目まいのする散歩 (中公文庫)

目まいのする散歩の感想・レビュー(140)

散歩を巡る随筆という前提で読んでいたが解説の後藤明生は「小説」と言っている。自分の子どもについて赤ん坊、幼女という呼び方をしていて、その幼女が行方不明になったり酷い怪我をしたときも淡々と情なく記述をしているのが怖かった。全般に渡って安易に対象と同化することを拒否しており、「船の散歩」の章では過去の日記を引用して、「自分一人で詩的になっているつもりの、わがままな詩情」と裁断しており、それとの距離もあるのだろう。一方で妻に口述筆記させている所為で、語り手の「私」の預かり知らない状況の記述も現れる自由度もある。
★5 - コメント(1) - 1月15日

奥さん武田百合子の口述筆記だそうです。吉本隆明氏が「フランシス子」で好きな作家と言っていたので読んでみました。若い時の文士の生活などのとりとめない話ですが、何となく読ませる本でした。
★4 - コメント(0) - 1月14日

1976年刊。泰淳晩年の作品。「散歩」をテーマに、歩行の記録、場所の記憶、社会時評など随筆とも創作ともつかない散文集。散歩は一人のものでなく、同行者として常に武田百合子がいて、食べ物の場面になると不意に顔を出すのが微笑ましい。さらに、泰淳の言葉を口述筆記して、文章上でも同行している為、実質夫婦の共作本といって良いかもしれない。大病もあって、「半恍惚」と自称する泰淳のノンシャランとした語り口は魅力的。後の武田百合子の文章に見える味わいにも繋がり、この同行に端を発するものかと思った。
★41 - コメント(1) - 2016年12月4日

再読。大好きな泰淳百合子夫婦。明治神宮、九段界隈からロシアまで、二人の散歩を語る病床の泰淳さんを百合子さんが口述筆記。おかしく切なく愛おしい。
★5 - コメント(0) - 2016年10月28日

百合子さんの「富士日記」や「犬が星見た」等を読んでこんな素敵な女性を奥さんに仕留めたご主人武田泰淳さんってどんなお方かな・・・なんて低次元の動機から手にしたこの本。いや~なかなかのお方でした。日記といえどこれは8つの短編集。著者晩年の作品で百合子さんが口実筆記されたそうです。それにも関わらず百合子さんのこと随分と正直に面白く記されていて彼女のイメージ、少々落ちたかな(笑)。最終の2作品はソビエトへの散歩で、もうこれは日記じゃなく人間の存在を問いかける人生論ノート。アルマ・アタ行ってみたいな~
★12 - コメント(0) - 2016年9月16日

ぶらぶらと皇居やら靖国やらを散歩する前半や、後半のソ連旅行などは、二人の仲の良さというか、泰淳の妻への情が感じられる。若いころや娘の幼少期の話は、そもそも子供をもつにいたった経緯のこともあって、正直なところちょっと親としてはご勘弁願いたい夫婦だな、と思わなくもないが。富士日記ではあれこれと日々家のこと、夫のことに駆けまわっているような印象の武田百合子だが、ちがう一面がみえる。というか、こういう人だから、富士日記のようなものを書くのだな。
★3 - コメント(0) - 2016年9月9日

前半は、靖国、皇居、代々木公園といった都心の緑が多いエリアを色々つぶやきながら散歩する武田夫妻を思い浮かべながら時々クスッとしながら読んだ。娘さん幼少時代や二人の恋人時代の話などは、百合子さんの本にあんまり無かったので新発見した気分。後半は「犬が星見た」のソ連旅行記録再び。天真爛漫な百合子さんを見る・語るご主人の視線があったかい。
★3 - コメント(0) - 2016年9月9日

やっぱり百合子さんのエピソードが豪快だった。そして、そんな百合子さんを見る泰淳さんの視点もおもしろい。この夫婦の話を読むのは なかなか飽きない…
★14 - コメント(0) - 2016年8月2日

★★★★☆ ひかりごけを読んで、武田泰淳の他の著書も読んでみたいなーと読み始めた同氏晩年のエッセイわけだけれど、最初は結構苦痛だった。だって、ちょっと身体が弱ってきたおじいちゃんの日常を描いているだけに思えたのだもの。でも、読み進んでいくと、彼方の世界に足を踏み入れた視点から此方と彼方を、彼特有のネットリとした文体で表現されていく本書に引き込まれていった。読み疲れる作家さんではあるけれど、読む価値はあります。
★1 - コメント(0) - 2016年7月11日

151
古書店で見かけて購入。泰淳の作品はひかりごけしか読んだことがなく、タイトルに惹かれて読んでみることに。 武田夫婦の視点といいますか、何と言うのでしょうね。ひとつひとつの散歩の内容はバラバラなんですが、私もその風景の中に引き込まれていくような感覚で、いつの間にか読み終わっている。そんな本でした。
★1 - コメント(0) - 2016年5月30日

話題があっちこっちにズレ、戻ってくるときもあれば、戻らないこともある。不思議なエッセイ。
★1 - コメント(0) - 2016年3月2日

読んでいるうちに、機嫌のいいおじさんの話しを聞いているような気分になった。「最近、健康のために散歩をはじめてねえ」からはじまり「あ、そういえば昔……」と話しが飛んでいったりする。ときどき後ろで静かにしていた奥さんが「それはちがいますよ」と注意する。その話しにはユーモアがあって、聞いているぼくはクスッと笑ってしまう。そんな感じ。こんな夫婦が親戚にいたら面白いだろうな、毎日一緒にいると少し疲れそうだけど、という感じ。そういえば、なんとなくペーソスも含まれている気もする。それがおじさんのお話の深みなんだろうか。
★2 - コメント(0) - 2016年2月26日

いつのまにか夢中になって読んでいた
- コメント(0) - 2016年2月15日

天真爛漫ナンダナ…百合子サン☆【犬が星みた補完計画】百合子さん日記しか読んでなかったからわからなかった。読友さんが再読されてたので読む。富士日記の鏡像みたいなもの、いや、ぽっかりと開いた隙間を埋めるもの。ロシア旅行は二度美味しい☆さすがである。泰淳さんが見た百合子さん!特別天然記念物!食いしん坊万歳!東京に戻った時は散歩をしている…半恍惚状態で…突然、眩暈のように昔を憶い出す…苦しかったあの頃、楽しかったあの時…泰淳さんはもはや自分では筆が持てない。口述筆記で書き取っている百合子さんの心情やいかに?
★57 - コメント(3) - 2016年2月15日

「犬が星見た」と併せて【再読】。妻に口述筆記させ、その妻が作中にも登場し、ロシア紀行に至っては妻の日記を元に振り返る。百合子さんの存在感は格別だ。病で衰えた体をヨチヨチさせて思い出話なぞ始めるから油断していると、時空よじれ、思考駆け巡り、ぬぅと鎌首をもたげるような怖さがある。巨人の巨人たる所以を垣間見る思い。
★37 - コメント(0) - 2016年2月11日

すぐ隣で、目の前で、或いは遠くで、動き、佇むものを見つめ、自身は漂う。死に近い生を。生と死の交わる場所、明確な境目のない曖昧な空間を。じっとりと薄暗いものが篭っている。鬱々と、悲しげに。不気味に、穏やかに。掴み得ぬ鷹揚さをたたえた微笑みに、暗さを見る。茫洋とした、それ故に拭いきれぬ暗さを。しかし、それでも自分はどうしても、そこに浮かぶ愛おしい輝きの方を掬い上げてしまう。なによりもその慕わしさを、その素敵さを。結局自分はこの夫妻が好きなのだと思い知る。どうしたって、二人そのものの魅力を一番に感じてしまう。
★10 - コメント(0) - 2015年10月23日

AU
‘最近’の‘近所’の散歩に始まり、古今東西彼の散歩の記憶を通じて読者もあっちにいったりこっちにいったりする感覚はまさしく目まいのするものだった。彼の記憶を通じて覗き見る昭和の風景は平成生まれの私にとってはとても面白かった。劇的なストーリーがそこにあるわけではないのに、退屈することなくするすると読み進めてしまう文章が素敵。
★2 - コメント(0) - 2015年7月22日

武田百合子良いキャラしてますねぇ!
- コメント(0) - 2015年7月3日

妻である武田百合子の性格がすばらしいの一言に尽きる。いしいひさいちの女性キャラみたい
★2 - コメント(0) - 2015年3月29日

hy
夫・泰淳の側からのロシア紀行を読みたくて手に取った。お目当てのロシア紀行は武田百合子の日記をベースに追想されているので、目新しいエピソードなどはないが、風景や出来事を描写していたものがいつのまにか思考へと、まさに散歩のように軽々と移ろう泰淳の文章に引き込まれた。そして何と言っても武田百合子という人の魅力が存分に描かれていて読んでいてとても楽しい。百合子さんはほんとに天衣無縫だなぁ。
★1 - コメント(0) - 2015年2月23日

途中からパラパラと飛ばし読みしてしまいました。クスっと笑うところがあったわりには読み終わると「結局何だったんだ?」って感じでした。
- コメント(0) - 2015年2月6日

この本も読売新聞の無料購読中の「本のソムリエ」記事から手に取った本。昭和と都内を満喫できる素敵な本だった。関東大震災の際の人々の行動の箇所を読むと東日本大震災とあまり変わりなく、時代は変わっても日本人の取る行動は変わらないものだなと感じた。最後のロシア旅行記は自分が旅行記を書く時に真似したくなる文であった。
★1 - コメント(0) - 2015年2月5日

武田氏の文体に引き込まれ、ともにふらふら散歩したり、時には強烈な記憶に巻き込まれたりして、まさに、目まいのする散歩を味わった。
★3 - コメント(0) - 2015年1月15日

abc
「犬が星見た」でおなじみの銭高老人の再登場がうれしかった。
★1 - コメント(0) - 2014年10月27日

☆☆☆★ とりとめもなく移ろう散歩中の風景と回想が何とも心地よい感覚を呼び起こす幻惑的な文章が魅力。「三島氏の顔写真のあるビラが、三島以外の人の意志によって貼られ、風に吹きちぎられそうになっていることは、私をおびやかした。」「夜おそく焼却炉の釜のふたを開けるのが、おっかない。何だか、人間の死がいがつまっているようで」「地球上には、安全を保証された散歩など、どこにもない。ただ、安全そうな場所へ、安全らしき場所からふらふらと足を運ぶにすぎない。」百合子夫人の明るさも良い。
★21 - コメント(0) - 2014年8月23日

大きな出来事をでっち上げなくても小説は書けるということを教えていただきました。それぞれの散歩の結末には、作者の思索の結果が込められてる気がしました(多分)。こんな小説が書けたらいいな。
★2 - コメント(0) - 2013年10月17日

奥さんである百合子さんの個性の強さがちらちら見えるところが興味深い。娘さんの育て方も個性的。泰淳氏が奥さんを愛していること、信頼していることが伝わってくる。夫婦はこうあるべきなんだろう。
★2 - コメント(0) - 2013年9月28日

これぞ戦後の昭和だな。平和だな。老いた作家と破天荒に陽気な妻との散歩。明治神宮からシベリアまで。気張らず自然に。泰然と。就寝前の軽い読書に最適の本だった。
★2 - コメント(0) - 2013年7月28日

口述筆記による短篇集。筆記者は武田百合子。 半分ボケじいさんの泰淳が浮遊するように町中を歩く。 高井戸の項では「太宰治さん入水自殺のいわくつきの水道」=玉川上水も出てくる。桜桃忌の今日にこの頁にめぐりあうとは思わなかった。 ラスト2本は横浜発ナホトカ行のソ連船乗船記。このあとロシア紀行(未読)へ向かうのだろうか。
★3 - コメント(0) - 2013年6月19日

武田泰淳の口述筆記された脳内散歩。とりとめがないような脱力してるような語りに「どこに行くの〜?」と思いながらついていく読書もまた散歩。百合子さんの武勇伝満載(笑)。
- コメント(0) - 2013年4月18日

文中で自分で言っているけれどまさに半恍惚といった風情で、話が二転三転どこまでも漂っていく。途中からこれはなんだか読まなくても読んだのと同じだな(良い意味で)という気になってパラパラ読み飛ばして終わりにしてしまった。またいつか読もう。
★5 - コメント(0) - 2013年3月25日

散歩することで広がる考察、世界。
★1 - コメント(0) - 2013年2月15日

素晴らしい。どこかで書かれていたが、妻の百合子について書かれてある部分は、非常に淡々としていながらたまらないおかしさがある。「彼女のカメラにはフィルムが入っていなかった」「鏡はおでこまでしかなかった。飛び上がりながら髪をとかす彼女をロシアの婦人は笑った」といったところがよかった。あとは『鬼姫の散歩』は全編素晴らしい。
★2 - コメント(0) - 2013年1月21日

口述筆記が醸し出す「半恍惚」の漫歩感。
★1 - コメント(0) - 2013年1月6日

泰淳さん、ちょっとボケっぽいけど、歩きながら良く考える。歩くことは考えることであると思う。死ぬまで歩き続けることが幸せだと思う。百合子さんのバイタリティに驚いた。百合子さんの本も読んで見ようと思う。
★2 - コメント(0) - 2012年12月28日

目まいのする身体と笑ったような笑わないような顔、そして妻・百合子を伴って綴られる散歩に関するエッセイ。自分の場合、移動手段として徒歩をよく選択しますし、あれこれ見たり聞いたりつらつら考えたり、寄り道もしたりしつつ歩く時間というのが好きではあるのですが、でもそれは手段としての徒歩であって。まず著者の散歩するために散歩する、という言葉に自分が最後に散歩したのはいつだっただろうかと、ちょっとハッとしました。(続きます)
★6 - コメント(2) - 2012年11月28日

s_i
散歩をしているうちに時空を超えて、ついには「私」に固有な経験さえ越えてしまう。
★1 - コメント(0) - 2012年10月3日

久しぶりに武田泰淳を読んだ。そこはかとないユーモアとそこかしこに横たわる死のイメージが交錯するエッセイとも私小説ともつかない作品。描かれる時代も自由にかつ軽やかに移動しつつ、彼の強烈な過去の中国体験の痕跡と、今そこにある「ソ連」とがその跳躍の中でオーバーラップしてくるところは強い感銘を受けた。
★2 - コメント(0) - 2012年9月12日

「目まい」以外に「いりみだれた散歩」「鬼姫の散歩」など随想8篇。妻・百合子と歩んだ過去と現在の身辺を、飄々と滑稽に「散歩」として描写する。病後の「半恍惚」にもかかわらず、鮮明な記憶と口述筆記の構成力にもびっくり。通底するのは死期の悟り。人生は“散歩”でしかないが、こんなふうに振り返れたのなら本当に幸せだ。
★2 - コメント(0) - 2011年11月18日

目まいのする散歩の 評価:82 感想・レビュー:48
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