あまたの星、宝冠のごとく (ハヤカワ文庫SF)

あまたの星、宝冠のごとくはこんな本です

あまたの星、宝冠のごとくの感想・レビュー(174)

煌きながら疾走する10篇に、グロテスクなユーモア、皮肉っぽい目配せ、絶望感に一匙加えた希望の味が感じられ、哀切なヴェ-ルに包まれた驚きと歯痒さが胸に応えた。見方により全く反対の色合いをもたらす結末は、人の世の複雑さや曖昧さを表している。どの作品も人間の行いに警告を鳴らし、それでも如何ともしがたいジレンマとそこから何とか逃れ出ようとする苦闘が伝わる。ペシミズムを押し留め、生きることの圧力に耐え、氷結を溶かす力を信じられたら…と思うのだが。作家が残した言葉を受け止め、得たものを繋いでいくのが読者の務めだろう。
★36 - コメント(1) - 2月5日

どうしても自殺に至る作者の「人生」と紐付けて過剰に「意味」を読み取ろうとしてしまうティプトリーの作品だけれど、読んでみればいつも物語そのものに惹きつけられる。厭話かと思って読んでたらいい話だったり、いい話だと思って読んでたら厭話だったり、厭話だと思って読んでたら厭話だったり、完全にティプトリーの思う壺である。ティプトリーの中短篇のすごいところは、設定や話の筋が混み入っているにも関わらず「それからどうなるの?」とグイグイ読ませるリーダビリティの高さだと思うし、それは語り手の話術(詐術)の巧みさなんだと思う。
★3 - コメント(2) - 1月6日

全体的にシニカルなのに嫌味じゃなくて、そっと胸に落ちるような読後感。SFっていいなぁ、と改めて感じさせてくれた。『もどれ、過去へもどれ』は共感できる部分も多く、特に好きだった。とても面白い。
★1 - コメント(0) - 1月3日

ティプトリー(というか、アリス・シェルドンの)最晩年の短編集。ユーモラスなものもあるが、総じてペシミスティックな印象を与える作品のほうが多い。どうしてもピストル自殺という作者の最後の印象に引きずられて読んでしまう。
★1 - コメント(0) - 2016年12月5日

凄く好み!コミカルなものから救われない話まで多彩な短編集で、とても惹きつけられた。全部好きだけど『もどれ、過去へもどれ』『ヤンキー・ドゥードル』が印象的。元々絶望的な話が好きなんだけど、それだけではない魅力がある。なんというか、自身も含めた人間の愚かさに鉄槌を下すような冷徹さ、自分の内面を見つめて戒めるようなストイックさを感じる。逃げない、目を逸らさない潔さ。どうしようもないけど愛らしい人類。時々再読して、その一員であることをつきつけられたい。もちろん物語としても面白かったです。
★4 - コメント(0) - 2016年12月3日

『もどれ、過去にもどれ』は、作者の晩年、もしくはその頃に感じていただろう葛藤にどうしても重ねて読んでしまった。人の選択は、決して最良ではないと叩きつけられた。
★3 - コメント(0) - 2016年11月30日

好きな作家なのですが、この本は好みでなかった・・・。晩年の作らしい。
- コメント(0) - 2016年11月23日

晩年の短編集。ティプトリー・ジュニアらしいというか・・ファーストコンタクト物の『アングリ降臨』や『すべてこの世も天国も』など昔だったらもっと感動したかも『肉』や『ヤンキー・ドゥードル』は私には痛い、 同じく痛くても伊藤計劃氏の作品の方が読みやすいのは私の好みが変わったからか・・
★8 - コメント(0) - 2016年11月18日

初ティプトリー。最初の二篇でユーモラスな中に強烈な怒りのようなものを感じて、すごく引き込まれたんだけど、あとの短編には怒りというよりも絶望がうっすら感じられ、悲しくなりながら魅了されて読んだ。私はジャンル読みにこだわる方ではないけど、女性の書いたSFといっても本当にウィリスやグウィンとかとは全然違っていて、この人の書く長編もまた読まねば、と思いました。
★28 - コメント(6) - 2016年10月29日

前半の作品は今ひとつピンと来ないところもあったが、後半のひどい話ラッシュは面白すぎた。そして末尾の作品にじんとくる。未知なるものに出会うために生きていきたいものですね
★2 - コメント(0) - 2016年10月22日

寓話的なのとか生死観とかが 晩年作だなーというかんじ 真面目なのかなんなのかよくわからないのが一個ある ティプトリー作品は邦題がすべてジャケ買いするくらいいい
★3 - コメント(0) - 2016年9月26日

私にはSFが解りません。大切なことだから二度言います。「私にはSFが解りません」もちろん初ティプトリー・ジュニア。なのに読み始めるとどっぷりと頭のてっぺんから足のつま先まで浸りました。なにこれ、ものすごく好みのタイプだ。硬質の文章かなと思ってると言ってることはウェットだったりするし、突き放すかに見えてぎゅっと抱きしめられたような錯覚もあった。ツンデレ系だ。こちらに好き勝手に想像させてくれる包容力も感じる。書いたのが実は女性と知り、あまりの男前ぶりに惚れてしまった。今まで読まなかったのが悔やまれる。大好き。
★42 - コメント(8) - 2016年9月22日

遥か星の彼方からやってきた新しい感情を、誰の記憶の奥底よりも遠いところにある感光器官で受信し、確かなものなどとっくのとうに失われてしまった宇宙の中に輝く歌声を聞く。ティプトリーは、言ってみればそんな経験をもたらす作品を書くことができる、唯一無二の作家であると思う。
★4 - コメント(0) - 2016年9月22日

全体的に陰鬱で重い話が多いにも関わらず、ページを繰るでが止まらないのは、ティプトリーの作品のテーマが人間の業や罪、人間そのものに根ざしているからだと感じた。ほかの短編集などでも暗澹な作風を持ったものは多かったが、今回の短編集はそれらに輪をかけて重く、魅力的。「もどれ、過去にもどれ」のラストにすんなり納得がいくのは、晩年の作者の想いが作品に乗り移っているからか。
★5 - コメント(0) - 2016年9月12日

最初の3作品は寓話性が強くてイマイチ飲み込めなかった。それ以降の作品は予想どおりの鋭く突き刺さるような感覚がしてとても楽しかった。このエグい感じが大好物だ。
★1 - コメント(0) - 2016年8月23日

現在、唯一電子書籍で購入できるティプトリー作品ということで早速購入。なかでも「もどれ、過去へもどれ」は、ハッピーエンドの未来改変ものだと思って途中まで読んでいたのでとにかくショック。
★6 - コメント(0) - 2016年8月22日

陰鬱で後味の悪い作品群に自殺を遂げた著者の晩年の想いを読み取るのは正しい読み方ではないのかもしれないけれど、濃厚に漂う死の気配には滲み出る情念を感じざるを得ない。どれも素晴らしいけれど、中でも特によかったのは「もどれ、過去へもどれ」「アングリ降臨」「ヤンキー・ドゥードル」あたり。
★24 - コメント(0) - 2016年8月15日

やばかった… 露骨に胸糞な「肉」や伊藤計劃を思い出さずにはいられない「ヤンキー・ドゥードゥル」もすごいけど、「もどれ、過去へもどれ」や「地球は蛇のごとくあらたに」のグロテスクはもう圧巻としか言えない(しかも前者は「読者が完成させる」悲劇だ) そんな中で「いっしょに生きよう」の調和は(「たったひとつの冴えたやりかた」をも思い起こさせて)あまりにも貴い やっぱりティプトリーはすごい
★5 - コメント(0) - 2016年8月5日

邦題にセンスの良さを感じる。どの話も印象深く面白かった。「肉」のような比較的オチが簡単に想像できてしまうものから「アングリ降臨」「もどれ、過去へもどれ」「地球は蛇のごとくあらたに」のようにどんな結末に至るのか最後の一文を読むまで全くわからないものまであり、飽きることがない。ハッピーエンドとは言えない物語なのに読後に不快感が残らないのがこの作者の力量の確かさだと思う。
★6 - コメント(0) - 2016年8月5日

きれいなタイトルに惹かれて読んでみたら、美しいばかりではないクセのある短編集だった。途中までイイハナシダナーだった「もどれ、過去にもどれ」のラストは衝撃。「地球は蛇のごとくあらたに」も、絶望感が…。でも、この人を喰ったような話、すきだなー。『たったひとつの冴えたやりかた』のイメージが良い意味で一新された。
★6 - コメント(0) - 2016年7月27日

比較的わかりやすい話ばかりだが、暗澹たる話が多いな。「肉」「ヤンキー・ドゥードゥル」「もどれ、過去にもどれ」とか。富裕層に対する強い軽蔑と絶望を感じる。体制側深くにいた彼女ならではか。集中、一番の驚きは「地球は蛇のごとくあらたに」かな。まさかこんな話になるとは。
- コメント(0) - 2016年7月20日

この作家には、いつも唸らされる。これが最後の作品集だと思うと、読み終えるのが惜しい。人間の闇と業とある種のユーモア。SFという姿を借りた唯一無二の作家の人生。
★14 - コメント(0) - 2016年7月17日

ティプトリーの死を受けて1988年に刊行された追悼短編集。原題はCROWN OF STARSで、聖母マリア像で広く取り入れられてきたモチーフ(星の宝冠を被っている)から来ているそうですがキリスト教に馴染の薄い私には「星の宝冠」という直訳よりも、邦題の方が作品が星で連なって宝冠になるイメージでタイトルが好き。ティプトリーの話にハッピーエンドを望んではいけないのはわかってます。「いっしょに生きよう」がいいかな。澄んだ哀しみの長老一押しです。ファーストコンタクトを扱った「アングリ降臨」一人称のシオドラに好感。
★6 - コメント(0) - 2016年7月3日

ティプトリー晩年の作品をまとめた一冊。作家と作品を同じレベルで語ってはいけないと思うのだけど、ここに収録されている作品には濃密な死の気配を感じることが多い。「肉」は中絶妊娠が禁止された世界における陰鬱な仕組みを描く。養子縁組センターへ預けられた幼児はみな引き取られる。それがどのような形であれ。「もどれ、過去へもどれ」はタイムトラベルの一種。心だけを未来に送り込み、戻るときには一切の記憶を忘れて戻ることが可能な世界で、ダイアンは未来で不本意な相手と添い遂げることを知る。ラストは、一発の銃弾が彼女を突き放す。
★4 - コメント(1) - 2016年7月1日

晩年の短編集です。晩年と言うと70歳を過ぎた辺りでしょうか?ジャンルの幅広さは年齢を感じさせません。それとラクーナ・シェルドン名義の70年代の作品もあって“地球は蛇のごとくあらたに”が面白かった。先日読んだ“接続された女”のように勢いがあって、畳み掛けるような語りは、変名の意味が無いくらいティプトリー作品です。晩年の作品はどちらかと言うと、重苦しい雰囲気のモノが印象に残ります。以前のシニカルな感じよりももっと重く、巨大なシステムに翻弄される感じ。それでも安易な希望に走らないのがかえって潔いです。
★23 - コメント(0) - 2016年7月1日

たったひとつの冴えたやり方でも、ふわっと残酷だったけれど、やっぱり女性ということもあってか、この本もなんだか可愛らしい雰囲気なのに残酷。おもしろくて好きです。
★4 - コメント(0) - 2016年6月18日

どの短編もとても印象的でしたが「アングリ降臨」、「悪魔、天国へいく」、「いっしょに生きよう」の三つが特に面白かったです。前二つは神話とSFが混ざっているという感じで独特で引き付けられる世界観でした。どの短編も残酷で救いがない話ではあるのですがそれでも読む手を止められない不思議な短編でした。
★1 - コメント(0) - 2016年6月15日

1985〜87の作品群。ティプトリーの読書はいつも衝撃なしには終わらない。「肉」「ヤンキー・ドゥードゥル」ぞっとするリアルさ。「もどれ、過去へもどれ」この容赦の無さ。「地球は、蛇のごとくあらたに」乙女の妄想の無茶苦茶な暴走と皮肉なラスト。どれもこれもティプトリーらしくて溜め息が出る。凄いわやっぱり…。
★4 - コメント(0) - 2016年6月12日

一種のファースト・コンタクトものの作品から始まって、ユーモラスな「悪魔、天国へいく」あたりまでは明るい感じの作品だったが、読むにつれて不穏な空気が漂い、そして「もどれ、過去へもどれ」では否応なく”第二のティプトリー・ショック”を想起せざるを得ない。晩年の作品が多いだけあって、作者の心情の移り変わりが反映されているようで後半は読むのがつらく感じる部分もあった。アイデアだけ取るとまるでフレドリック・ブラウンが書いてもおかしくない作品が、ティプトリーにかかるとまるで趣きが違うのは不思議だ。
★12 - コメント(0) - 2016年6月9日

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア未訳の短編集。まだ未訳があったんだ!と小躍りして早速読了。どれもティプトリーらしい皮肉な一筋縄ではいかない展開、これぞSFという懐かしのハードコア。ああ、でもこれでもう本当に彼女の著作には会えないんだという寂しさ。最期の1編、死のさなかにも生きてあり、は彼女の覚悟の書であるのかなあ。
★5 - コメント(0) - 2016年6月9日

題の美しさよ。「アングリ降臨」が1番好きかな。ラストが甘い話が好きです。「もどれ、過去へもどれ」苦くて好き。「ヤンキー・ドゥードゥル」はSFっていうより戦争物だと感じた。
★2 - コメント(0) - 2016年5月31日

「地球は蛇のごとくあらたに」があまりに無茶な妄想乙女小説で笑うしかない。ただコメディしか印象に残らないあたりに本としての弱さを感じる。
★6 - コメント(0) - 2016年5月27日

久々のティプトリー・ジュニア。タイトルも格好よい。この人の話はどれも匂いや肌触りなどの体感が生々しく感じる。どの話も読み応えがあった。死の影を感じる、というか救いのなさへの諦観のようなものが。「いっしょに生きよう」はシロベーンのバリエか。「地球は蛇のごとくあらたに」のヒロインは感情の乱高下が激しく疲れた。
★1 - コメント(0) - 2016年5月27日

初ティプトリーです。パワーレスな絶望感を輪郭づける作品群のなかで、地球への〈愛〉に狂奔する女性を描く「地球は蛇のごとくあらたに」は出色。どれもエッジの効いた仕上がりで、硬軟自在の文章は表現の幅がとても広い。当たりの作家でした。他作品に進もう。
- コメント(0) - 2016年5月23日

2016年2月刊。原著は、1988年に刊行された。10篇を収録。原題のCrown of Starsが「あまたの星、宝冠のごとく」となっているところが、素敵で良い。伊藤典夫さん訳の「いっしょに生きよう」が、最も楽しめた。小野田さん訳の「ヤンキー・ドゥードゥル」は、キツイ内容で心に残る。独自色の強い世界観が展開され、馴染むのは難しい。
★1 - コメント(0) - 2016年5月20日

あちこちに死の影がちらつく短編集。著者の最後を想いながら読むといろいろとつらい。唯一既読だった「いっしょに生きよう」でちょっと一息。「肉」「ヤンキー・ドゥードゥル」「もどれ、過去へもどれ」はかなり精神力を削られるなぁ。
★8 - コメント(0) - 2016年5月12日

SFは味のあるタイトルが多く、つい手に取ってしまう。今回タイトルと表紙に惹かれて読み始めたのは「たった一つの冴えたやりかた」で有名なティプトリーの短編集。中身はといえば、短編ながらも読みごたえのある作品ばかり(ただSF色は薄いかもしれない)。その中でも、神が死んだので天国へ弔問に向かったサタンを描いた「悪魔、天国へいく」と、地球を愛した少女の恋愛物語である「地球は蛇のごとくあらたに」が面白かった。
★3 - コメント(0) - 2016年5月12日

死の影が色濃い短編集。「アングリ降臨」はある意味とても恐ろしいと思うが、何も知らなければそれはそれで幸せなのかとも思う。「ヤンキー・ドゥードゥル」は戦争の名のもとの狂気を見せつけられた感じがしてやりきれない。「もどれ、過去へもどれ」は若さ故の愚かさの代償があまりにも大きすぎる。「いっしょに生きよう」が一番SFらしく、作者の他の作品を思い出した。「肉」を読むと作者の見ている未来の暗さに戦慄を覚える。要するにジェイムズ・ティプトリー・ジュニアならどんな作品でもよいということ。
★12 - コメント(0) - 2016年5月8日

「肉」と「地球は蛇のごとくあらたに」がちょっと面白いくらいで、あとはあんまり。思想が弱い。やはり衰えたなあと思った。
★7 - コメント(0) - 2016年4月30日

刺激的で理性的でフェミニズム、軽みと希望とシニックがあり、一番好きな作家だったのだが、この本ではどの作品も暗く絶望的で、私のイメージするティプトリーじゃなかった。晩年の作品ということだが、彼女自身の絶望がにじみ出ているのだろうか? 彼女の最期についてはこれまで別のイメージで見ていたが、今はそうはいかない。最後の短編は自分の死後を想像して書いているのだろうか? 唐突に終わる。全体に現代もしくはちょっと先の地球が舞台で、出てくる人間も普通人なら、宗教問題も地上的。短編の発表年が書いてあるとよかった。
★7 - コメント(0) - 2016年4月27日

あまたの星、宝冠のごとくの 評価:78 感想・レビュー:66
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