ヴァージニア・ウルフ短篇集 (ちくま文庫)

ヴァージニア・ウルフ短篇集はこんな本です

ヴァージニア・ウルフ短篇集の感想・レビュー(167)

意識の流れを、言葉に誘われながら彷徨い歩く。景色は変わり、視点は移ろい、イメージが広がる。繊細で緊密な描写に、息が詰まりそうになるが、ついて行かざるを得ない。まるで、次々と場面転換がなされる舞台を、照らし出す光に導かれ、目と心を奪われているようだった。短くも魅力的な話ばかりだったが、なかでも「ラピンとラピノヴァ」「サーチライト」「池の魅力」が好み。
★34 - コメント(0) - 3月1日

ずいぶん長い間、いろいろなことを感じないように、目をとじて生きてきたことに気づかされました。いきあたりばったりの人生だと思っていたけれど、結構必死に頑張って来たのかもしれない。ではこれからどうするのかというと、それはまだわかりません。
★6 - コメント(0) - 2016年11月27日

最初は、なんて個人的で、とっつきにくい文章なんだ!と思ったけれど(「月曜日あるいは火曜日」「憑かれた家」)、話によっては入ってきやすいものもあり、「キュー植物園」の淡々とした感じ、「壁の染み」「徴」の、ラスト一瞬にして現実に引き戻す破壊力の半端なさなど、静かな快感を覚えた作品もあった。「青と緑」は、その世界を絵で描いてみたいかも。しかしながら原文をよんでこそ味わい深いものなのかな、という気がして、翻訳者の力量が問われるとつくづく思った。わたしの好きな、塩野七生さんや須賀敦子さんなら、どう訳されただろう。
★43 - コメント(0) - 2016年11月24日

ヴァージニア・ウルフの小説はとても難しい。しっかり追っているつもりでも、ちょっと油断をするとすぐはぐれてしまう。蜉蝣か蝶のよう。『ラピンとラピノヴァ』と『同情』、『堅固な対象』、『徴』、『ミス・Vの不思議な一件』がとても好き。
★11 - コメント(0) - 2016年9月25日

芸術は願望の抽出であり、夢の具体化であり、物語、特に小説はそれを追い続けているのだと思っていました。ヴァージニア・ウルフの物語はそうではありません。彼女の作品はある現象がその意識の中にどう映るのかをつぶさに書き記すのです。彼女の心はガラスのように美しく割れやすいのですが、割れたとしてもその破片一つ一つに起こったことを映すのです。その断片がこの短編集に納められている一つ一つの作品に思えます。彼女の心の純粋な吐露ではないのでしょうか?もろくも美しいその心のきらめきは、時に悲しくさえあります。
★29 - コメント(2) - 2016年8月4日

面白かった。印象としてはクンデラの語りにネイチャーライディングを足してカフカの不条理が合わさったような感じ。是非他の作品も読んでみたい。
★3 - コメント(0) - 2016年2月28日

翻訳がキツかった。キューガーデンや、ボンドストリートのダロウェイ夫がちょっともったいない。
★1 - コメント(0) - 2016年2月20日

ちょっと気を抜くとわけがわからなくなるほど印象の密度の高い作品だった。散文というより詩に近く感じて、詩集とか出してたかなと思ったけれど、解説によると詩集はないらしい。やはり小説として読むべきか。作者が自殺しているし、精神も病んでいたので暗いかというと、そうでもない。死がつきまとっているようでもない。欲望や願望のようなベタベタしたものから離れて、観察した世界の印象の断片から成り立っているというと一番近いか。「乳母ラグトンのカーテン」「池の魅力」が好み。読むたびに違ったイメージを与えてくれるだろう。
★3 - コメント(0) - 2016年2月7日

登録以前に読了
★1 - コメント(0) - 2016年1月26日

再読。私の手は必ず【青と緑】で止まる。わずかニページ足らずの作品だけれど、初読時には眩暈を覚えるほど強烈で鮮烈な衝撃を受けた。青から緑へ、緑から青へ…。最低でも三回は読む。澄明な水の軟らかさと滑らかさと煌めき。磨き上げられた直後の宝石の硬さと鋭さと輝き。瞼の裏で青と緑がせめぎ合い、次第にそれらは全身に染み渡り、血液が沸騰するような高揚感を与え、恍惚を陶酔に、陶酔を酩酊に、酩酊を耽溺に塗り替えていく。だから先に進めない。【月曜日あるいは火曜日】についても同じような状態に陥る。
★5 - コメント(1) - 2016年1月10日

H
「他人の眼は私たちの牢獄。他人の考えは私たちの檻。」という一文や現代作家の主題が「空虚」についてのものになるだろう、という指摘など、言葉や思考が極限まで良く切れる人だと思った。「キュー動物園」はまた読み返したい。
★1 - コメント(0) - 2015年10月18日

ごく僅かな時間を、一瞬を。多くを伝える感覚を、呼び起こされる情景を。広がりを、或いは滞りを。自らの内で、悠然と変化する様を。奥底まで潜り、ようやく触れることが出来るものたち、諦めぬよう、緻密に、繊細に、言葉を縫い合わせ、出会いを、邂逅の場を、作り上げて行く。滑らかであるばかりではない、言葉たちの感触。いくつもの憂い、いくつもの苦しみを含む、色、音、流れ…重なり合い、巡る、生の暗さ、そして、僅かな明るさを、感じ取る。その手強さの中に、茫漠と滲む、戸惑いの中に。時に不快を捉えてなお、心惹かれてしまうほどに。
★10 - コメント(0) - 2015年5月21日

想像力の塊な一冊。
- コメント(0) - 2015年1月6日

彼女の作品は病的で読むのが辛い。しかも本人が自殺してるってんだら、困ったことになる。健全な精神でもって読むべき小説だなと思う。そうじゃないと、あっちの世界に引きずり込まれてしまう。
★2 - コメント(0) - 2014年10月26日

訳がすこし耽美的な感じもあいまって、詩に近い煌めきの短篇集だった。「ラピンとラピノヴァ」の最後は女性にはずきんとくる話。ヴァージニア・ウルフの研ぎ澄まされた繊細な感覚と表現に驚く。「乳母ラグトンのカーテン」「サーチライト」「憑かれた家」「池の魅力」「徴」「壁の染み」が好き。何度も読み返したい…読み返す必要がある…リリカルで暖かくて切なくて魅力的な作品が多かった。
★11 - コメント(0) - 2014年6月24日

ウルフ独特の世界について行くのが難しい。小説というよりは詩のようで、大部分は意味がさっぱりわからない。しかし、わからないなりにも魅了される作品ばかりだった。もう少しウルフについて勉強してから再読したい。
★2 - コメント(0) - 2014年5月7日

ウルフ作品は初物。断片的な言葉のつらなりでよく分からないものもありましたが、見たもの感じたものがどんどんあふれるように語られて、これが意識の流れとかと感じた作品もありました。堅固な対象が好みでしたが、ある程度筋があるからかな。浜辺で拾ったガラスのかけら、自分も昔もっていたな。
★6 - コメント(0) - 2014年3月21日

- コメント(0) - 2014年3月5日

とてもいい短編集、後からくるパターンだ。表紙の写真も良いと思う。
★1 - コメント(0) - 2014年3月5日

ウルフの短編集。みすずから出ている短編集と重複する作品が多いが、みすずのほうは現在は絶版であるため、こちらの本を所有している。翻訳は、みすずのもののほうが自然なものでよいと思うのだが、原文と比べているわけではないため、分からない。壁のしみや書かれなかった長編小説といった、実験的な作品から、堅固な対象やラピンとラピノヴァのようなはっきりとした筋のある作品まで、様々な作品が楽しめる。
★2 - コメント(0) - 2014年2月11日

10数年ぶりのウルフですが、いつも頭の定位置には…あまりに断片的表現ゆえに詩的と云う評価もありますが、訳者西崎氏同様、マイナー・ポエット的なものに留まらない普遍性、あえて散文に向かわせた必然性を感じます。「キュー植物園」を再読して、当時着目した低い地面からの視線や印象派的描写も他の作品の中で観ると手法を越えて溢れ出る想念の過剰を纏め上げた好例に。『私達の思考というものは何と容易く新しいものに惹きつけられることか。藁の一片を運ぶ蟻のようにしばらく熱心に担いで歩き、やがて放りだす…』「堅固な対象」が面白かった
★2 - コメント(0) - 2013年12月30日

すごい妄想力。理解できたのは半分くらいかも。原文と日本語訳ではきっと印象がだいぶ違うのだろうな。「壁の染み」はなかなかおしゃれな小説だと思った。
★1 - コメント(0) - 2013年12月13日

とにかく圧倒された。「詩」になる寸前のぎりぎりのところまで煮詰めて純化させた言葉のつらなり。そこから喚起されるイメージの結晶。凡庸な読者であるわたしは遠くからその美しい煌めきをぼんやりと眺めているしかなかったのでした。
★10 - コメント(0) - 2013年12月13日

どの作品にも死の匂いがする。けれどもネガティブなわけではない。暗くもない。作者が可能な限りギリギリのところまで世界を正確に見ようと努力した結果、繊細で研ぎ澄まされた表現になったのではないかと思う。/作者の世界を見る目が鋭く厳しくて(だから美しい表現が生まれているのだけど)読んでいて緊張した。息抜きに読むのには向いてない(笑)
★3 - コメント(0) - 2013年12月4日

「意識の流れ」とは、ある物事から放埓に拡がっていく連想を、文章の論理的な構成を半ば放擲して記述していく手法を指す。出来上がった作品は非常に読みづらいことが多いが、当時の作家たちは、頭でこねくり回した文章では人間の本当の心理は描けないのではないか、と考えたのだろう。ウルフやジョイス以外にも例えばイェーツなどが自動筆記を試みたり、本邦では牧野信一のやや脈絡を外した文章などと通底すると思う。余談ではあるが、読みながらうたた寝したら悪い夢をみた。頭では理解できなくても、文章が意識の中に入ってきていたから、なのか?
★2 - コメント(0) - 2013年11月5日

人生のある断面が目の覚めるように浮かぶ作品もあればついて行けないものもあった。意識の流れという手法で書かれたものは難解だった。極私的な言葉の連なりについて行けない。人の心をメンテナンスするというような言葉がどこかにあったが理解のためのキーワードの一つなのかも。それと、戦争の時代だったという点も。時々気になってしまう本かな。ヴェネツィアさんの「空間に浮遊している」という意見に賛同。しかし同時に個人的体験や時代に深く根ざしている言葉なのではないでしょうか。
★2 - コメント(0) - 2013年10月27日

「ラピンとラピノヴァ」のはりつめた空気がよかった
★1 - コメント(0) - 2013年10月19日

ウルフの文章は美しいんだけど、ぎりぎりな精神のバランスが不安感を呼び起こしてしまう…わたしには。
★2 - コメント(0) - 2013年10月4日

難解!詩であり、感覚である。それしか言えないほど難解。ヴァージニアの生涯をざっくりとでも知ってしまうと、もう読み方が偏ってしまうのかなぁ。西崎さんの言葉選びが、これまた難解でした。感覚で感じろ!ということかな?
★6 - コメント(0) - 2013年9月20日

「弦楽四重奏団」での、風景描写。「繁茂し、躍り、生長し、破裂する。山の頂の梨の樹。迸る噴水。降りかかる飛沫。けれどローヌの流れは速く深い。幾つもの橋のアーチを過ぎていく急流(略)」(114頁)。短いが、テンポよく想像できていいと思った箇所。「書かれなかった長篇小説」で、「人生は道を塞ぐ。人生は羊歯(しだ)の蔭にある。人生は専制君主だ。ああ、けれど暴力的だというわけではない。違う」(199頁)。逡巡としている。描写からすると、アップダウンの激しい人生模様を思う。
★10 - コメント(0) - 2013年9月13日

堅い緑と柔らかな青は溶けて流れ落ちる。緑と青の空間に赤と黄色が滲む。壁の染みから広がる無意識的記憶。プルーストのように。堅固なもの。意識する、感じる、考えるのはペンを走らせる私。私は誰だ?そしてインクの染みが広がる。「青と緑」、「堅固な対象」、「月曜日あるいは火曜日」、「キュー動物園」が好み。「青と緑」は何度も読み返した。散文詩のような短篇集。「青と緑」、「月曜日あるいは火曜日」はわずか2頁の掌編。無限に想像が拡がってゆく。読友さんの感想から読んでみました。感謝です!
★24 - コメント(4) - 2013年7月29日

ウルフの短篇を17篇収録。中には比較的長めのものもあるが、「青と緑」のようにわずか2ページ足らずのものも。ウルフは初読だが、小説の構築の方法はかなり固有のものであるようだ。よく言えば、それはこれまでにも指摘されてきたように「詩的」だということ。テキストとしての自立性が高いだけに、それらは一層、空間に浮遊しているかのようだ。物語としての時間の進行もまた特異だ。時間が物語を牽引する力を持たない、もしくは、はなはだしくそれに欠けるのだ。登場人物たちもまた、なんだか(悪い意味ではないのだが)妙に影が薄いのだ。
★79 - コメント(2) - 2013年6月21日

現実としての事実より認識の上の事実が現実を作り上げていくって思想と、極めて具象的に事実を積み上げないと現実にはならないって思想が同時に目の前でハイレベルに実践されてく悦び。例えば「書かれなかった長編小説」でミニーの罪を私が忖度した後で、本当に罪を犯したかもそれが何だったかも気にしないと言う瞬間や、「ラピンとラピノヴァ」で一行隔てて新婚が金婚式になる瞬間。結婚は主人公たち、金婚式は義父母のだから現実的な時間の飛躍はないのに、心理的には飛躍して齟齬を生んでいく。超現実の導入なしにこんなことできるという驚き。
★8 - コメント(0) - 2013年4月22日

【図書館】解説にあった作者の生涯が興味深い。小説の方は、一応最後まで読んだのだが、正直いってなにがなにやら……。また挑戦したい。
★10 - コメント(0) - 2013年4月16日

<ボンド通りのダロウェイ夫人>の終わり方! 壁の染みが蝸牛だったなんて。 ヴァージニア・ウルフの文章はピリピリとした緊張感に満ち、死の影がチラホラしている。視力が他人より良いのでは?と思ってしまうほど日常の一コマを俯瞰的に描く。それ以上に心の観察眼が研ぎ澄まされていて、それは、妄想なのか、しかし時の流れていく感覚、教養とシニカルな視点で飽きさせない。
★2 - コメント(0) - 2013年2月25日

マンスフィールドの短編集を読んだ流れでウルフの短編集も読んでみた。結構読みにくい話が多かった。読みにくいというよりストーリーが良く分からない。文章がちょっと読みにくかったせいもあるかもしれない。ほかの短編集だと似たような印象の話が集まってたけど、ウルフの短編集は話が一つ一つ結構違う。でも良く分かんないとこは似てる…。一番良く分かったのは「ラピンとラピノヴァ」。新婚夫婦の新婚の終わりかな。ダロウェイ夫人を読んだので「ポンド通りのダロウェイ夫人」が一番読みやすかった。「青と緑」は小説というより詩だと思う。
★2 - コメント(0) - 2013年2月14日

素晴らしい。“意識の流れ”手法による文章を読むのには、独特な緊張感を強いられる気がしたが、少しずつ慣れると、その揺蕩いから意識が離せなくなる…つまりは癖になる。とり憑かれる。茨に歩を妨げられるように幾度となく引っかかる、そのもどかしささえ手応えだ。喚起されることが尽きない。この文章はどんな眺めを表しているのか…と、思い浮かべた答えの形はきっと今だけのもの。そう考えたら何故か嬉しくなった。とりわけ忘れがたいのは「壁の沁み」。小さな壁の沁みから始まって、豊かに広がっていくイメージの重なり。魔法を見せられたよう
★2 - コメント(0) - 2013年1月18日

ヴァージニア・ウルフ短篇集の 評価:94 感想・レビュー:64
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