日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残りの感想・レビュー(2802)

プリンシプルがなくなっていくイギリスというのが、この小説のテーマだとおもっていたが。物語を語る 執事の主人公は「 信頼できない語り手 」という解説を読んで、花鳥風月に孤独な人間の空虚、大英帝国の衰退を巧みにエピソードに絡み散らばしてるのに気付いた。日がおちる桟橋での初老の執事との交流は、きっと日本人にしか出せない素晴らしいものだ。
★3 - コメント(0) - 3月24日

品格とは 公衆の面前で衣服を脱ぎ捨てないこと 深い言葉です。
★5 - コメント(0) - 3月21日

長年執事として働いてきた主人公が米国人の主人が帰国する間、昔を思い浮かべながら英国南西部を車で小旅行する物語。執事と言う職業の性格や役割等が分かり非常に興味深い。特に執事自体がやりがいを求め、社会に多大な貢献を行っている雇主を求めて屋敷を替わることがあるというのは、執事=世襲制と漠然と思っていたので新しい発見。年老いた父の過ちに対してミス・ケントンやダーリントン卿の言葉「過ち自体は些細なものかもしれないが、その意味するところの重大さには気づかねばならない。」は自分が年を取った時の戒めとして心したい。
★10 - コメント(0) - 3月20日

実にみごとなものだった。結構がすばらしい。
★6 - コメント(0) - 3月13日

執事のスティーヴンス氏の堅物加減が会社の上司をほうふつさせて途中までは何となく嫌だったが、まじめすぎるゆえの不器用さというか、損してるなあと思うところが最後は憎めなかった。それにしても、カズオ・イシグロの文章はなぜこんなに知的で上品で美しいのだろうか。訳がいいのかな?英語が得意だったら原書で読んでみたい。
★9 - コメント(0) - 3月3日

ra7
自動車で旅行中の執事の回想録。と書くと随分とあっさりした印象だが、読み始めてすぐに惹きこまれる美しい文章だった。Never Let Me Goの映画もドラマも観ているのに実はカズオ・イシグロ作品は未読だったが、この人の文章(翻訳だけど)好きだなぁ。
★8 - コメント(0) - 2月24日

後悔と自己欺瞞を繰り返し、その先に何を見出すのか。旅が日常から自分を切り離し、自分を取り戻していく過程から見えるもの。選択するのではなく、信じた主人公の哀しいまでの美しい物語。
★13 - コメント(0) - 2月17日

昔、ロンドンにたった一年だが住んでいたことがある。イギリスの田舎には格安バスで回った。その時の息を呑むような美しさを思い出した。西の方はウェールズやバースしか行った事がないのが残念。ソールズベリーも行ってみたかったな。読んでいて仕事の志について考えさせられた。強いプロ意識は心の平穏に繋がるのか?ミスした時にただ傷付くだけではないか?またはべき論になって、周りを傷付けるだけなのではないか?どんな風に仕事に向き合うべきなのか考えさせられる。
★13 - コメント(0) - 2月17日

たまらん。
★3 - コメント(0) - 2月15日

行ったことのないイギリスの情景をこんなにも思い浮かべながら読み進めたのはとても心地良かった
★6 - コメント(0) - 2月14日

英国で中世から近代に発達したカントリーハウスの執事の物語。当時は重要な外交政策についての合意形成の舞台だったらしい。その舞台演出を担う執事の職業意識や女中頭とのやり取り、カントリーハウスを舞台に第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけての米英独仏のやり取りなどを軸に二度の世界大戦を経て家主が没落していく。日の名残りとは、太陽が沈み空に明かりが残っている時間帯。フロイト心理学の用語らしい。日本語には該当する単語があるか思い行きませんが、対語は多分「かぎろい」。題名に違わず郷愁たっぷりに美しく描かれています。
★16 - コメント(0) - 2月12日

英国のダーリントンホールで長年執事を務めるミスター・スティーブンスの人生の回想録。ミスター・スティーブンスは執事としては有能だが、間違った選択をしたり、失敗したことも少なからずあった。1週間の旅行の終わりにそんな自分の人生を振り返り、後悔する。しかし、間違いなく自分の責務と理想を貫いた人物であり、そのプロとしての生き方は誇りに思うべきだ。結果がどうあれ、人間は誰しも前を向いて自分の生き方を選択し続けなければならない。この1人の執事の回想録にはその強い生き方を学ぶことができる。
★6 - コメント(0) - 2月12日

表紙のイラストが気に入って思わず手に取った一冊。カズオ・イシグロは初読。第一次世界大戦後のイギリスの執事に関するお話であったが、仕事に対する向き合い方等、共感できるところが結構あった(それにしても何と不器用な主人公なのだろうか。)。尊敬する卿への忠誠心を貫くが故に起こる様々な葛藤が描かれていて、興味が尽きなかった。読後は、仕事に身を捧げたにもかかわらず、思い通りの結果が得られなかったと気づいたとき、そして自分ひとりと気づいたとき、それをどのように捉え、どのように生きていくべきなのかについて考えさせられた。
★21 - コメント(0) - 2月4日

美しい小説だった。古きよきイギリスの姿や、再会と別れの姿、信じてやまなかった主人の姿。それぞれに語り手の理想が詰まっていて、とにかく美しい。終始自己を抑制していた語り手が、旅の終わりにとうとう心情を吐露してしまう場面は、本当に切ない。そこから希望ある結びにたどりつくきっかけが、語り手を散々悩ませたジョークだなんて、素晴らしいにも程がある。
★12 - コメント(0) - 2月1日

英国の近現代史もその伝統ある貴族社会や執事という仕事もよく理解してないのだが、そんな僕でも読了して深い余韻を味わった。舞台は1956年英国ダーリントン、老執事が新雇主の勧めでかって共に働いた女中頭を訪ねる短い旅程を描いた作品だった。老執事の回想ひとり語り形式で、品格ある執事としいての職業的責務の在り様と、伝統的な英国社会が両大戦の狭間で変容してく姿が静かな筆致で描かれている。そして迎えた最終譚、桟橋で夕日を見つめて見知らぬ男との夕方談義と新たにジョーク力を磨こうとする老執事の姿が哀しいまでに心に沁み入る。
★39 - コメント(1) - 1月30日

rk
イギリスの階級社会独特な制度、執事の立場で二つの大戦中の主人との関係を思い出しながら当時の同僚に対し面会に行く読んでいてイメージが持ちやすかった。
★7 - コメント(0) - 1月28日

読んだ後にじわっとくるこの何とも言えない深い余韻。イギリスの邸宅に仕える執事の回顧録。落ち着いたトーンながらも、全体を通した自らの仕事に対する確固とした自負。そして旅の最後で出会ったある男の言葉「人生、楽しまなくちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。脚を伸ばしてのんびりするのさ。夕方がいちばんいい。」私も何故かこどもの頃から同じ事を考えていたので、この本を読んでその理由がやっとわかった気がする。
★57 - コメント(0) - 1月20日

イギリスにおける「紳士」って、日本人の感覚と違う世界なんだなって実感できた小説でした。今年、イギリスは大きな動きがあるんだろうけど、いい意味で「紳士」の心を見ることができたらなって思いました。
★26 - コメント(0) - 1月20日

Yaz
生まれは日本人であるけれど英国人であるカズオ・イシグロから見た英国執事のお話。そのある意味で外の目を持っている作者だからこそ主人と執事の主従関係や階級社会、ファシズムの影が忍び寄っていたイギリスという姿を書けたのではないかとも思う。それでもそういうテーマが全面に出てくるのではなく、あくまで過去の回想とロードムービーが主題なのがよかった。「あの時こうしていれば……」という気持ちが描かれつつも、センチメンタルに寄せすぎないバランスがこの人の絶妙なうまさだと思う。
★14 - コメント(2) - 1月19日

長年仕えた執事が、人手不足から元同僚を誘うため屋敷を離れるが、その過程で人生を振り返り、疑いすら持つ物語。品格とは何か。主人公の執事は、与えられた仕事の範疇を越えることなく、私情を交えることなく全うすることだと考える。有能でも主人がクビと言えばクビ、政治について訊ねられてもわかりかねますの一辺倒。自分の仕事を怠らない代わり自分の仕事以外は行わない。判断はせず主人を信じる。これで良かったのか。「後ろばかり向いているから気が滅入るんだよ」「人生、楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ」
★12 - コメント(0) - 1月15日

読後、暫く余韻に浸った。私は執事という職業にあまり良い印象を持っていなかったが本作で覆された。品格について身についたとは言えない私には勉強になった。主人公は私より年上であるので適切ではないが『貴方は良くやったよ、Good job!』と思わず声をかけたくなった。訳者あとがきにも記されていたように物語の設定年も興味深かった。熟語の本来の意味に繋がる慈悲とは異なる事、物語とは多少齟齬があるが最終2行に拙歌(ジョークのつもり)を捧げたい。『忘己利他 もう懲りたへと なりかけて 己の道を 思い直して』(謝)。
★37 - コメント(0) - 1月12日

初イシグロですが、これは何だ?フィクションなのか?自伝なのか?と戸惑うくらい、今まで体験したことのない世界観。現代の日経イギリス人が、どうしてこのようなリアリティをもって100年前の執事を描けるのだろう。「真の執事がいるのは英国だけだ。他国にいるのはただの召使い」それが実感できるほどの品格を(「品格」は本作の重要なキーワード)感じることができた。
★7 - コメント(0) - 1月11日

古き良き英国について描かれている。執事のスティーブンスが旅の中で、自らの人生や品格について想いを馳せる。スティーブンスの考える品格では、いつ如何なる時も公衆の面前で衣服を脱ぎ捨てないこと。この信念に従い、父が死んだとき、想いを寄せる女性が結婚することを知った時も執事の職を全うする。晩年のダーリントン卿の行く末、スティーブンスの後悔には、哀愁が漂っている。終盤の「夕方こそ一番良い時間だ。足を伸ばしてのんびりするのさ。」という男の台詞がしみじみとする。
★15 - コメント(0) - 1月9日

傑作。@人生、楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。夕方がいちばんいい。わしはそう思う。みんなにも尋ねてごらんよ。夕方が一日でいちばんいい時間だって言うよ。@私どものような人間は、何か真に価値のあるもののために微力を尽くそうと願い、それを試みるだけで十分であるような気がいたします。そのような試みに人生の多くを犠牲にする覚悟があり、その覚悟を実践したとすれば、結果はどうであれ、そのこと自体がみずからに誇りと満足を覚えてよい十分な理由となりましょう。
★16 - コメント(2) - 1月3日

図書館 2001年5月発行。1994年1月に刊行。執事一人称。かなり堅苦しい感じでした。
★7 - コメント(0) - 2016年12月31日

UZ
イギリスの屋敷に仕える老執事が旅中に記した回顧録。彼が過去を後悔する話とも言える。メインの後悔は「当時好きだった女性に何もしなかったこと」であり、実際その旅行とは女性と再会を果たさんとする旅なのである。自分の想いにも相手の想いにも気づいていたにも関わらず、何もしなかったことへの深い後悔。これが還暦を過ぎて襲い掛かってきたらあんまりだなぁと。僕がやるべきは彼を非難するでも同情するでもなくただ彼の経験から学ぶこと。アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏が好きな一冊は、反面教師にしたい一人の男を描いた話でした。
★8 - コメント(0) - 2016年12月30日

夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。ミス・ケントンとの再会の後、その見知らぬ男の言葉が、どんなにスティーブンスに響いたことだろう。あえて語られない、5日目の時間の深さを想う。まだまだわたしは大して生きていない若造だけれど、大抵物事とは過去になった後に、そのかけがえのなさに気がつくもののように思う。終わりがあるからこそ輝く瞬間。わたしたちはいくつもの名残りを惜しみいとおしみながら、人生という一日を終えてゆくのだろう。ご紹介いただき、ありがとうございました。
★14 - コメント(2) - 2016年12月29日

英国の執事…という正直言うとぜんぜん興味の湧かない設定だったのですが、ロードムービー的な進行と丁寧な語りで物語に引き込まれました。ラストは感慨深いものがあります。夕暮れに語られた一文に胸を打たれました。「何か真に価値のあるもののために微力を尽くそうと願い、それを試みるだけで十分であるような気がいたします。そのような試みに人生の多くを犠牲にする覚悟があり、その覚悟を実践したとすれば、結果はどうであれ、そのこと自体がみずからに誇りと満足を覚えてよい十分な理由となりましょう。」
★10 - コメント(0) - 2016年12月25日

執事という職業をうまく利用して1人の男の人生と英国の歴史を同時に描く。 日の名残り これほど相応しい表現はないと読後感じた。
★7 - コメント(0) - 2016年12月24日

主人公の落ち着いた語り方がとても良かった。ミス・ケントンもちょっと憎らしいけど魅力たっぷりで、作者はこういう人物を描くのが上手いと思った。また、主人公がところどころで執事としての考えを語るのも良かった。その内容自体は古臭く感じる面もあるし、そのまま真似できるものでもないけど、自分の職業に対する自分なりの理想を追求する態度は見習いたい。
★7 - コメント(0) - 2016年12月24日

この著者の作品で一番のお気に入りです。淡々とした文章の中でわずかに垣間見える男女の心情。ドラマチックではなく、さりげないやり取りから生まれる心の交流が心地好いです。
★6 - コメント(0) - 2016年12月17日

舞台は第二次大戦後の英国。長年英国貴族に仕えてきた執事が、新しいアメリカ人主人に休暇をもらい、旧知の人に会いに行くことを目的に旅行をする。道中土地の人と触れ合いながら、執事としてのこれまでの人生を振り返るが……。 出てくる風景は美しく、人々は純粋で、穏やかに時に情熱的に、主人公の一人称で語られる。かつての主人への想いが痛いほど伝わってくる。大戦を執事の立場で捉え、仕事とは、「品格」とは何かを考えさせる。『日の名残り』というタイトルの日本訳からして美しく、丸谷才一の解説がまたいい。
★13 - コメント(0) - 2016年12月17日

イギリスには馴染みがないのに、情景が目に浮かぶようでした。とても懐かしくて美しい物語。
★12 - コメント(0) - 2016年12月14日

前にダウントンアビーを見ていたせいか、読みながら映像が鮮やかに浮かんできて引き込まれた。執事から見た英国貴族の華やかなる生活とその凋落が、雇主に対する忠義が人間の「品格」であると信じ仕えてきたスティーブンスによって、旅の途中で出会った人々の暮らしや会話、そして自分の回想を通じて語られる。戦争を経て移りゆく英国社会の価値観を感じながら、人生をゆっくり振り返り、自分の価値観も少しずつ変わっていくことに気付いていく。終盤でスティーブンスは思う。人生の夕暮れを楽しむ余裕が大事だと。人生はまだ終わってはいない。
★23 - コメント(0) - 2016年12月10日

美しく切ない懐古に満ちた一冊。嘗て華やかな外交の舞台になった英国の邸宅の執事の独白。自らの仕事に強烈な自負を持ち、(それはもう鼻持ちなら無いくらい)その過去の栄光を回想しながら行く小旅行。先々の土地の描写が美しいが、その国力の凋落ぶりも漂う。執事はその中にあって過去にしがみついて埒外にいるよう。それが段々哀れに感じ、彼の人生と英国の黄昏がダブって見えてくる。加えて嘗ての女中頭との再会で初めて彼女の気持ちに気付く朴念仁ぶり。敬愛していた主も悲惨な末路を辿っており、彼の人生が少し空虚に感じた。
★50 - コメント(0) - 2016年11月30日

人間としては?のど真面目執事のキャラクター設定がとてもユニーク。淡々とゆっくりじっくり読ませてくれますが、ラストが少し物足りなかった。
★8 - コメント(0) - 2016年11月27日

★★★★☆再読。老執事スティーブンスがドライブ旅行にでかける道すがら、執事の品格と長年仕えた亡主人の偉大さについて、回想し語っていく。しかし、雄弁に語るほど言葉は陳腐になっていく。自身が違和感に気づき始めるからだ。結局、元主人はヒトラーに利用され歴史から抹殺されるような人物にすぎず、彼が理想とした執事像は心を寄せる女中頭を傷つけ人としてのありようを疑うようなものだった。人生はそういうものなのかもしれない。結果などわからず、ただ信じて選んで進む。落涙で心を洗い、新たな出発を語る最後は爽やか。
★18 - コメント(0) - 2016年11月24日

KEI
貴族や大地主が大きなカントリーハウスに住んでいた頃、「執事」としてダーリントン ホールで使えていた35年を振り返る主人公のモノローグ。この小説より少し前の時代になるドラマ・ダウントン アビーを毎シリーズ楽しみに観ているので、興味深く、執事役のカールソンを連想しながら読んでいた。良き執事とは?と自らの恋心にも気付かず、雇人の判断を信じて尽くす姿、これからはジョークを学ばねばと思う姿は堅物故に愛おしくさえ思える。滅私奉公というのは大英帝国にもあったのだな。ノスタルジックな良質の物語だった。
★58 - コメント(2) - 2016年11月23日

小説というものを6年くらい振りに読んだ。現在の描写と回想との繋がりが滑らかなので実際に物思いに耽る時のような気持ち良さがある。また登場人物の長所と短所が明確に現れているので伯爵や執事や女中頭といった馴染みのない人物が等身大となり、身近なことのように読み進めることが出来る。父の死の場面での焼肉の香りというのは笑うところなんだろうか?
★3 - コメント(0) - 2016年11月18日

「執事はイギリスにしかおらず、ほかの国にいるのは、名称はどうであれ単なる召使だ」(本文より)と言われるそうだ。その国で品格ある執事への道を究めること、ただそのためだけに生きてきたスティーブンスの回想録。回想と同時に、現在進行形でも話が進んでいくところが上手い。感情の抑制をきかせて穏やかに語られるので、最初は少々物足りなさがあるものの、後半へ行くに従って語り部の世界へ引き込まれていく。特にラストは秀逸で、土屋政雄氏の名訳が光る名作。
★26 - コメント(0) - 2016年11月17日

日の名残りの 評価:86 感想・レビュー:1036
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