寄宿生テルレスの混乱 (光文社古典新訳文庫)

寄宿生テルレスの混乱 (光文社古典新訳文庫)
あらすじ・内容
お金を盗んだ美少年バジーニが、同級生に罰としていじめられている。傍観していたテルレスは、ある日突然、性的衝動に襲われる……。寄宿学校を舞台に、言葉ではうまく表しきれない思春期の少年たちの、心理と意識の揺れを描いた、『特性のない男』ムージルの処女作。

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寄宿生テルレスの混乱の感想・レビュー(219)

田舎の寄宿学校を舞台に少年たちの思春期を描く。同年代の少女がまわりにおらず、大人の監視が緩いため、本作品で発生したイジメが早々に性的な色彩を帯びていくのは必然。思春期の少年とは暴力と性の臭いをぷんぷんと撒き散らしているものなのです(偏見)
- コメント(0) - 3月11日

他の短篇や中篇と異なりここでは少なくとも物語が描かれている。上流階級の寄宿学校といえば厳格な風景、光と影の強い対比を思わせるが、本作品からはほとんど硬質な印象は受けず、むしろあふれでる温かさをどう受け取ればいいか混乱する。壊れかけたロマンのぬくもりに触れることの違和感、名状しがたい感覚。ムージルを読んでいると時折、美的なものと倫理的なものをくぐり抜けた先のある種の涅槃を思い浮かべる。
★23 - コメント(0) - 3月4日

ムージルの処女作が寄宿学校BLものだとは知らなかったが、そこはさすがにムージル。少年だけの閉鎖空間の官能性も描かれるが、自分は自分の主人ではなく無意識の奴隷であるというフロイト的視点から内側の獣に襲われたじろぐ思春期の姿に焦点を当てている。性交渉やいじめの口実にカントやインド哲学を持ち出して観念的な言葉で語るめんどくさい中学生たちにはちょっと笑ってしまうが、虚数に注目することで人間の実像をあぶり出すというテーマは重要だろう。最もわからなかった小説の一つ『特性のない男』に、そろそろ再チャレンジしてみるか。
★11 - コメント(0) - 2月24日

寄宿生テルレスの混乱。このタイトルの響きが好き。ヘッセをしのぐBL文学。もっと有名になってもいいんじゃないの。
★1 - コメント(0) - 2016年10月14日

BLの古典。なぜ独逸の文豪はやたらと学校シチュでのBLばっかり書いてるのか。それはこのムージルとかいうおっさんが悪い。ムージルはホモ。しかもショタコン。生粋のサディストで言葉責めが得意。ってグーグルの検索エンジンでサジェスト汚染してやりたい。一応真面目に感想を書くとサガンの「悲しみよこんにちは」や夏目漱石の「それから」と同じ傾向にある小説。自己中心的な感情に振り回されて混乱する内面性を描いている。なので理不尽で不条理。前述二作品は恋人とか不倫相手が死んでてめちゃくちゃ可哀想なので死んでないこれはまだ良心的
★1 - コメント(0) - 2016年5月19日

ムージルの作品群を読んでいると、まるで真正面を見ながら自分の死角、つまり後頭部の後ろに手を伸ばしてなにかを掴み取ろうとしているような印象を受ける。『寄宿生テルレスの混乱』もそのような印象をあたえてくれる。少年テルレスは愛(同性)、数学(虚数)、哲学、宗教といった、突き詰めると答えが出なくなる物事の様々な現れにさらされる。そして大人はこれらの問いを自信満々にはぐらかすのだ。同級生は愚かしく、最終的に彼はシラけて、そうした問いにつまらない既存の枠組みをあてはめることで良しとする学校が象徴する現実と訣別する。
★5 - コメント(3) - 2016年4月27日

青少年にありがちな混乱(だいたいそれは、自ら糸をこんがらがせてできあがる)を、やや距離を置き軽妙な文体で描いている。寄宿生たちの連携や反目というのは、修学旅行のワイワイガヤガヤの部屋というよりも、部活の合宿の抑圧された部屋のなかの模様に似たものがある。主人公の直面する疑問を「虚数」で表現している点に、すごみがある。虚数もまた現実の生を構成する一部分なのだ。
★5 - コメント(0) - 2016年4月21日

言葉では上手く言い表せない感情、言葉の限界。テルレスはそれに挑戦していったように思える。最後の方で先生たちに尋問されたところで先生たちは「簡単なことを複雑に捉えちゃって、まぁ!」といわゆる、「こういうのって若者にありがちな事だよね〜」という認識でテルレスを語るけれど、彼の混乱や感じたことを「若者の特性の1つ」として括ってしまうことに抵抗を感じた。私もまだまだ若いのでこういうふうに感じるのかもしれないけれど。映画も観てみたいところ。
- コメント(0) - 2016年1月8日

ロベルト・ムージル自身の実体験を含む処女作。上流階級の子息が通う寄宿学校に入学した“テルレス”が、同級生“バイネベルク”、上級生“ライディング”と共に、美少年“バジーニ”を監視矯正(という名を騙った虐め)していく話。性知識には、疎くなるような環境下で育ち、神学や哲学などで、思索面においては、著しく発達した少年が語れば、何故か神聖に感じるのだが、読み手にとっては、少々遠回しで厄介だった。規則に縛られた環境で多感な時期を過ごせば、鬱憤も愛情も屈折するだろうが、彼等の暴力行為は、紛れもなき、魂を傷つける犯罪だ。
★17 - コメント(0) - 2015年6月3日

ここに描かれているのは、性的衝動に初めて直面した少年テルレスが、それに当惑し、混乱し、その事態と格闘し、そして克服するまでの、自己形成の過程だ。彼の混乱は虐められっこのバジーニに性的興奮を覚えたことに端を発する。なぜならそうした心の動きは彼にとって、数学における虚数のように、その意味を言葉で説明することができない点で、奇妙なものに思えたからだ。彼の大人へのステップは、そうした説明不可能なものが自分の内側にあること、即ち「言葉では表現できない生」もまた、自分の生であることを、認めることだったのだと思う。それ
★14 - コメント(1) - 2015年4月3日

子供から大人になる過渡期にある不安定で傲慢な心。性的なものに対する憧れと嫌悪。世界の真理を渇望する気持ち。そういうものは多くの人が経験してきたものだろうし、幼さとしてちょっと苦笑いしながら思い出すようなものだろう。ただ、ここで描かれる、少年に対する暴力の背後にある、人を支配したいという欲求や、自分の論理の正しさを証明するためには何をしても構わない、という考えには、笑えない幼さがある。また、全ての人がこの幼さから脱却できるわけではない。「大人」である人々のなかにも度々この幼さは見出される。
★6 - コメント(0) - 2015年3月14日

美少年とギムナジウム
- コメント(0) - 2014年12月30日

事件は醜悪で、下らないが、テルレスがビルドゥングスロマン的トンネルをくぐった後は、物語には突如清涼感が漂い、美しい結文、「母親の胴着(ボディス)から漂ってくる香水のかすかな匂いを嗅いでみた。」につながる。終盤のテルレスの独白も気持ちいい。テルレス、バイネベルク、ライティング、バジーニ、一様に愚かで、偏執で、エネルギッシュ。テルレスの問いの深さは魂に向かう求道的な気高さがあり、明晰さと瑞々しさを併せ持った思考と感性と混乱は、現在の自分の埒外にあるかもしれない。だが作品の魅力はここにあるなと。初ムージル堪能。
★7 - コメント(1) - 2014年8月18日

初ムージルかな、『ウェルテル』、『車輪の下』を生んだドイツらしい作品。というか1906年だから、『車輪の下』とほぼ同時期か。この『テルレス』では青少年の性といじめの問題がよりクローズアップされている。けっこう汚らわしい事件が起こる。あまりにばからしい衒学的演説を振り回す友人だとか、クラスメイトを支配下に置きたがる奴だとか。そいつらと犠牲者の美少年との間で板挟みになるテルレス君、ってお前もかい!って物語。
★8 - コメント(0) - 2014年6月14日

◉再読
- コメント(0) - 2014年4月5日

ドイツ語版がなかなか読み進まないので翻訳版に手を出した。十代の心境を写した書。モデルとなったのはムージルが1894年~1897年に在学したメーリッシュ・ヴァイスキルヒェンの陸軍高等実家学校での事件とのこと。一番印象深かったのが、テルレスが虚数の意味が分からずに教師に質問に行くところ。私も高校のころ虚数や非ユークリッド幾何学について質問したことがある。100年以上前の19世紀末のレアールシューレの高校生が同じようなことに悩んだことに、ヨーロッパの教育や数学の歴史の深さを改めて思わされたのでした。
- コメント(0) - 2014年4月2日

「沈黙」と「物」と「混乱」の文学。さらに詳しく言ってしまうなら「石」。大雑把に言ってしまえば物と生物を越境する(この言い方は正しくない)。この越境=脱境界化することは大きなうるさい程の沈黙となって表れる。その証拠に作中度々登場人物たちは「石のように」なる。ただし、思想も「石のように」落ちてくるのだけど。訳が読みやすい。
- コメント(0) - 2014年3月21日

生まれつき行動してきた自分とそれを俯瞰的に見ることができる自分がいたとして、丁度第2の自分が産まれるのってこの時期じゃなかろうか。産みの苦しみがテルレス少年に多大な影響を与えてまさに混乱させた……のかな?
★2 - コメント(0) - 2014年1月21日

舞台は全寮制のエリート校。自立していない繊細な少年と、その魂の混乱の軌跡。
★1 - コメント(0) - 2013年12月30日

さらっと読んだのでさらっと感想をば。タイトルに「混乱」とある通り、後半に行くにしたがって主人公テルレスの言っていることがよく分からずわたしも「混乱」した。この、なんだかよく分からないことを言えるようになるイコール成長を表すのだろうか…。ざっくり言えばこの子中二病かな、とも思ったけれど、これすなわち思春期ということか。ムージルの自伝的小説らしいので、その辺も気になるところ。
★1 - コメント(0) - 2013年10月23日

P61/P108/P141/P142/P193/P313/(P327/P345)
- コメント(0) - 2013年8月30日

同じ作者の『愛の完成』はあまりにも理解不能だったけど、こっちは楽しめた。寄宿生のテルレスが「言葉にできない気持ち」に直面しながらも「魂」を成長させていく物語。先日読んだ『小説修業』という本の中で保坂和志が「論理的な記述をしながらものを考えるのが哲学者で、人物や風景を記述しながらものを考えるのが小説家」というようなことを書いていたのを思い出した。当時の関心事だった「語りえぬもの」「言語の限界」という問題に若き日のムージルが真っ向から挑んだといった感じで、「考える」ということが前面に出た小説だったように思う。
★10 - コメント(0) - 2013年7月8日

まさに思春期真っ盛りの少年の混乱を書いた物語。粗暴で狂信的なライティングとバイネベルク、卑劣だと彼らに目をつけられた美少年バジーニ、善にも悪にもなれずただただ自分の本質や立ち位置に苦悩するテルレス。バジーニへのいじめに関してテルレスは加害者にも傍観者にも救世主にもなり、それぞれの立場から自分は何を考えているのか、バジーニへの感情は一体何なのかを悩み続けます。この時期ならではの性に対する好奇心と嫌悪感がよく書かれていて、最後のテルレスの行動によって「ああ、一歩成長したんだな」と感じました。青春は時に残酷。
★8 - コメント(0) - 2013年7月4日

閉鎖的なギムナジウム、ボーイズラブ、サドマゾ、自意識の迷路。色々な倒錯をごった煮にしたような作品の割に、ストーリーの筋は一貫していて、読了感もさっぱりとしている不思議。
★1 - コメント(0) - 2013年5月9日

観念的ではあるが、物語としても受容できる内容。加虐と被虐の関係性を心理学的に克明に描写しつつ、数学、形而上学的な思惟を織り交ぜている。如何にして虐待は生じるか、その問いに答えると同時に、少年期の心のざわめきも見せる。同性愛と思惑の深みを語る。
★2 - コメント(0) - 2013年4月13日

一位
- コメント(0) - 2013年3月12日

1906年初出。解説によると、「人生の重荷にうんざりし、単純なことを夢見るようになったとき、ほしくてたまらなくなる人生の法則がある。物語の秩序という法則だ」(332頁)。中年の評者もそろそろ展望というか今後の身の振り方をと思っている次第。「本を開けば、秘密の門をくぐるようにして、精選された認識のポイントをつかもうとした」(35頁)。評者は斜め読みなのでこのバイネベルクの父親流なのだ。「人生と、人間が感じ、予感し、遠くから見る人生とのあいだには、狭い門のように、目に見えない境界線がある」(239頁)。複雑。
★6 - コメント(0) - 2013年3月2日

「トーマの心臓」の元になった作品。正直一読しただけではわかりづらいからもういちどじっくり読みたい。
★1 - コメント(0) - 2013年2月21日

20世紀を代表する大作家ムージルの処女作。女の家、秘密の屋根裏部屋、開かれた世界へと通ずる閉鎖的な環境。ホフマンスタールの『チャンドス卿の手紙』やウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』とも通じる「言語の限界」を主題として、心の奥底に蠢く性と暴力への衝動、虚数やカント、「見者」、東洋的神秘主義への思索と憧憬が思春期の少年達を焦燥へと、SM的な同性愛とイジメ、「危険な遊び」へと駆り立てる。そして、主人公テルレスは混乱するのである。単純な筋書きを実にねっとりと描く心理小説。少年達の力関係も面白い。
★5 - コメント(0) - 2013年1月12日

ギムナジウムもの…というか、春の目覚めみたいだなぁと思いました。あんまり大人になってこういうことを考えていると、きっと中二って言われるんだけど、私はこういうことを一人で考えて学生時代を過ごした方だからたしかに共感っていうのが正しいのかも。
★1 - コメント(0) - 2012年9月28日

ムージルの処女作で新訳なので、あまり期待していなかったが、圧倒的だ。悪文?もったいぶった美文調?テルレスの葛藤は、小説という形式、言葉でいいあらわすということそのものへの懐疑に貫かれている。いいあらわせないことを表現するために、いいあらわすこと。それをあきらめたら、小説も、どんな表現も行き止まり。登場人物はたったの四人程度。凝った伏線も無い。些細なことが事細かに、繊細に描写されるだけ。ボーイズ・ラブ。ムージルの実際の経験をもとにしているというから、どんな経験をしたのだろう。<虚数>。
★2 - コメント(0) - 2012年8月15日

矢鱈、無限に対して考えてしまう特有の堅苦しい思考、おどおどする相手に対する暴力的とも言える感情、性に対して嫌悪感を抱きながらも気になってしまう潔癖さと自己の変化に対する戸惑い、言葉に決してできない揺らめく感情。確かに感情を全て言葉で表現することはできないし、その感情すらも強烈でありながら刹那的でしかない。開かれた世界の縮図である閉じた学校生活での優越感とどんなことでもはみ出すことへの恐れ、深刻なのにぼんやりとした事柄への混乱の描写が見事でした。今の学生やかつて学生だった人達の感想も気になります。
★22 - コメント(0) - 2012年8月12日

無限について思考して空恐ろしくなったり、言葉では感情を完全に表現できないことにジレンマを抱いたりと、思春期の想念を鋭く切り取った文章は共感性が高く、思わず大量にメモを取ってしまった。とはいえ具体的なドラマ性には乏しく、主人公が何をもってしてその思考を想起したのかわからず、小説としては苦痛なまでに退屈だった。主人公の混乱以上に、著者も相当混乱していたと思われる。
★3 - コメント(0) - 2012年4月25日

寄宿生テルレスの混乱の 評価:66 感想・レビュー:69
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