エレンディラ (ちくま文庫)

エレンディラの感想・レビュー(1412)

ガルシア=マルケスが醸し出す、圧倒的で、独特な芳香、空気に包まれ陶酔した。当たり前のように奇妙でうつくしい夢の中へ入ってゆき、気付けばふっと消えている。把握することもないまま唖然と不思議な感覚だけが残る。そして、表題作がやはり良い。海風に吹かれながら、緑色の血、性と死、オレンジや薔薇、蟹など、全てを放り込み煮えたぎる鍋から漂う空気が、読み終えても尚ここにあるようだった。
★36 - コメント(1) - 3月10日

マジックリアリズムってこういう感じなのか。現実から足が離れきらないあたりが、安心して読める。バカげた展開や思想にも、道理を引っ込ますなりの屁理屈があるのがおもしろい。「いや、その論理はおかしい(笑)」という感覚も次第に麻痺してくる。読者をどっぷり漬けるだけの深い(そしてドーシヨウモナイ)世界がそこにはあって、つまるところ面白い。
★3 - コメント(1) - 3月1日

Mzo
上手く表現できないけど、不思議に溢れた作品。遠野物語と、似てると言えば似てる、全然違うと言えば全然違う。そんなことを思いながら読みました。
★14 - コメント(0) - 2月11日

読みやすい文章で、スラスラ読めました。不思議な感覚のする小説です。幻想的かつ現実的。この絶妙な塩梅が魅力なのだろうと推察します。読んでいて自分なりにこういうテーマを書きたかったのかな、というのが想像しやすかった。とは言っても言葉にするのは難しいのですが。何かを感じ取った、という言い方が近い。その何かが各話ごとに違っていて飽きませんでした。何度か読み返してこのもやもやした感覚的な何かを言葉にできたらと思います。
★3 - コメント(0) - 2月3日

 無垢なエレンディラは常に祖母の血を引く孫であったし、祖母の死後は表情に分別臭さを帯び、祖母的バイタリティーを発揮し不運の証とサヨナラする。その後、彼女の血を緑色を帯び、悪夢に苛まれることになるんだろうか?  南米の現実が西欧化した日本の現実よりも虚構よりなので、南米の虚構は我々日本人にとっては奇想天外なものになるらしい。オネシモ・サンチェスを見ていると、南米の虚構に日本の現実が追いついてきているんじゃないかって気がしないでもない。
★2 - コメント(0) - 2016年12月18日

土着の物語。殺伐としたと思いきやそうではない、荒れた土地から生まれる幻想物語は日本のそれとは違う。荒々しく生命力に満ちながらも、どこか命に対する諦めのようなものが織り込まれている。残酷な表現ながらも湿り気はなく限りなく乾いている。人の目も心も。なのに不思議と引き込まれる生命力のあり方。そこに暮らす誰もがボロボロの羽を持つ死にかけの天使のようだけど、それなのに再び飛び立つ、みたいな。
★17 - コメント(0) - 2016年12月4日

gu
初めて読んだ時はやたらと蟹が家の中に入ってくることしか印象に残らなかった(あとは鶏小屋みたいな臭いが)のだが、読み返してみると、記憶にあるよりだいぶ面白かった。あっけらかんとしていて、えげつなくて、笑えて、生命が濃くて、かと思えばよく生きてるなと思うくらい薄くて、時折すごく美しい、なんとも不思議な短篇集だった。大勢の人が見聞きしたもの、共同体の歴史を集約する技法が、マジックリアリズムと呼ばれるものなんじゃないかと思った。ただ、マルケスは『百年の孤独』や『コレラの時代の愛』などの長篇から入った方がいい。
★10 - コメント(1) - 2016年11月30日

★★★☆
★1 - コメント(0) - 2016年11月12日

どの短編も、ファンタジーと現実の境目をゆれ動いているような奇妙な感覚にさせてくれる。信じようと信じまいと、これらの物語は厳然たる事実としてそこにあるかのように描かれており、不思議な世界に惹きつける強い力を感じる。また、可笑しさや悲しさ、腹立たしさや不可解さ、そういったあらゆる要素がいい塩梅で織りなされているのも、本書の物語たちの大きな魅力である。
★4 - コメント(0) - 2016年11月12日

(図書館より貸借)この作品では、幻想がすぐそこに自然に存在している。そこに突っ込みを入れて読むのは野暮だなと読んでいて思った。そういう作品構造。別に面白いもんではなかったが。
★2 - コメント(0) - 2016年11月2日

現実なのか幻覚なのか、誇張なのか事実なのか、おかまいなしにすべての現象が同質に描かれている。唐突に溢れ出す絵画的なイメージ。『無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語』では、砒素を盛っても死なない白鯨のような老婆が、ロシアの怪僧ラスプーチンのようだと思い、ここに描かれた閉じた輪廻のような世界は、解説にあった「歴史的事件を神話的モデルに近づける」作業によって永遠に切り取られた事実の剥製のようだと思った。“油のように光る緑色の血”を流しながら絶命する祖母とエレンディラは、同一人物のような気がした。
★5 - コメント(0) - 2016年10月24日

海、砂混じりの潮風、夥しい数の蟹の死骸。年老いた天使のような翼の生えた老人、海の底に浮かぶ水没した村、ゆらゆらと漂う死体と海底を埋め尽くす亀の甲羅。実在と非実在、生と死が時間を超えて無秩序に散乱し、胸の中に寂寞が広がってゆく。『愛の彼方の変わることなき死』では、ラウラ・ファイリナの肝心の部分に鍵がかかっていたりと、さながらB級映画のようにわかりやすく展開する部分がある一方、全体の風景は混沌として荒唐無稽で、一読しただけでは理解不能。何度か登場する《副王》という言葉の乾いた響きは、侵略の歴史のせいだろうか。
★26 - コメント(0) - 2016年10月24日

ガルシア・マルケスという作家に興味があって、手始めにと読んだ一冊。文章全体がざらついてるみたいな、そんな印象。悪い意味じゃない。文章に閉じ込められてる南米の空気や砂塵が、読み進めていくうちに滲み出てきてるのかも。ずっしりと重たい、大人向けの童話。
- コメント(0) - 2016年10月23日

物凄く面白いかと言われればそうでもない。『百年の孤独』は読み進めるごとに驚かされたが、短編になるとどうしても時の流れのスケールが損なわれてしまっているのか、摩訶不思議な人間(人外)たちの奇怪な行動だったり、美しい死体をどうしたこうした的な話に終始しているので、時々眠くなってくる。表題の『エレンディラ〜』や海辺の天使の話など、下層(苦界)からの解放・上昇というわりとオーソドックスな結末も入っているのはやや意外だった。マジックリアリズムを生み出す土壌としてのラテンアメリカ地域に言及した訳者あとがきは面白い。
★4 - コメント(0) - 2016年10月12日

海底の街や年老いた天使など小道具や話の筋はファンタジーなのだが、宙に浮いたような文章ではない。それ故に奇怪且つ残酷な物語が生々しさを伴いながらこちらに迫ってくる。この見慣れないアンバランスさが魅力。あと、解説にある異文化故に見えてくる脅威。ラテンアメリカの作品群により一層興味をそそられます。
★17 - コメント(0) - 2016年9月19日

コロンビアのノーベル賞作家。「大人のための残酷な童話」として書かれたと言われる七つの短中編。『大人のための残酷童話』といえば、倉橋由美子。近いかも。倉橋氏ほどみだらではなく、救いのなさは強い。はじめから童話として読めばいいけど、予備知識なしに読むと若干戸惑う。「失われた時の海」の海底都市が素敵。
★23 - コメント(0) - 2016年9月16日

訳者あとがきの過剰なヨイショばかりが目に付く。
★1 - コメント(0) - 2016年9月11日

久しぶりの読書。今回やっと「マジックリアリズム」を少しわかった気がします。『遠野物語』や西崎憲さんの作風にも似ている気がしました。
★5 - コメント(0) - 2016年9月3日

kou
1話1話が短くて、もっと深くに入っていきたいのに、各話ともちょっと慣れてきた頃に終わってしまうのが残念だった。すぐにこの世界観を受け止められるくらい読む力があればよかった。エレンディラくらいの長さがあるといい。最後にエレンディラが走り去るエンディングがどこか映画的だった。
★7 - コメント(0) - 2016年8月24日

私の勝手に夏休みの課題図書2冊目。ずっと前に読んだ『紙の民』の影響もあり、表紙のサボテンも素敵だなと思って読みたかった本。あの『百年の孤独』の作者の短編集。この別次元というか、途中からカオスになるのが独特。ハッピーエンドだけがお話じゃないと教えてくれる。
★12 - コメント(0) - 2016年8月21日

ガルシアマルケス初読みでした。「百年の孤独」をいつか読むぞ!と心に決めつつ、なかなか取りかかれない中、割と評判の良さそうなこの短編を読むことにしたわけですが、立ち上るようなラテンの生活の香り、荒唐無稽なあらすじ、現実と幻想の境界があいまいになった世界観、どの短編もガルシア・マルケスと言われて連想するような要素がいい意味で凝縮されたようなお話でした。「予告された殺人の記録」が手元にあるので、次はこれを読んでから、頂(百年の孤独)を目指したいと思います。
★4 - コメント(0) - 2016年8月17日

どうもあまり、私にはあわなかった。
★1 - コメント(0) - 2016年8月16日

夏だから南米文学。ガルシア=マルケスの短編集。匂い立つ南米の風景、光のコントラストがきつい風景が目に浮かぶ。エグいのと美しいのが紙一重。現実と幻想の境界が曖昧になる、大人のための童話。
★4 - コメント(0) - 2016年8月15日

『百年の孤独』への助走になればと思い読んだ。とても想像力が刺激される短編集だった。翼の生えた老人、海底に張り付いた無数の海亀、幽霊船など、イメージが鮮烈に脳裏へ焼きつくような面白い感覚を味わうことが出来た。本書のタイトルにもなっている「エレンディラ」の物語が一番良かった。
★7 - コメント(0) - 2016年7月30日

堪能。短編もまた素晴らしいのだと改めて思いました。幻想的で魔術的で呪術的な世界。現実とそういう世界が並列に並んでいる、しかも登場人物がそれを平然と受け止めていることに感動すら覚えました。タイトルのエレンディラは他の作品に比べてやや長い中編ですが、一度読んだら忘れ難く、娼婦のエレンディラのラストに戦慄しました。また海底の村を描いた失われた時の海も大変好きでした、海に行くたびにこの物語を思い出すでしょう。木村榮一先生の解説もこれまた素晴らしく、エレンディラのみならず他の作品への温かい道標になっていました。
★18 - コメント(0) - 2016年7月21日

百年の孤独以外はどれも微妙だと思ってたが、この短編は百年の孤独ほどではないが素晴らしかった
★4 - コメント(0) - 2016年7月13日

ずっと探していたらついに古本屋で見つけたので再読。短編でもこれだけ『百年の孤独』のような世界に浸れるのは嬉しいの一言に尽きる。何より想像力をかきたてられるところがこれぞ小説!って思うし、登場人物がそれこそ童話や昔話みたいに目の前のことを当たり前に受け止めている妙な淡白さがたまらなく好き。「無垢なエレンディラ~」が一番であることに変わりなかったけど、「大きな翼のある~」や「この世でいちばん美しい水死人」も捨てがたい。
★5 - コメント(0) - 2016年6月16日

百年の。。。(読んでません)の評判から108円コーナーにあったのでなんとなく買ってみただけ。 ぼやーっとなんとなくそれなりにいい感じとは思いますが、やっぱ訳本はすぅーっと入って来難いです。普通にちょっとした作り話が何篇か。それにこちらでの皆さんの感想も私にはかなり難しく何をおっしゃられてるのかわかりません。こういうものに対する読解力が無いのでしょうね。欲しいとも思いませんが。やけに海洋生物が出てきてたのだけ印象に残っております。読後の不快感は無かったですが、おすすめはようしません。
★3 - コメント(0) - 2016年6月8日

繰り返し読んでいる本。短編集というかオムニバス。濃厚な極彩色の世界が欲しくなると手に取る。次はリョサか、コルタサルか、泉鏡花か。 再読のたびに極彩色が再現されるわけではなく、しだいに馴染んだ色になり今回は少し霞がかかった感じ。でも、蟹が這い回っている描写では思わず息を止めて読んでいた。それでも湿った生臭い匂いに包まれる。マルケスも上橋菜穂子も子供時代に祖母が語る昔話を聞いて育った。人々が語り継いできた世界、人々の記憶が二人の物語の根底にある。幻想でありながらやはり源流である神話や伝説にたどり着く。
★8 - コメント(0) - 2016年5月21日

強烈無比!!匂い立つような色彩の世界。原色の鮮烈なイメージ。深くて昏い海の底で揺蕩えたい。こことは違う世界の住人がこことは違う時間の流れの中でこことは違う倫理で描き上げたファンタジー。20世紀の南米を代表する作家の幻想的な短編集なのですが、1話1話読み応えがあった。
★101 - コメント(0) - 2016年5月19日

『四十年前のありふれた事件は山の妖精の報われざる恋と嫉妬という要素を取り込むことによって、神話的な性格を帯びることとなり、若者は悲劇的な死を遂げた祖型的人物に近づけられて、民衆の記憶にとどまることになる……』あとがきより。なるほどなぁ……。ありふれた悲劇的な事件を神話に落とすと、こんなに幻想的に、そして南米人独特の血の濃い情感ある描き方ができるのかと。日本ならもっと薄っすら湿気てるのかしら。はて……。
★21 - コメント(0) - 2016年5月16日

雨にはたき落とされた天使、死体に繋がる世界じゅうの海の花たち….。美しく幻想的なイメージが霧のように立ち込める。あり得そうにないことなのに、片隅でもしかしたら、と思わせてくれるような味わいの物語。冷淡だったが、印象深い。
★8 - コメント(0) - 2016年5月10日

好き。渇いているのに濃厚。クラクラした。薔薇の香りは死を誘う。砂漠と風の熱、海の静寂、星の輝き、美しくて悲しい。男は女を愛し、女もまた男を愛する。愛、その甘い戯れは死の気配を含むことで、より官能を高める。それは私を甘い幻想の世界へ誘うと同時に、ヒリヒリとした感覚にさせた。
★50 - コメント(0) - 2016年5月9日

濃厚だった。訳者が変わるとやっぱり少し文体が違ってくるのも面白かった。しかし何故に荒唐無稽で奇想天外な事がこうも自然に読めるのか。解説で伝説との関連が述べられていたけれど、文化の離れた世界の読者の心をも掴むのは、昔話や言い伝えの普遍性故か。
★6 - コメント(0) - 2016年5月9日

無垢と無知は酷似している。隔てているのは愚かな行動を起こすか否かだと思う。行動どころか自分の置かれている状況について不満を持つことすらないのではないだろうか。そしてそんな人は誰一人出てこないエレンディラ。みな一様に浅ましく恐ろしいほど厚顔かつ愚かで恥知らず。醜悪で楽しくなる。奇跡の行商人、善人のブラカマンの主人公がかます仕返しが好きだ
- コメント(0) - 2016年5月3日

サマセットモームを読んでばかりいたらガルシアマルケスを読みたくなったのと、「夢と現実の共通点は何」かと考える機会があったので。短編集なのかな、、少しずつ繋がりは見えてくる。湿気と暑い匂いが立ち込める空気、荒涼な砂漠や海、偉大な自然の姿の中で、南米の風はあらゆる事象と繋がり、民話や伝説のように繰り返されるような世界観を運んで来る。ここでの常識はそこでは通じないからこそいっそう土着的で幻想的な生と死を映し出す。
★19 - コメント(1) - 2016年5月1日

濃密な世界。乾いた風と大地、潮の匂い、波のしずかに立つ音、翼のぎこちない羽ばたき…幻想的な、しかし同時に生々しい現実感を伴う光景、胸を抉られたみたいに衝撃だった。海はわたしたちに流れる血の隠喩、その圧倒的な力が、どの短編にも強く感じられた。美しいけどこわかった。それとも若しくはその逆か。心臓が落ち着かない。美しいもの、醜いもの、忌むもの、強いもの、心惹くもの…。「エレンディラ」の祖母の血は、どうして緑色だったんだろう?
★6 - コメント(0) - 2016年4月24日

「キューバの作家アレホ・カルペンティエルは、ラテンアメリカにおいては現実そのものが驚異的なので、シュルレアリストのように人工的に驚異を作り出す必要がないとのべている」現実と境界のない幻想は、聖書のように神話的な“事実”であるようだ。
★7 - コメント(0) - 2016年4月23日

エレンディラの 評価:76 感想・レビュー:448
ログイン新規登録(無料)