ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)

ジュリエットの感想・レビュー(43)

苦い出来事も多く、描かれ方も薄日のように淡いごく普通の女性達。読んでいて少し息苦しさを感じるほどだが、本から離れたとき自分の胸の内に彼女達がいる事をはっきり感じた。ふとした瞬間に誰かに置き去りにされたりしたり、自分という個の存在、愛する身近な人達、恋、家族に対する自分の立場…たくさんの日々の思いが詰まっている本であった。マンローで1番好きかもしれない。くり返しくり返し読んでも新しく見えるものがある大人の本。大切にしたい本。
★6 - コメント(0) - 1月22日

アリス・マンローの短編集。やはり映画化されたジュリエット3作が印象的だった。いつもながらアリス・マンローの物語は予測不可能で、まるで人生そのもののようで、登場人物と一緒に振り回され、少しだけ傷ついたりする。それでも何となく慰められるのは、人生に傷ついているのは自分だけでないと思えるからかもしれない。
★4 - コメント(0) - 1月20日

「一日のうちに、数分のあいだで、すべては駄目になった。そういうことは、難しい問題が起きたり、希望を持ったり失ったり、ときおりそんなことを繰り返しながら長い時間をかけて駄目になるほうが多いのだが、そうではなかった。そして、物事というのはたいてい駄目になるものだというのが本当なら、早いほうが耐えやすいのではないか?」描かれなかった時間やほとんど登場しない人物までもが存在感を放つから、マンローの短編はこれほどの重量を持つのだろう。「女にはいつだって何かあるでしょ、前へ進ませてくれるものがね? 男にはないものが」
★7 - コメント(0) - 1月20日

重たい話ばかりなのに感傷を感じずに読めるのが面白いと思いながら読みました。アリス・マンロー。また読みたいです。
★4 - コメント(0) - 1月16日

★★★☆☆図書館本。ちょっとした偶然、ちょっとしたボタンの掛け違いが人生の別れ道となる。そしてそれが幾つか重なれば、後からあの時のあの岐路は…と思うだろうか。思ったところでほとんどの場合は、もうそこにたち戻ることはできない。重厚である事を感じさせないサラサラとした乾いた読み心地。駆け足で読んでしまったが、もっとゆっくりじっくり読めば更にマンローの良さを味わえたと思う。『パワー』に惹かれた。
★23 - コメント(0) - 1月15日

思いも寄らず人生に触れてしまった。日々が確かな手触りで積み重なり、時を刻んでゆくのを、物語を通じて目の当たりにした心地。抱えた心情は、きれい事に終わらない。ときに誰かを傷つけ、ときに心を痛め、失い、打ちのめされ、ときに抱える醜い感情すら、涙をこぼしたことすら、たいしたことではなくなるほどに、否応なく生きることは続く。人生にはいろいろなことが起こる。罪の意識さえ、やがて些細なことになる。そうでなければ、そう思わなくては、人は生きてゆけない。日々を重ねて生きることの核心を突くような瞬間を彩る容赦ない物語たち。
★26 - コメント(0) - 1月8日

人生の岐路というには軽いような重いようなそんな瞬間がある。マンローの短編は好きだが、ここにもう極まれりという感じ。ジュリエットが主人公のの3部作より「トリック」と「パワー」。短編だが長編よりドラマ性が濃く、それでいて甘くない。人生は辛辣だと思うほど若くもないし俯瞰して見るほど悟ってもいないが、主人公の目線に共感できた。マンローの筆致に唸るばかり。
★9 - コメント(0) - 1月7日

しみじみ良かった!表題作の連作短編が特に。長い人生の中の一時期を切り取った物語は、多くを語ってはいないのに、行間から香りたつような人生の気配に思いを馳せたくなる。ゆっくりと読むのが向いてる気がした。
★15 - コメント(0) - 1月5日

さまざまな「女の一生」が描かれた短編集。人生の岐路はあのときだったのかも!と気がつくのは、きっとずっと後のこと…。しんしんと降り積もる雪がごとく孤独感を感じる、人生の冬の時期(老年期)になったとき、かもしれないと思った。心の機微が繊細でリアリティありすぎで、とても寂しい気持ちになってしまったが、読むのがやめられなかった。ジュリエットの3部作も良かったけど、一番好きと思ったのが「情熱」だった。アリス・マンロー、他の作品も読んでみたい。
★29 - コメント(0) - 2016年12月28日

アリス・マンロー、やはり上手い…! 短編集で、どれも女のままならない生を描いていて胸に突き刺さる。 柔らかくて巧妙な文章が見事。
★19 - コメント(0) - 2016年12月26日

ジュリエットの連作はひたすらつらい。つらいあまりに結末を先に読んで初めに戻った。(あたかも苦しみが軽減されるがごとく)マンローの世界は現実に誰にも起こりうることのようなリアルな世界。いつの日かの自分の未来のように覗き込みため息をつく。
★7 - コメント(0) - 2016年12月24日

何年も後になってそれと気づく人生の岐路。気づいたところでもうどうにもならないわけで、それも含めて飲み込むのは諦めか、達観か。それにしてもマンローはつくづくうまい。アルモドバルの映画は未見だけど、興味がわいてきた(ところで、映画は「フリエタ」が正しい発音なのでは、と余計なことを思ったり)。とはいえ、ジュリエットを主人公とした3つより、後の「トリック」と「パワー」の方が心に残ったなあ。テッサの人生の物語をもっと読みたい。
★9 - コメント(0) - 2016年12月21日

いつもそうなのかもしれませんが、今回のマンローの作品には、他の世界が存在しないパラレル・ワールドにいるような感覚を覚えました。物語に大きな飛躍はなく、普通に進行するのですが、些細なことで主人公の人生ががらりと変わってしまう。そんな物語を平易でありながら、飽きさせず語るマンローのマジックにまたかかってしまいました。お薦めします。
★20 - コメント(0) - 2016年12月19日

映画化された『ジュリエッタ』の原作を3部をふくむ短編集。作家自身の人生やそれに対する考え方を否応なしに思わされた。人生は悲喜こもごもでしょう。なのに、大笑いする主人公はどこにいる?みんな控え目で、少し意地悪で、奥底に隠していても見え隠れする嫉妬深さ。でも、誰も絶望していない。傷付きながらも、やり過ごしている。どの短編を読んでも思ったのは、「…それでも、男がいないよりはいた方が幸せ。嫉妬をするより羨ましがられたい」ということ。個人的には「tricks」が好み。そうよ、彼と話しなさいよと彼女に心で話しかけた。
★136 - コメント(1) - 2016年12月16日

素っ気なく淡々と彼女の姿が描かれていて何気なく魅入られるうちに心通わせてしまったかのような不思議な感覚でした。出てくるみなともさして語るわけではないのに人間味が伝わってきて、どんな映画か観てみたくなります。
★2 - コメント(0) - 2016年12月14日

短編集ですが、なんといってもジュリエット三部作が読ませました。人生における岐路って自分ではその時はわからないのですが、そこを鮮やかに切り取り美しい文章で綴ってくれる相変わらずの手練れのマンローがいました。非常に印象深い列車内でのある出来事、そこから派生する事故、そして運命的な夫との出会い、夫との生活、子供との齟齬、そして成長した子供の行方など、映画にしたら・・・機微のある映画になるだろう、と思うような作品でした(と思ったら映画になっていました)
★19 - コメント(2) - 2016年12月13日

初めてマンローの作品を読んで、この作家は人が自分の人生を物語るときのやり方を小説に当てはめているように感じた。例えば突然の時間の飛躍だったり、人生を決定的に変えてしまったターニングポイントを克明に描くところだったり。その物語に必ず未解決・未整理の要素を持ち込み、神経を震わすようなひりひりした鋭さを作品世界に与えるのが本書の大きな特徴だ。同じ人物の若い時と老年期との間に起こる変化を描写する時の自然さも忘れ難い。「Runaway」の、安堵と恐怖が同時に襲いかかる両義的なラストは特に印象的だった。
★13 - コメント(0) - 2016年12月9日

とてもよかった。今までもマンローの作品は読んできたけれど今回は特にぐっときた。ほんの一瞬の決断、出会い、別れが自分の人生を変えていく。あれが人生の岐路だったのだと気付くのはそれから何年もたってからだ。つかんだはずの幸せもいつまでもそこにあるわけではなく、作った家族もばらばらになり、気が付けば一人になっている。苦い物語が多いけれど諦めに似た穏やかさがあってそこに慰められる。
★57 - コメント(0) - 2016年12月4日

岐路に立った主人公たちがどう選択し行動するのか、その結果どんな人生が待ち受けているのか。その場に立ち会うのはとてもサスペンスフルで、どの篇でもハラハラドキドキが待っています。
★24 - コメント(0) - 2016年11月29日

「Runaway」自分に自信がなくてふらふら彷徨う妻カ―ラは自分の分身を山羊のフローラに見る。フローラの末路を知った彼女はこの先どう生きていくのか。ペドロ・アルモドバル監督によって映画化されたジュリエッタ三部作収録。『Passion』「あれが、男たちが―世間の人たちが、皆が―考える女の子というものの姿だったからだ。美しく、大事にされ、甘やかされ、身勝手で、脳たりん。それが女の子というものなのだ。恋をすべき相手なのだ。(p216)」随分と同性に対して辛辣なマンロー節。
★47 - コメント(0) - 2016年11月26日

沈黙のラスト一文 「分別のある人間が分不相応な幸運や自然寛解、そんな類のものを願うときのように願っている」マンローはどうしてこうも人のもっている気持ちのひだひだを言葉に文章にできるのだろうと唸ってしまう。この願いは読めば読むほどわかっていることで、言葉にするならこうとしかいえないものだと読んで気づかされる。
★10 - コメント(0) - 2016年11月13日

アルモドバルが映画化したと聞いて、どうしても読みたかったもの。女性の人生と、転換点となった出来事をマンローらしい少しクールではっとする程美しい描写で綴る短編集。オンタリオやブリティッシュ・コロンビアの田舎町で育つ女たち。母に、娘に、友人に、夫に抱く軽い失望や分かり合えない苦しさ。その哀しみや怒りがとてもリアルで、友人の話を聞いているような気分になる。アルモドバルはマンローの大ファンということで、さもありなんと感じました。ジュリエットの三部作が特に秀逸。カナダ文学といえばアトウッドの方が好きだと長年思ってい
★15 - コメント(4) - 2016年10月30日

アリス・マンローは初めて読む。思ったよりも硬質で、気軽に触れると怪我をしそうなくらいに研ぎ澄まされているのには驚いた。もう少し軽くて温かみのある作家を想像していただけに、横っ面を張り飛ばされたような気分だ。しかし、取ってつけたような人情味がないからこそ、どの短編も非情な美しさが溢れている。本物の人生を、その主人の内外から観察しているような感覚。いち男性読者としてはその容赦のない筆致を味わうだけだが、もし女性なら色々な部分で共感を得られる作品集なのかもしれない。
★30 - コメント(0) - 2016年10月30日

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