イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)

イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)
あらすじ・内容
いまこそ読みたい人間の「死」の秘密
トルストイの後期代表作、待望の新訳

トルストイの文体が持っている「音とリズム」を日本語に移しかえることを意図した新訳。近代小説への懐疑をくぐり抜けた後の、新しい作風を端正な文体で再現する。

物語 死、嫉妬、愛…生をめぐる葛藤
19世紀ロシアの一裁判官が、「死」と向かい合う過程で味わう心理的葛藤を鋭く描いた「イワン・イリイチの死」。社会的地位のある地主貴族の主人公が、嫉妬がもとで妻を刺し殺す――。作者の性と愛をめぐる長い葛藤が反映された「クロイツェル・ソナタ」。トルストイの後期中編2作品。

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イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタはこんな本です

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イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタの感想・レビュー(379)

両編とも構成感がしっかりしており「ちゃんとした小説を読んだ!」という充実感がある。「科学」や「自由」と「人生の意味」の衝突は最近よく考えさせられるトピックで、トルストイの極論おじさんぶりがかなりRelatableである。特に『ソナタ』は(予想通り)けっこう説教臭いのだが、かなり社会学っぽいこととかも真面目に考えていたのは意外に思われた。トルストイ、めちゃくちゃ性欲が強かったんだろうなと思う。
★3 - コメント(1) - 3月15日

どちらも死をテーマとした内容。描写もとてもリアル。いろいろ考えさせられた。
★1 - コメント(0) - 3月3日

文豪後期の代表的な中編小説が二つ、強いペシミズムに彩られている。「イワン…の死」はいわゆる倒叙形で、彼の葬式に集まった友人たちのお義理ぶりから描かれるが、イワン視点で語られる本編はずっしりと重い。官僚として水準以上の生活で、そつなく世渡りをしてきた優等生が、死病に取りつかれ人生が様変わりしてしまった。今まで正であったことが、負そのものではないか、という疑念。人生の規範であったことが根本で揺らぎ、死を目前に身もだえする苦しみに襲われる。死から視線をそらす現代人にとっても厳しいテーマとして突きつけられる。
★2 - コメント(0) - 2月24日

『イワン・イリイチの死』は読んだ後で自分の生き方を強制的に反省させられるようなすごい迫力がありました。誰かと感想を話し合いたくなる。こちらがあんまり強すぎて『クロイツェル・ソナタ』のほうの印象はかき消されてしまいました。
★2 - コメント(0) - 2月14日

イワン・イリイチの死・・・トルストイ後期の作品らしいが、これだけ端的な文章を組み合わせて、幸福を間違えてしまったまま死を目前としてしまった男の一生を描けるのはやっぱ老いを重ねた人間の説得力が成す業。 クロイツェル・ソナタ・・・イワン・イリイチの死もそうだが、一人悪魔に扮する妄執や嫉妬に狂っていく人間の独白が上手すぎる。 トルストイの近代理性に対する疑いは、普遍道徳的射程に拠っているため、現代でも全く古びない。読んでて興奮する。トルストイの悩みは永遠に終わることはないだろう。
★3 - コメント(0) - 2月9日

「クロイツェル・ソナタ」は倦怠期を迎えた夫婦にとっては必読の傑作だと思う。なぜ、相手の話に興味を持てないのか、ちょっとした仕草や言葉にはらわたが煮えくりかえる程の怒りを覚えるのか、怒りで我を忘れながら、一方では自分の態度が相手に及ぼす影響を賢しらに計算している…トルストイは性欲や嫉妬をキーワードに、夫婦関係が破綻していく様を細かに描き出す。全国の冷え切った夫婦は必ず読むべし!そして…別れちまえ!
★3 - コメント(0) - 2月2日

バーナード嬢3巻から。長谷川さんのお勧め本。 イワン・イリイチの死:1882年のロシア、成功した官僚として体裁よく暮らしていた中年男性イワンが、ちょっとした事故をきっかけに体調を崩し、病み衰えて死に向かっていく。自分が死ぬとは(本心では)思えない「普通の人間」の心理状態の変遷が凄い。解説にもあったが、現代の心理学の受容の諸段階をきっちり表している。  治療時にレントゲンの1枚でも撮れればなぁ、などとしょうもないことも思ってしまったが、調べてみたらX線が実用化されたのは20世紀初頭だった。
★9 - コメント(1) - 2月1日

再読。「死」へと向かう者の心理を描いた「イワン・イリイチの死」は こんな壮絶な苦しみを味わいたくないと思ってしまう一方で、まるで死んだことがあるかのような描写は圧倒的。妻への嫉妬から身を滅ぼす「クロイツェル・ソナタ」 嫉妬のエネルギーが高まれば高まるほど加速していき 自ら止めることが難しくなることは恐ろしい。。
★13 - コメント(0) - 1月16日

人はみな後悔の無い人生を送りたいと願うが、あれが死を前にした人間の姿であるなら、人はどうやって生きればいいのだろう。
★13 - コメント(0) - 1月14日

『イワン・イリイチの死』は死についての、『クロイツェル・ソナタ』は結婚とセックスについての、あまりにも身も蓋もないお話。後者は、かつて原卓也訳で読んだが、ここまであからさまな印象はなかった。訳の違い故? 望月哲男訳は、読みやすくて適度にモダンで、どれも素晴らしいと思う。
★3 - コメント(0) - 2016年12月25日


★4 - コメント(0) - 2016年12月22日

二編からなる。「イワン・イリイチの死」は短い中編だが、イワンの死を描いたもので、ミステリが大流行した現在は凡庸な小説といわざるをえない。ただ死ぬだけである。「クロイツェルソナタ」のがまだ読めるが、フェミニズム論について書いてあるのだが、まあ、さして面白いわけでもない。
★8 - コメント(0) - 2016年12月19日

「イワン・イリイチの死」かつて稲川淳二は「いやだな〜、こわいな〜」と言った。幽霊がこわいのではない。かれを通してみる、おのれの死こそが、激烈にこわいのだ。トルストイはある役人の半生とその死の過程とを、あるときは迅速な、あるときは緩慢な文体で描いている。私に死の経験はない。とはいえ死のただなかにある者が絶えず意識するのは、おそらく〈時間〉と〈記憶〉だろう。それはいつ来るのか、あるいは来ないのか。これまでの自身の生は、正しかったのか、あるいはすべてがまちがいだったのか。こんなにも死にたくなくなる小説は、ない。
★21 - コメント(1) - 2016年12月9日

『心の奥ではイワン・イリイチは自分が死ぬとわかっていたのだが、しかしそのことになじめないばかりでなく、単にそれが理解できない、どうしても納得がいかないのだった。』
★2 - コメント(0) - 2016年11月23日

『イワンイリイチの死』死がどのようにして訪れ、どんなことを経験するのか。リアルな描写で人は衰え死ぬという事実に向き合うことができた小説でした。「イワンイリイチを一番苦しめたのは嘘であった」身体の苦痛よりもさらに激しい精神の苦痛。脇腹をぶつけた痛みが徐々に悪化し死期を悟る。医師の診断は一致せず、苦しみは増すばかり。周囲の人々の計算や欺瞞の中、従者ゲラーシムの純粋に心のこもった介護。一晩中足を支えるなど、自ら進んで介護してくれる力と活気に癒される。終末期の苦痛は現代医学でコントロールできるが精神の苦痛は…。
★7 - コメント(1) - 2016年11月13日

世俗的には成功を収めていたイワン・イリイチを襲った事故。打ち身程度と放置するうちに激痛を伴う病を発症する。やがて治癒するだろうとの気持ちは次第に薄れ、死の到来が現実味を帯びてくる。家族も同僚も病気の深刻さを意識しながら、そのことをあえて口にしないが、それが余計に彼を孤独に追い込む。あいつ(死)がしじゅう彼を、自分の方へと惹きつける。それはじっとみつめたまま何にもしないで、言語に絶した苦しみをなめさせる。そして最期のとき、長く馴染みになっていた死の恐怖は見つからない。死を意識する弱さは死とともに解放された。
★3 - コメント(0) - 2016年11月11日

『イワン・イリイチの死』。順風満帆かと思われたイワン・イリイチ氏の死に至るまでの物語。死への苦痛(どちらかというと精神的苦痛)を淡々と描く。無理解、無関心がいかに辛いか。『クロイツェル・ソナタ』はあまり印象に残らなかった。
★2 - コメント(0) - 2016年11月5日

生々しいな……。
★2 - コメント(0) - 2016年11月5日

凄まじいジェラシーのエネルギー! 妄想と不信感から、殺人まで犯してしまう嫉妬の感情は 愛の深さに比例して強くなるものなのだろう。 男女関係のほとんど全てを性的欲望と独占欲の問題に収斂させてしまう主人公の論理は、結婚を必要悪とし、自分こそが結婚制度の犠牲者であると結論づける。殺人は回避出来たはずなのに、どうしてそこまで追い込まなくてはならなかったのか。 掛川ほんわかブッククラブ12月のテキストとして読んだ本書、 読後感はあまり良いとは言えないが男女関係をもう一度考えるきっかけを与えてくれた。
★2 - コメント(0) - 2016年11月1日

高い地位と収入、妻と子供たち、立派な家と召使い。社会的に成功した主人公は病気にかかり、そして死と向き合う。死は万人に訪れるものだが、どうしても自分の死が受け入れられない主人公の絶望と、痛みの苦しみが切々と狂おしいほどに伝わってくる。いずれ自分にも必ず訪れるこの瞬間、自分は受け止めることができるのだろうか?
★16 - コメント(2) - 2016年10月29日

「イワン・イリイチの死」は社会的に成功した主人公が病気にかかって死亡する話。というと普通ですが、その病気になってから死亡するまでの描写がとても生々しい。個人的には一番なりたくない姿。当然作者はそういうイメージで書いたのだろうけど。死んだ瞬間に死が訪れるのか、その前に死んでるようなものなのか。人生において何が大事なのか、そうなってから考えるものなのかも。 「クロイツェル・ソナタ」は妻を殺した地主貴族の愛についての考えを聞く話。これも愛って何だろう?と思わされる作品です。これも色々考えさせられます。
★2 - コメント(0) - 2016年10月26日

(借) 死に関する本で「イワン・イリイチの死」が何度か取り上げられていたため借りてみたが、読み始めたらあっという間だった。残された親族や知人たちの滑稽さから始まることによって、死に瀕したイワン・イリイチの葛藤が強調され一体どうなるのかと不安になったが、救いがあって本当に良かった。
★2 - コメント(0) - 2016年9月16日

「イワン・イリイチの死」、死を意識した主人公のように、私も死が怖い。その時になったら彼のように光が見えるだろうか?「クロイツェル・ソナタ」、嫉妬心が過剰にも思えたが…、音楽で高揚することはあるだろうと思う。作品名となった曲を聴いてみたい。2作とも、トルストイの結婚生活を想像せざるを得ず、それも面白かった。
★4 - コメント(0) - 2016年8月20日

社会的な成功を収めた判事が、些細な事故で死と直面する「イワン・イリイチの死」。メメント・モリ的なテーマは使い古されているけれど、死に脅かされる心理はまさに迫真の描写です。主人公の今際の科白「もはや死はない」が妙に心に残りました。愛憎の末、妻の浮気を確信した夫が殺人を犯す「クロイツェル・ソナタ」揺れ動く夫婦の心情にいろいろと心あたりがあり、ヒヤヒヤしながら読み進めました。行進曲や舞踏曲、ミサにそれぞれの役割があるように、主人公は「クロイツェル・ソナタ」にうってつけの舞台を後半の殺人劇で演じて見せたのかも。
★8 - コメント(1) - 2016年8月14日

「イワン・イリイチ」のみ読んだ。死について読むならまずこれ、と吉本隆明が書いていたのでかなり昔に岩波文庫を読んだ。最後の数日の叫び声の描写が恐ろしかった記憶があったが、いま読むと恐怖というよりは俺も叫ぶかもなどと思う。話の構造自体は中編というより短編と言えるくらいシンプルで、しぼり込まれている。最後まで死を言葉でとらえようとするガッツはすごい。しかし死ぬ瞬間まで「死とは何か」なんてことを思考し続けるのはしんどいなとも正直思う。キリスト教はやっぱ厳しい。そこがよいのだけど。
★4 - コメント(0) - 2016年8月5日

アンナカレーニナから10年。再び筆をとり書かれた小説。人生のクライマックスにおきる代理不可能な経験、死への描写をわずか100pに書き出している。一度でも本気で死と向き合った事があるかないかで受ける衝撃が違うだろう。どう感想を書くか正直悩む。主人公は残酷なまでに苦しむが、死の直前でもそこから抜け出す事ができるという希望をトルストイは提示してきた。そして最期は超越性に触れ得る最初で最後の機会だと。死を考えずに生を満喫する事は出来ない、人生の中に自分の為だけの意義を見つけないと死ぬ間際に虚しくなるよ、という
★17 - コメント(1) - 2016年8月5日

1話目は、主人公が病気になってから死ぬまでの心理を描写。2話目は、主人公が結婚してから妻を殺すまでの心理を描写。
★3 - コメント(0) - 2016年8月1日

どちらも結婚したはいいが、なんか思ってたのと違った感がふんだんに描写されておりトルストイ先生は苦労してたんだなと伺いしれる。クロイツフェルトソナタは男は性欲の奴隷で、女は逆手にとって世界を支配しちゃってるんだぞ的な部分が、ここまで極端に考えるかと思った。寝取られを容認するかのような態度をとりつつ、嫉妬で怒り狂っており、終盤のキチガイのような態度にはちっと理解に苦しむ。読んでて辛かった。
★1 - コメント(0) - 2016年7月3日

生きているからこその苦悩を見事に掘り下げている。個人的な想いだがスラブ民族独特の香りがした。どうしても資格から入ってしまうのでトルストイの・・あの写真を思い出しつつ読み終えた。どちらも重い・・だが思ってどうなるの❓‼と考えているのは未だに死への恐怖が迫ってこないからだろうか(という傲慢さ)クロイツェル・・、ベートーベンのその曲を思い出せないけれど、人それぞれにある「静謐であるが故の」という素晴らしい曲かな。この本の前に読んだ作品とオーバーラップして私なりに複層的な感慨にふけった。男と女・・それしかいない。
★47 - コメント(0) - 2016年6月2日

当然のことだが、今生きている人間の中に死を経験したものなど誰もいない。したがって、死にゆくものがどのようなことを考えどのような感情になりながら最期の瞬間を迎えるのか、我々生者にはそれを感じることはもちろん、満足に想像することさえ困難だ。しかし、トルストイほどの想像力があれば、そのような常人の壁など余裕で突破できるらしい。イワン・イリイチの死にゆく様は痛切なまでにリアルで生々しく、そこに至った彼の心境は、時代も境遇も国境も飛び越え、共感を呼ばずにはおかないだろう。死は紛れもなくこの一冊の中に収められている。
★31 - コメント(0) - 2016年6月1日

[図書館本]初のトルストイ。本当は『アンナ・カレーニナ』を読みたかったのだけど、お試しで読んでみた。どちらも文句無しに面白かった。どちらかと言えば、好きだったのは『イワン・イリイチの死』の方。裁判官として結構成功した主人公の死に様とその周りの人たちの反応を描いている。友人や家族の心情が虚しくて悲しくなってくる。もう一作の『クロイツェル・ソナタ』は、結婚を夢見る人にはおすすめできないが面白かった。次こそは二大長篇に挑みたい。
★23 - コメント(0) - 2016年5月30日

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イワン・イリイチの死は死に向かっていくにつれて加速度的に描かれていく描写に引き込まれました。イリイチが自分の人生の主題にしていた価値観が死の影が次第に濃くなるにつれてことごとく否定されていきます。死は病気の進行に伴って、概念から擬人化していき、最後の瞬間には死を受け入れることによって、彼の中で消えて光となっています。生への執着が彼の中で死を肥大化させていたということなのか、、まだもやもやとしたものは残りますが、この痛みや恐怖はとても一般化できるものではなく体験した人、固有のものだと強く感じました。
★3 - コメント(0) - 2016年5月25日

「イワン・イリイチの死」は、45歳で死んだ控訴院判事の死にまつわるお話、死んだイワンの職場の同僚は空いたポスト欲しさに、昇進や昇給に思いを巡らせ、葬儀に向かう際には斎場はおまえの家から遠いな、などと、どうでもいい会話をしている同僚が生々しい。人間、そんなものだろう。イワンがみんながつく嘘に嫌悪感を抱いていた、そして、徐々に臨終を迎えるまでを生々しく描写していくが、相当リアルです。数々の友人知人や家族との死別をトルストイは経験していたんでしょうか?まるで、死にゆく、イワン・イリイチの体験談のようで、凄まじく
★13 - コメント(0) - 2016年4月11日

クロイツェルソナタだけを読んだ。 嫉妬と言う感情をこれでもかと書き連ねていた。 苦しくなる位だった。
★4 - コメント(0) - 2016年4月7日

「イワンイリイチの死」は自身の死に向き合う葛藤を描いた話。突然体を襲う違和感、医者に対する不信、迫ってくる死の恐怖がとても生々しいです。他人の死は経験しても自分の死は未経験、どうして自分がこんなに苦しむのか答えが出ないまま死んでいく・・・恐ろしい内容だけど、圧倒的に面白かったです。「クロイツェルソナタ」は妻を殺した夫の話。こちらは殺人者の心境を追体験するような錯覚に陥ります。「結婚は幸福でないどころか、なにやら極めて厄介な事業」で「据え膳食わぬは男の恥」だそうです(笑)トルストイ、かなり好きになりました。
★9 - コメント(2) - 2016年3月4日

「イワン・イリイチの死」死の直前、自分の人生を振り返った時、何を思うのか。主人公は周りの人々に疑心暗鬼になり、自分の人生は間違いだったと苦しむ。「クロイツェル・ソナタ」列車の中で乗り合わせた男が語る嫉妬心から妻を刺し殺した理由。性も含めた男女の関係のあり方に原因があると語る。どちらも人と人のつながりや生き方について考えさせるが、説教臭いわけではなく、コミカルであり、人の心の奥の闇の怖さも感じさせる。
★11 - コメント(0) - 2016年2月5日

980
強烈すぎる一冊。『イワン・イリイチの死』は、キルケゴールでいう騙取、ハイデガーでいう頽落により背けていた死をこれでもかと突き付け、それによって浮き彫りにした生から露にされる恐怖や怒りや虚しさは目を背けたくなるほどシリアス。モデルの人物と同名らしいが、ナボコフが文学講義で解釈していた名前の意味も読んでからだと興味深い。『クロイツェル・ソナタ』でも死によって愛という響の良さに隠蔽された性の欺瞞性を引き摺り出す。どちらも終りの果てから過去を現在に向けて追想する構成。訳も読みやすく一気読み。解説もよかった
★4 - コメント(0) - 2015年12月30日

トルストイは心理的な葛藤を克明に端正に描くのが上手い作家だなと思いました。「イワン・イリイチの死」は、死にゆくイワン・イリイチの心理描写にかなり説得力がありました。恐らく自分が死ぬ時もこんなふうなんだろうなと思うような。このリアルさは、彼が病気になったときの、何人もの医者にかかったり、いろいろな薬を飲んだり、家族が自分を邪魔にしているのではないかと感じたりという心理が非常に身に覚えがあるためで、それが作品の強い説得力につながっているのだと感じました。「愛」を扱った「クロイツェル・ソナタ」とあわせてどうぞ。
★13 - コメント(0) - 2015年12月30日

「イワン・イリイチの死」死以外は何にでも仮面をつけられるが、死だけは人の虚飾を剥ぐ。闘病生活の中でイワンは体面ばかり気にして心の通わない妻や若さを謳歌して死を嫌う娘、自分の次の地位を狙う同僚、事務的な医者と接し、自分の生き方がいかに間違っていたかを思い知らされる。取り返しのつかない生の後悔に苛まれながら死と戦う彼の姿には、確かに尊厳というものがあって、深く感動した。年取ったらまた読みたいけど鬱になりそうだな…。自分は尊厳を失わずに死ねるだろうか?死ぬ前にすべてを許せるだろうか?
★9 - コメント(1) - 2015年12月9日

イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタの 評価:100 感想・レビュー:125
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