猫の客 (河出文庫 ひ 7-1)

猫の客 (河出文庫 ひ 7-1)
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猫の客の感想・レビュー(172)

面白かったーーー今年はいい年になりそーーー 川の流れのような小説でしたー静かな流れがどこまでも続くわけじゃあないー面白かったー! 稲妻小路、探しに行きたいー
★1 - コメント(0) - 1月3日

詩人とは何気ない日常をこんなにも美しく切り取ってしまうものなのか。昭和の暮れ、隣家で飼われることになったチビ猫との交流を書いたエッセイである本作は、言葉からは山奥の森林のような新鮮さと瑞々しさが溢れながらも印象はあくまで澄んだ清流のような淀みなさ。本書を読んでいる間、喜びもかなしみも、全てが融解されている静かな、深い肯定感が味わえる。夫婦とチビの間の距離、隣家や世間、時代との距離。そこには言葉にし難い空白があるからこそ、詩人はその空白を言葉に刻むのだ。この世界の片隅で、ひっそりと佇んでいるのが似合う傑作。
★31 - コメント(0) - 2016年12月27日

猫にあまり関心を持ったことがなく、私もまた著者と同じように、猫好きというものに対してずれを感じていた。だから客だったのかと。夫婦が猫をあくまでも客として見ている姿勢にとても好感が持てた。自然のままに招き入れ、観察する、その眼差しに深い愛情を感じた。だからこそ、飼い主の気持ちもわかった。小さな滴のようなその一日に想いを馳せては、結局これほどまでに人の心を捕らえてしまったチビは、罪深いなと。
★30 - コメント(0) - 2016年12月18日

★4。すべてを主人公の主観のみで描く。非常に詩的な作品。山崎ナオコーラさんの『美しい距離』と同じ手法だな。”客”から”わたしの猫”へ変わるが、やはり猫というのは誰にも”客”としてあることを望む生き物かも。チビの本当の最期は慮るしかないラストが切ない。
★10 - コメント(0) - 2016年12月11日

台所のくもりガラスのなかに現れたちぎれ雲、白い猫は隣の家に飼われることになり、そこから著者一家と猫との運命の輪も回り始めます。稲妻小路のゆったりした季節の移ろいとともに彼らの生活のなかにゆっくりと入り込んでくる猫。何度も家を訪れ、エサをもらい、専用の場所で寝て、それでも彼らの猫ではありません。ケガをしても包帯を巻くのは彼らではない、その切なさ。「わたしの猫」としみじみ言えたときの嬉しさ。最後「小さな滴のようなその一日」に思いを馳せ、猫とは何と神秘的で魅力的な動物なのだろうかと思わずにはいられませんでした。
★35 - コメント(9) - 2016年10月12日

『さんざ遊ぶと、チビは部屋にあがって休むようになった。勾玉のかたちになってソファに眠りはじめたとき、家そのものがこの光景を夢に見ていると思われるような、深い喜びが来た。』そこに開かれてあるのに気づくことのなかった世界の拡がりを、詩人の目は捉えて見せてくれる。
★14 - コメント(0) - 2016年6月19日

季節の移り変わりを肌で感じることができる、詩的で美しい文章によって生き生きと自由な猫と、妻、著者の毎日が紡がれていく。世の中はまさにバブル時代。それなのに、この暮らしの何と穏やかで閑かなことか。フランス語に翻訳され、よく売れているらしいが、なんとなく分かるような気がする。手元には英訳版があるが、こちらも、翻訳者が楽しんで訳していったような感じがする。猫とはなんて不思議な生き物なのだろう。物語を読み終えて、ひとりしずかに17年間ともに暮らした2匹の愛猫のことを思う。
★10 - コメント(0) - 2016年5月29日

自らの飼い猫では無いけれど、自宅を毎日訪れる猫。決して甘える素振りは見せないけれど、接していると引き込まれていく猫の魅力。 詩人 平出隆によるのだけれど、同じ詩人の長田弘の「猫に未来は無い」を連想した。 この本では猫は決して蘇りはしないけれど。
★11 - コメント(0) - 2016年5月17日

感動の一冊でした。猫という存在は、なぜこんなにも人の心をつかんでしまうのでしょうか。
★9 - コメント(0) - 2016年5月7日

しずかに満ちてくる潮のような言葉に洗われる心地。ひとつの情景を淡々と描き、何気ないようでいて大きく揺さぶりをかける一文で締めるという構成の章が重ねられる。猫との出会いを描く第一章も、末尾の文はとりかえしのつかない喪失を予感させるものだ。借家住まいの中年夫婦のもとを毎日のように訪れる隣家の飼い猫は、いかに気を許しているようであっても、境の向こう側から来たのだということを常に夫婦に思い知らせる。そんな隣の猫を「客」というのでもあろうし、人の生活にたまさか立ち寄る猫という存在そのものを「客」というのでもあろう。
★17 - コメント(0) - 2016年3月13日

初読み作家さんです。エッセイ的な小説。妻の存在が良いですね〜文章が柔らかい感じがして好きです。他の作品も読んでみたいです。
★86 - コメント(2) - 2016年2月17日

猫と暮らしたことのある人にはより一層沁みる。いとおしさしかない。
★4 - コメント(0) - 2016年2月8日

作家として自立を目指す夫と校正者の妻、旧家の庭園の離れに間借りする二人を小さな猫が訪ねてきます。人の世の渦をぎこちなく生きる二人の暮らしに言葉を持たぬ命との細やかな逢瀬が積み上げられていきます。夢の時間を描く画布の如き美しい庭、通い合う親愛。老楽の寡婦となった家主が、相続の準備の為に家を去り、やがて庭は荒廃に曝され終末を迎えます。遣る瀬無い因果、音もなく降る悲しみの澱。訪れる別離の予感が二人の胸に影を差すより早く、耐え難い運命が二人を呑込む。喪失と癒しの物語。この世界には、言葉よりも大切なものがある。
★41 - コメント(1) - 2016年2月5日

美しい表現が並んでおり、小説というかエッセイっぽさもありおもしろかったです。冒頭の『はじめは、ちぎれ雲が浮かんでいるように見えた。浮かんで、それから風に少しばかり、右左と吹かれているようでもあった。』で始まり、ラストはほんのりと哀しさが残りました。突然あらわれて突然消えた訪問客である猫。訪問客と夫婦のやりとりは、徐々に変化していったように思えます。やがては夫婦にとってなくてはならない存在になった訪問客、猫。静かで淡々とした日常の流れの中である生の重みは、別れてから初めてその重みを感じるのかなと思いました。
★26 - コメント(0) - 2016年1月24日

紹介していただいた本。隣家の猫チビと夫婦の交流を描いた1冊。淡々と描かれた情景描写が美しく頭の中で素敵な景色を描かせてくれる。猫の客、隣家の猫であるからこその距離感の描かれ方も、独特の世界観と作風をうんでいる印象。猫と過ごす猫との時間。かけがえの無いものだからこそ、失った時の虚無感もまた、、、。独特のコトバの海にゆっくりと堕ちていき読了した後、著者が詩人である、と知る。納得出来た部分も多々。
★29 - コメント(0) - 2016年1月22日

チビという猫から広がってゆく日常のたゆたいが、とても心地良い。他の猫とは違う。そう思う感覚は猫好きの心を疼かせる。飼い主さえ知らない媚びることのない無垢、その野性、その神秘。完全には心を許さない猫に魅せられてゆく中で、飼っている猫ではないからこそ、遠くからの賜りもののように接し、家の中に入っても、心の奥へ入ってきても、客として迎えるしかない関係が始終切ない。私の猫。そうまっすぐに呼べるまでの日々、距離、関係、猫の世界と人間の暮らしとの境界。様々に思い巡らせながら頁を捲れば、猫がいっそう愛おしくなっている。
★37 - コメント(0) - 2015年12月1日

初読み作家さん。客として迎え入れた猫なのに…亡くした喪失感は、想像を超えているのでしょうね。私も6年前に亡くした愛猫の影を追ってしまう時があります。いつも眠っていたお気に入りの場所、爪を研いだ跡が残る引き戸…。ペットロスってかなり長い間の症状ですよね。代わりの猫なんて居ないでしょ。凄くセンチになってしまいました。昭和から平成へと時代が変わっていく。そんなノスタルジーとを作者は重ねたのでしょうか。
★21 - コメント(0) - 2015年9月20日

わたしがこの本の感想を書くのは難しい。 この話の良さを半分も理解できていないから。きっとすべてがわかり想像できたなら、もっと満たされたことと思う。 久しぶりに、自分がどれだけ漢字や物を知らないかを知らされた。 言葉も時代の流れとともに古い物は忘れ去られていき、新しいものがうまれる。 その繰り返しなのだろうけれど。 日本語はどうなっていくのかなと思った。 古くてもよいものは忘れないでいたいものだ。
★7 - コメント(0) - 2015年8月7日

sin
猫を飼っている…飼っているといっても女房が世話をしているので主体性はない。しかも単身赴任の身では影も薄く猫たちにも忘れられている。ある時、猫に手をかじらせて遊んでいたら「噛み癖をつけてくれるな」と叱られた。次に会ったとき手を差し出してもじゃれついてはくれなかった…おまえ躾られたんだな…一抹の寂寥感があった。読んでいてふとそんなことを思った。作品からは愛するものに対して抱く人間の独占欲を感じた。そして愛し付き添っていくことの責任というものも、しかしチビは誰の所有物でもなく在るが儘に人間に寄り添っていたのだ。
★60 - コメント(0) - 2015年7月5日

昭和から平成へ。無くなったもの。塀で囲われ、広い庭と離れをもった屋敷。猫の外飼い。増えたもの。子どもを持たない夫婦。介護付きマンション。地域猫。ペット可の賃貸住宅。
★7 - コメント(0) - 2015年5月2日

さりげなく描かれた透明水彩の淡い風景画のような小説。
★5 - コメント(0) - 2015年3月3日

美しい風景。 離れのガラス庇を通して映る月明かりや、猫の腹、小鳥の足裏…と情景描写がとにかく贅沢。 この本は外国で人気とのことで、美しい景色が海外の人々にも広がっているんだなぁと思うと、人生は少し楽しい。
★2 - コメント(0) - 2015年2月8日

今までに読んだ猫本でイチオシの傑作です。 情景の描写がとても美しく、チビという猫との時間が大切だった著者の想いが強く伝わりました。 奥様や母屋のお婆さんもとても素敵で、チビとの別れでひどく傷ついた奥様に幸せになって欲しいと思いました。最後も満足できる悲しい終わり方でないのが良かったです。 我が家の猫を今まで以上に大事にしようと思います。
★15 - コメント(0) - 2015年1月6日

紀伊國屋の「ほんのまくら」で購入、初めて読む作家さんの本。ディテールが目の前で見ているように浮かぶ。しかし余分なものがそぎおとされたような最小限の言葉で語られていてとても好みの文章。終始日本らしい季節感にあふれている・・と思ったら、あとがきにフランスで翻訳されてとても売れたとか・・フランス人の感性にも訴えかける何かがあるのでしょうか。日本家屋の部分、調度の名前(勝手口のあがり框、明かり障子など)を翻訳するの難しかったでしょうね。「稲妻取り」が「いなずまどり」か「いなずまとり」かなどのニュアンスとか。
★5 - コメント(1) - 2014年11月25日

M66
読んでいる間中、これはもうこの後しばらくこの人の文章しか読めなくなるなって思って、その通りになっている。切手が好きで、いつか読んでみたいと思っていた『葉書でドナルドエヴァンズに』が新刊で手に入らず、古書価は高く、普通に入手できると知ったこの本を、軽い気持ちで買ってみたのに、これはもう、何ということだ、と嬉しくてうれしくて有頂天になりながら読み進み、ほとんど動揺しながら読み終えた。これまで一番好きだと思っていた山尾悠子さんの文章と同じくらいに好きだ。冷たくて風光明媚。
★4 - コメント(0) - 2014年11月23日

http://booklog.jp/users/beta-carotene/archives/1/4309409644
★6 - コメント(0) - 2014年8月25日

書店の棚をぶらぶら…猫の本を発見!ということで。自分が手にする本の中ではかなり文学的な匂いのする文体、でも読みやすい。ルビがないと読めない漢字多数…(笑)飼い猫ではなく隣家の猫との心の通いを季節や時代に絡め、日記のようでもあり、日々の生活感の中にとどめている。隣家の男の子が「僕、この猫飼う」と宣言したときを作者は「機を逸したとき」と表現している。そこからはじまった近しく遠い関係が夫妻の生活そのものに沁みこんでゆく様は読み手にも手に取るように伝わる。いろんな命が流れ、絡まる日々を愛おしく描いた素敵な本です。
★10 - コメント(0) - 2014年8月7日

★★★
- コメント(0) - 2014年5月24日

亡き猫の面影をいまも追ってしまう生活を送っている私としては、 もうひたすらに淡々と読み進めるしかなく。 自分がまだちょっと辛いんだな、ってことも分かってしまいました。 文章は、淡いトーンなのに不思議とキラキラした光を感じる独特なもののように感じました。 キラキラしているのは猫の瞳の光までを感じてしまうからでしょうか。
★22 - コメント(0) - 2014年4月2日

本のまくらフェアで購入。さくさく読めたし季節の描写が多くて楽しかった。淡々とした語り口調は好み。ただ、建物の外観の説明とかが多くて、そういうものを絵に描いて想像できないので読んでてしんどかった。でもいろいろな描写はとても好きだと思ったので、他の作品も読みたい
★2 - コメント(0) - 2013年11月25日

紀伊国屋書店の”ほんのまくら”で見つけた本。お隣で飼い始めた子猫との交流?を淡々と綴った物語。文章のテンポが好きです。
★1 - コメント(0) - 2013年8月19日

不思議な感覚になる。たゆたうような会話のテンポにひきこまれるような。猫より犬が好きだから、ずいぶん熱はないようにも思うが、ともかくあまり、読んだことのない雰囲気を持つ子だった。抱き締めたくなる気持ちは分かるな私も。チビに、会ってみたいや。
★2 - コメント(0) - 2013年7月18日

いつまでたっても語り手夫妻になつかない「猫の客」が、だからこそ持ち得た無垢。例えば保坂和志『猫に時間の流れる』とはまた違った人間と猫との距離感が、別離を経て、古い時代の記憶が静かに解体されていく寂寥感に転換する。その変化を淡々と受け入れていく筆致に惹き付けられた。
★10 - コメント(0) - 2013年5月21日

「客」だからか、他の猫本よりも最初からいつか来る別れを強く感じさせる文面で、妻と絶交したチビがガラス越しに戻ってくるシーンで既に泣きそうに。別離以降は筆者の押えられた痛みが感じられすぎて、読者側の自分はもう、淡々と読み進めるしかありませんでした。
★10 - コメント(0) - 2013年4月29日

毎日1章読もうと思っていたのですが、最後は一気に読んでしまいました。隣の家の猫は家族のように書かれながら、結局は隣の家の猫でしかなく、突然の別れに対しての何もかもが夫婦を置いて進んで行き、それがいつまでもその猫を忘れることができない夫婦と一区切りをつけ、新しい猫を飼う隣の家の一家との対比になり、寂しさとせつなさを感じました。
★4 - コメント(0) - 2013年4月4日

猫好きな私に薦められた一冊。猫への慈しみあふれる視線にはとても共感できるが、後味は切なさ満載。夫婦と猫の距離、触れそうで触れない空気感がもどかしくすら感じる。タイトルと装丁画(稲妻猫)が秀逸。
★5 - コメント(0) - 2013年2月16日

キレイな作品だ。流れの中にある何かを見ることが出来た、なんていうとクサすぎるかもしれないけれど、そんな感じ。平出隆はもうちょっと追ってみよう。
★4 - コメント(0) - 2012年12月7日

稲妻小路に姿を現した猫のチビとの交流を追った私小説風の散文。平出隆が紡ぎだす、詩的なイメージを孕んだ言葉たちが稲妻小路に溢れ、水路へと姿を変え、やがて氾濫し、読者を飲み込んでいく。ひょっとするとチビの突然の死も交通事故が原因ではなく、激しい水流の中で溺れたからではないか、そう疑いたくなるほど想像力を掻き立てる言葉がこの小説にはある。その木目細かいエクリチュールが小さきものを失った悲しみをより一層深いものに、そして忘れ得ぬものにする。
★4 - コメント(0) - 2012年11月23日

猫の客の 評価:92 感想・レビュー:72
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