ディフェンス

ディフェンスはこんな本です

ディフェンスの感想・レビュー(75)

彼がどんなに醜男であろうと駒盤を前にしていると騎士がきらりと現れる瞬間を目にした気がした。筆力なんだろう、鮮やかに滑らかに疾走する駿馬をイメージ。駒馬を一手一手進める作業は彼にとって唯一の能動的な時間。攻撃は最大の防御…格子の中の世界にいる時だけが彼の生きにくい世界を素晴らしいものに変えてくれたが、それは結局自分の身を守るためのコクーンにすぎなかったのかもしれない。誰も彼を愛すことはできない。両親も叔母も後見人も妻も。皮肉なことにその理由は正に「チェス」。もがけばもがくほど奈落に落ち行く感じ、その絶望。
★45 - コメント(0) - 2016年12月27日

ロシア語時代のナボコフの出世作らしい。驚異的なチェスの才と絶望的に低い社会生活遂行力・対人力を持つルージンの人生の物語。想像と現実をなめらかにつなぐ魔術的文章の虜になっているうちに、ルージンが味わう苦境にシンクロして、読んでいるこちらも苦しくなってきてしまう。ナボコフが作中に仕掛けた様々な対応関係(一部しかわからないが)の妙も含めて、見事な小説といえる。ルージンはパラノイア的思考をするが、この小説においてはその思考はある意味正しく、彼が類稀なる才によって勝ち目のない戦いに挑んだ傑物であったのは間違いない。
★17 - コメント(2) - 2016年8月5日

再読。ナボコフの描くチェス馬鹿一代記。▼ストーリーがわかりやすいので1回読めば十分満足できるのだが、試しに再読してみた。やはり1回や2回読んだくらいでは気づかない仕掛け満載。やっぱりナボコフだ。また1回目は退屈に思えた後半の物語も2回目は面白く感じられた。▼208頁と233頁にちょこっと出てくるアルフョーロフ夫妻は『マーシェンカ』という別の小説の登場人物らしい。いわゆるカメオ出演?
★27 - コメント(0) - 2016年3月10日

チェス馬鹿一代記。初期の作品だからか、ナボコフにしては読みやすい。主人公ルージンの暗黒の子供時代とか、チェスとの出会いとか、最強ライバルとのチェス対決とか、普通に面白い。ルージンのキャラが立っている。頭の中はチェスのことだけ。不器用、不衛生、不細工の三拍子そろったデブ。こんな男に惚れる女性がいるとは思えないが、ちゃんとヒロインが登場して、ロマンティック・コメディの要素も入っている。▼本当はチェスのルールを知らないと理解できないのだろうが、知らなくてもとりあえずは面白く読める。
★33 - コメント(1) - 2016年3月9日

天才≒リミッターが壊れてしまった者?▼主人公ルージンは、チェスにのみ、ずば抜けた適性を持っていた。取り憑かれたようにのめり込むにつれ、いつしか現実と抽象世界が混同し始める。眠る時も頭の高速回転が止まらない。現実から意識の剥離が進むのに比例するかのように、彼はさらに強くさらに純度を増していく。▼小説とはいえ、現実にここまでのことがあり得るのか、と思った。だとしたら見てる世界が違いすぎる。天才ボビー・フィッシャーを彷彿させた。もしかして似た状態に陥っていたのか。
★14 - コメント(1) - 2014年3月24日

あまり馴染みの無いチェスをモチーフとしながらも、かなり引き込まれて読み進めることに。とにかく主人公ルージンの「身近にいたら、絶対面倒臭いに違いないけれど、妙に気になる」という厄介なキャラクターの描写は秀逸。解説でも言及されているように、ラストに納得できないという声もあるようで、確かにあまりに唐突な結末だったが、個人的にはどこか腑に落ちるものがあった。それよりも気になるのが、後にルージン夫人になる女性の母親が口にしたセリフ「あの子は彼を愛していないわ」。この言葉は最後まで宙づりにされたまま…謎だ。
★3 - コメント(0) - 2014年3月16日

駒のように格子模様に囚われた男、ルージンーー。まさに、テーマは「チェス」そのもの。あらゆるところにチェス盤のイメージと駒のイメージが存在する。持ち物から情景まで、特に月光でできた巨大な影の枡目にルージンの影ができるシーンは、まさに似るはずのない「チェスと人生」のイメージを想像させる。ルージンの行動は指し手のように反復あるいはパターンに支配されてしまうが、これも「チェス」の連鎖か。「音楽」のイメージも隣接する。まさにバラバラなものが結びつく(小説そのもの)ーーこれを音楽とチェスのイメージで表現!脱帽である。
★7 - コメント(0) - 2013年12月10日

堪能した〜◎
★2 - コメント(0) - 2012年7月18日

ずっと息苦しい空気が続く、悲劇。頭の中が"それだけ"になってしまう恐怖がくっきり描かれていて恐ろしい
★1 - コメント(0) - 2012年7月10日

チェスって芸術なんだと納得させるナボコフの筆力に脱帽。
- コメント(0) - 2012年1月11日

この雰囲気はどこかで読んだなと思っていたら、解説に『アンナ・カレーニナ』を下敷きにしているとあってしたりとなりました。ロシアの上流階級ですもんね。あいかわらず詩的な表現と時間が混在した話のすすめ方は上手い。
★1 - コメント(0) - 2011年10月17日

素晴らしかった。とても切ない話だ。物語は主人公が“月曜日からルージンと呼ばれることになる”と父親に知らされ、ひどく驚いている場面から始まる。両親に対しても他人行儀で学校嫌いな彼に、大人達は手をこまねいていた。ところがある日、少年はチェスに出会う。そしてお約束のような天才少年の歩む道…。己の人生さえチェスになぞらえた上でしか見通せなくなっていったのも、ルージンにしてみれば仕方のないことだ。他の捉え方を知らない、そんな風にしか守れない。そのルージンの寄る辺なさこそが、愛おしい。だが結局、人生はチェスではない。
★5 - コメント(0) - 2011年8月3日

チェスしかできないけれど、それゆえに高みに登れたルージン。彼を理解して寄り添ってあげようとしてくれる人がいなかったことがあのラストを招いたのか。本当の彼は愛すべき人間だとしみじみ思う。
- コメント(0) - 2010年12月28日

チェスの天才的な才能を持った少年、ルージン。彼は長じるにつれめきめきと頭角を現すが、あるとき試合で極度の緊張から精神のバランスを失い、チェスを捨てることになる。だがその時まで彼は気付かなかったのだ、彼こそが盤上に置かれたちっぽけな駒にすぎないということを。駒を意のままに動かすのは神、すなわちナボコフ。逃れられない手筋に追い詰められたルージンが打った最後の一手は、救済であり究極のディフェンスだった。ナボコフいわく、自分のロシア語の作品の中では最も温かさに溢れた作品、だそうだ。ああ、なんて嫌な男。
★16 - コメント(0) - 2010年2月22日

チェス小説アンソロジー『モーフィー時計の午前零時』がおもしろすぎたので再読。『記憶よ、語れ』で印象的だったフランス人家庭教師や『マーシェンカ』のアルリョーロフ夫妻が出てたり、終盤でルージンが魅せる禁じ手「突然美容室でマネキンを買う」にも反復する要素があったり、やはり記憶の作家ナボコフは読めば読むほど味が出るとわかった。曖昧模糊とした世界をチェスで区切るなら、運命がわけがわからんことよりも、運命の手筋がわかってしまうことがおそろしすぎておもしろすぎる。
★7 - コメント(0) - 2009年4月10日

チェスが分からないとねえ~。しかもナボコフさんだもの。これは私の力不足ゆえ★★☆☆☆
- コメント(0) - 2008年8月12日

★★☆☆☆
- コメント(0) - 2008年6月1日

こういうこれだけ、ってものに没頭できるものがあるのは幸せでもあり悲劇でもありなんだなあ 個人的にはそれを真横で見守りたい気持ちがよくわかる
★1 - コメント(0) - --/--

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