ピース

ピースはこんな本です

ピースの感想・レビュー(172)

老人は回想する。それは断片的で時間や空間は錯綜し、書物とテキストの挿入もあって、読めば読むほど複雑になっていく。ただ、その一つ一つに魅せられ、浮遊感を伴いながら夢遊病者のように吸い込まれていった。ウィアの存在の複雑さ、記憶の曖昧さから、信頼できない語り手として物語は終わること無く、また始まる。人の記憶や一生は、思い出された時に初めて価値を持つのかもしれない。過去も未来も無く、ぐるぐると作り直されているのかもしれない。謎ばかりではあるのに何か凄いものを読んだような気がする。不思議な読書体験だった。
★39 - コメント(0) - 2016年9月3日

☆☆☆☆
- コメント(0) - 2016年6月26日

相変わらず暗闇の中を手探りで歩くようなというか、霧の中を手探りであるくようなというか、自分がどこにいるのかさっぱりわからない読書でした。それでつまらなければそれまでですが、面白いから困るんだよなあ。そのうち再読しよう。
- コメント(0) - 2015年12月20日

むー。さ迷った。一つのエピソードで何か掴みかけた気がしても、一呼吸おいたらもう形が消えている、という感じ。「解説」を読んで思い返せば、そりゃやっぱり書かれていることは基本信じて読んでいるわけで、そういう読み方では赤子同然だったかと。向き直ってすぐに再読するかかなり迷ったが、お手本見て読み直す感ありすぎてもちょっと違う気がして。改めて表紙と向き合うと、このもやもやもまた愉し、と思えてくる不思議な本だった。
★11 - コメント(0) - 2015年11月12日

それはあるいは全て虚構か? 何者なのかも判然としないオールデン・デニス・ウィアなる人物が語るのは、幾つもの謎に溢れた不思議な物語。……時間と空間を超越して描かれる複雑なプロットに囚われながらも、何とか読了。先の『ケルベロス第五の首』と同様、ウルフ作品はやはり一筋縄では行きません。喩えるなら自分がいる足許すら覚束無い深い霧の中を手探りで進むような、全篇を通してそんな暗澹とした不安感と浮遊感に苛まれ、何を掴めたのかすら判らないまま。とは云えその濃霧の中に居ることは決して不快ではありません。いやむしろ……(→)
★56 - コメント(1) - 2015年10月31日

引用。305ページ。 『眼窩は暗い洞のようで、ただ奥に明滅する光がひとつ点じて二つの穴を行き来するかと思えばしばしば見えなくなり、またふたたび点るようすは、夜の闇のなかで消えかけた炎が一陣の風を受けて最後の火花が赤い輝きを放って舞いあがり、暗い夜気のうちを彷徨う光景を想起させた。かの大いなる霊が囁いたことを想い起こすと、その火花こそは死せる男の魂であり、髑髏の丸天井の下に並ぶ部屋に散らばる懐しき憩いの場を探しているのだと知れた。』 この一節からふしぎな慰安を得ています。
★4 - コメント(0) - 2015年7月28日

うううう面白かった…!序盤はそもそもこれ何の話よと混乱も混乱、謎は深まるばかりで何度も寝落ち。が、目覚める瞬間に何かに気付いたような気がして慌てて頁を遡って読む、を繰り返す日々。。第2章を読み終えたあたりから、何となく物語全体を霧のように取り巻くものの正体が見えた気がして、その後の章に進んでからも何度も1章、2章を読み返す。最後の章で語られるエピソードに鳥肌が立ち、もしや自分の解釈は正しかったのか!?とにわかに鼻息が荒ぶるものの、解説で数多ある解釈の一つに過ぎないことに呆然。うわー、すげー本読んだだよ!
★43 - コメント(4) - 2015年7月5日

結構有名なSF&ファンタジー作家のようですが私にとっては初読です。時間と空間が入り混じっていてかなり混乱する気がしました。説明もあまりなくとりあえず読んでみましたが解説を読んで少し理解することができました。作者の「ケルベロス第5の首」というのが名著らしいので読んでみたいとは思います。その後に書かれたのがこの本らしいのですが、難しいなりに何か興味をひく感じがあるので、時間がたってから再度読んでみようと思います。
★74 - コメント(0) - 2015年6月30日

エピソードが多すぎるw。しかも途中で投げ出されたような感じで、頭の中で空中分解してる!。出発地点から様々な方向に投げ出される物語郡がまとまることはないが、何か一本筋があるんだと思うが、それがわかればなぁ・・・。
★4 - コメント(0) - 2015年6月22日

長い夢を見ていた…。真昼の物憂い時間に。記憶の無数の断片にあやされ揺さぶられると、一体何歳の頃のことなのか、今私は何歳なのか定かではなくなる。あの時、何になりたかったのか、今の私は一体何者なのか…。愛した人達は皆、何故、時の彼方に消え去ったのか。それともこの夢から覚めたら、優しい声で「どうしてたの?起きてるの?」と問いかけてくれるのかもしれない。読んだり聞いたりした話が記憶に混ざり込む。それらもまた実際の経験と見分けがつかず、嘘と見紛う様でありながら、ある種の真実味を帯びて、私の血肉となっていると感じる。
★40 - コメント(7) - 2015年5月29日

解説を読んで初めて気付く謎もあったけれど、楽しい読書だった。
★4 - コメント(0) - 2015年5月8日

語り手の年齢や状況も分からず現在と過去が入り乱れ物語中の物語に夢中になっていると時間軸がまた曖昧になり、これは挫折するかもしれないと思いながら我慢して読んでいると、全貌は相変わらず明らかにならないのだが、語られるエピソードが面白くて、「あれ、面白いと思いながら読んでる?」と驚き、結局のところ楽しく読み終えた。解説を読むとなるほどこれは相当な難物、いつものようにぼーっと読み進めていて理解できるような小説ではなかったのだな、と気づいたのだった。それでもとても面白かったのだから不思議。
★41 - コメント(0) - 2015年5月5日

うーん、ジーン・ウルフやなぁ。“信頼できない語り手”による語りの迷宮をさまよう。扉の先は行き止まりだったり、ふとわワープしてしまったり、だいたい出口がどこにあるのかもわからず、どのくらいの規模か想像することも難しい。この読み終わったときの気持ちをどこに持っていけばよいのか。また読むべしなんだろうな。そしてさらに迷いこむ。
★4 - コメント(0) - 2015年5月4日

邦訳に40年かかったのが不思議な大傑作。物語たちの万華鏡に目を凝らせば、pieceが重なり錯視のようにイメージが浮かび上がる。人生が物語だとしたらこういう姿をしているはず。この読者が能動的に物語の生成役を担う仕掛けは恐るべき魔法だと思う。そのあたりを丁寧に解説してくれる西崎憲のあとがきも嬉しい。SFが『スローターハウス5』で、ファンタジーが映画「ビッグ・フィッシュ」でやったことを幻想文学でやったとも読めました。物語の物語なればこそ、「邯鄲の夢」「千夜一夜物語」に加えてクトゥルーネタすらひとつの断片になる。
★1 - コメント(0) - 2015年4月5日

【BOOK(2015)-056】!!!!
- コメント(0) - 2015年3月24日

この本と出会えて幸せ。謎は謎のまま、でもそんなことはどうでもいいくらいエピソードひとつひとつが魅力的で妖しく美しい。理解できたとは言い難いのですが。再読しなきゃ。
★15 - コメント(0) - 2015年3月21日

≪あること≫と≪であること≫の差異、あるいはフッサール的超越した概念への思想の投射。おおよそ顕在することのない事象への認識論。中枢部分だけ抜き出してこれをSFとすると、結構な数の日本の新本格ミステリが流入すると思うが如何か。以下、ちょっとしたSF論を記していたが都合により削除。
★6 - コメント(0) - 2015年2月24日

再読。改めて読むと、話中話に出てくる話がどれも面白い。読み解けない謎は残るものの、読後感はまずくないのはその為だろうか。原書でも読んでみたい。
★2 - コメント(0) - 2015年2月13日

さまざまな形で提示されるエピソードを堪能しつつ浮かび上がってくる謎や矛盾や混乱を自分なりに整理して全体像を想像するのが楽しい。恐らく確固たる正解があるわけではなく読む人の数だけ解釈があってよいのではないかと思われます。
★48 - コメント(0) - 2015年1月31日

『あなたの目にはわたしは詐欺師でしょう。それとも奇人か。わたしの見る自分は芸術家です。未来ではなく過去を形づくる。そう、わたしは書く。わたしの手が紙の上を動いてペンを滑らせる、するとそこに言葉があって、わたしはそれがみんな自分のなかから出てきたものなのだと自分に言い聞かせようとする。あらゆる人間が、生者も死者も含めて、ひとつの無意識の領域を共有しているのかもしれません。多くの偉大な哲学者がそう考えていました。またその無意識には人以外のものも加わっているのかもしれません。(p.302)』
★1 - コメント(0) - 2015年1月31日

序盤のボビー・ブラックの死因となった事件はたぶん、読者にウィアの語りのパターンを教えるチュートリアルのようなもの。つまり、知られたくないこと(もしくは思い出したくないこと?)はぼかしたり空白にしているが、語られていることに嘘はない。で、この物語の最大の空白はウィアがどうやってスマートの後継者、どころか会社の筆頭株主にまでなれたのかってところなんだが、まったく説明がない以上、やはり宝探しとロイスの物語からの退場に関連づけて考えるしかない(ウィアに銃を向けたとしても町から出ていく程の理由にはならないだろう)。
★2 - コメント(1) - 2015年1月16日

不可思議なエピソードが突然語られたり、時系列や登場人物の設定が不明瞭だったり、そもそも主人公が何者なのか、タイトルの意味は何なのかすら解らなかったりと、最後まで暗中模索で読んだ。結局どの程度理解できたのかすら理解できないが、数多くの謎を咀嚼し続けていくのも悪くないだろう。“ウルフの小説を愉しむ秘訣は、複数の解釈をそのまま虚空に遊ばせておくことなのかもしれない(解説)”
★8 - コメント(0) - 2015年1月4日

何やってるのか全く分からないけど読んでて面白い傑作。
★4 - コメント(0) - 2014年10月1日

いくつもの、最後まで語られることのないお話が誰かの夢のように入り込み、絡み合う。読みやすいけれど難解で、ぼんやりしていて取り残されるように終わる。何度も読み返したくなる作品。
★4 - コメント(0) - 2014年9月14日

よくわからないのに初めからもう一度読みたくなるジーンウルフの不思議。なかなか再読しないけど。
★4 - コメント(0) - 2014年8月23日

難解さは変わらないが、「ケルベロス第五の首」より入りやすかった。主人公の現在、回想、死者との会話、登場人物の聞いた話や体験談などが複雑に絡んでいる。話が途中で途切れ、間をおいて再開される。かと思うと途中のまま終わってしまうものもある。主人公の「記憶」と関係があるのだろうか。所々に顔を出す不穏な言葉や描かれない部分が想像を刺激し、物語を深くしているように思う。どんな読み方も物語に取り込んでしまいそうな作品。こんな物語を書けるなんてすごい作家だと思った。
★5 - コメント(0) - 2014年8月22日

相変わらず複雑。そして考える余地がありすぎてどうしようかな。
★2 - コメント(0) - 2014年8月15日

正直にいうと訳が分からない物語でした。語り手は6才と言っているけど老成した大人みたい。おまけに記述では「仕事を退職」と書いており、語り手の実年齢が掴めないために登場人物との関係性に混乱することもしばしば。また、インディアンの描写が主観的に描かれているためか、かなり、不気味。そしてノイズのように入る突然の死。やがてラストで題名や時系列がごちゃごちゃに連なってきた意味が分かるものの混乱。再読必須かな。
★53 - コメント(0) - 2014年8月10日

以前、ベケット『マロウンは死ぬ』はプルーストのグロテスクなパロディではないかと思ったことがあったが(検証はしてない)、プルースト影響下のウルフのこれもそのマロウンの系譜に連なる気がしてしまう。静謐で不穏な死の気配に包まれ、記憶を、物語を語る語り手。他者の語る物語や、虚とも実とも判断のつかぬ数多の挿話(そもそも「実」を記す気がなさげだし、齟齬を探せばキリがない)。一族の最後の一人として何を「わたし」は書き記すのか。消滅の一歩手前、卵の中のレストインピースに結実する運命にある永遠性或いは永遠の生への望みか。
★20 - コメント(1) - 2014年7月22日

初ジーンウルフ!最初はシンプルでいて美麗な装丁に魅かれました。中身も色々な解釈があるというのに納得。陰鬱、不思議、御伽噺、様々な物語が織り込まれる中、主人公が何者かわからないという(笑)しかし魅力的で金粉を散りばめたような文章は、久々に小説を読んだ、という充実感がありました。小さな物語は、時系列無視で挟まれてくるので少々混乱中。しかし登場人物たちはかなりアクティブに動いているのになぜだか静謐な印象。まるで装丁の玉子の中にいるような。何度も読み返したい。個人的にオリヴィア叔母さま、好きです。
★10 - コメント(0) - 2014年7月20日

時間は飛ぶし、唐突に話中話が始まるし、饒舌なようで実は語られないことも多いし、ただ「読む」のではなく、読み「解く」という労力を要求する作品。解説にもあるようにいろいろな読み方を許容するので、あーでもないこーでもないと色々想像するのがまた楽しい。
★5 - コメント(0) - 2014年7月18日

様々な時が混じり合い、一人の男の人生や彼に関する人物のエピソードが語られる。いきなり時間が飛ぶ構造にはじめは戸惑ったが、読み進めてみると独特の雰囲気と静かな語りが心地良い小説だった。
★3 - コメント(0) - 2014年7月7日

初ジーン・ウルフ。この小説では時間と空間が錯綜している上に状況が明瞭に語られることはない。それはまるで得体の知れない美しい花々の咲く未知の森に迷い込んで、深い霧に包まれ右往左往しているような不思議な読書体験だった。余談ながら、作中にはシェヘラザードが登場したり「蛤みたいに幸せな気持ち」なんていう比喩があるので、一瞬村上春樹の小説を読んでいるような錯覚を覚えるのだけれど、これは英語の慣用句なのだとか。happy as a clam in mud at high tide って実に牧歌的で良い表現ですね♪
★21 - コメント(0) - 2014年6月17日

SFを読み始めたころ、ジーン・ウルフは名前はよく知られていたものの、ほとんど翻訳されていなかった。これはその頃に書かれた長編で、約40年の時を経て訳出されたことになる。文学的で難解、あの時代にSF作家と目されていた人がこんな小説を書いていたことに驚く。
★15 - コメント(0) - 2014年6月17日

薄暮れで見通しが利かない中をあちこちに連れ回されるような読後感、これこそウルフの小説の醍醐だ。
★2 - コメント(0) - 2014年6月6日

不思議な読後感。ピントがとぶ様な物語描写。要再読。
★2 - コメント(0) - 2014年6月3日

「ウィア老人の回顧録」のように私には思えた。でも、感じ方は人それぞれだろう。そもそもウィア氏が年老いているという結論に辿り着くまでにも時間がかかった。そこへもってメインストーリーの途中で、なんの脈絡もなく突然、お気に入りのナイフの思い出が挿入されたり、読んだ本の内容が語られたり、他人視点での話があったり、時間と空間を飛び越えて物語が入り乱れる。訳が分からない。でも嫌いじゃない、むしろ好き。まさに終わることのない物語、読み始めるときはいつも初めての気持ちになれる、そんな作品。時間を置いてまた読みたい。
★17 - コメント(0) - 2014年5月22日

これは、ジーン・ウルフによるアメリカ史だと思いました。インディアンを騙して土地を奪い、そうやって始まって世界で最も強い国となったアメリカですが、この本が書かれた1975年、泥沼のようなベトナム戦争を経て、ほとんどはじめて、アメリカ人たちは自国について振り返ったのではないでしょうか。自分たちはなにをしてきたんだろうって。町の過疎化し荒廃し、産業も衰退していく。若くてセクシーな国だったアメリカが陰りを見せ始める時代にこの作品は書かれています。
★13 - コメント(2) - 2014年5月20日

再読。このわからなさがクセになりそう。ウィア老人の物語を語ってはいるが、断片化された伝聞・記憶・証言により、明確な起承転結のある「ストーリー」に逆らう構造を作り上げており、人物が極めて曖昧な存在になっている気がする。一つ一つのやり取りを丁寧に読み取っていかないと、フィクションと現実が溶け合った螺旋に飲み込まれそうになる。なんにせよ、すごい。怪作です。
★21 - コメント(0) - 2014年5月17日

ピースの 評価:90 感想・レビュー:71
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