スターバト・マーテル

スターバト・マーテルはこんな本です

スターバト・マーテルの感想・レビュー(73)

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彼女の独白、手紙、生活。それを描く一つ一つの文が装飾をそぎ落とした、詩、歌、旋律そのものであるかのようだ。音楽は、言葉は、美しいだけではない。外の世界をほとんど知らぬままに塀と仮面の中で生に苦悩する少女。類稀な才能を持ちながら、彼女は音楽と生を等価には見做さない。わずかな描写の中でぶつかりあう作曲家と少女の魂の声は狂想曲のように響く。少女は翼を折られたのか。それとも、得たのか。
★2 - コメント(0) - 1月2日

最近流行りのクラシック感動ものを期待してはいけない。仄暗く観想的な物語。ピエタ養育院×ヴィヴァルディには以前から興味があったが、最近までこの本の存在に気づけなかったことが悔やまれる。個人的には「おじさん(作者)が少女の精神の奥深くまで沈潜してみた」文学のベスト3に入る。自分を捨てた母へ宛てた手紙の形で語られる、18世紀ヴェネツィアの養育院の少女の物語。思春期ならではの醒めつつ病みつつ詩が零れてしまう感じ、同時に現代的な怜悧さを備えた文体は読者を選びそうだが、私は存外ハマッてしまった。(続く
★8 - コメント(3) - 2016年12月23日

孤独に苛まれ夜毎おぞましい妄想に身を委ねる少女が、ヴィヴァルディとその音楽に出会い自ら人生の船出を果たすまで。といっても全篇がまだ見ぬ母への手紙という形式をとった少女の独白で、妄想と現実が切れ目なく続く観念的な語り。正直気色悪くて途中でやめようかと思った。でもわたしも思春期の頃こういう気持ち悪い妄想に飲み込まれそうになっては必死で踏みとどまってた。たまに金太郎飴みたいにも思えるヴィヴァルディの音楽にこんな暗い官能の一面があるのも分かる。わたしは合わなかったけど、独特の文体に感応する人も大勢いるのだろう。
★14 - コメント(0) - 2016年9月10日

まだ、見ぬ母へ手紙を書き綴る孤児のチェチェリア。綴られるのは自分が何者であるのかという悲嘆や惑い、生み出した存在への怒りと思慕であった。そこに生まれたばかりのヴィヴァルディの四季が絡み合う。生まれたばかりで目が開いてもいない子猫が川の中に捨てられる場面とチェチェリアが子宮内は冷たい死に満たされていると実感する場面が重なった時は痛々しすぎる。そんなチェチェリアの傲慢さや頑なさを指摘するメデゥーサは彼女の理性だったのだろうか。そしてヴィヴァルディに情感を音楽として昇華できる才能を嫉妬される場面も印象的だった。
★17 - コメント(1) - 2016年9月8日

18世紀、ヴェネチア。養育院の楽団でヴァイオリン奏者をしている16歳のチェチリアは、真夜中に不安に襲われると床を脱け出して会ったことのない母親に手紙を書き続けていた…
★3 - コメント(0) - 2015年7月30日

【図書館本】幻想的な雰囲気に惹かれ手に取る。イタリア最高の文学賞であるストレーガ賞の受賞作。スターバト・マーテル(Stabat Mater、「悲しみの聖母」)は、13世紀に生まれたカトリック協会の聖歌の1つで、主人公の少女チェチェリアを修道院へ棄てた母を想起させる。前半は、孤独への不安から夜毎抜け出す中で、胎児を産み落とす夢など得も言われぬ官能の匂いが立ちこめる幻想が覆う・・。しかし後半は音楽と作曲家との関係を通した人間性の描写に一転。弦を得るためチェチェリアに羊の喉を掻き切らせるシーンに息を呑んだ・・。
★9 - コメント(0) - 2015年7月20日

最近たまたまBBC放送の制作の、ピエタでのヴィヴァルディの グロリアの演奏の再現映像をみた。美しい聖堂で演奏していた少女たちの内面にここに書かれていたチェチリアのような不安、哀しみ、苦しみがあるのだと思うと胸がつまる。音楽は演奏する人の内面がしみだす。普通の人が普通にする経験や知識がない彼女たちの手からより生き生きした音楽を生み出すためにしたヴィヴァルディの荒療治は、彼女が押し込められていた鳥かごを取り払ったのだ。
★3 - コメント(1) - 2014年8月31日

このじくじくした思索と、断片のまとまりがぽつぽつと連なる感じは大好き。
★2 - コメント(0) - 2014年2月22日

ビバルディとヴェネツィア!と読んでみたら、少女の独白のみの作品でした。
★1 - コメント(0) - 2013年10月17日

ここまで極端に登場人物が少ない本も無いだろうと思うほど・・・音楽家のヴィヴァルディが登場するのだが他に彼を登場させた本は知らない。登場人物は大衆と言う言葉で大まかに括られるのを別にしたら5~6人ほどの少なさに驚きを覚えた。本編は主人公のチェチリアの母に宛てた手紙(?)と言うよりモノローグが中心。合間に自分の分身との会話である。つまり、ほとんどが自分の世界の中で起きていることなのである。こういう、描き方もあるのかと驚く次第である。
★19 - コメント(2) - 2013年8月18日

バロック期の歌唱の要求レベルの高さに「楽器と全く同じ扱い」だと感じていたけど、発想を逆にすべきだった。楽器が(特に管楽器が)未完成だったから、鍛えればコントロールできる人間の声を使っていたのだと。楽器が完成されてくるにつれて、それまで人間の声にやらせていた機能が楽器に委譲されていくんだな
★1 - コメント(0) - 2013年4月9日

ヴィヴァルディが女性のみの孤児院でバイオリンを教えていたという話を知っていたので、この設定は面白いと思いました。また著者の語りが詩的で、『四季』の音楽をそのまま言葉にした感じ。当時の音楽からしたらヴィヴァルディの曲はとってもセンセーショナルだったんだと思います。その音楽は、少女の感情の彷徨にのせて奏でられていく。どんな音を彼女は紡ぐのだろう。とても読み応えがありました。
★2 - コメント(0) - 2013年2月9日

18世紀初頭ヴェネチアのピエタ養育院に暮らす少女の物語。ヴィヴァルディが登場する小説として期待して読むと肩透かしを食うだろう。彼はあくまでも脇役で、架空の少女チェチリアに焦点があてられている。それにしても、タイトルを『スターバト・マーテル』とする作者の意図は成功している。 磔刑に処せられたイエス・キリストを悲しむ聖母マリアの祈りの聖歌、それがスターバト・マーテル(「母は悲しみにありき」)。母に捨てられたチェチリアの物語は、この聖母マリアの慈しみとの関係で昇華される。
★9 - コメント(1) - 2013年1月29日

仄暗いうっそりとした官能が漂う話だった。音楽の守護聖人の名を持つ少女は、ヴィゥァルディの作った音楽を身に宿し、妊娠したのではないかと恐れ、ヴィゥァルディは少女の才能に嫉妬しながらみずからの作った音楽の檻に閉じ込めようとする。イタリアの愛はアモーレ!パッシオーネ!だけではないのねと。前半、少女の思考へページとりすぎてヴィゥァルディとの葛藤共感云々がかなり駆け足だったのが残念。
★3 - コメント(0) - 2012年12月10日

M7T
最初は女性の濃厚な心理描写が苦手な感じでしたが、意外にも後半から物語が動いていくので、読み切ることができました。窓の少ない部屋から、眺めのいい部屋に移ったときのような感じ。
★1 - コメント(0) - 2012年8月28日

母、生と死、女であること、これらを知り思考することで、少女の内面から言葉と音楽が溢れ出す。濃密で静か、なのに激しい。
★2 - コメント(0) - 2012年7月16日

tom
ヴェネチアの栄光の時代の孤児院「ピエタ」で暮らす少女とビバルディの接点を少女の視点から独白形式で物語った話。読みにくくて、時間がかかり、かつ本の中程までのかったるさは、なんともまだるっこしかった。でも、この本は音楽が沸き上がってくるのです。ビバルディの音がところどころで聞こえてくるような感じがあって、なかなかよろしい本でした。
★5 - コメント(0) - 2012年5月20日

チェチリアの母への思いや、孤児として育った心の闇と、養育院独特の閉ざされた世界を、延々と独り言としてつぶやくその雰囲気は面白かったです。ただ、そこから音楽の才能と嫉妬と、あのラストへの流れに乗れませんでした。
★6 - コメント(0) - 2012年4月28日

ぜんぜんわからなかった。読んでも読んでも意味がわからない。まったく文章に集中できなかった。読んでるといつの間にか他のことを考えている。前に読んだ『ピエタ』と同じ舞台ということで期待していたが残念な結果に。
- コメント(0) - 2012年3月4日

暗鬱な雰囲気。贓物が浮いていそうな夜の運河のイメージ。最後は、希望の旅立ちと捉えて良いのか。チェチリアにとって、ヴィヴァルディの位置づけは?才能を閉じ込めようとした嫉妬深い男なのか現実を教えてくれた恩人なのか。
★3 - コメント(0) - 2012年2月24日

静かな物語 才能って抱え込みたいものなのかな 妬みとか羨みとか。 薄ら寒くなるような。 閉ざされた世界の話でミネハハとか思いうかべました。
★2 - コメント(0) - 2012年2月23日

ヴェネチアのヴィヴァルディと音楽天才孤児のお話。「四季」とか出てきます。
★1 - コメント(0) - 2012年2月17日

大島真寿美さん『ピエタ』と同じく、ヴィヴァルディとピエタ慈善院を題材にしたもの。読み心地はまったく違うけれど、二人とも「同じピエタ」を描こうとしている気配がした。ただ、この本はどちらかというと観念的で、面白いとはいえなかったけれど、シーンや言葉や物語の質感が不思議と印象に残る。
★1 - コメント(0) - 2012年1月7日

うーーん、びみょう。ラストがもう少し違う展開になっていれば好きになれたかも・・・。
★2 - コメント(0) - 2011年12月22日

読み始めて、あ、これはハマると思った。静かな夜に吸いこまれていく感覚。静寂と音楽が対比させられていて、物語自体が協奏曲のよう。アントニオ神父とチェチリアの手が羊の喉を切り裂いたとき、息をのむような暗い官能が漂っていた。他の作品も読みたい。
★5 - コメント(0) - 2011年12月18日

表紙のヴァイオリンに目を引かれて手に取りました。ちょっと期待とは違っていました。もっとヴィヴァルディとの絡みがあるのかと思っていましたが。いまひとつ物語に乗れなかったかな~。
★1 - コメント(0) - 2011年12月13日

好きな文体。ぐんぐん引き込まれた。痛いほど心情が伝わってくる。子供を産む女の描写は本当に素晴らしい。
★1 - コメント(0) - 2011年12月10日

私は誰?お母さん、あなたはどこにいるの?暗闇の中でつづられる少女の問いは、行間から血がにじみ出ているようで。 ピエタ養育院で育った少女とヴィヴァルディの音楽を通しての心の交流はあまりにも美しくあまりにも重くあまりにも苦しい。 大島真寿美著『ピエタ』の輝くような奇跡の物語にたいして暗く沈鬱でまさに闇。
★3 - コメント(0) - 2011年11月27日

アントニオ・ヴィヴァルディが、ピエタ養育院でヴァイオリンなどを教えていたことも、ピエタ養育院が、子どもを育てることが困難な女性のために外壁に小さな棚式の赤ちゃん受け入れ口を設けていたことも史実であるらしい。 赤ちゃん受け入れ口に置き去りにされたチェチリアが、見たことのない母に向かって手紙を書く、というスタイルで、生と死を巡ってもがく前半の重苦さに比して、終盤近くの「四季」の演奏シーンの、なんと活き活きと生命力にはじけていること!自由で力に溢れる。彼女は前に向かって生きていくのだな、ということが確信される。
★4 - コメント(0) - 2011年11月16日

つまらなかった。こういう調子の本は意味が分からないし苦手。ヴァイオリンの天才少女が出てくる音楽ものと期待してたのに全く違った。暗いし、あぶない。
- コメント(0) - 2011年11月15日

ほぼ全部独白だった…。正直言ってあまり好みではなかった。どうもこのタイトルとは相性が良くない…。
★2 - コメント(0) - 2011年10月24日

大島真寿美さんの「ピエタ」と同じく、ヴィヴァルディ・養育院の少女・音楽という題材で書かれた作品。けれど受ける印象は、大島さんのほうが透明な光なら、こちらの少女が抱えるのは、黒く沈みこんでしまいそうな原始の闇。少女が生まれてから一度も会ったことのない母親への手紙での語りかけ─自身の内面への独白として綴られていく形式で進む話は、音楽のように詩的であり、どこかあやうく、空虚さを漂わせる。母親に捨てられ愛されることを知らない絶望を音楽として昇華させ、ヴィヴァルディと出会ったことで、大海の闇へと旅立っていく少女。
★5 - コメント(1) - 2011年10月14日

養育院に捨てられた少女が、眠れずに夜な夜な階段のてっぺんに上がり、会ったこともない母親への思慕とも恨みともつかない架空の手紙を綴る。冒頭の海の描写とそれが内包するたくさんの死、限りなく続いているような肥大した自分という感覚、迷宮のように入り組んだ養育院の中にいる自分と、蛇の頭をした自分の死の擬人化。要素がばらばらとあってうまく繋げられないけれど、出産と排泄、やがて正しく響いてくる音など、粘土がこねられるようにまとまっていく。
★8 - コメント(0) - 2011年10月9日

少女の独り語りから始まる曖昧模糊とした世界が、心を覆い尽くす広大な闇だと窺い知れるのは何故だろうか。顔も知らない母親の幻に翻弄され、死にとり憑かれた少女の心奥深くに沈みこみ、次第に同調してゆく心地よい感覚。あまりにも克明で、あまりにも鮮明で、妄想や幻覚という言葉では形容しがたい。毎夜繰り広げられる蛇頭との取りとめのない会話。鬱屈とした世界であるはずなのに、いつまでも彼女の心の中に閉じこめられていたかった。あるいは、私が閉じこめているのか。
★8 - コメント(1) - 2011年10月7日

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