箱舟の航海日誌 (光文社古典新訳文庫)

箱舟の航海日誌 (光文社古典新訳文庫)
あらすじ・内容
ノアの箱舟の中では、なにが起きていたのか!?
動物たちの反乱、暗闇にうごめく影――
箱舟という閉鎖空間では「悪」が醸成されていた!

箱舟の中のリアルな生活の情景。動物たちの心に生まれる、不信と新たな本能。これは漂流する舟のサバイバル小説であり、共同体に広がる悪の物語である。児童文学の枠を超えた傑作ファンタジーを完訳で!

物語 箱舟の中に未知の動物が?
ノアは神に命じられた通り、洪水に備えて箱舟を造り、動物たちとともに漂流する。しかし舟のなかに禁断の肉食を知る動物・スカブが紛れ込んだことから、無垢で平和だった動物の世界は、確実に変化していくのだった。聖書では語られない、箱舟の“真の物語”!

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箱舟の航海日誌はこんな本です

箱舟の航海日誌の感想・レビュー(106)

可愛い挿し絵を見てもっと楽しくてワクワクする話かと思ったのに!ノアの箱舟の中で何が起きたのか?そりゃあ色んな種類の動物たちを舟に閉じ込めればゴタゴタが起こるのも無理はない。しかもいつまで続くのかわからない航海でストレスや不満が溜まっていくのは当然のことだろう。肉食を知らず無邪気で仲の良かったすべての動物たちに少しずつ暗い影が忍び寄る。健気なナナジュナナとの別れが切ない。航海が終わり、幸せで楽しい日々が戻らないことを知る。スカブは何を思い、どこへ行ったのだろうか。
★9 - コメント(0) - 1月31日

イギリスでは古典的児童文学だそうですが、これまで全然知りませんでした。K・グレアムから振られた「ジャングルの動物」ネタを、盟友ウォーカーはノアの方舟エピソードにして、動物たちの乗船、食事の問題、ノアの苦労、そして密かにもぐりこんだ悪の侵食などを明るいトーンで描いています。乗船した動物たちが都合よくそれぞれ1つがいだったのか?とか、スカブのみつがいではないのかとか、気にはなりますが、細かいことは言いっこなし。動物たちが変わるエピソードは、「ウォーターシップダウン」のフリス様の創世神話を思い出しました。
★4 - コメント(0) - 2016年12月24日

児童書と侮るなかれ、方舟を舞台に繰り広げられるノアと動物たちの面白おかしいドタバタ劇は、神と現在をめぐる深遠な寓話でもある。神の子であったはずの生物たちが徹底的に変質してしまった分岐点を、作者はユーモラスにシニカルに描き出す。それは単なる創作ではなく、『創世記』を徹底的に読み込む事で生み出されたテクストなのだ。もちろん、ケモナーの方はナナジュナナの可愛さに身悶えしてもいいし、多様な読み方を可能とする優れた作品である。
★2 - コメント(0) - 2016年11月14日

最初に読んでから、約10年ぶりの再読。ああそうだ、バッドエンドだった、と思い出しながら一気に読んでしまった。本編で語られる変化は、バベルの塔建設前後の変化にも似ていて、みんな罪深いんだ(ただし義人であるノアの一家を除けば)というユダヤ教の思想感も垣間見えていい。時世的なものに加えて、文化圏に宗教観が深く根ざしているだけあって、児童文学としては内容が道徳的じゃないのがとても好き(日本などの他文化圏なら、高校生か大学生くらいで読むのがちょうどいいくらいだと思う)。
★8 - コメント(0) - 2016年7月17日

☆×4.0…著者の作品では唯一の子供向けの作品です。ですがこの本は大人に成ってからであったほうが発見はいっぱいあるように思えます。そう、特徴的な動物と動物(?)があるものの象徴じゃないのか、というのをうすうすと感じられるので。特に後半にいなくなるある生き物に関してはその名前(訳者の方は本当に大変な訳だったのでしょうな)にある意味がこめられていますからね。そう、動物でも何でも、窮地になると本当に本性が見えてくるのです。だからこそトラたちに関してはそのプライドからも悪に魅入られるのは不可避だったでしょうね。
★5 - コメント(0) - 2016年7月10日

ノアの箱舟に乗った動物たち。洪水以前の動物たちは誰も肉食を知らず平和に暮らしていたが、長い箱舟生活の中で、「みんな仲良し」という楽園の時代が徐々に瓦解していく。箱舟の中に悪を吹き込むスカブが、箱舟から一足先に降り、まだこの地平に生きている、というのがなんとも暗示的だった。
★5 - コメント(0) - 2016年7月9日

時代が変われば見方が変わる。作中でスカブは悪の象徴ですから、そのまま素直に受け止めれば良いと思いますが、これを今現在に当てはめると、過去に失敗を犯してしまった人間を頭ごなしに疑う事は、その人間を追い込み、再び過ちを犯させてしまうのでは?児童書ならではの、単純であるが故の残酷さは、私の想像力をあらぬ方向に導いてしまいました。
★3 - コメント(0) - 2016年3月11日

児童文学。善意の中に悪意が一つでも紛れこむと、それが次第に善意を侵食していくという話。
★8 - コメント(0) - 2015年11月17日

箱舟の中で動物たちがどのように悪に染まったかを描いた児童文学。悪の権化のようなスカブや、坂道を転がることしかできないフワコロ=ドン、途中で箱舟から去るナナジュナナなどの架空の動物とその運命に神秘主義的な何かを託していると思うのだが、私にはそれを読み解く能力がない。残念である。物語もまあまあ面白いが、挿絵の動物たちが特に可愛らしくて、にやけてしまう。
★4 - コメント(0) - 2015年11月7日

作家でもないのにすらすら児童文学が書けたのはすごいと思う。終わりがあっけないけれど、十分楽しめた。スカブ怖い……同情しなくもないけど、不気味。ナナジュナナたちの最後を思うと哀しい。
- コメント(0) - 2015年10月26日

社会の縮図を見せられた気がする。悪とされてしまったスカブの痛みも寂しさも理解できる。自分の弱さを認めてしまった部分もわかる。そして不満やもどかしさに乗じてでも味方を増やしたかった心情もわかる。結局、「みんな違ってみんないい」的な社会は少数派や歪んだものをも包含しているのだと思う。そんなものがない健全な社会なんてない。最後のノアの一言はすべてを言い表してる。ノアはどうすればよかったのか、何も出来なかったと自分は思った。
★5 - コメント(0) - 2015年8月28日

事件は、脅威は、最大の悪は、この物語が終わった瞬間に始まるのだ、という予感をしっかりと押し付けられる、いやーな小説。思い切った筋運びがすごく効果を出しているよい例。
★3 - コメント(0) - 2015年6月29日

 最初はもっと少し退屈なものかと思っていたが、読んでみると動物が擬人化されており、ユーモラスなもので楽しめた。
- コメント(0) - 2015年4月23日

サルとフワコロ=ドンとスカブ
★1 - コメント(0) - 2015年3月29日

ノアの方舟を主要舞台とした動物たちが繰り広げる群像劇の趣がしました。すべてしゃべる動物がいてドリトル先生のような感じもしますがある異物のような生物が紛れ込むことによってノアの方舟の中も徐々に変化していく様子が興味深く語られています。児童文学の範疇なのでしょうが、大人用にも読めます。どこかの世界を暗喩している気もします。また挿絵も現代的でいいですね。
★41 - コメント(0) - 2014年12月4日

神から知らされた世界を滅ぼす大洪水に備えて、ノアが作った箱舟に乗り込んだ動物たち。彼らの空間は、謎めいた獣スマウグの存在で脅かされて行く。 旧約聖書の『ノアの方舟』神話をベースにした物語。神話みたいな話だと思ったら、擬人化された動物たちの世界で、童話のような雰囲気があった。何だか星新一の掌編小説、ショートショートみたいな感じもした。 ラストの文章はちょっとブラックユーモアな感じ。スマウグが他の動物たちを襲うことはなかったけれど、何かの影響は及ぼしていたんだな。と思わせてくれる、終わり方だった。
★4 - コメント(0) - 2014年8月22日

ノアの方舟の物語では語られなかった、船内部でのお話。元来平和で、すべての動物が仲良く暮らす世界だったが、箱舟という新しい環境に一握りの悪が紛れ込むことで以後それが伝播してゆく。その悪、とはスカブという仮想の肉食動物で、トラやライオンのように力の強い動物達を唆し何かを吹き込んでいった。このように、力があり、他人の褒め言葉に簡単に乗せられてしまう人と、彼らを利用して悪事を働こうとする人間の構図は人間関係にも見られるものがある。そして、いずれは滅んでいく愚かな弱者(ここではナナナジュナ)もこの社会の弱肉強食の関
★2 - コメント(0) - 2014年8月17日

ノアの方舟の内部をえがく。本来は善意のある動物たちしか乗っていない船内が本の少しの要因で恐怖や疑心暗鬼に支配されていく。働きアリの法則に類似している。どんなに善を集めても必ずそこに悪が発生する。悪がなくなれば善もなくなってしまうのかもしれない。
★18 - コメント(0) - 2014年2月17日

大洪水から身を守るため、動物たちはノアの方舟で暮らすことになる。その中に動物で唯一肉食の味を知るスカブが紛れ込んだことから、物語は不穏な空気をはらんでくる。本作では肉食=悪という構図が最後まで貫かれている。どうにも一面的な捉え方に見えるが、そこは児童文学だからだろうか。本作において悪は決定的な破滅はもたらさないが、悪が徐々に忍び寄ってくる様が不気味で印象深い。本作が聖書を下敷きとした作品であるため「肉食=原罪」と解釈されるのは仕方ないが、シンプルに社会に潜む悪意だと考えればイメージしやすいのではないか。
★3 - コメント(0) - 2013年12月21日

無垢な動物を満載するノアの箱舟に堕落した獣"スカブ"が紛れ込んでさあ大変、という趣旨なのだが、繰り広げられるのはなんとも呑気なドタバタ騒ぎ。さほど黒い展開にはならないので期待しすぎると肩透かしを食う。一応戦争の影なども読み取れるにしても、ちょっと不穏な匂いのする児童小説と考えればいいかな。挿絵の腰砕けっぷりがいいですね。
★6 - コメント(0) - 2013年12月2日

創世記を底本とした児童文学だが、内容はかなりシニカル。洪水以前は皆仲良く暮らしていた動物たち。闇に紛れて招かれざる獣が舟に乗りこんでから、少しずつ彼らは変わっていく。悪意の象徴・スカブは他の動物たちに肉食を勧めるわけではないし、小動物たちに襲いかかるわけでもない。けれど、彼の存在により、他の動物たちの胸に疑心と欲望が芽生えていく。互いの顔色を窺い合い、そこから逃れる者さえも。悪意は静かに、ひっそりと世界に広がっていくのだ。ノアがスカブを受け入れなかったとしても、きっと悪は何処からでも忍び込んでくる。
★17 - コメント(3) - 2013年11月28日

ノアの箱舟に悪を伝播するスカブ(スカベンジャー?)が乗り込む不穏なおとぎ話。最後はジェノサイド展開になると胸躍らせていたので、表面上は何事もないオチに拍子抜け。でも、虐殺したら話がリアルに終わってしまうわけで、ノア爺ちゃんの最後のぼやき「わしにはどう考えていいものやら見当がつかん」がいい味してる。そして、箱舟のその後を生きていけなかった球体生物フワコロ=ドンが可愛い。
★6 - コメント(0) - 2013年7月15日

まず、あっここで終わっちゃうの、という肩透かし感。スカブによる不和や、そして引き起こされるであろう破滅への解決はないんだ、と。が、人知れず真っ先に新たな大地に降りたのがスカブである、てことに時間差で震えがくる。初めのうち章末をひっそりと汚してきたスカブが、終盤で何者よりも存在感を増し、しかし自ら特別に「悪さ」はせず、唆すだけ。物語に墨流しのように不穏さが挿し込み、漂い、広がっていくのは見事。動物寓話といえばオーウェル『動物農場』、方舟神話の戯画化では古典新訳のシュペルヴィエル『海に住む少女』も思い出す。
★4 - コメント(0) - 2013年7月11日

動物も人も簡単に悪意に染まってしまう。実は私たちもスカブのように悪意をばら撒いてしまっているかもしれない。挿絵が可愛い。
★3 - コメント(0) - 2013年5月17日

ノアの優しさが逆にスカブの悪をのさばらせてしまったのではないだろうか
★4 - コメント(0) - 2013年4月6日

旧約聖書に記載されている『ノアの箱舟』伝説を著者ウォーカーが動物たちの箱舟生活を面白おかしく描いている。それぞれの動物たちの性格付けが絶妙。 ただ。架空の動物スカブによって肉食という悪意が持ち込まれ、イヌ科・ネコ科動物たちに、徐々にその悪意が疫病のように侵食していく様は不気味だった。そして箱舟前と後とでは、動物たちの意識が変わっていってしまったことにノアが不安を覚えるがどうすることもできないところで終わっている。
★11 - コメント(0) - 2013年3月30日

「なぜ、食物連鎖は生まれたのか」という疑問をノアの方舟の航海を舞台に炙り出した作品。ツッコミ所もあるけど絵が多くてフワコロドンの可愛さにキュン。だが肉食を犯し、神の恩恵を受け取らないように生きるスカヴがライオンなどの大型ネコ科の動物にすり寄ったことから起きる不信と危機感、小動物を見る視点の暗雲な変化。最後に陸地に到着した時にその事実が明らかになる場面は薄ら寒くなります。肉食を犯したスカヴが神の恩恵を受け取らない生き方をしているという点に着目するならば人喰いや同族殺しまで犯す人間はもっと酷いのではないか?
★28 - コメント(0) - 2013年3月20日

【図書館】『旧約聖書』のノアの箱舟の話をもとにした物語。肉食を原罪としていながら、肉食についての直接的な描写がなかったことに少し拍子抜け。とはいえ、次第に変わっていく動物たちにジワジワとした不信感と恐怖を感じた。
★9 - コメント(0) - 2012年8月9日

なんか児童文学とキリスト教的観念を無理やりミックスしたかのような、後味の悪い話。動物たちの無邪気さとスカブから始まる不気味さのギャップが著しいし、前の人も書いているけど、『肉食=原罪』っていう考えが鼻に付く。これ本当に児童文学?
★2 - コメント(0) - 2012年5月19日

★★☆☆☆ 肉食を知るスカブは終始悪の象徴として描かれているけれど、作中決定的な大事件が起こるわけでもなく、不穏な闇が周囲からじわじわと攻め寄ってくるような雰囲気がただただ不気味。 大陸についたらいったいどうなってしまうんだ…と思っていただけに、最後は「え?終わり?」と拍子抜けしてしまったけれど。
★1 - コメント(0) - 2012年4月28日

ブキミでよい。
★1 - コメント(0) - 2012年1月14日

うーん。面白くなかった。児童文学としても中途半端。毒も中途半端。神という存在あってのノアの方舟譚から神の要素を排除したら、そりゃ、つまらなくなっちゃうだろうな。聖書知識に飢えている私としては、もっと「へえ、なるほど」っていうのを期待したんですが、期待はずれというか、そもそも期待するのが間違いだったというか。原著を読んだらもっと面白いのかしら。あえてこれを「古典新訳文庫」として訳し直して世に問うた意味がよく分からないのです。
★1 - コメント(0) - 2012年1月6日

段々暗くなっていく空気を秀逸に表している。でもやっぱり翻訳もののギャグっぽい部分は笑えないんだよなあ。 肉食=原罪というのもまさに人間の独善的な考え方だと思う。動物の世界では我々の知り得ない価値観があるだろうよ。何言ってんのかわかんなくなった。別に子供に読ませちゃいかんことはないでしょう。
★5 - コメント(0) - 2011年7月4日

途中まではほのぼのとした感じを愉しんでいたのだけれど,だんだんなにやら雲行きが怪しくなり... その不快感・不安感のもとは,けしてスカブだけではない.動物たちは,簡単に煽動されてしまうし,浅はかな行動でパニックを引き起こすし,本来助けられたはずの環境にもやがて不平を言い出す.人間社会の,愚かな一面を目の前に突きつけられている感じで,読むのがつらくなる.どうかお子さんには,読ませないでください...
★3 - コメント(0) - 2011年7月1日

イギリスの児童文学。イラストの可愛らしさに惹かれて購入してみたら、黒さ満載だった。少しずつ関係性が歪んでいく、息詰まる、なんだかイライラする、弱い物を嬲りたくなる、爪を立てたらどうなんだろう?かぶりついたら?血腥い視線を小動物に向け始める大型獣たち。箱舟から逃げ出したナナジュナナが救い。トウミツの空き樽に揺られて、どこか別天地で今も暮らしているといいと思った。
★3 - コメント(0) - 2011年4月5日

ノアはリーダーとしてちょっとどうなのかな…(笑) ノアさんには是非「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら」を読んでほしいなあ(冗談です)
★3 - コメント(0) - 2011年3月11日

読みやいながらもどこか意味深長な小説。ところどころに顔を出すユーモアもいいですが、原罪により、いくら良いことをしようとしてもそこから悪が出現する余地がある、というのはちょっと辛い。親切な行為がいつも善という結果を生無わけではない、という教訓なのか。なかなか楽しく読めた。
★4 - コメント(0) - 2010年10月22日

喰う側を禁忌に誘いこみ、喰われる側に猜疑心を植えつける。イノセントな存在を陥れる者という意味で、スカブは「楽園追放」の蛇みたい。しかし肉食は常に悪でしょうか。(人間は何を食べるの?オートミール専?いやまさか)むしろ虎や豹は肉食するのが自然なのだから、肉食を知る前=イノセンス=不自然な状態、スカブは不自然を是正した者、という皮肉なんだろうか実は。いやあしかしそんないろいろ考えるんじゃなく、ナナジュナナをめでて、フワコロドンにきゅんきゅんするのが読み方としては正解なのかも…
★5 - コメント(0) - 2010年9月3日

まず、絵が可愛い。コアラも、ヤフェトも、年寄りの黒クマも。 そして、話が結構怖い。 スカブに対する嫌悪感を感じつつ、悪を滅ぼしてしまってうのは本当に善なのか?という課題もあるのかもしれない。  同じ光文社古典新訳のシュペルヴィエルの『海に住む少女』の最後にも箱舟の話があった。 光文社262P
★4 - コメント(0) - 2010年6月30日

箱舟の航海日誌の 評価:100 感想・レビュー:55
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