ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

ヴァリス〔新訳版〕はこんな本です

ヴァリス〔新訳版〕の感想・レビュー(256)

N・フライは小説ジャンルはなんでもありだという。妄想を生み出す志向性は無対象でも作動し虚構を作る。主人公ファットが没頭する妄想を妄想する作者と、彼を傍から見る作者の分身フィルとの虚構を巡る自己分裂的対話は、小説を物語に還元し、経典の背後のグノーシス主義や神秘学へ自己増殖する妄想に巻き込まれる読者には世界の外で行なわれるかに見える。だが本書が小説なのは、登場人物と作者に分裂した自己対話がそのごった煮的性格を活用し、自ら病的妄想をその只中で突き放そうとする作者の葛藤を物語に上書きし続けていると示唆するからだ。
★2 - コメント(0) - 3月13日

グノーシス主義は個人的にタイムリーな話題だったので神学談義も楽しく読めた。と言うか訳者あとがきでも挙げられているがエヴァみたいなのは好物なので難解だったし読みにくいのは確かだが良い。ただそのせいで物語が破綻しており消化不良。あと、結局は仲間内の談義で話が収束するので展開を期待していた読者としてはあっけなく思えるがそういう話だからしょうがない。でもそれを上回る魅力がある。ディックはまだ三冊目だが、ようやく氏の作風と呼ばれる(と僕が認識している)特徴がよく出た作品に出会えた。
★13 - コメント(0) - 3月2日

小説としてはけっして褒められたできの作品ではないけれど、ディックの世界観が好きな人にはお勧め・・かもしれない。これからディックを読みたいという人は、本書からは入らない方がいい。興味がある人は先に『アルベマス』と他評価の高いディック作品を読み、本書の解説を読んでから、「釈義」の部分は読み飛ばす感じで読んでいけばいいと思う。「釈義」の部分もやっぱり細かい部分は意味不明だけど、しつこいくらい同じテーマがぐるぐる語られているので、大意はまったく分からないというわけでもない。
- コメント(0) - 2月25日

映画映像のようなものを見つめてから急に暗闇に取り残された時に見える網膜のピンク色の残像のようなもの、それを見て、いや感じてから、著者兼主人公は、アメリカ南カリフォルニアオレンジ郡の心療内科の待合室的な日常から存在として剥落し始める。ある周期のクラッチ音のようなものがサブリミナルに埋め込まれたハリウッド映画『ヴァリス』は、どうやら古代ローマや易経のようなグローバルに散乱したテクストを縦断し、ロシアの衛星を通じて感情のサステインを伸ばし、ニクソン辞任とも関係する。こんな話を理解できるのは何かの病気である。
★8 - コメント(0) - 1月4日

【要旨】友人の死をきっかけにピンクの光線を受けたファットが友人達と神学論争を繰り広げる。【感想】狂気と正気の境界線がはっきりしているようで曖昧だ。狂気と現実に接点が生まれ、今まで狂人の戯言とあしらっていたものが実は真理を宿していたのではと一転して狂人から賢人へと祭り上げられる。難解な神学論争を流見しても読んでいてくらくらした。ドラッグや精神病はこんな感じなのだろうか。一番の驚きは作者の実体験が元になっていることだ。
★25 - コメント(0) - 2016年12月21日

aki
宗教談義は意味不明な上、物語が動き出すのも後半に入ってからなので、読むのに難儀した。どちらにせよ、これを読む前にもっとディックを読んでおくべきと思った。
- コメント(0) - 2016年10月23日

すさまじい小説だ。これまでディック作品はいくらか読んだが、飛び抜けてクレイジーだった。神学の知識などほぼない私は、ファットらの発言のほとんどを「ヤツはいかれてるぜ!」というスタンスでしか読めなかった。ただ、終盤の展開はけっこう好きだ。狂気の中にしかアイデンティティを見出せない「彼」の描き方はシンプルに好きである(まあ、誰が狂気の中にいるかなんてことはわからないのだが)。秋の夜長にホットドッグとココアを手にのんびりと読むのもいいかもしれません。
- コメント(0) - 2016年10月5日

新訳版出た時に購入し1度読んでいるんだが、あまりにも訳わからなかったのか読んだ記録もつけていなかったみたいだ。で、再読した感想なのだが、自分の内面を別の人物に置き換えて客観的に見つめるって普通の人にはできないだろうなあ。自己分析も出来ないのかよと言われそうだが、ホースラヴァー・ファットみたいに完全に別人格(別人物?)として自分を見つめるのは難しそうだと思うわけで。ある意味、フォースラヴァー・ファット=PKD教の教祖様と感じた。
★3 - コメント(0) - 2016年9月17日

狂ってる。神学関連の用語がいっぱいでてくるが、エリヤ=はげぐらいの知識しかない私にはさっぱりだ。
★1 - コメント(0) - 2016年9月7日

ディックの気が狂っているとしか思えない小説。解説にある通り、現実/妄想というこれまでのテーマがここに来て一線を超えて、我々の現実そのものまで溢れ出してくるような気持ち悪さがある。
- コメント(0) - 2016年8月27日

本当に何かを吸った人間の著作を体験できた。正直長々した教義をいちいち追う気にはならない。発狂とは個人が認識する世界と現実が切り離されることであり、自分の妄想通りのことが現実に起きてしまうとそれを奇跡とか神の啓示とか認識してしまうというのがよくわかった。ピンクの光とか脳に寄生する情報生命とかは忍殺の元ネタでもある。「ピンクの光が見えるだろう?」「見えません」「そんなはずはない」「アッハイ、見えてきました」完全にこれ。 あとがきで影響を与えた作品にエヴァンゲリオンと夢幻戦士ヴァリスが出てきたのは笑った。
- コメント(0) - 2016年8月19日

わからない用語はググりながら読むのがいいんだろうが、急いで読んでしまった。わかるという人も中々いないと思うのだが、松岡正剛ぐらいものをしってるとこの衒学のなかに物を見出すらしい。解説にあるようにやっていることをはこれまでの小説と同じ構造だったりするのだが、メタに狂いっぱなしで戻ってこない(作者自体がおかしくなっている)ので困惑する。
- コメント(0) - 2016年8月14日

ほぼ分からなかった。後半は話が進むので読みやすくはなったけど。
★2 - コメント(0) - 2016年5月15日

再読。宗教にご熱心な人は時々狂ってしまってるんじゃないか、と思わせる事があるけど、特にカルトになるとそれが金集めじゃなくて「共に木星へ行こう」って自殺しちゃうぐらいだからね。傍から見れば狂人の集まりを描いた作品なんだけど、ディックの人生を反映された物語とくれば興味深々で読み進めちゃうから狂人に感情移入。多重構造のピラミッド的な物語だから説明しにくい作品だが、自分の中では思い入れの深い作品で、再読は必須だと思う。後々、ずっと先に岩波文庫にも入っちゃう!、かどうかは分からないけどw、ディックの入り口にはお薦め
★1 - コメント(1) - 2016年5月12日

訳の分からない本。キリスト教のことをよく知らないので話しについて行けず、あっちの世界へ行ってしまった狂人の話を読んでいるような感じだった。作中でヴァリスに触れるところから面白くはなってくるのだけれど、イカレた感は変わらず。
★2 - コメント(0) - 2016年2月29日

とんでもない怪作。めちゃくちゃ面白かった。狂気と異様なエネルギーで練り上げられていると同時に、とても切ない。
★2 - コメント(0) - 2016年2月26日

「新訳版」につられて再読。AD70年のエルサレム崩壊から1945年にナグ・ハマディ写本が発見されるまで、休眠種子形態の生きた情報としてまどろんでいた神性の示現、がテーマ。何度も繰り返される、「帝国は終わっていなかった」。帝国は本当に終わっておらず、現在と過去は重なり合い、ホースラヴァー・ファット/フィル(=PKD)の再生とともに第五の救世主が……ってイカレてるなあ!で終わらせてしまいたいような途方もない話、だがその途方もなさが良い。ディック派グノーシス主義の洗礼はココアとホットドッグで施されるのだ。
★17 - コメント(0) - 2016年2月24日

980
本書はフィクションである小説に自分を投影すると同時に解離させ、客観的に自分を見つめ非理性的で狂った宇宙や神や現実に、(ディック流に)真面目に折り合いをつける為の戦いの軌跡なのかもしれない。友人の死や理解者(だと思ってる人)や映画ヴァリスとの出会いによって揺さぶられていくイカれるファットと正気でいようとするフィル、そしてそれを描く著者が入り乱れるような混乱を味わう。ナグ・ハマディ写本やグノーシス教等を用いて考えられる『釈義』は、肥大化しすぎた中二病を知的に拗らせてて狂気じみてるけど救いたいという純粋さがある
★7 - コメント(0) - 2016年2月17日

これは難しい。キリストすっ飛ばしてグノーシスまで行ってしまった。関連の無い言葉を羅列しているようにも見える。だけどファットの正体は、ちょっとだけ驚いた。
★15 - コメント(0) - 2016年2月13日

正気の僕(フィル)だろうと狂気の僕(ファット)だろうと、行き過ぎた個性はバグとしてカウントされ、成長要素の一つとして取り込まれる。この無意識に僕の都合でまとめられる自我と、そしてそこからはみだした僕が、僕であり過ぎたが為の物語。僕を高次の存在(シマウマ=ヴァリス)としたことで、僕(フィル)と僕(ファット)は行き来可能になった。ああ全くなんて僕僕しい。小説として破綻してはいるが、面白かった。面白かった。
★47 - コメント(4) - 2016年2月5日

著者自身の神秘体験を元に書かれたこの作品は、難解な部分もあるけれど面白い。「精神を病んだ者たちの特徴として、自分を助けてくれる人々を憎み敵対をたくらむ者たちを愛する」。。。その通りだと思った。 ヨブ記とエリオットの作品は読んでみたいと思った。
★3 - コメント(0) - 2016年1月19日

著者の神秘体験に基づいて書かれたものらしいが、内容が不可解すぎる。
- コメント(0) - 2016年1月13日

これはディックの私小説なのか。 あくまでもファットを主人公に見立てての濃厚な釈義は申し訳ないが流し読み。 それを言えば前半は流し読みに近いが、後半は割と面白くなる。 しかし、どこまでが(ディック流の)ノンフィクションで、どこからがフィクションなのかは曖昧。 それでも読まされてしまうのはディックの筆力か、訳者のおかげか。 ディックはどんな思いで『ヴァリス』を書いたのだろうか、そして神にどれほど近づけたのだろうか。 432ページ
★9 - コメント(0) - 2015年11月27日

想起したのはウイリアム・バロウズの「裸のランチ」だ。クローネンバーグの映画をきっかけにハードカバーを意気揚々と買い込んだのはいいが、その難解さに途中で放り投げてしまった苦い経験がある。だから「ヴァリス」も同様な経験をするのではないかといささか不安だがディック最晩年の傑作であることは疑いようがない。読みながらの印象として想起したのは、なぜか舞城王太郎の「ディスコ探偵水曜日」だった。神学的なこと、劇中劇、主人公と作家の同質性など神秘体験を味わっているような不思議な気分がなんとなく質的に似ていたのかもしれない。
- コメント(0) - 2015年11月23日

中盤までの神学談義は、知識がなく、かなり読むのが辛かった。しかし作中でヴァリスが出てきたあたりから急に小説らしくなり前半に比べ読みやすくなった。反二元宇宙論の我々のいる悪の宇宙とそれを救おうとする善の宇宙、これらは作中で主人公と深くかかわった女性と主人公自身を表わしているのだが、主人公はその女性たちを誰一人救えていない。そもそも主人公自身が狂っていない=善の宇宙の側であるという確証はなく、決して救われないのかもしれないというところにむなしさを覚える。
★5 - コメント(0) - 2015年11月6日

ディックも遂に行くところまで行って、頭がおかしくなってしまったようだ。 難解すぎてわからないし、そもそも読んでて苦痛だった。 また挑戦したい。
★45 - コメント(0) - 2015年10月31日

Tsz
何だか良くわからないというのが正直な感想。神やら宗教やらをテーマとして少しイカれた主人公が議論を繰り返すのだが、そのうち作者が出てきて実体験に基づく話しにすり替わっていく。虚構なのか現実なのか良くわからないまま神学論が延々繰り広げられる。これは誰にもお勧めできないかな。
- コメント(0) - 2015年8月15日

yyg
翻訳者の後書きを読んで、分かった気になってみる。新訳版では分かりやすくなってるのかなと思ったけど、そんなことはなかった。神学談義の部分は正直ついていけないし、色々な話が唐突に挿入されたりと小説としては変だと思うが、その分妙な迫真性に満ち溢れていてかなり印象には残る。
★1 - コメント(0) - 2015年7月26日

延々と続く神学談義を読んでいると、狂っているという印象を受けると同時に妙なリアリティを感じる。それはきっと「ファット」と「ぼく」、という複数の人称を使って主人公が描かれているために、「ぼく」はもう「ぼく」じゃない、と狂気の縁でもがき苦しみ、自分や世界をどう受け止めればいいのかをとまどっているひとりの人間に対してある種の共感を覚えるからなのかもしれない。現実に生きる人間であれば、どの人の経験も特殊である。であるならば、どの人の人生もまた特殊である。本当に狂っているのはだれだろう。"たぶん自分だ"。
★8 - コメント(0) - 2015年5月30日

うーん、難しい 難解である。妄想なのか宗教論なのか、SFか、私の理解能力を超えている
★18 - コメント(0) - 2015年5月20日

物凄く読むのに時間がかかった。SFという感じではないが、ひとの脳を解明されていない宇宙のように捉えればSFと言って過言はないとも思える。宗教論といったことが大半で、同じキリスト教を信仰していても理解しにくいところが多かった。時間を置いて再読してみるといいかもしれない。
★10 - コメント(0) - 2015年5月18日

難解だった。凄い小説だというのは分かった。まだまだ未熟だ。
★3 - コメント(0) - 2015年5月5日

何度も挫折しそうになる位、難解かつちんたらしていた中盤から、徐々に物語的にドライブしたおかげでようやく読みきった。 役者あとがきで、本作はPKDが狂ってたか狂ってないかのギリギリの時期に書いてたという記述があり、妙に納得。 「ドラッグ中毒者が世界の真理(神)を知った!との妄言を吐き出すのだが、どうやらそれは本当らしくヴァリスってのがそれらしい」って話なんだが、現代人からするとインターネット的!クラウドコンピューティング的!という話だった。 2割の楽しさを味わうため狂人の教義に付き合える人にはオススメ!
★3 - コメント(0) - 2015年5月2日

前半はかなりキツイが中盤から面白くなってくる。挫折しそうになったら、後書きを先に読むべき。話しは違うが映画「未知との遭遇」的な展開と思った。ディックの世界観の一片が垣間見れた気がする。
★4 - コメント(0) - 2015年4月30日

個人的にはSFとは言えないと思う。
★2 - コメント(0) - 2015年4月30日

★★☆☆☆50ページくらいで「ああ、これは真面目に読んでも絶対わけわからんやつだ」と思って適当に読んだ。途中で「トマス・ディッシュは知ってる?」「ディッシュはすごくいいねえ」というセリフが出てきたのはちょっと笑った。わたしもそう思いますよ。
★1 - コメント(0) - 2015年4月21日

再読。昔読んだ時の「は???」を憶えていたので身構えて読んだ。存外に面白かった。自身の神秘体験をもとに書かれたと知らされると絶句するが、それをどう受け止めたものか…決めあぐねていた揺らぎはよく伝わってくる。
★7 - コメント(0) - 2015年4月16日

ヤク中から染み出すどうしようもない人間らしさ。
★3 - コメント(0) - 2015年4月9日

膨大な量の神学についての記述は流し読み。調べながら読む気力はなかった。序盤でやめたくなったのをこらえて読んでいると、中盤でストーリーが面白くなっていったが、それでもまだ分かっていない部分が多すぎる。PKDが好きな人や興味のある人は手に取ってみたらいいと思うけれど本書を全部理解しようと思わない方がいいし、実際無理だと思う。いろいろな意味ですごい本です。
★25 - コメント(0) - 2015年3月26日

凄いのを読んでしまった。精神分裂病者に創作言語とゆうのが有るが、これは作者ディックのイッテしまった頭の中からその一部をこの世にひり出した創作神話の一大体系である。猫好きだったディックらしく、死んだ猫がでてくるのが自分としては、二重丸で、隠れた猫SF小説に加えたい。(夏への扉の対極としての名もない猫)単なる妄想ととる解釈もそれはご自由に、ここには狂った人間の陥る血縁妄想、万能感、時間逆行、世界終末感、、などがごっちゃになってぶちまけられている、にも係わらず荘厳で美しい、奇書で済ませられない何かがある。好き嫌
★14 - コメント(1) - 2015年3月23日

ヴァリス〔新訳版〕の 評価:66 感想・レビュー:87
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