初恋 (光文社古典新訳文庫)

初恋 (光文社古典新訳文庫)
あらすじ・内容
ジナイーダ。それが彼女の名前。
そして少年は人生の苦しみを知った

ロシアの帝政が、崩壊の予兆にふるえる時代に誕生した、トゥルゲーネフの自伝的中編。主人公の告白をやわらかな語り口調に変えた、みずみずしい感性があふれる新訳。

物語 少年と年上の公爵令嬢
16歳の少年ウラジーミルは、年上の公爵令嬢ジナイーダに、一目で魅せられる。初めての恋にとまどいながらも、思いは燃え上がる。しかしある日、彼女が恋に落ちたことを知る。だが、いったい誰に? 初恋の甘く切ないときめきが、主人公の回想で綴られる。作者自身がもっとも愛した傑作。

あらすじ・内容をもっと見る
184ページ
938登録

初恋の感想・レビュー(708)

普段は違う訳の読み比べなどやらないのだけれど、今回はあえて試してみた。新潮文庫版(神西清訳)では、格調高い訳文として読めたため、40過ぎた独身男性の語り手による失われた青春の嘆きが心に響いたのだけれど、およそ恋愛小説の印象ではなかったので、その味わいを求めて新訳版で再読。現代の用語による柔らかな語りで、登場人物の心の機微がよくみえた。今一つ伝わりにくかったジナイーダの魅力も再発見。初恋のときめきや危うさを味わうにはこちらの訳がお薦め。
★43 - コメント(1) - 3月21日

トルストイやドストエフスキーが巨大建造物への畏敬を想起させるのなら, トゥルゲーネフは小さな人形への畏敬か. 文体にフランスの影響を感じる. /語り手は子供の残滓であるがゆえ冷静でありながらも, 環境と自身を結びつけるあたりはやはり盲目か. 子供のまま死んでもおかしくなかった語り手, しかし語り手が生きていることを前提とするために物語の均衡が保たれる.
★18 - コメント(0) - 3月21日

2017年63冊目。【第22回ガーディアン必読チャレンジ】イベントにて読了。内容についての感想は神谷清氏訳のそれに譲る。訳者である沼野恭子氏もあとがきで書いているが、あえて文体を友人に読み語りきかせるような「です・ます調」にし、より平易な文章にしたのがこの新訳の特徴だろう。また、神谷清氏訳に見られた不自然さ、違和感はほぼ払拭されている。しかし主人公の父からの手紙の箇所では、神谷氏の「我が息子よ。女の愛を恐れよ。かの幸を、かの毒を恐れよ」の方が、その言葉の裏にある心情をより的確に描き出しているように思う。
★113 - コメント(8) - 3月15日

水彩画のような、透明感があり繊細で美しい小説でした。16歳の夏、別荘で出会った年上の美しい女性に、初めての恋をする――淡いすみれ色のような、爽やかで優しいけれど頼りなくもある恋の色。そんな色とのコントラストが際立っていたのが、あの紅いシーンです。子どもから大人へと変わっていく段階も、夜がだんだん明けていくようなグラデーションではなく、もしかしたら、このような一撃から劇的に変わるものなのかもしれないな、なんて思いました。
★25 - コメント(6) - 3月13日

yuk
第22回G1000イベント/深く考えると色々エーって話だけど美しく文学的な表現でサラッと読めた
- コメント(0) - 3月12日

例えば「怒りの葡萄」の最後「優しさ(イーユン・リー)」の敬礼の場面には喜怒哀楽の表現はなくてあるのは情景の描写だけ。それでも心を揺り動かす。恋のときめき、衝動、焦燥、落胆…も表情、仕草、風景等の描写主体の方が受け入れやすい。「胸が締めつけられ」「あまりに嬉しくなった」といった感情の直の表現は、文脈によっては力があっても多用されるとありきたりになってしまう。魅せられた女性が恋に落ちた相手が実は、という設定にあまり意外性を感じないのはそこに原因あるかも。でも追想の物悲しさの内にジナイーダはオーラを放っている。
★54 - コメント(1) - 3月11日

初めて人を恋した少年の不安と心の高ぶりを、夜明け前の空に音もなく淡く光る稲妻と重ね合わせて描いている場面など、うまいなぁと思った。その一方で、これは作品が悪いわけではなく、ぼくが恋愛向きな人間ではないということなのだが、ウラジーミルの父親に鞭打たれたジナイーダがその傷跡に口づけする場面など(いや、これが大人の本当の恋愛なのだよという声がどこからか聞こえてくるのだけれど)ちょっと引いてしまった。
★17 - コメント(0) - 3月10日

図書館でふと目に入ったのでロシア文学にも挑戦.回想の形で語られる初恋にまつわる物語.甘く切ない想い出ではない.奔放な振る舞いや着かず離れずの態度で周囲の男性陣を手玉にとる公爵令嬢のジナイーダ.恋い焦がれる少年だがジナイーダは他の人に心を奪われていた.その相手はなんと自分の父であった...転居し,父とジナイーダの間に何らかの破局が訪れ,数年後彼女が結婚したことを,そして出産のトラブルで亡くなったことを知る.初恋の想い出もひとそれぞれ.
★32 - コメント(0) - 3月1日

yka
ジナイーダみたいに男たちを翻弄してみたかったよ!逆にどんだけハンサムさんでもこんな男はごめんだね。
★3 - コメント(0) - 2月1日

久々のロシア文学。自分の初恋の相手が父親に夢中になっていたり、最終的にはジナイーダも父も割とすぐ亡くなってしまうなど、いろんな意味で衝撃だった。タイトルからハッピーエンドだと勝手に想像していたが、いい意味で裏切られた。
★2 - コメント(0) - 1月7日

不思議な小説である。"初恋"というタイトルからして、なんか甘酸っぱいような胸キュンとするような少年の恋の物語かと想像していたのだが、初恋の相手の想う人がなんと少年の父親だったという、なんとも笑えないお話。しかも少年の父親と相手の女の恋の結末がはっきり書かれてはいないが、後味の悪いことこのうえない。ツルゲーネフは晩年までこの自叙伝的な小説を愛したというが、これが不思議なのだ。過ぎてしまえばみな美しいとは言うが、こんなことは思い出したくもない、というのが普通ではなかろうか。読メのみなさんのご意見はどうだろう。
★34 - コメント(5) - 1月7日

恋の狂わしさや艶やかさを味わいながらも、やっぱり16歳、なんだか微笑ましく感じた。小説自体にあまり作為が感じられず、そういう意味では記録文のよう。もうちょっと深く登場人物の心理を読みたい気もしました。
★2 - コメント(0) - 2016年12月12日

初恋の甘美さと痛みに酔いしれたり苦しめられたり。奔放で魅惑的な年上の女性に心奪われる少年の物語は、それほど珍しくもない。それでも訪れる残酷な結末に対し敗北を認め、粛々と生きて行く主人公の姿は、他とは違う清々しさのようなものが感じられる。それは彼の初恋が、ジナイーダへの思いを募らせるものであるのと同時に、父という存在を自覚するものであったからで、こうした通過儀礼を経たからこそ、ウラジミールは人生の儚さや恐ろしさを感じとる強さを得たのだと思う。それにしてもジナイーダのような女性の魅力が、今一つピンとこない。
★7 - コメント(0) - 2016年11月27日

子供の頃に読んだせいか、つまらなかったという記憶しかなかったが、この度再読してとても心に響いた。甘くて苦い初恋の記憶。2人が早逝したことで、ウラジーミルの心の中には永遠に超えられない父と、輝くばかりに美しいジナイーダの面影が永遠に刻まれる。やはり初恋は儚く美しくなくてはね。キラキラした青春から死の床まで、あまりにも人生は短い。今回は自分らしく生きて行きたい!と思わせてくれた。これから何度も読み返したい一冊。ところで本物の愛ってなんだろう。
★21 - コメント(0) - 2016年11月2日

訳が読みやすいのもあってかあっという間に読み終わりました。 ジナイーダという女性に恋した少年の物語。 ジナイーダという女性の前半の奔放な行動振りと後半になって彼女自身が恋をして大人に成っていく姿を見、振り回されながら少年自身も成長していく小説。 若い少年の甘酸っぱい恋心を自分も体験できるようなリアリティがあって楽しかった。著者自身が最も愛した作品というのもよく分かります。
★4 - コメント(0) - 2016年10月16日

初恋というのはたいてい上手くいかないものですが、その苦しみを後悔するよりは、むしろその歓びを人生の宝として生きてゆきたい、そんな永遠の青春の書です。新訳で、回想部分が「です・ます」調なのもしっくり来て良かった。恋が愛に変わる過程を主人公とともに味わうことが出来るのが、なんとも酸っぱい、忘れられない作品です。心の中に嵐のようなうねりを巻き起こす、激しい、そして普遍的な初恋。また宝物のような作品に出会えて幸せです。
★16 - コメント(0) - 2016年9月18日

ジナイーダが恋したのはヴォルデマールだと思っていたが、実はその父だった。それまでのジナイーダのヴォルデマールに対する行動はヴォルデマール父との簡単には行かぬ恋への慰めを求めてからのことだったのだろう。/「青春に魅力があるとしたら、その魅力の秘密は、なんでもできるというところではなく、なんでもできると思えるところにあるのかもしれません。持てる力を、他に使いようがないまま無駄遣いしてしまう、…」
★3 - コメント(0) - 2016年9月7日

「恋は盲目」とは、こんな状態を言うのだろう。気づくきっかけは沢山あったのに、彼女のことで頭がいっぱいな彼は終盤になるまで気づかない。登場人物で、主人公へ彼女への傾倒を止めるように忠告したひとがいた。確かに周りから見れば主人公の入れ込み様は異常だったかもしれない。けれども、そんな主人公をおかしいと断言できず、むしろその経験をどこか羨ましく、小憎らしいとさえ思う。否定できない。ごちゃごちゃな感情を抱いた。これが、この作品が長く愛される魅力の一部であると感じた。読む年によって感想は変わるだろうと思う。
★17 - コメント(0) - 2016年9月7日

ヒロインのジナイーダの描写がとてもいい。話もコンパクトにまとまっているので読みやすい。上手にできた小説、という印象は、貴族というトゥルゲーネフの立ち位置をそのまま表しているように思う。掃除の行き届いたこざっぱりとしたお屋敷にお呼ばれしたみたいな読み心地。
★2 - コメント(0) - 2016年9月6日

好みが恋愛より友情や家族・兄弟もの(ただし安易なお涙頂戴ものではなく絆とか存在感とか)だからなのか、主人公や彼女の恋心よりも「おとーさんのことすっきやなぁー」と思わずにはいられない(ФωФ)いや、だって思春期だろ?初恋だろ?反感とか反抗期とかなってもおかしくない展開だろう?素直なお坊ちゃんてのもあるだろうけどもさ!なんとなく声に出して読みたくなるところとかあるね。
★1 - コメント(0) - 2016年9月4日

ウラジミールが16歳のときにした初恋の回想録。いまだに独身なのは、初恋の痛手を負ったからなのか?
★2 - コメント(0) - 2016年8月25日

ジナイーナの小悪魔っぷりは流石と言いようがない。 私のこと好きでしょう!?なんて言われたらドキドキするに決まってる。
- コメント(0) - 2016年8月25日

DEE
高校の時に挫折してからの再挑戦。 こんなにスッキリとした物語なのになぜ読み切れなかったのか、我ながらちょっと不思議。 結ばれるばかりが恋じゃないというのはまぎれもない真実。 別れの辛さを二度と味わいたくない思いと、その辛さを味わえない人生のつまらなさ。 その気持ちもまた真実だと思う。
★5 - コメント(0) - 2016年8月18日

とっても面白くてするする読んだ。主人公の焦がれる気持ちはまぁよくある成長の一端で、ジナイーダが恋をしてからの変わりっぷりがより興味深かった。お父さん、さぞかし格好いいんだろう(そして家庭向きではない)。フランス語を織り交ぜた会話とか、ロシアの当時の価値観が垣間見えてそれも勉強になった。
★5 - コメント(1) - 2016年7月29日

初恋の初々しさではなく、少年時代との決別であり、悔恨と回顧ゆえの美化の混じった苦い余韻を残す小説。「赤と黒」のマチルダとか「白痴」のナスターシャとか、こういう男心を弄ぶヒロインというのがどうにも苦手で。それでも前二者はそれに勝る強烈な魅力はあったが…。人の手に針を刺したり、髪の毛をむしるこのヒロインはちよっとなぁ。そんな彼女も恋をした相手には鞭打たれてもじっと耐えるが、それを見て憤慨するどころか「本当の恋というのはこういうものだ!」と思う主人公…脳内お花畑か?(笑)でもその純粋さが余計に切なかった。
★6 - コメント(1) - 2016年7月19日

少年の初恋。ロシア社会がうっすらと見える気がして面白い。父が格好良い。 / 「人間に自由を与えてくれるものは何か、わかるか?」「何なんですか?」「意志、自分自身の意思だよ。意志は自由だけじゃなく権力まで与えてくれる。権力は自由より大事なくらいだ。自由の意志で望むことができれば、自由にもなれるし、まわりの人間に采配をふるうこともできる」 私はまだ本気で恋をしたことがない。だからきっと彼よりずっと子どもだろうな。読んでいて、少年の燃える恋心に包まれて私もジナイーダに恋しているように錯覚した。
★3 - コメント(0) - 2016年6月15日

鞭の場面が印象的。衝撃的な場面に限ってどうしてこう目撃してしまうんでしょうね、私たち。 誰もが経験する「初恋」の初々しい気持ちや、焦り、いらだち、動揺、トキメキなど、いろんな折り混ざった感情がうまく表現されている小説。ただ、初恋相手の公爵令嬢があまりにも女王様気質で、なんでこういう人に男たちが群がるのかはイマイチ理解できないままでした。初恋相手が実は自分の父親を好きだったというオチには、途中で気がついてしまったけど、実際にそんなことがあったらショックが大きすぎてトラウマになるでしょうね。
★5 - コメント(0) - 2016年6月14日

女の愛を恐れよ。かの幸を、かの毒を恐れよ。
★1 - コメント(0) - 2016年6月13日

過ぎてしまった後に実感するのが、初恋、そして青春なのかもしれません。主人公の父のように、自分の生を輝かせるために愛を利用する男性は好きではありません。その父が恋人ジナイーダに鞭をふるう場面を見て、主人公は「これが本当の愛なんだ」と叫びますが、言われなき痛みをも受け入れる献身的な愛は、愛のひとつの形ではありますが、本当の愛ではありません。ただ愛のためだけにある愛が、本物の愛だと、私は信じています。
★11 - コメント(0) - 2016年6月12日

なんという気恥ずかしさか。そんでもジナイーダの造形はいいよねえ。
★1 - コメント(0) - 2016年6月11日

青春の味。
- コメント(0) - 2016年6月4日

トゥルゲーネフの初恋。いやいや、切ないなぁ…。ありがちな話しやな、と読みすすめると、あれ、どこへいくの、と、一気に引き込まれてしまう。あぁ、ねむい…。◆「私はコケティッシュで思いやりのない女、生まれつきの役者なの」「あ、そうだわ!手を出してくださらない、──◆男が姿をあらわしました…すると、なんということでしょう!それは父だったのです!
★12 - コメント(1) - 2016年6月4日

初恋に悶える主人公ウラジミールの描写が素晴らしい。ヒロインにはもうひとつ共感できなかったが、凄みを感じる造形ではあった。ヒロインが恋した相手は誰なのかという謎がある種ミステリ的に描かれているが、これは自明なのでどうということもない。
★10 - コメント(0) - 2016年5月3日

初トゥルゲーネフ。私小説に近いトゥルゲーネフの初恋は甘酸っぱいどころか、全くの重々しいザ・ロシア文学でした。複数の恋敵達と憧れた初恋の相手は父の愛人になり、家庭は崩壊。初恋の相手は後日再会の直前で、お産のため急死。これが初恋の痛みというやつか。一般的な初恋とは味が違い過ぎる。流石、ロシア文学。一筋縄ではいかない相手でした。もう少し勉強して参ります。
★34 - コメント(0) - 2016年5月2日

さながら、恋愛ミステリのようなその展開と後味の悪さが余韻として残りますね。しかもこれが半自伝的なものであるときた。父親は一体何してるんだと言いたくなるが、ツルゲーネフ本人が生涯で最も愛した作品だと言われると、また見方も変わってくるかな。
★2 - コメント(0) - 2016年3月13日

コケティッシュ。公爵令嬢としての気高さ。鞭で打たれてもそれさえ愛おしみ受け入れる寛容さ。それらのギャップがとても印象的。
★3 - コメント(0) - 2016年2月13日

新訳ということもあるし、作品背景の事前知識がなくても読める作品であるため、すらすらと読めた。前半のゆるやかな進行が後半ではやや加速する。初めての恋愛体験は、初めての喪失感をも生む体験だった。ウラジーミルの相手が誰かはすぐに察しが付く。まわりの男たちの描写もころころ変わっていくためやや困惑する。テキスト自体も佳作なのだが、注目すべきは巻末の訳者による解説である。庭という「境界」装置、思春期という「中間」者、この点を特筆した訳者は、テキストの読みに深みを与え、さらなる精読の可能性を読者に与えてくれている。
★19 - コメント(0) - 2016年2月12日

新訳で読みやすかったし年齢が近くて共感する部分もあったけど、複雑でよくわからない心情も。。またいつか違う読み方ができるときがくるのかも。庭の自然の様子やジナイーダが話す夜の噴水の場面のように、情景描写が綺麗で思わず読み返したところがいくつもあった。
★9 - コメント(0) - 2016年1月23日

純朴なウラジーミルが奔放で小悪魔?なジナイーダに振り回されつつも、想いがどんどん強くなっていく様が描かれている。現代でもこういう類の女性はいると思うが、当時とあまり変わらないのか、と考えると非常に興味深い。トルストイやドストエフスキーの名作に見られるような難解さはなく、さらっと読めた。
★12 - コメント(0) - 2016年1月18日

初恋の 評価:100 感想・レビュー:229
ログイン新規登録(無料)