月を見つけたチャウラ―ピランデッロ短篇集 (光文社古典新訳文庫)

月を見つけたチャウラ―ピランデッロ短篇集 (光文社古典新訳文庫)
あらすじ・内容
硫黄鉱山での重労働の果てに暗い坑道を抜け出ると……静かで深い感動に包まれる表題作。作家が作中の人物たちの愚痴や悩みを聞く、風変わりな「登場人物の悲劇」など、15篇を収録。シチリア出身のノーベル賞作家が、突然訪れる人生の真実の瞬間を、時に苦々しく時にユーモラスに描いた“ビターで不思議な世界”。

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月を見つけたチャウラ―ピランデッロ短篇集はこんな本です

月を見つけたチャウラ―ピランデッロ短篇集の感想・レビュー(164)

素晴らしかった。この、人生に対する虚無感というか、愛に対する虚無感というか。とにかく、ひたすらにこの短編集は虚無感で包まれている。確かなものなど何もないし、全ての存在に意味はない。ノイローゼ気味の登場人物たちは、ノイローゼ故にその事実に気づいて悩み、絶望し、全ての行為に虚しさだけを覚える。ダダイズム的な話の並んだ短編集。
- コメント(0) - 3月21日

暗い…という第一印象。陰鬱な死と狂気じみた幻想がひねりとともに連なる。表題作「月を見つけたチャウラ」は、作者の実景(鉱山)に根差したリアリズムの良さと、悲しみのなかの明るさがある。可愛らしい作品。けれども、ピランデッロの唱えたウモリズモ(ユーモアイズム、とでも訳すべき言葉)は、強くアイロニーを含み、軽快さとどこか遠い短編である。(かといって重々しくはないが…)。
★11 - コメント(0) - 1月13日

よかった。あまりにも人生観や思想が私と近いため、しょっぱなから戸惑うことなく引き込まれるように解説まで読んだ。登場人物にとりつかれていること、人生は「とても悲しい道化に似ている」、「自ら望んだものではない地上での滞在」であると考えていること、共感できる点が多く複雑な気持ちである。
- コメント(0) - 2016年12月8日

登場人物の悲劇が面白かった。メタフィクショナル。それでいて現実の人生の比喩みたい。解説で引用された著者の喜劇と風刺とウモリズモは違いがこの本を読み解くのにぴったり。
★1 - コメント(0) - 2016年11月23日

15の短編が収められている。望むと望まぬとに関わらず自分のこの体でこの社会を生きていかなければならない。ほんとうの自分は、もしかしたら別かもしれない、だとしても、この日々を生きていくしかない、さもなければ・・・。苦い味の小説が多いけど、ユーモアが垣間見え、どこか馬鹿らしい人間の営みを突き放しつつ、でも確実な深さで描く。冒頭の『月を見つけたチャウラ』。鉱山で重労働するチャウラの物語は、14編の作品を読みピランデッロの人間観を知ると、はじめとは違う180度違った想いを抱かせる。
★13 - コメント(0) - 2016年10月15日

表題作と、とくに『甕』が好き。『甕』舞台でみたらさらに笑えるよきっと。『手押し車』『貼りついた死』『自力で』…他にもいくつかの短編は、いずれも生の実感をもてない自分、あるいは自己というものに対する疑惑を孕むもの。ここにいるのは誰なのだ?!自己の内面を突きつめていった結果、そういう感覚になっていったのかな。こういうのも幻想文学っていうのか。なんとなく作家の生き辛さ、のようなものを感じる。
★11 - コメント(0) - 2016年9月26日

ほとんどの物語には狂気がこびりつき、本来かなり陰鬱であるはずだが、バカバカしいほど陽気な声でなぶる。けれども、不思議に不快なままに終わらない。一番最初に読んだ『月を見つけたチャウラ』の余韻がこの本一冊読み終えるまで続いていたのだと思う。不思議な作品集。狂気と無限の喜びの世界とを同時に味わったような気がする。
★7 - コメント(0) - 2016年9月24日

意表をつかれてクスリ、日陰から日向へクラリ、己に呈する疑問も苦悩も すっかり任せて心は軽い。清々しくて馬鹿馬鹿しくて沁々として…お茶目。
★17 - コメント(0) - 2016年9月2日

美しい表題作とは違い、ユーモア(とは言い切りにくいなにか)や狂気(と表現すると違和感のあるなにか)、ペシミズム(のように見えるなにか)が漂うアンバランスな作品。とても好き。特に『紙の世界』以降の畳み掛ける感覚がいい。最後の『ある一日』はちょうちょの話。
★9 - コメント(1) - 2016年7月28日

自分が自分であることを知っているのは、自分だけ。けれど、それを他人に証明するのは難しい。自分の存在を証明することに、もしかしたら心がくじけそうになることがあるかもしれない。もしかしたら、自分が信じられないこともあるかもしれない。そのときのために、誰か信頼できる人を見つけておかなければならない。遠く離れた月では無くてね。
★9 - コメント(0) - 2016年7月24日

私はこの本は、先日絵本で「甕」を読んで原作がこの作家ということが分かったので図書館から借りてきました。15の短編が入っていて、イタリアのシシリー島というイメージからすれば明るい作品が多いと思いましたが、結構暗いものもあるのですね。印象に残る短篇が多かった。最後に作者についてのかなり長い解説があり参考になりました。別の作品も読みたいですね。
★135 - コメント(0) - 2016年3月5日

人生においてけして避けようもなくあらがうこともできない物事、そしてそれらと出会った瞬間に、どうしようもなく露になる真実…。それは、「自分が自分の人生に不在だということ」。解説で作者であるピランデッロについてふれられていたけれど、この本の重たさの後ろにあるのは、彼の人生そのものなんだろう。それでもその真実について、何百もの短篇に書きあらわし続けたピランデッロには、ただの狂気や執念では片付けられないものを感じる。それこそが「自分」なんだって、言い切れたらいいのに。切ないしさみしくなった。
★7 - コメント(0) - 2015年12月23日

ある時、ふと「私の人生において、私という者は不在だ」と気づいてしまった人々の話。ある者は自ら死を選ぶことで、またある者は一本の草を愛でることで、またある者は狂うことで、ある者は他人の人生を想像することで、そしてある者は一人閉じ籠ることで、その私の不在という気付きから逃げようとしている。でも私はどこまでいっても私だし、どうすることもできない。不条理。思い切りタイトル買いで「月をみつけた」なんてあるから、もっと可愛らしいお話かと思いきや、どんより重いし、すごく嫌なやつは登場するしで、不意打ちを食らった気分。
★29 - コメント(0) - 2015年11月20日

「手押し車」「自力で」「ある一日」「紙の世界」がイチオシ。「フローラ夫人〜」は実は嫁もいなくて二人とも狂ってるんじゃないかと考えるとよけい怖い。「自力で」は強烈な幸福感と共に墓地へ向かう姿が泣ける。「ある一日」「手押し車」はテーマだけでグッとくる。人生は与えられただけで自分のものじゃないという不安感は父の破産、精神病の妻の看病に苦しんだ著者そのものだったのか。でも誰もがふと感じてもおかしくはないと思う。この作家の場合は死と狂気が待っているのだが。この暗さ、独特のペソス、嫌いじゃない
★6 - コメント(0) - 2015年9月23日

物語の進め方はコミカルなのに、テーマが重いためにお互いが打ち消しあって読み終わったあとは変な気分になる短編集。訳者がそういうものばかりを集めたからかはわからないが、死や自分自身を知覚する話が多い。横の繋がりというか、ある短編が別の短編を補ったりしている気がする。『ああ、人生とはいったいなんなのだ!ほんのひと吹きで消えてなくなってしまうなんて』は『ある一日』へと、繋がっていくようだし『手押し車』も『はりついた死』も女に見つめられる男を扱っている。話の並べ方も公開された順番ではないし、狐につままれた気分。
★5 - コメント(0) - 2015年4月24日

一見軽い短編集かと思いきや、なかなか重い。そっか、ピランデッロも自分の人生にずっと不在だったのかも。だから想像力を働かせ他人の人生にしがみついていたのだ。執念深く人生の虚しさくだらなさを数えあげるために。
★7 - コメント(0) - 2015年4月18日

のほほん鬱。もうちょっと救いのある終わり方はできないのかなと全編通して思うのだけど、解説にある作者自身の話を読んで、どうしようもなさとか鬱屈をどこに持って行くかについてぼんやり考えてしまった。人間ってみんな独りよがりで誰にも優しくできないものかもしれない。科学も神秘も万能じゃない。でももうちょっと、なんかなあ。
★3 - コメント(0) - 2015年1月22日

どんな話があったかすっかり忘れる程度の印象。 なんかいやな気持になるものが多かったような。
★1 - コメント(0) - 2015年1月13日

『甕』・『使徒書簡朗誦係』・『紙の世界』・『すりかえられた赤ん坊』・『フローラ夫人とその娘婿ポンツァ氏』が良かった。自分自身をふと客観的に見て「一体誰なんだこれは?」と疑念を抱き、本来の自分と見せかけの自分との乖離に気付きつつも生きていかなければならない、という著者の人生観が随所にみられる短編集だった。『笑う男』はヒステリックで嫉妬深い妻と孫たちを養う男が、夢のなかだけでも幸せを得ようとする話だが、著者は精神を病んだ妻を支えながら小説を書き続けたと知って、著者にとっての幸せはなんだったのだろうと思った。
★8 - コメント(0) - 2014年12月19日

「カオス・シチリア物語」の、ルイージ・ピランデッロ短篇集。一読しただけで「この人、なんか病んでるじゃ?」と思ってしまうほどのネガティブさ。ストーカーもどきのドンヨリした奥さんの視線から逃れられないから苦しいんだよとか、破産して何もする気にならないけど死ぬにも金かかって家族に悪いから、いっそ自分で三途の川まで渡るわだの、愚痴っぽさ全開。もうほんと、私の苦手なタイプの話なのだが、それでも嫌いになりきれないのは、自分を飾り立てることなく熱く嘆いてるからかも。ほとんどが実生活に基づいてる話のようで身につまされた。
★25 - コメント(4) - 2014年10月3日

「手押し車」に性癖をえぐられる(なんかそういうのじゃないとわかっていながらも期待してします)
★2 - コメント(0) - 2014年9月29日

「月を見つけたチャウラ」「パッリーノとミミ」などでは憂さ晴らしの連鎖が語られる。この作家のテーマらしいが、しかしそれよりも面白かったのは読むことに一石を投じた「紙の世界」。「登場人物の悲劇」は典型的なメタだが、「紙の世界」は古びていない。
★6 - コメント(0) - 2014年9月18日

15編のうち、高打率。 4 ひと吹き 主人公にひと吹きされると呼吸困難に… 5 甕 内側から修理したら出られなく… 7 使徒書簡朗誦係 決闘の理由は、一本の草の為… 9 紙の世界 書痴モノ♪ 12 登場人物の悲劇 この作者の十八番~ 13 笑う男 マイベスト。奇抜な設定だけじゃなくて、ちょっと意地悪なオチもあり♪ 14 フローラ夫人と娘壻ポンツァ氏 オカシイのはどちらだ!?
★16 - コメント(0) - 2014年9月3日

シュールでブラックな物語が集められた短篇集。日本人にはちょっと分かりにくいものもあったが、現実と虚構が入り交じった、ユニークな視点が印象的。いかにもイタリアっぽいなあという話もあるが、具体的な場所が思い浮かぶ短篇は思ったよりも少なく、世界のどこででもあり得そうな、普遍性のある物語も多かった。
★8 - コメント(0) - 2014年7月18日

あれ、ピランデッロを読むの初めてのはずなのにこの肌になじんだ感じは何? 違和感を感じさせない翻訳のおかげかなと思っていたら、「カオス・シチリア物語」の原作者だったのか! 死や狂気、虚無を熱っぽく語るところがいかにもシチリア人。
★6 - コメント(0) - 2014年7月10日

映画にしたら映えそう…と思ったらこの人、劇作家で戯曲を書いていた。現実なのか幻想なのか、境目が見つからなくてゾワっとする。そんなお話が多かった。「ひと吹き」「使徒書簡朗誦」「紙の世界」が好きです。
★3 - コメント(0) - 2014年6月13日

1934年にノーベル文学賞を受賞したイタリアの作家の短編集。 一見、軽妙な筆致で書かれている短編集ですが、物語の登場人物たちは、持ちたくもない能力やら不相応な扱いやらを生きなければならない悲劇的な運命を背負っています。そこに、抗いようもない力に左右される人の生という、作者の深刻な現実認識が感じとられました。最後の短編『ある一日』は一日に人の一生を圧縮したような物語。奇しくも作者が亡くなった年に書かれたもので、晩年に人が何を思うか参考になりそう。
★6 - コメント(0) - 2014年5月17日

面白かった!『自力で』と『ある一日』が特にいい。自分の人生に対して不在、ということ。『紙の世界』や『登場人物の悲劇』も面白いし、『甕』も皮肉さと愉快さを併せ持っていて好き。同じ光文社の『猫とともにさりぬ』と『神を見た犬』もとても面白かったけど、翻訳者が同じなのか。他の本も読みたい。どれも『世にも奇妙な物語』のような印象。不思議で暗くて愉快で面白い。
★4 - コメント(0) - 2014年4月26日

それぞれに皮肉な風刺の効いた作品集だった。最後の「ある一日」は、亡くなった年の作品。自分の老いに苦しむピランデッロの心境を描いたのか。知らぬ間に気がつくと老いている、というのは怖ろしいものだ。
★4 - コメント(0) - 2014年4月16日

不条理系。いっそ清々しいほどに教訓的なオチもない。わかっていてもつい「終わりかよ!」とつっこんでしまう。
★4 - コメント(0) - 2014年3月24日

自分の身には起こらないはずなのだけれど、でもひょっとしたら…というゾワッとした感じがなんともいえないです。
★5 - コメント(0) - 2014年3月12日

「人生の真実の瞬間」は残酷だ。それはごく普通の今が、突然裏返ることに対する抵抗感なのだろう。収録作のひとつ、『手押し車』では、自らの人生を自分のために生きられないことの悲哀が描かれる。それに抗うのではなく、自分の人生を他人として生きることを選ぶ姿がもの悲しい。『フローラ夫人と~』では虚構の中に生き続けることで、虚構と現実の区別が失われる。他、『紙の世界』で描かれる世界から途絶した男の姿や、『ひと吹き』で失われる人生の儚さが印象的。読み終わった後には、今いる世界がまるで変容して見える、そんな一作だ。
★6 - コメント(0) - 2013年12月9日

無慈悲であるが残酷でないこの匙加減。また別作品も読んでみたい。「甕」はどこかでよんだことがあったが、どの短編集だったのか…。
★3 - コメント(0) - 2013年12月6日

イタリアの作家の短編集。人生の皮肉と人々の狂気についての作品が多い。ピランデッロは物事を一歩下がった位置から眺める作家だったのかなという気がする。主人公は自分を他人のように見つめ、他人に対しても冷静で懐疑的。不思議な作風だと思う。面白かった。
★11 - コメント(0) - 2013年11月15日

イタリアのノーベル賞作家によって書かれた15の幻想的な短編。それぞれがしっかり世界を構築していて、オチもちゃんと設けられている。1日1編ずつ読みました。「もののあはれ」みたいな感覚は、イタリア人にもあるのかなあ。(ま、そんなに好きな系統ではないかも)
★29 - コメント(0) - 2013年10月31日

なかなか良い。全体的に死の雰囲気。 ヤマザキマリが好きな作家にあげてて意外。
★2 - コメント(0) - 2013年9月21日

どれも短時間で読めるので、親戚のお爺さんに異国の昔話をきかせてもらうみたいな感覚で気軽に読める。教訓めいたオチはないけど、単純に「話してもらう」ことを楽しんだ気がします。こういう本、ありそうで、ないね。
★4 - コメント(0) - 2013年9月16日

劇作家でもある著者ならではの、ブラックユーモアもあり、現実から数センチ浮き上がったような、夢を見ている錯覚を感じる、独特の世界観をもった短編集。標題作「月をみつけたチャウラ」、「パッリーノとミミ」「すりかえられた赤ん坊」「笑う男」等々、虐げられ、社会の底辺に、張り付いて生きる人間(生き物)を、残酷なまでに浮き立たせ書き出す文章は、辛いけれども目を背けられない力を感じた。
★4 - コメント(0) - 2013年9月10日

タヴィアーニ兄弟の映画 『カオス・シチリア物語』のあのカラスは、このカラスだったのか(「ミッツァロのカラス」)。むかし『生きていたパスカル』と『ひとりは誰でもなく、また十万人』を読んで以来、久しぶりに読むピランデッロ。200以上もの短編のなかから選ばれた15編だが、テイストが似通っている(以前読んだ長編とも)ものが多いのは、作家の関心が、「日常にふいに入る亀裂、そこから覗く一種不気味なもの」に向かっているからなのだろう。「貼りついた死」「手押し車」「フローラ夫人とその娘婿のポンツァ氏」がとくに気に入った。
★5 - コメント(0) - 2013年7月26日

月を見つけたチャウラ―ピランデッロ短篇集の 評価:90 感想・レビュー:75
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