人生の奇跡 J・G・バラード自伝 (キイ・ライブラリー)

人生の奇跡 J・G・バラード自伝 (キイ・ライブラリー)
あらすじ・内容
死を目前にして、バラードは初めて自身の生を語った。
だれもが意外だった、怜悧な作家の、人間愛に満ちたまなざし。

英国を代表するSF作家バラードは、1930年に上海の国際共同租界で生まれた。魔都上海で過ごした幼少時代、日本軍の敵国人収容所に抑留された少年時代、解放後に初めて足を踏み入れた母国イギリス。そこで妻と出会い、作家としてデビュー。妻の急逝後は独力で三人の子供を育てた。『沈んだ世界』『結晶世界』に代表される、内宇宙(イナー・スペース)を追求した傑作を著し、SFの新しい波(ニュー・ウェーヴ)運動の旗手として活躍した鬼才が、その創作の源流とも言える実人生における様々なエピソードを明かす唯一の自伝。訳者あとがき=柳下毅一郎

あらすじ・内容をもっと見る
248ページ
147登録

人生の奇跡 J・G・バラード自伝はこんな本です

人生の奇跡 J・G・バラード自伝の感想・レビュー(72)


★6 - コメント(0) - 2016年11月6日

以前、『コンクリートの島』で「バラードはフェミニスト?」という感想を書いた所、澤水月さんからご紹介して戴いた本でした。『秘密の花園』のメアリーのようにネグレクトされた上海時代と、最も幸福を感じた収容所時代を経た少年は亡き妻の代わりに子供に惜しみない愛情を注ぐパパとなった。映画版『ハイライズ』での描写(頭部を剥かれ、切開される精神病患者の死体、死体が浮かぶプール、子供や女性は環境に順応し、生き残るなど)はバラードの人生や価値観も盛り込んでいたんだなと気づくとますます、映画も小説も好きになってきました。
★80 - コメント(4) - 2016年10月23日

英の作家J・G・バラードの自伝。非常に面白かった。バラードはSF作家として出発した人だが、作風が変化してのちに戦後を代表する英国の作家として認められるようになった。と言っても、急に文学的になったのではなく、時代がバラードに追いついたところがある。戦前の上海で少年時代を過ごしたことが、作家になるきっかけになったのは間違いなく、その時代のことは本書の中で詳細に語られている。英国帝国主義が永遠に続くことを疑わない大人たち、貧しくして行き倒れになる中国人、20世紀初頭のテクノロジーの精髄を集めた上海の街並。→
★112 - コメント(2) - 2016年8月27日

いわゆる自伝なのだが、それがSFの異端、イナー・スペースの旗手たるバラードであるのだから心して読むべし。上海の疎開地で戦時下の繁栄と貧困(老いた物乞いの記憶は強烈)の中に育ち、英国に戻ってからも大学の解剖室で死体を解剖する苛烈なヴィジョン。幼少期~青年期に直視したこれらのイメージの追想と、その反復によってバラードの小説は書かれていたのだ。そして創作物からは想像もつかない家族との暮らしぶりも赤裸々に。あたかも遅れて常人の感性を身にまとうようにそれは描かれ、沈着な思索と合わさって柔和なバラード像へと結実する。
★8 - コメント(1) - 2016年7月31日

上海の国際共同租界で中流階級の両親のもとに生まれる。多感な少年時代を収容所で暮らす。この体験が作品に大きく影響することになる。英国少年の目から見た中国、日本軍はめずらしい視点だった。戦後初めての祖国に戻り、妻子を得ての幸せな生活も長くは続かず、三人の幼い子供たちを残して妻は急逝する。子供たちを育て上げ、小説はSFの内宇宙をめざした。各作品の制作過程が綴られ、また子育ての素晴らしさを伝える。とても読みやすくバラードの人物像も好印象。「太陽の帝国」は読みたかったが図書館になくて長年未読状態、やはり読もう。
★3 - コメント(0) - 2016年5月3日

バラードは実は嫌いな方だが、何故私には合わないかが理解出来ました。バラードはフロイト厨だったのだ。ホモネタ拾えたのは良。本書のベストセリフ「カレッジの精神そのものがホモセクシャル的であり、わたしのようにガールフレンド(たいていはアデンブルック病院の看護婦か遊び人)を連れこむヘテロセクシャルは面汚し、そもそも最初から妙な趣味の人間と見られていた。ほとんどのパブリック・スクール生にとって、人生最初の二十年間に出会う女性は寮母と母親だけであり、結果一般的女性なるものは永遠に死せる概念の世界に押し込まれていた」
★4 - コメント(4) - 2014年5月13日

バラード、ティプトリーJr.、デュラス、安部公房、こどもの頃異文化に接して戻ってこれなかった人が作家になると面白い作品を書くように思います(というか私が好きな作家はこのパターンが多いな)。
★3 - コメント(0) - 2011年10月10日

±
墜落した飛行士・水のないプールなどの作家の終末的SFエッセンスがいかに少年時代の上海由来か、謎解きの様で飽きさせず。またよき父親・職業人としての後半生と(政治的に)過激になっていった作品の変遷のギャップに新たな謎を思うわけで。
★3 - コメント(0) - 2011年10月7日

とりわけバラードの短編集「時の声」と「終着の浜辺」が好き。硬質、無機質、酸素不足、喪失、と描かれる内容は敢えて言えば生との対極が多いのだが。本書は上海時代の幼い彼の時代の内に天国と地獄の双方を体験し、体感した貴重な自伝。上海はよく訪れる場所ゆえ、彼の住んでいた安和寺路(現在新華路)をGoogle mapで探してしまった。とてつもない人生を送った作家なのだが、語り口は極めて控えめにて知的であり、思いがけず家族、とりわけ3人の子供達を自ら育て、そして彼等から育てられたともいうくだりには彼の根本的な性格の「良さ
★3 - コメント(1) - 2011年7月22日

日本軍の占領時の上海のことを知りたかったが、やっぱり、日本軍は残虐な行為をしていなのだろう。占領から収容、撤退を中国人でなく、英国人の子供から見た眼で描かれている。全体としては、きっと相当個性的な人物だったのだろうと思う。
★1 - コメント(0) - 2011年5月2日

日常が作品の着想の元になってたって話とか。得心するところと意外に思うところが色々あっておもろい。思わず「クラッシュ」公開時のSFマガジンバラード特集号を読み返す
★2 - コメント(0) - 2011年4月11日

バラードが書いた伝記とかなり構えて読み始めたがあっけないほど読みやすかった。とはいえ、日本人として前半は「ごめんなさい」って本に謝りながら読んでいてちっとも読み進められなかったのだが。こんなに面白い人物とは思いませんでした。
★3 - コメント(0) - 2011年4月8日

バラードの本は今回初めて読むのだが、文章にレトリックとリズムが軽くて非常に面白い。収容所送りなど相当過酷な人生を歩んでいるはずなのに、読後ポジティブな印象しか受けない。相当タフな人物なのだろう。扉の写真と挿入されている家族の写真を見るだけでも、ホッコリする内容。バラードに興味が沸いたので機会があれば一度読みたい。
★4 - コメント(0) - 2011年3月25日

バラードファンであれば読むべき。バラードファンでなくても読む価値あり。
★3 - コメント(0) - 2011年3月13日

子煩悩パートは読んでてほっこりするね。
★3 - コメント(0) - 2011年2月11日

気がついたらぼろぼろと泣いていた。人を愛する素直で暖かい気持ちがじんわり伝わる。しかもそれがバラードの口(というか手)から!で、とても良かったのでバラード読んでない友だちにも貸してみたら、意外と評判が良く、「今度この人の小説なにか貸して!やさしめのやつ!」と言われました。・・・・・・え、ええと。嬉しいような、困ったような。
★3 - コメント(0) - 2011年1月15日

若い頃に「結晶世界」「沈んだ世界」、大人になってから「ヴァーミリオンサンズ」を読んだくらいだったが、J.G.バラードといえば極北のイギリス人、血も凍るハイ・ブロウ志向のキザ男というイメージだったのだが、あーた、ぜんぜん違うんざますよ。こんなにまともな人だったとは! むろん彼は中国でもイギリスでも異邦人で、だが沈んだ英国に何とか未来の血を入れようと四苦八苦してたらしい。結構いい仕事したんじゃないですか、ジェイムズ君。二十年積ん読してある「太陽の帝国」読まなくっちゃ。
★3 - コメント(0) - 2011年1月15日

結晶世界は読んだ記憶がある。太陽の帝国もバラードだったとは。作品から受ける印象とは大分違う人物像が知れたなぁ。
★3 - コメント(0) - 2011年1月3日

濃厚な記述の上海時代と比べると、その後の人生についての描写は薄め。バラード文体で描かれるバラード人生を堪能。色々と納得。
★6 - コメント(0) - 2010年12月23日

20世紀最高のSF作家の最後の著作にして自伝。読むと「太陽の帝国」や「女たちのやさしさ」は作者の人生のほんの片鱗であったことがよくわかる。映画版の「クラッシュ」を結構気に入られていたのだなあ。
★4 - コメント(0) - 2010年12月19日

「色々あったけど、いい人生でした」とバラードに自慢されたようでホッコリした気持ちになれた。バラードでも、SF小説というものを選ぶまでに試行錯誤していたんだなー。ものすごい偏屈な人だろうと思ってたけど家族思いのいいパパだったのですね。
★6 - コメント(0) - 2010年12月9日

昨年亡くなった、「SFの革命者」バラードの自伝。中国・上海で生まれ、やがて戦争に巻き込まれ不遇なはずの幼少の時代も、自ら多動症だったのではないかという積極さで育ち、そのため上海時代の光景はあとあとまでバラードに深く刻み込まれたようだ。従来のSFを革新しようとしたわりに、政治信条は中道的だったなど、意外な面も明かされる。人間嫌いの傾向があったようで、戦後とりわけ作家として独り立ちして以降は、一部の人物との交友しか語られず、作家連よりその他の芸術家からの影響が大きかったようだ。
★7 - コメント(0) - 2010年11月28日

よかった
★2 - コメント(0) - 2010年11月20日

バラードの作品を読んでいくうちにこの作者はものすごく偏狭的な性格なんだろうなと思っていた。でも実際はそんなことはなくて実に家族思いな人間だったりする。当たり前のことだけど作品から人はわからないよね。。
★4 - コメント(0) - 2010年11月19日

死体とアルコール
★2 - コメント(0) - 2010年11月12日

実は元祖イクメン。下層中流関係なく、子供ってのは死ぬものとネグ気味に育てられていたという事実が実に目ウロコだった(恐らく上海租界に限らず)。終戦直後に見た日本人による中国人私刑、余りに不可解な妻のアッサリ死。フィクション要素も大きいと思われた太陽の帝国/女たちのやさしさ…は結構まんまだった?! 実人生が結構行き当たりばったりだけど楽観的、手放しに妻子を愛するさまは破滅小説を読み慣れた目には不可解に思えるがそれも人生。本当に1行1字漏らさず味読堪能。
★8 - コメント(0) - 2010年11月12日

今読んでいるみんな最新5件(13)

11/28:小林くん
07/22:vaudou
10/25:サイレン
06/05:KUAD

積読中のみんな最新5件(13)

12/24:mak2014
09/02:サイレン
06/19:marberick
06/10:arbor
04/09:Kenshi

読みたいと思ったみんな最新5件(49)

10/26:M77
10/26:言音
10/25:Vakira
08/27:チェリ
人生の奇跡 J・G・バラード自伝の 評価:81 感想・レビュー:29
ログイン新規登録(無料)