アサイラム・ピース

アサイラム・ピースはこんな本です

アサイラム・ピースの感想・レビュー(512)

「上の世界へ」「鳥」「召喚」「頭の中の機械」「アサイラム・ピース」が特におもしろかった。「母斑」は既読。正体不明のなにかに追いつめられる人間を描く短篇が多い。カフカの手法を取り入れた文章は、不穏な空気と緊張で迫ってくる。「アサイラム・ピース」は、頼みにした人に見捨てられた苦しみと孤独、無力感と哀しみが空間に静かに広がっていくようで、その静けさに胸が痛くなる。題名も印象的。
★9 - コメント(0) - 3月22日

最後のページで、これほどまでに辛いか、と、精神が粉々になる。
★1 - コメント(0) - 3月20日

本当に読む人間を選ぶ作者だなあ。彼女の作品を読むと自分の幼少期を思い出す。私が産まれ育った場所は昭和の始めに感慨事業で干上がってできた満州引き揚げ村で、ポツポツと家があるだけで他はなにもなく同級生などいなく、いつも1人で祖母が植えた水仙を触ったり、畑をぶらぶらするだけだった。そんな中、虫や鳥が現れると途端に景色は変わり、普段代わりばえしない植物など色あせていく。「鳥」の中で主人公が鳥に癒しを求めるが、完全に同調。ジュウオウジャーでも鷲が主役だったし、鳥はそれだけで素晴らしい絵画となりうる。
★4 - コメント(0) - 3月10日

アンナ・カヴァンの構築した作品世界の強度は異常だ。たおやかで儚く不安定でありながら、揺るぎなくそこに立っている。カヴァンが好んで描く少女像のように。短篇集「アサイラム・ピース」(1940年)は、恋愛ロマンス作家だったヘレン・ファーガソンが、すぐれた不条理文学の書き手であるアンナ・カヴァンに「変身」を遂げた記念碑的な作品集。表題作は、彼女自身のアサイラム(療養所)体験をもとにしている。湖畔の療養所を描く筆致は初め牧歌的なのだが、徐々に不吉な予兆に浸蝕され、みるみる不吉な色に染まり、物語は静かな破局を迎える。
★5 - コメント(2) - 2月8日

14編は独立した作品としても読めるし、同じ人物の妄想集としても読むことも可能だ。〈私〉は、パトロンに惨めな現状の改善を乞い、正体不明の敵と戦い、理由の不明な罪状で告発され、信頼の出来ないアドバイザーに振り回されながら、不当な抑圧から解放されようと奮闘している。 しかし、〈私〉がどれだけ足搔こうが、結局のところ兄弟のように近い存在であるらしい敵の勝利に終わるのだ。この関係は、『氷』の主人公と長官の関係に酷似している。荒廃した精神世界に反する美しい自然描写もまた。これがカヴァン自身の心象風景なのだろう。
★3 - コメント(0) - 1月6日

岸本さん訳で『あざ』を読んで興味を持ったのだけど、『母斑』はむしろ異質な方だったかもしれない。見えない敵や世界の陰謀と戦う感じは嫌いではないが、ここまで病的だと笑うのが憚られる(カフカだと笑えるのに)。表題作は精神病院隔離病棟・八景といった体で、病状も家族の事情もさまざま。
★14 - コメント(0) - 2016年12月12日

不安と怒りと焦りにじりじりしながら読み進め、そのあとにとてつもない悲しみに包まれる。アンナ・カヴァンが小説をかくことで、なんとか踏みとどまっていられたということ、なんとなくわかる気がした。
★10 - コメント(0) - 2016年11月28日

『居心地の悪い部屋』で「あざ」を読んで気になったので手にとってみた短編集。これは読む人の精神状態でずいぶんと印象が変わりそう。かく言う僕はどうかというと、かなり”良い”状態で読んでしまったせいか、今ひとつこの鬱々としたヤンデルレンの世界に没入出来ず。だけどある種の状況ではかなり強い力で引っ張られるんだろうなとヒリヒリと伝わってくる。シュワルツシルト半径に足を踏み入れたが最後ってな感じで、二度と戻ってこれないんじゃないかっていう領域が文章のそこ此処にぽっかりと口を開けてた。
★11 - コメント(1) - 2016年11月5日

断片ともいえる短篇が多く収録されている。
- コメント(0) - 2016年8月15日

「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズでアンナ・カヴァンのことを知り、「ジュリアとバズーカ」を読んでファンになったのですが…。 「ジュリアとバズーカ」に負けず劣らず、中々インパクトがあるというか、衝撃的というか。 1つ1つの作品はちゃんと独立したものなのだけれど、どこかで繋がっているように感じました。
★3 - コメント(1) - 2016年8月6日

ksh
どれもごく短い物語なのでとてもに読みやすい。だが、そこには不穏の種子たちがそこ、ここに芽吹いている。ヘロインとともに絶望の深淵のただ中を彷徨い続けたであろうアンナ・カヴァンの言葉たちは意外にも非常な明瞭さがあり、作品を貫く強迫観念を静謐なものへと変化させていることに驚かされる。彼女のように明確に自己を客観視する能力はなかなか手にすることが出来きるものではないのではないだろうか。ましてや、酷い抑鬱状態が身体に染み込んでしまったような人物としては。
★4 - コメント(0) - 2016年7月11日

不透明で苦くて…なんでこんなことにと思う。晴れない、雨も降らない、曇り空の好きな方に。
★24 - コメント(0) - 2016年7月1日

誰もが見て見ぬふりをしている社会の闇と不条理、誰もが持っている秘めたる心の闇。どうしようもない孤独に苛まれ暗澹とした思考、停止する躍動感。強迫観念…。どうしてこんなに惹かれるのだろう?「氷」のように終末の絶望が幻想的な美に昇華する瞬間がある。カートコバーンを思い出す。鬱病と薬物依存に侵されいつも死にたがっていた孤高の天才。人はファナティックにそれを文学として酔いしれるのかもしれない。「母斑」「不満の表明」「不愉快な警告」が好き。異国を旅した時の不安感と自然の色彩の美しさの対比、ケミカルな香りと狂気の間で。
★64 - コメント(6) - 2016年6月14日

KP
以前読んでいるうちに落ち込んできて途中で読むのをやめていたが「死ぬか生きるか」という程落ち込んだ時に再読し一気に読み終えた。素晴らしい短編集。どん底の気分の時に波長が合う。精神的に不安感の強い時特有の、1を見て10を悟るような感受性の強さや、自分がおかしいのか周囲がおかしいのかわからなくなる気持ちなどがリアルに文章で顕現されている。後半の8章から成るアサイラム・ピースでは、精神を患い喪失に次ぐ喪失の中でも、失われなかった人の温かさ賢さなどの断片が描かれる。個人的にカズオ・イシグロに通じるものもあると感じた
★6 - コメント(0) - 2016年5月7日

こんなに思い込むことないのにって思う。でもそう思っているのは自分だからかもしれない。人生に絶望している他人の心情なんて完全に理解できるものじゃない。
★7 - コメント(0) - 2016年5月5日

『居心地の悪い部屋』の「母斑」が印象的で、他の作品も読んでみたくなって買いました◆読んでいるあいだ、ずっと不安な気持ちだった。わたしの住む世界とは違う世界の話だけど、でもその世界は決して遠く離れてはいない気がする。
★15 - コメント(0) - 2016年4月25日

TKK
フランツ・カフカの精神状態を悪化させたような、そんな作品。どこかの誰かが起こした訴訟、目に見えない監視人、突然訪れる判決、それは全て自身の投影。ぼんやりとした精神世界の中で、言葉にならない鋭利な悲鳴に切り裂かれるような印象をうけます。困難な人生を書くことでしか生きていく術がなかった、ですがその文学的なきらめきに感嘆するとともに、アンナ・カヴァンを愛さずにいられません。長編「氷」に感銘をうけ何冊か購入したので続けて読みます。
★22 - コメント(0) - 2016年4月19日

いまさらのこの著者。アンソロジー『居心地の悪い部屋』から著者の短編が気になり借りる。快い作品ではないのだが、この異様な状況と精神を描写する技術が素晴らしい。著者の不幸な人生が書かせた作品かもしれないが、ここまで客観的に書くことを考えると慄然とする。無機的な文体と美しい自然と強迫観念のハーモニーは完璧や。カフカ的と言われる著者だが、またちょっと違うように感じる。ぜひ手元に置きたいと思った本だ。強くおすすめ。
★55 - コメント(0) - 2016年3月22日

昨日と見分けのつかぬ今日、徒労感だけが募ってゆく。「敵」はそこかしこに遍在しているが相手の姿はまるで見えない。「私」達はパノプティコンに放り込まれた囚人ように圧倒的に不利な状況で監視され続け、少しずつ疲弊してゆく。ここは煉獄だ。どこにも行けないし、終わりもやって来ない。きっと「敵」とは、「私」自身のことなのだ。とてつもなくダウナー系。ヘロインに手を出した覚えはないが、どういうわけか波長が合う。もっと若かったら、のめりこんでいたに違いない。他の作品も読んでみよう。
★19 - コメント(0) - 2016年3月20日

閉塞感に押しつぶされそうで読んでも読んでも落ち込んでいく話ばかりでした。
★40 - コメント(0) - 2016年3月16日

なんとも言えない作品集だ……アンナ・カヴァンの作品は不勉強にしてこれが初めてになるのだけれど、カフカに確かに似ているところはある。自分に対してこれ以上なく重苦を課すこと、己が罪に問われて訴訟中の身であることを自覚することなど……ただ、カフカがそれでもなおひと握りのユーモアを兼ね備えていたのに比べるとこの作品集にはそれすらない。アンナ・カヴァンという作家の来歴も短く纏められているが、相当に「生きづらさ」を抱えた方だったようでこういう作品集を書いたことは彼女にとって救済だったのかなと要らないことを考えてしまう
★5 - コメント(0) - 2016年2月24日

「カフカ的」という言葉の射程はあまりに広く、暴力的だ。カヴァンがその引力から逃れ自立するまでに、どれほど自分を削っていたのだろうか。アサイラム・ピースは「アンナ・カヴァン」の誕生であると同時に、カフカの影響圏に束縛される契機でもあった。思うに、カヴァンはカフカより深刻だった――彼女自身だけでなく、彼女をとりまく全世界が不安に脅かされていることを知っていた。繊細で多感な少女が作り上げたような小世界に惹きつけられている。
★9 - コメント(0) - 2016年1月18日

カバーの薄い灰色がこの短篇集の雰囲気にとても合う。圧倒的な閉塞感、絶対的な孤独に息がつまりそうになる。とくに「母斑」「不愉快な警告」が心に残った。カヴァンのひんやりした文体がクセになりそう。
★7 - コメント(0) - 2016年1月5日

mkk
全編で孤独感と絶望感があふれている…。無機質な文体がそれを増幅させている印象。特に「不愉快な警告」が怖すぎる。それでも好き。
★2 - コメント(0) - 2015年12月7日

不穏の書。ページから放たれた不穏ウェイヴが読む者の頭蓋に共鳴し不穏なエコーバックを発生させる。カフカ的悪夢、というには余りにも生まだと思う。
★25 - コメント(0) - 2015年11月25日

何度もなんども繰り返されるイメージ…閉塞、抑圧、権力、敵、監視、裁判、不眠…鳥、春や自然のユートピア的なイメージ…相反する冬の寒さの悪意と痛苦に満ちたイメージ…極度に精神的な小説だ。
★7 - コメント(0) - 2015年11月9日

出藍の誉れ。カフカより出でてカフカよりもカフカ。それが「氷」と今作を読んだ限りでの著者の印象だ。「頭の中の機械」に出てくるイメージや目に見えない敵に怯える強迫性は晩年の芥川にも重なる。総じてカフカ「審判」へのオマージュ色が漂う中で、数々の報われない人生の断片を描いた表題作が異彩を放つ。入院体験がモチーフらしい。読み終えて又すぐに本を開きたくなる謎の引力。「深淵を覗き込む時、深淵もまたこちらを見ている」というニーチェの「ツァラトゥストラ」を思い出す。カフカに親和性が高い人は確実にはまる、何とも危うい短編集。
★41 - コメント(1) - 2015年10月25日

『氷』読了で覚悟はできていたはずでしたがあまりの不穏さに一編一編に怯み慄く。でもつい手に取ってしまう。“アンナ・カヴァンは癖になる”の心境が篤と分かりました。
★48 - コメント(0) - 2015年10月18日

短編集で膨大な不安や絶望の世界観をすし詰めにしている、ともかく不安定な作品。風邪引いている時に読む本ではなかった。
★1 - コメント(0) - 2015年10月11日

アンナ・カヴァンは私のお気に入りの作家のひとり。漠然とした不安や終わりのない孤独が魅力的。アサイラムピースももれなくそんな絶望を孕んだ作品。しかし、著者が紡ぎ出す言葉はなぜこんなにまで透き通っているのか、美しい文字列に感嘆の吐息がもれる。
★8 - コメント(0) - 2015年9月25日

これほど孤独と悲痛に満ちた作品があるだろうか。静かにゆっくりと美しい闇に沈んでいく感覚が危険だと分かりつつも避けがたい、依存性の高い薬物のような、完璧であり不安定な作品だった。
★9 - コメント(0) - 2015年9月13日

ほとんど発作的に再読。この静けさ、冷たさ、美しさに惹かれる。宙吊りになった孤独な生。彼女に付きまとう絶対の敵。終わらない苦しみ。ふと訪れる束の間の幸せも雲を掴むような空虚なもの。救いなんて何処にも無い。それでも救いの無い話に救われる時だってあるのだ。
★30 - コメント(0) - 2015年9月10日

透明な混沌。素晴らしい切れ味。
★1 - コメント(0) - 2015年8月16日

感想は後日。訳は悪くないと思うけど、オリジナルで読めばよかった…。
- コメント(0) - 2015年7月18日

焼けるような孤独と胸の詰まるような妄想が今の自分にはぴったりと寄り添ってくれる。愛おしい。けれど、安易に手を出すと、病むよ。
★4 - コメント(0) - 2015年7月4日

http://booklog.jp/users/beta-carotene/archives/1/4336056285
★3 - コメント(0) - 2015年7月4日

アサイラム・ピースの 評価:100 感想・レビュー:214
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