賜物 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集2)

賜物はこんな本です

賜物の感想・レビュー(115)

★★★★ 筋が退屈だろうがストーリーに抑揚がなかろうが、文体だけで楽しめる小説家は存在して、もしかしたらナボコフもそういう部類の作家として親しめるのかなと思った。ラスト近くの解放感が心地よい。主人公たちをくっつけようとして運命は失敗し続けた云々の下りが超かっこよい。
- コメント(0) - 1月13日

ロシアからドイツに亡命した青年の日常を描く。▼読みやすい新訳。しかし、面白くない。かなり苦戦してとりあえず一通り目を通したが睡魔との戦いだった。ナボコフは2回以上読んで初めて面白さがわかるタイプの作家なので、本当はすぐに再読に取りかかるのが正しいが、疲れたのでしばらく寝かせることする。▼今日の名言「自然界でも芸術でも、一番魅力的なものはすべて人をだますことで成り立っているんだ。」577頁。▼凝った文体。一読しただけでは意味がよくわからない表現が多いが、それだけに意味がわかったときの喜びは大きい。
★36 - コメント(7) - 2016年5月31日

幻想のような世界を漂っているようでした。亡命ロシア作家・ヒョードルが作家へと歩みの中で、文学への想いが垣間見えるようでした。途中で挟まれていく詩がとても美しい。重厚な物語の調べにのせて、芸術の花を開花させていく様子は、ナボコフの創作意欲と比例しているような気がします。理想と志がありとあらゆる場面から香るようでした。世界の美の全てを活写したような情緒を感じます。色彩感覚豊かで奥深い作品だと思います。
★85 - コメント(0) - 2016年4月18日

世界が認めた名著に触れたくて、背伸びして読了しましたが、疲れました。所々に挿入される、詩がとてもうつくしいですね。それはわかります。あと、ドイツの小説はほとんど、何月何日にと、細かい表記から物語が始まるのにロシア文学では曖昧だという、民族的なあるあるがおもしろかった。そして、とても80年前の作品とは思えない読みやすさは翻訳のおかげでせうか?でも、内容が頭に残っていないのは、きっと私が馬鹿だからだ。間違いない!
★3 - コメント(0) - 2016年3月10日

『どんな夢でもそうであるように、限りなく自由で複雑だが、血と同じで、目が覚めると凝固してしまうのだ。』ナボコフすげー。乾いちゃう。ジョイスみたいな文体に、モダンなテクニック。技術は叙述されることで数珠つなぎになり(こんな風に韻が十回も繰り返される)、熟したコンテクストが、最後のピリオドの数文節前から叩き壊されるのだ。すげー。
★1 - コメント(0) - 2016年3月6日

「ロリータ」のナボコフがいかにすごい作家なのか、本書で改めて思い知らされた。詩人としても言葉へのこだわりの並外れていることを確かめられた。世界を重層的に掴むのは、あるいは表現できるのは言葉を使った芸術表現しかない。なぜなら人間は言葉で世界を認識しているからだ。プルーストやジョイスなどとの相関性も感じさせられた。こんな本を三十代で書き上げていたなんて、すごいとしか言えない。
★3 - コメント(0) - 2016年1月20日

実力不足により読み解けず。完敗。ロシア文学を知り詩の造詣に深くなったら出直します。ロシア語時代の彼は難解。言語センスも傑出に過ぎる。
- コメント(0) - 2016年1月6日

1920年代、ベルリンに暮らす亡命ロシア貴族の青年フョードルが作家への道を歩んでいく過程を描いた小説…と言ってしまうと抜け落ちてしまうものがあまりにも多い
★2 - コメント(0) - 2015年10月10日

『ロリータ』で容易く挫折して以来の苦手意識を抱えたまま(『カメラオブスクーラ』『絶望』のウォーミングアップを挟み)儘よ!と読み始めた大作『賜物』は案の定苦戦を強いられ第1章すら読み切る自信がなかった。ところがいつしか忍耐が陶酔に変わり、人物描写のユニークさに引き込まれ、幻夢の如く蝶が飛び交い光刺す美しい自然の風景やベルリンの都市の不穏なざわめきに心震え、何より文学への熱い想いが私の胸を刺す。ナボコフ特有の言葉の仕掛けを見落とそうと文学史の素養がなかろうと十分に文学の醍醐味を味わうことができた。素晴らしい!
★36 - コメント(2) - 2015年7月6日

詩への造詣やロシア文学史の知識がないから、理解が覚束ないが、やはりナボコフは意地悪、皮肉屋である。それは第5章で全開だ。唯一の理解者コンチェーエフとの公園での対話のラストは、『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』のラストと同じくらい驚かせ、がっかりさせる。この後の父との再会の結末はもうその手は食いません!だし、ジーナとの夜のデートの町歩きだって、この二人の最高の思いでになったことでしょうよと微笑ましいくらいだ。それに比べて、第2章の、父へのリスペクトに全く嫌みもなく、純度の高い美しさを感じた。
★23 - コメント(1) - 2015年5月31日

【ロシア語邦訳とナボコフ】ロシア語原典から訳出されたウラジーミル・ナボコフ、ロシア語の起源史を拡張展開したジェイムズ・ジョイスとの対峙ともなる。ギリシャ経由において可能とされたロシア語訳世界は古典ギリシャ語の本質位置を知る。フランス古典主義の遺産ではなく英文学の継承課題、そしてギリシャ語遺産の内包する古典主義システムを解析、残響とも呼べるナボコフは英訳にて継続されるも「ギリシャ起源」を転覆させた。ロシア語遺産の再誕を告げる正教会機能を表記、ロシア語による応用発展類型はアヴァンギャルドを超えていく君臨統治。
★19 - コメント(0) - 2014年7月3日

ロシア語で執筆された最後の長編小説に相応しい重厚な小説。若きナボコフを彷彿とさせる詩人が芸術家としての才能を開花させていく物語の中に、芸術論や小説内小説(というか小説内伝記?)などをぶち込んだ複雑な構成。1章はあまり面白いとは思わなかったが、父の件辺りから引き込まれた。
★2 - コメント(0) - 2014年2月9日

衝撃的に好きな本だったが全然わからない。「読解」という運動を随時引き出しているはずなのにするりと指の間を抜けてどこかへ行ってしまう。ただ明白な手ごたえだけは強靭な文体として(翻訳だけどそれでも)ずっとそこにある。だから、読めるけど全然マッタクわからない小説なんです。ただ多分、運命はチェス・プロブレムのように的確に我々を詰めて来るのだけれどそれは終わってからしか気づかない。この小説はそういう意味では、言葉の超越性とそこに潜む運命の代弁者には、ナボコフの意図かどうかは別として「なってしまっている」
★2 - コメント(0) - 2013年11月7日

鮮度を生かしたナボコフでした。 http://www.uporeke.com/book/?p=711
★8 - コメント(0) - 2013年6月16日

途中、何冊か別の本を差し挟みつつも、「読み通したい」と思った600ページ超の大作。ナボコフの紡ぐ、たゆたうような文章に身を任せる快感は、何事にも代えがたい。ウルフやプルーストが好きな方はぜひ一読を。
★2 - コメント(0) - 2013年5月27日

面白く読んだ。とても好きだったのは、亡き父親を懐かしんで丁寧に思い出をたどる件。稀有で魅力的な人物像がくっきりと立ち上がってくるので、思わず引き寄せられた。珍かな蝶を追っていく後ろ姿が、少年だった語り手の手の届かない方へ消えていってしまう切なさ…。若者らしい理想と志の言葉が溢れてくる、詩人コンチェーエフとの会話の箇所もほろりとよかった。第4章は流石に読み難いものの、主人公が故国の著名人チェルヌィシェフスキーの日記を読み返し、そのばかばかしさ、真面目さ、けだるさ…を気に入ってその生涯を書こうとする流れは好き
★7 - コメント(0) - 2013年3月6日

良作だと思う。才能ある作家の作品だ。ただ30代後半ということで、まだまだ伸びる要素があると思う。それは本人自身の後年の寄せ書きにも読み取れる。もちろん満足した読書体験ではあった。
★2 - コメント(0) - 2013年1月24日

こんなにじっくり(その本自身によって)本を読まされたのは久しぶりだった。というのも、筋に還元さえない要素をこの小説が本質としていることに加え、比喩が非常に難しい。さらに、英語版序文でヒロインとされているロシア文学の知識がないとたぶん楽しみの数割が減らされる。もっとロシア文学を勉強して再読したいし、その価値はありそう。
★3 - コメント(0) - 2013年1月4日

思った以上に難物。読み通すのにやたら時間がかかった。読み始めは単に文学者志望の青年の成長物語と思っていたら、話の流れがつかめなくなるし、やたら注釈は多いし。特に四章はロシア文学や歴史的背景が分かっていないと、かなり読みづらい。この章は殆ど難行に耐えるかのようにして読んでいた。解説には『失われた時を求めて』が引き合いに出されているけれど、後者のほうが読みやすかったような…とりあえず一度読んだだけでは、その魅力を充分に把握できないタイプの小説であることは間違いない。いずれ機会があれば読み返してみたい。
★6 - コメント(0) - 2012年10月12日

ウラジーミル・ナボコフの『賜物』を読了。物語が錯綜していて、思っていた以上に読みづらかった・・・(泣)。今年に入って読んだ『透明な対象』を拡大したような印象。1920年代にして「メタ小説」を確立している点には驚愕。
★3 - コメント(0) - 2012年7月15日

ロシア文学とは今ひとつ相性が合わない。ロシア語と語法、ロシア文学の知識が欠けていて理解できない。悪いのは読み手なのだけど。 ただ革命により、多くの知識人や文化人がロシアから亡命し、ヨーロッパやアメリカに散って行った。その軌跡のひとつであることは興味深い。 1920年というくくりで世界を俯瞰してみたくなった。
★14 - コメント(0) - 2012年7月14日

ああ、『失われた時を求めて』と似てる、と思った。内容や文体が、ではなく、読書中の私の気分、心地よさが。 容易く読める作品ではないけれど、しみじみ面白い。天命ともいえる文学の高みを目指す志と静かな情熱にはっとさせられる。また、ナボコフは甘えや狎れ合いが嫌いなのだろう。シニカルではないのだけれど、親しみや優しさを言葉にすることを慎んでいるようにさえ感じられた。 しかし、なんともはや翻訳の際の苦労がしのばれる作品だ。沼野氏に心から感謝したい。
★6 - コメント(0) - 2012年4月29日

散漫な作品だと思われるのも無理はない。テーマも人称も奔放に飛び回り描き散らかっているように見える。確かに露文を翻訳した時点で調性の統一が失われてしまうのも不可避だが、言うまでも無くナボコフは散漫な作家ではない。散漫に見える文章をより高い視野で捉え直せば饒舌に自伝を語っただけの小説でないことは明らかだ。新人作家としてデビューした青年のビルドゥングスロマンに文学という芸術そのものを組み込もうとする格闘がそこにある。世界を構成するもの全ての美を描き出し、小説全体に満ち溢れる幸福感。ナボコフの色彩感覚に眩暈がした
★6 - コメント(0) - 2012年2月25日

主人公フョードル。彼が自身の成すべきことを、亡命、ロシア文学への言及、父の伝記(頓挫)、チェルヌィシェフスキーの伝記(出版)、ジーナとの恋、時間と空間の、現実と虚構の往来の果てに見出す。それは「ただ一つの方法」(小説を生み出すこと)によって、彼の記憶、体験、空想、運命(!)を埋もれさせないことだった。クライマックスは「見出された時」を彷彿とさせる。ナボコフがロシア語で書いた最後の小説。1935ー37年に執筆。
★2 - コメント(0) - 2012年2月22日

マルチリンガルで小説書けて、カッコイイ。でも心にのこるエピソードは特にナシ。
★3 - コメント(0) - 2012年2月17日

これは手強かった。とりわけ第4章は、半分も頭に入ってこなかった。注書きは添えられているものの、日本ではマイナーなロシア文壇人や思想人の名前がずらりと並ぶ。見開き2ページに注が10か所以上あることも。時間を置いて再読しないといけない本です。
★8 - コメント(0) - 2012年1月3日

★★★★★。ナボコフがロシア語で書いた最後の小説。ジョイスやプルーストの影響下で「意識の流れ」のもとに、時制が脈絡もなく前後したり、小説内小説が展開したりと至極複雑な構成と高度な小説的手法を駆使した、実に難解にして文学的野心に満ちた傑作である。革命前夜のロシアを追われ、ドイツ・ベルリンで詩作に耽る青年が父親やロシア文学など今や失われてしまった物や事象に思いを馳せる。自らの文学者としての矜持をこの自伝的作品の中で高らかに宣言しているかのようだ。
★4 - コメント(0) - 2011年10月27日

濃厚で一筋縄ではいかない表現に圧倒される。
★3 - コメント(0) - 2011年2月6日

dem
未来回想や時間論について語る箇所があるのだけど、『賜物』自体が主人公によって執筆を予定された小説だったり、現実ではチェルヌイシェフスキーについての章が小説内で掲載を拒否されたのと同じ理由で拒否されていたり、と軽く目眩が。ナボコフの小説では希望が絶望に先回りされることが多いけど、『賜物』では割とその辺はユーモラス。ラストもそうだし、内容が感情的な盛り上がりを見せる度に妄想オチするのには笑った。
★4 - コメント(0) - 2010年10月19日

予想外にも青春小説だった
★3 - コメント(0) - 2010年9月25日

混沌を混沌のまま吸収する朦朧(体調を崩して発熱していたので)読書がピタリつぼにはまって面白かった。再読すればもっと面白くなるだろうなあ。
★2 - コメント(0) - 2010年9月17日

ディテールを愛撫しすぎ
★3 - コメント(0) - 2010年7月8日

S-T
長編。
- コメント(0) - 2010年6月7日

印象に残った言葉「「光」とは牢獄の看守の部屋の窓の明かりなのだということが判明する、ただそれだけのことなのだろうか?」
★2 - コメント(0) - 2010年5月22日

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