - コメント(0) - 1月29日

『すべての見えない光』を読んだ時、短い断章を重ねていく文章のスタイルに、まるで短編をたくさん読んでいるような気分だった。これは同じ作者の短編集。やはりこの作家は短編が素晴らしい。認知症が進む老女、息子を案じる父親、両親を失った少女、様々な境遇に置かれた登場人物たちの苦悩や安らぎが、手に取るように理解できる。不妊治療を描いた作品は、かつて治療を受けていた私が、なぜ作者はこんなことまで理解できるのだろう、と驚くほど。どの作品も心に訴える力が強くて読むのが辛い部分もあるが、きちんと救いがある。
★5 - コメント(0) - 1月27日

san
それぞれ異なる時代や舞台を背景にして自由に描かれた物語が、「記憶」という糸でつなげられた短編集。例えば、両親を失った少女が、新天地のリトアニアで出会う自然や人々、そこから起こるささやかな奇跡を描いた「ネムナス川」や、ナチス占領下、ホロコーストから脱出した少女の記憶と老女の現在を描いた「Afterworld」など、壮大な自然と繊細な人の営みに向けられたまなざしが印象的です。岩本正恵さんの静謐な印象の訳文も心にしみます。
★7 - コメント(0) - 1月26日

この作者はとても愛に溢れていて、本を読み終えてしまうのが本当に惜しい。そしてどんなにせつない状況でも必ず救われる状態で話しを終わりにしてくれるので心がじんわりと暖かくなる。 この本を読み終わったのが、お正月、連休明けの10日の朝、現実の世界になかなか戻れずにいる(笑)
★6 - コメント(0) - 1月10日

あまり感じることはありませんでした。思い切りゆっくりと読まなくてはならないのかもしれません。起承転結はありませんから。
★1 - コメント(0) - 2016年12月25日

記憶を失うことも、囚われることも同じくらい恐ろしく哀しい。けれど記憶は希望につながっている、そう言い切る作者が言葉で紡ぐ世界が深く美しくないはずがない。記憶を移したカートリッジを挿入するポートが頭に埋め込まれているようなSF的な設定すら詩的で抒情的であるので、壁一面に張られた備忘録メモが風でざわめく様などなおさら。表題作「メモリーウォール」の数々の記憶と「来世」の奇跡的にナチス政権下を逃れた女性の、死んで行った者たちへの記憶と邂逅が印象深い。仕事の休憩時間や病院等の待ち時間ではなく、じっくり読むべし。
★8 - コメント(0) - 2016年12月15日

国も背景も違う短編で面白かった。不妊治療の話はすごく考えさせられた。
★2 - コメント(0) - 2016年12月14日

記憶を持たず生きることは果たして、真の意味で生といえるのか。記憶を喪うということの哀しさ、絶望、大きな恐怖感が渦まき、迫ってきます。その一方で、私はこの作品を読んで、たとえ自身の記憶が失くなり、肉体が滅びても、人は、誰かの記憶の中で生きていくことができる。誰かの心の中で生き続けることができるのだ。若く新しい誰かの命と繋がっている。命は、めぐるのだ。そう思えました。大いなる自然と、人間の生命と記憶が織りなす協奏曲のような短編集は、波浪のように厳しい生きることへの、かすかで、たしかな望みを与えてくれます。
★50 - コメント(2) - 2016年12月14日

再読
- コメント(0) - 2016年11月30日

記憶がキーなんだろうけど、個人的には家族というのがしっくりくるかなーと思う。あ、でも表題作にはちょっと違うか。様々な形でのつながり、関係というのがしっとりと描かれているような。ちょっと皆老成というかなんというかしているようにも思えたけど。
★7 - コメント(0) - 2016年11月5日

ドーアさんの作品世界、本当に好きだなあ。市井の人々の人生に対する共感性と、全体に流れる「愛惜の情」がしみじみ沁みるのだった。怒り、抵抗よりも受容と優しさを語ることが今の自分には合うのだろう。「メモリー・ウォール」のルヴォが、自分の余命を考えた上でとった行動。20台前半の若さで、エスターを支えたロバートの述懐。若人達がやけに老成してるなあとは思うものの、彼らの善意と優しさにも泣かされる。まだ読んでいない「シェル・コレクター」が残っていて本当にうれしい。多作な作者ではなさそうだが、もっと書いてほしいな。
★24 - コメント(0) - 2016年10月26日

記憶にまつわる短編集。作者の死生観(ダムになる村も死にゆく者として扱われているような)や自然やそこに住まう生き物への畏敬の念がちりばめられると同時に不妊治療がとりあげられているのも面白いバランス。ネムナス川と来世、が特に良かった。短編の中に暗示の様な細かい章わけがされている手法も好き。「子供時代はあちこちに埋められている。埋められた子供時代は、一生ずっと、その人が戻ってきて掘り出してくれるのを待っている」
★4 - コメント(0) - 2016年10月22日

閉じ込めた記憶を他人が利用する危険にハラハラするし、受胎を待つ女の幼時の記憶が命を繋ぐ神秘に震える。別れた妻を許すのも息子の言葉と記憶のおかげだし、いとも容易く消滅させられていく村が遺した記憶は何処へ行くのか、虚しさが突き刺さる。土地の痕跡を探り生き残った罪悪感を癒すように老女は発作と夢の中で少女達に再会する。弱者や女性が主人公の作品が多いのは、作家の心が寄り添えるのは彼ら彼女らと告げているのか。優しさの奥に強者の卑劣さ、暴虐への怒りが込められ、その思いが大きな勢いとなり私達を惰眠から目覚めさせるだろう。
★40 - コメント(2) - 2016年10月21日

アンソニー・ドーア3冊目。この本もまた、読み終えるのが惜しかった。自然と共に、詩、哲学のようなものを何度も感じた。『メモリー・ウォール』のような物語があることに驚いた。中国が舞台の『一一三号村』では、ホタル舞う美しい谷川、種屋のおばさん、種そのものにもひきつけられた。『ネムナス川』では、シンシア・ライラントの『メイおばちゃんの庭』を思い出した。『来世』では、強制収容所に送られたユダヤ人の孤児のたちへの愛情を感じた。人は死んでしまっても、その人のことを記憶している人の心の中でまだ生きている。
★36 - コメント(0) - 2016年10月16日

好きな本を読み終えてしまうのはひどく寂しい。終わったら、その世界からはじき出されてしまいそうな気がして心細くなるからだ。だから最後の章は何年も読まずに置いてあった。しかしドーアの新作が日本でも翻訳されたのを期に読み始めた。不思議なことに本作は終わりが近づくにつれ、文字におけるひとつひとつが酸素のように体中にいき渡り、自分の心を充たしてくれる。それでも終わりがくることは悲しい。でも今は「終わりがきても大丈夫」と、身体の中に行き渡って完成されたストーリーが自分を支えてくれる。
★10 - コメント(0) - 2016年8月30日

各篇それぞれが、なんらかのかたちで記憶にまつわる物語になっている。重々しいわけではないのに、芯がある雰囲気。表題作もよかったけど、「ネムナス川」「来世」がお気に入り。現在形の訳文も好みでした。
★4 - コメント(0) - 2016年8月8日

過去から現在へ、記憶から想像へ。国も時代もこえ、物語の限界をこえようとする静謐な語りが淡々と繊細に広がってゆく。そこで起こっていること、流れている時間、過去の記憶。それを思い出すこと思い出せぬことの境界を巡らせば、手の届かぬ悲しみを思う。すべては遠く、それでいて私たちの抱える心と近しい。そうして読みながら世界の深みを思う。「メモリー・ウォール」の記憶を見る者が記憶を保つ者と出会う様、自分ではどうすることもできぬ過去と心に身動きできなくなる文章、「来世」での“待つ”という果てしない生が苦しくも鮮烈に響いた。
★37 - コメント(2) - 2016年7月24日

間違えて二冊購入してしまったから、浅薄な内容だったら許さないからね! という八つ当たりぎみの警戒心とともに読み始める。「記憶」がテーマとのことだけれど、どの物語も、何かを失った/失いつつある人たちを描いていて、ある意味ではこう…どう転んだって悲しくなってしまうようなテーマじゃあないだろうか(この辺りまではまだヒネクレた気持が残存)。でも、お涙頂戴という感じではないから、読み進むにつれて結局この静かに染み入るような雰囲気に染み入られ、はい、結局、よかったです。先日亡くなったS.レンツに似ている、気がする…
★19 - コメント(0) - 2016年7月20日

「シェルコレクター」が忘れられず読んでみましたがこの短編集も印象深い作品ばかりでした。どれもどこか哀しみを帯びつつほんのり希望が感じられる話で、読んだ後に余韻がじわじわと沁み出してくる。現在形短文でシャワーのように浴びせる情景描写は独特で、読むというよりも、右脳を総動員させ″感じる″読書。その感覚がとても新鮮です。記憶をカセットに保存し美しい思い出に浸る老女の近未来の話の表題作、ダムに沈みゆく美しい村を描く「一一三号村」、ユダヤ人女性の記憶を辿る「来世」が好き。アンソニードーア、クセになります。
★73 - コメント(0) - 2016年6月6日

「来世」で泣いた。「記憶」がテーマの短編集。ひとつのテーマをここまで深めて昇華した短編集ははじめて読んだかもしれない。すごかった。
★4 - コメント(0) - 2016年5月13日

科学と文学の融合。 すごく読み応えがあった。
★3 - コメント(0) - 2016年4月3日

「メモリー・ウォール 」はケープタウン郊外の白人老婆の家。「生殖せよ、発生せよ」は、ワイオミングで避妊治療中の若夫婦。「非武装地帯」は38度線にいる弟からの手紙がアイダホの兄に届く。「一一三号村 」はダムで潰れる中国の村。「ネムナス川 」はリトアニアでチョウザメ釣り。「来世 」はナチス政権下のハンブルク時代をまだらに思い出すオハイオの老婆。そして筆者はクリーブランド生まれアイダホ在住。作家の創造力は世界を巡る!
★5 - コメント(0) - 2016年3月1日

図書館本。★★★★☆ 六つの短編。「シェル・コレクター」の作者。この作品集も劣らずいい。特に後半3編はテーマでもある「記憶」が主人公達にあっては、より鮮やかでより悲しくて、時間によって薄まることなど無いと。
★50 - コメント(0) - 2016年1月21日

★★☆☆☆表題作はふつうなら盛り上げるべきところであえて盛り上げることをせず、ひたすら淡々と物語が展開していくのがあまり効果を発揮していないような気がして、読み方を間違えたのかなと思ってしまった。散文的な文章はかえってしみじみとした情感があるにはあるのだけど、設定倒れになっているSFガジェットを含めて味気なさのほうだけが残る。これはほかの短編にも言えることで、手を替え品を替え同じことをしているだけなので、途中から飽きが来てしまった。訳文の影響かもしれないが、同じ語りでこれを延々とつづけられるときつい。
★1 - コメント(0) - 2016年1月15日

何時までも残るものは何も無い。生を形作る記憶でさえ、曖昧で儚い。それでも忘却に逆らおうとする人の姿に胸が締め付けられる。記憶をめぐる六つの物語はどれも素晴らしく、静かな哀しみを漂わせていたが『来世』がとても良かった。たとえ記憶を呼び起こす術を失くしても、自らが朽ち果て、それを知る者も全て消えてしまっても、記憶は密かにそこに在り続ける。「子どもたちは暗闇を押し戻す。記憶をパンくずのようにまき散らして進む。世界は作り直される」
★42 - コメント(1) - 2016年1月5日

図書館。話題の作家、いかにも好みな題材ということで読んでみました。が、あら、いまひとつ。文章が合わなかった。気が散ってしまう。ナチス関連の本を読み漁りたいとかれこれ5年くらい思ってるのを思い出した。
★2 - コメント(0) - 2015年11月4日

どれも素晴らしかったけど、「来世」が同じ新潮クレストブックスの「サラの鍵」とオーバーラップして涙なしに読めなかった。誰かにとってはとるに足らない記憶でも、自分にとっては自分の生を作る大切なもの。出会えて良かった一冊。
★5 - コメント(0) - 2015年10月26日

表題作は自己中心的で思いやりのないアルマの崩れゆく記憶に顔をしかめましたが、その記憶のおかげでルヴォは道を選んだのが救い。「生殖せよ、増えよ」は辛く、効果が見込めるとは思えない不妊治療によって二人の愛が徐々に失われてしまう描写が痛々しいです。互いの愛の証明は子ができることではないと思う。だけど世間では子ができるのは愛があるからだと思うのが根深くて鈍感にも二人を傷つけ、互いに傷つけ合わせるように仕向けてしまう。だからこそ、最後のハーブの「僕を愛してくれといってくれ」と電話越しに伝える言葉が切なすぎる・・・。
★51 - コメント(1) - 2015年10月24日

ネムナス川がよい
★2 - コメント(0) - 2015年10月12日

mi
読んだことのない(実はずっと私のなかにあったような)内容と記憶のような小さく区切られた構成と美しい比喩、にため息が出る。本を読むことは私が遠くへ行くことだったが、この本は遠くからやって来て、扉を閉じても、はみ出して来て、日常について来た。読む、前と後、では何かが変わっている。新しい大事な忘れられない大切な思いでを脳に書き込まれたように。
★14 - コメント(0) - 2015年9月19日

素晴らしい。こんなにも静かで深い世界を紡げるなんて、なんて豊かな想像力なのだろう。想像力、想像力は希望だと思う。ひとは、どこまでゆけるのだろう。
★3 - コメント(0) - 2015年9月3日

ネムナス川が好き。「光を吸って色を吐く」私も真似してみようと思う。
★2 - コメント(0) - 2015年9月1日

メモリー・ウォールの 評価:100 感想・レビュー:155
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