ブラッド・メリディアン

ブラッド・メリディアンはこんな本です

ブラッド・メリディアンの感想・レビュー(305)

アメリカには反知性主義というものが存在する。プロテスタンティズムに由来する極端な知性主義への反作用であり、そのコンテクストの中で、今の「トランプ現象」も一応の理解ができる。しかし、知性主義の衣を纏ってはいても、(何かの反作用といったものではなく)本源的でより強大な反知性主義へのイマジネーションをこの小説は感じさせてくれる。小説の幅というものの限界をぐっと広げてくれる名作だと感じた。
- コメント(0) - 1月28日

奮える。広い砂漠に流れ続ける血。殺戮が繰り返される。殺る者と殺られる者しかない。正義も悪もなく、ただ殺しあう。人間の感情も、星々の瞬きや川の流れ、風のそよぎがただそこに存在しているかのように無言に終わる。人も自然も同一かのように一体となり、生まれては消えていくのみ。そこに静かだが力強い美しさを感じる。そんな中で判事の圧倒的な存在だけが光る。砂漠を裸で獣の骨と革でこしらえたパラソルを持ち、悠々と歩く判事の恐ろしさにぞっとする。彼だけが唯一の存在であるかのよう。狂い踊り続ける判事からは誰も逃れられない。
★55 - コメント(4) - 1月26日

本を閉じた瞬間に身震いした。人間の卑しさをこれでもかと剥きだした空間。「判事」は全てを俯瞰した語りをする。その言質に普遍的真理が含まれている。狂気や残虐非道は生来の人間の業だろう。生死が決する絶対的な場では正義は関係なくなる。本能と真の徳義心とは何かを逆説的に示唆しているのかもしれない。「判事」の存在は、恐怖のように感じた。様々な描写が暗示的で連鎖的で、その繋がりは空白で難解だった。「判事」は自分の秩序を護るために彼をそうしたのか?鳥肌が立つほど心が揺さぶられた。
★32 - コメント(0) - 1月22日

流れていく身は、強い欲望でもなく、強烈な憎悪でもない、感情に支配されないまま目の前にある事変を、一つの風景として捉えるだけで、血の海を創り出す留まるところを知らない殺戮の波は、激しいまでに誰もかれも飲み込んでいく。正義や悪という、ある意味単純な言葉は、ここでは何も意味を持たない。では、人間の成すべき事は、意思に支配されるという幻想の中でのたうち回り、結果的に在るべきところに収まるという偶然だけが、その手綱を握っているのか。安寧を求めても、その定義すら分からず、それすらも分かっているつもりで、何も見出せない
★27 - コメント(0) - 2016年12月2日

命は平等ではないし、世界も一つではない。そんな、誰もが同じように理解し得る都合のいい一つの世界などない。どこまでも違う世界で生ききる私たちの、そのルーレットのような組合せの中で「倫理とは強者を犠牲にした弱者の保護に過ぎ」ず、自分でものを考えられず、自ら道を切り開き進むことも出来ない者は死にゆけと判事は謳う。世界に意味など無く、故にまた不条理も無い。なのに私たちは世界に意味は無いという事実に耐えられるようには出来ていない。よって超人は弱者でできた橋を渡り大いなる正午/メリディアンを目指すのだ。凄く面白かった
★57 - コメント(0) - 2016年11月23日

終盤にかけてよかったー。盛り上がったー。
★1 - コメント(0) - 2016年11月13日

これもどう感想を述べてよいか戸惑うマッカーシー作品。開拓時代のアメリカを舞台に、暴力と共に育った少年が、秩序無き殺戮の世界を旅しながら西へ向かう話。道中、影のように、神のように、運命のように離れない「判事」が不可解で、不気味で、知的で…読んでいて腹の奥がごろごろするような違和感と重苦しさを伴う。ルールも愛も共感もなく、遊戯のように人々を翻弄する判事と、何も考えて居なさそうで本質的には遊ばれたり流されたりするのを否と感じる少年との攻防は、息が詰まる。ぐむむ。でも最初から勝敗は見えている、ううむもどかしい。
★6 - コメント(0) - 2016年10月20日

コンラッド「闇の奥」の更にその奥。報復が報復を呼び、最早どの立場の者も血の呪いに塗れた同類項。そんな連中を冷然と見下ろす判事の禍々しさ。彼からしたらエゴを正当化する「明白な運命」なんて理屈は弱さの発露。戦争こそ人間を命の最高点(=メリディアン)へと導く鍵、即ち神と説く。倫理や道徳はその絶対的真理の岩の下でどうにか息を継ぐ小さな虫。そして彼と共にインディアン虐殺に従事する少年は言葉だけではなく実際に「転がる石の様に」生きた男。この文明人の背負うべき業の根源が刻まれた痛烈な文学を誰かスウェーデンに送ってくれ。
★53 - コメント(3) - 2016年10月17日

これは本当に凄い小説だった。筋という筋もなく、山という山もなく、ただ淡々と、映画の長回しのように、冷徹かつ詩的に綴られる、開拓時代のインディアン狩りの記録。全編にわたって暴力を描き抜いたこの作品だが、およそ露悪的な趣味とは無縁である。登場人物の台詞も、美しい情景描写も、目を背けたくなる凄惨な虐殺の場面も、その全てが、谷崎の春琴抄を思わせる著者一流のテクニカルな文体のうちに渾然一体となり、あくまでも自然の光景として描かれていく。自然と人と暴力が調和する地平を描出した、これは紛れもない傑作文学であった。
★3 - コメント(0) - 2016年9月17日

面白かった。読むの大変だった。
- コメント(0) - 2016年9月6日

また南部ゴシック作家に出会った 映画ノーカントリーの原作者 ハードボイルドタッチな文体は病みつきになりそう
★21 - コメント(0) - 2016年8月28日

数こそ劣るがロシアの粛清やナチスによるユダヤ人虐殺に並ぶアメリカの歴史の恥部でもある19世紀中西部…インディアン討伐隊の蛮行で血で染まる赤い絨毯の如く子午線に棚引く暴力、殺戮。それでも人の心に宿る心の闇は偶発的なもの。戦争が人を狂気に導き悪行をもたらすのはゆえに人だから?名をもたぬ少年に人種差別や欲望、強欲さや感情などを極力もたせずそんな中判事だけが超然とした存在であり悪のイデオロギーを示唆するカリスマである。映画「地獄の黙示録」をイメージ…と思ったらコンラッドの「闇の奥」が源泉の一つではと後書きにある。
★59 - コメント(6) - 2016年5月29日

終盤の衝撃が大きく、受けとめられず、すぐにもう一度読み始めた。誰とどこで出会い、どう別れたのかを読み込むと、kidの心の変化が身に染みる。しかし、何度読んでも私にとって圧倒的だったのは、砂漠の広さと狭さ、インディアン達の哀しい境遇である。判事たちと共に行動するデラウェアインディアン達も、判事たちに刈られるおとなしいインディアンの種族も、蛮族であるアパッチ族も、みんな白人の影響から逃れることはできない。残酷であるはずの判事と知恵遅れの少年が、暑い砂漠を寄り添って歩く姿がとても優しい残像としてある。
★83 - コメント(3) - 2016年5月12日

一番エゲツナイ部分で神について語ってるんだよね多分。インディアンやメキシコ人をただ排除したこの時代に神なんか居たのかよと思ったら、居たよ。圧倒的で不死身で強烈なペテン師が。暫く登場しないと生きてるのか気掛かりで発見するとニヤリとしてしまう私にも神の御加護を。
★17 - コメント(0) - 2016年5月3日

原題は Blood Meridian, Or the Evening Redness in the Westと続く。直訳すると 「血の正午 あるいは西部の夕日」となる。コーマック・マッカーシーはまたとんでもない物語を創り上げた。モデルとなった実話があるそうなので、そんな時代があり、こんな事実があった事が恐ろしい。この本のカバーの絵だって荒野に捨てられたミイラ化した死体。マッカーシー得意のロードムービー的進行。舞台は1850年代のアメリカ。家出し、インデアン虐殺隊に入った14歳の少年の物語。
★34 - コメント(5) - 2016年4月24日

歴史修正主義西部劇という言葉がある。アメリカ原住民を悪玉として描く従来の西部劇に対していかに白人が悪事を働いたのかを描くのが歴史修正主義西部劇だ。この本もその一種と説明されるが白人だけではなくアメリカ原住民も恐ろしく残酷な連中だ。ひたすらに略奪し、幼児すら虐殺する地獄の道行きはあのワイルドバンチがままごとに思えてくるほど。リドリー・スコットが映画化するという話もあったが観たいような観たくないような…
★3 - コメント(0) - 2016年3月15日

KKS
止まらず進み続ける歯車の話...ってことなのかな。前進している間は他者を噛み砕くことができる、留まったり戻ったりすると運命という歯車に追いつかれて噛み砕かれてしまう、逃げ続けてもいずれは捕まり砕かれるという。力や悪ではなく"対決"こそが美しいといい、宗教を馬鹿にし、黒人奴隷制度を否定するのは、つまり従属するな、抗え、そこに人の価値がある。ということなのかも。長い長い旅路を、へとへとになりながも筆力でぐいぐい読ませられる大作。
★2 - コメント(0) - 2016年3月15日

登場人物の心理描写は排除され、人間は特化されない。ただひたすら乾いた荒野に血が流れ続ける。大人も子供も、白も黒も関係ない。死ぬ者は死ぬ。殺して殺して殺しまくる。「倫理というのは強者から権利を奪い弱者を助けるために人類がでっちあげたものだ」戦争は終わらない。残虐極まりない環境の中で命を賭けて闘う人間の姿が美しく逞しい。息遣いまでもが聞こえてくるようだった。また何と言っても判事の圧倒的な存在感。きっとこの男は世界の果てまで生き残り踊り続けるのだろう。
★40 - コメント(3) - 2016年2月13日

『ノーカントリー』での底なしの虚無と暴力性はここから始まった。入植者が領域を拡大する中、ネイティヴ・アメリカンへの征討を証すための頭皮狩りに参加した少年。人間が勝手に恩恵を見出し、受け取るだけの新天地での自然のあり方とそこで生きる為に自分の中にある野生に身を任せる人々の営みは、一切の情感も交えずに描かれている。しかし、だからこその矮小さや美しさを如実に映し出してしまう。『闇の奥』のクルツを生き残らせた「判事」の人物像にこそ、人々の虚無そのものだった。
★39 - コメント(0) - 2016年1月18日

本書に出会わなければ、先住民虐殺や頭皮狩り、米墨戦争時代を知ることはなかった。超人で謎めいた判事の強烈な存在感に気を取られるが、それ以上に名前のない主人公と彼の行く先が気になり読み進んだ。野蛮で残虐なだけなら、この物語に引き込まれなかっただろう。善と悪、過酷な生き様、荒野の描写が、時代の情景と同時に人類の歴史を彷彿させる。文章が印象的。物語のスケールが大きく、いろんな思いで胸が締めつけられた。
★11 - コメント(0) - 2016年1月5日

会話に「」が無い、人間は特化されず、動くものは何もない、静けさと破壊。善悪という価値観が完全に欠如。人間と岩の思いもよらない共通点。人間の矮小さが浮き彫り。例えば、頭皮狩りとコバルトブル-の空を背に谷間を渡る鷲の羽根の純白が同じテンションで描かれ、醜悪も美も造化の完璧さを意識できる描写。村上春樹も言ってたが、作品がタフだ。ロ-ドもノ-カントリ-も映画化大成功だったが、この作品に映像は追いつかへんね。意味の解らん至極美しいものに出逢うと生きてて良かったと本当に思う。年の瀬に最高峰の遊戯、絶頂。
★41 - コメント(8) - 2015年12月31日

自然の法則が支配する事象に感情のさし挟まる余地はない 悪意すらない悲劇、失われる命に意味はない
★3 - コメント(0) - 2015年12月14日

本作は、乾いた飄々としたアメリカ南東部、時は1840年から1870年後半。荒くれ者が非正規軍としてインディアンを掃討すべく行く先々でそれらを虐殺し、頭の皮を剥がす物語である、といえば単純過ぎるが外れてはいない。人の心を炙る深遠で直球な背景が迫ってくるのである。殺伐とした情景、灼熱砂漠、満天の星空、吹雪く白銀世界、喉の渇き、知らずに息を止めてしまっている悪臭、どろどろの血が目の前で飛沫となり展開する。これに似たような出来事は実際にあったであろうアメリカの恥部も露呈している。
★2 - コメント(0) - 2015年11月22日

果てなく続く礫石、朽ちゆく無音の骨と骸、そして沈む夕陽の血のような赤…。息を詰めたように長く抑制された文章は重く緊張感を伴い、詰め込まれた暗喩と詩のような鮮烈なイメージに幻惑される。幾度も繰り返される残虐な殺戮、血と砂礫に満ちた世界そのものに圧倒され、あるいはそうした世界のなかで、あらゆる倫理を超越し、己の全存在を賭け金に闘争の骰子を投げ続ける人間の姿に酷薄なまでの美しさを見出す。かなりの消耗を強いられたが、読むことができて良かったと思う。絶頂と黄昏のなかで燃え尽きてゆく人間の魂を描き切った大作。
★30 - コメント(0) - 2015年10月27日

Grs1000死の息遣い。足音が聞こえる。殺るか殺られるか。荒野に潜む敵。ライフルかナイフあるいは牙か爪。ギラギラとした灼熱の地獄。岩のみで敷き詰められた地面。他には地平線のみ。得体の知れない与太者が集う酒場。笑みを作るべきか何をいうべきかあるいは無言か。その一挙一動が運命を分かつ。死と生が紛うことなく同一線上にある。もしもテキストの文字のすべてを映像として頭の中で変換出来ていたなら、物語を存分に堪能できただろう。残念だ。425ページにわたる物語を映像を見るかのように描ける巨匠、マッカーシー。感服のみ。
★43 - コメント(0) - 2015年10月21日

西部開拓時代のテキサス・インディアン戦争が舞台。虐殺の描写は本来であればむごたらしいはずなのだが、例によってマッカーシ節のため淡々としており、まるで日常風景を描写しているようである。アメリカの成り立ちの要素として血と暴力がある、と主張しているようである。
★4 - コメント(0) - 2015年10月3日

「誰にも目撃されなかったことはそもそも起きたのかどうかわからない」――14歳で家出した「少年」はグラントン大尉の頭皮狩り隊に入ります。そしてインディアンを、それからメキシコ人を虐殺し、そして仲間とも争います。最後「少年」はかつての仲間の唯一の生き残りの「判事」と対決し、生き残った「判事」は目撃者がいなくなった世界で一人で踊り続けるのでした。淡々とした残酷描写が続くので万人に薦められる本ではないですが、一読の価値はあると思います。でも読みにくかった…‼
★7 - コメント(0) - 2015年10月2日

文章が圧倒的な美しさ。人間の生を限りなく脆く描きながらも、同時に深い意味を持たせている。判事はあくまでこちら側の存在なのか?それとも、人知を超えた何かなのか?
★5 - コメント(0) - 2015年6月14日

飢えと渇き、荒廃の支配する荒野を行く悪漢の一行。略奪と殺人を生業とする彼らに加わった少年の旅はどこへ行きつくのか。 何と言っても「判事」の存在が目立つ。彼こそこの作品の核であり、過酷な自然や暴力による支配、インディアンに対する扱いなどがリアルに描かれている中で彼のみがまるで超自然の存在であるかのようだ。 非常に読みづらく(句読点が少ない)難解ではあったけれど、読んでよかったと思う。
★4 - コメント(0) - 2015年6月13日

入学後の476冊め、一番難解な本だった。描写は量のわりにわかりやすく、読める読めるぞ、と調子こいてたが比喩や説教が入ると途端に理解ができなくなった。主人公であるはずの少年は途中で存在が消え、グラントン一行の虐殺→移動→虐殺→移動→略奪→移動→虐殺といった単調な話が続き、退屈だった。終盤にまた少年中心に話が進むが、最後便所で掘られたのか殺されたのかはわからず、エピローグも意味不明。文章も装丁もかっこいいけど、決して面白いわけではなかった。とはいえ、まだ易しいらしい国境3部作はなんだかんだ読みたい。
★1 - コメント(0) - 2015年6月11日

本書に蔓延るのは「悪」。荒野の旅の中で、残虐な行為を繰り返し、生を繋ぐ。物語の主人公ではなく、悪人側であるはずの物語。判事と呼ばれる男のミステリアスさとカリスマ性が本書の魅力であり、悪の権化ともいえる。他のマッカーシーの作品と大きく異なるのは、今回の旅は孤独な旅ではなく、何人も伴う旅であること。それが精神的孤独からの解放となっているのかはまた別の話だが。こんな血生臭く、暴力に満ちた世界でも、どこか美しく思えてしまうのはマッカーシーの筆力だろう。
★24 - コメント(0) - 2015年4月11日

非常に長くて読みづらい本だった。しかしここまで人間の悪逆な面を冷徹に描いた物語はあるだろうか?
★4 - コメント(0) - 2015年4月1日

この時代のアメリカに生まれなくてよかった。
★4 - コメント(0) - 2015年4月1日

被害者がいつまでも甚振られてミイラ化しても粉々になるまで打ち砕かれ消滅したら炎で炙られて消えていくような印象の小説です。死ぬ。死ぬ。殺す。過酷な環境の中でどんどん死んでいきますがどんどんキャラも増えて人の行き来も激しいのでああ本当にこうした時代なのだと思わせるものが。結末はありますが流砂のように物語が強すぎて終末がどうでも良くなってずっと見ていたくなる代物。章立てがあるのでチェックが容易です。ドイツ語と思われる最後の一言はなにか夢物語的なものがあって血と暴力の国のラストを思い出しました。すごい本です。
★4 - コメント(0) - 2015年2月27日

歩む者を容赦なく太陽が干上がらせる果てのない不毛の大地。そこでは神と自然と人間が「暴力」という等号で結ばれ、善と悪の相克は存在しない。人間には神を畏れるためではなく、文明を生み出すためでもなく、ただひたすら生き残るための叡智が必要とされる原始世界。叡智を持たぬ者は道半ばで倒れ、人間のものであれ自然のものであれ圧倒的な力を持つ暴力に屈するのみ。個々の世界はそれで終焉を迎えるが、狩り、狩られる人間の暴力の連鎖は場所を変え、時代を変え、義を振りかざす国の大義名分を加えられ、どこまで引き継がれていくのだろうか。
★18 - コメント(0) - 2015年2月2日

西部劇の悪役サイドはこんな感じに略奪、狼藉の限りを尽くしていたのかなと思えるような。本当に判事のキャラクターが凄い。色々と超越しきっている感じだ。殺しても死ななそうだし。
★5 - コメント(0) - 2015年1月14日

コーマック・マッカーシーの作品はどれも凄惨なものが多いが,例えば,国境3部作は,少年の純粋さと痛さと世間との軋轢を描いていたが,これはただ単に血と暴力の小説で,今までにまして救いようのないお話。一応,主人公(の一方)は「少年」になるのだろうが,彼は最後まで「少年」のままで名前は出てこない。で,なんと言っても『判事』 いろいろなことを超越した存在。
★3 - コメント(0) - 2014年12月17日

著者の他の作品以上に、読みすすめる気力が必要な本作。凄惨にも理由はなく、必然であるように行われる。そして強烈な暴力描写以上に理不尽の象徴のごとき判事の存在は痛烈な印象を残す。
★3 - コメント(0) - 2014年10月21日

「人間を結束させるのはパンの共有ではなく敵の共有だ」(p.388)。接続詞が殆どなく、一文が長い。死者の頭皮を剥ぐという残虐な行為を描きながら、血が飛び散るさまを「開花する」と綴る詩的な文章によって美しく感じてしまう。それがまた悲しい。
★1 - コメント(0) - 2014年8月9日

ブラッド・メリディアンの 評価:94 感想・レビュー:136
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