千年紀の民 (海外文学セレクション)

千年紀の民 (海外文学セレクション)
あらすじ・内容
ヒースロー空港で発生した爆破テロ。精神分析医デーヴィッド・マーカムはテレビ越しに、事件に巻き込まれて負傷した先妻ローラの姿を目撃する。急ぎ病院に駆けつけたが、すでに彼女の命は失われていた。その「無意味な死」に衝撃を受けて以降、ローラ殺害犯を捜し出すためデーヴィッドは様々な革命運動に潜入を試みるが……。新たな千年紀(ミレニアム)を求め“革命”に熱狂する中産階級。世紀のSF作家バラードの到達点。訳者あとがき=増田まもる

*第9位『SFが読みたい!2012年版』ベストSF2011海外篇

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千年紀の民はこんな本です

千年紀の民の感想・レビュー(102)

2016年1079冊め。【243/G1000】9.11後に書かれた作品であり、著者はテロリストらが中等度以上の教育を受けた、貧困層ではないことに着目している。抽象的な概念のために死を選ぶことができる者たちの起こす事件はテロなのか革命なのか。作中ではロンドンの高級住宅地に住む人々の革命を描く。家のローンや子どもの教育で首が回らなくなっている彼らは、世界を変えようとするが果たして自らの行いをどこまで理解していたのか。一方で小児科医のグールドの印象は鮮烈だ。(続)
★83 - コメント(3) - 2016年12月15日

父は「嘗ては貧富の差今は乞食が法律に違反するとされ、貧富の差が分からなくなったな。貧乏でも一定ブランドの服を着ていて人々が一見は画一化して見える」と食卓で言った。この作品の一見、差がないように見える中産階級は鬱屈を晴らす為のセラピーの一環として過激なデモを行う。でも私には映画『バーダー・マインホフ 理想の果てに』で描かれたRAFにも感じたように人々を無知で可哀想と下に見て、空っぽで偽善的な啓蒙活動をするテロリストにしか見えなかった。無慈悲且つ独善的な革命家がケイ・サッチャーなんて皮肉なネーミング。
★25 - コメント(0) - 2016年9月2日

NAO
革命やテロというと、貧しい人々、虐げられた人々が自分たちの世界を変えるために起こすものと考えられてきたが、中産階級が熱狂する革命はこれまでの革命とどう違うのか。社会に対して不満を訴える「意味のあるデモ」の中に紛れ込む「無差別で無意味なテロ」には戦慄を覚えたが、主人公の動機やどんどん深みにはまっていくことに対する心情が全く読めず、彼が狂気に向かっていくようでなかなか怖かった。
★56 - コメント(5) - 2016年8月22日

中産階級が熱狂する「革命」は、宗教の過激派が引き起こすテロや貧困層の暴動とどう違うのか。バラードはとにかく「無意味」であると言い続ける。9.11後の世界中で漂う空虚感が反映されているけれど、私はまっさきに安保法案へのデモが思いうかんだ。この物語を読むと、安保法案へのデモは私たちに必要だったのではと思う。すごく不幸でもすごく幸せでもない中産階級は、「体制」という大きなものに石を投げる無意味な行為がちょうどよい。必要なのは、心地よい達成感。自分の中に変化をもたらしたいだけで、社会の変化は潜在的には求めてない。
★3 - コメント(0) - 2015年10月6日

無意味であることの重要性。
★5 - コメント(0) - 2015年8月8日

「彼は存在の専横と時空の暴虐に頭を下げることを拒絶した最初の新しい絶望者であり、もっとも無意味な行為こそが、その独自のゲームで宇宙に異議申立てできると信じていた。」物語は普通の現代小説だけど、発想がSF。バラードはやっぱりSF作家だった。
★3 - コメント(0) - 2014年6月18日

ウォール街からエジプトまで、世界のいたる都市で暴動や大きなデモが起きている現在にこれを読むと、やっぱりバラードは予言者なのかなぁと考えてしまう。「動機が欠如した暴力によって社会的な倫理的な約束(共同幻想)を壊す」という思想は『ダークナイト』(2008年)のジョーカーのよう。まだ翻訳されていないバラードの遺作は郊外のショッピングモールが舞台らしくて、超楽しみっす。
★9 - コメント(0) - 2013年7月5日

バラードはインターネットをどう考えていたのだろう?
★4 - コメント(0) - 2013年7月4日

世界の無意味性か。唸る。初期の作品が好きだけれど、こちらもやはりバラードだった。さすが。
★3 - コメント(0) - 2013年5月6日

読了。「意味」と「無意味」が大きなテーマ。人間が築き上げてきた「意味」(中産階級、経済・社会システムetc.)を、ある人間が「無意味」で崩そうとする。崩れかけている間、人々はその「無意味」に各々「意味」をつけていく。たとえば、ある女性は「中産階級は現代の新たな奴隷だ!」と言う。そうして中産階級は反乱を起こす。しかし、「無意味」がなくなった途端、彼らは今まで通りの中産階級に戻る。結局、彼らはずっと「意味」に操られているのだ。うわべと違いかなり深い小説。さすがJ・G・バラード。まだまだ読み切れたとは思えない。
★6 - コメント(0) - 2012年10月4日

空しい……
★2 - コメント(0) - 2012年8月7日

『わらの犬』を読もうと思ったが、けっこう賛否両論なのね。
★1 - コメント(0) - 2012年7月16日

システムという牢獄が完成した『未来』、魂の郊外としての『未来』に抗おうとする人々の物語。全てに緩やかに縛り付けられている中産階級がチェルシー・マリーナから、デリカテッセンとパティスリー、BMWとボルボ、テニスコートとプール、健康保険と有価証券、専門技能と超過勤務、公共料金とパーキングメーターが支配する「20世紀」を追い出そうとする。
★3 - コメント(0) - 2012年2月19日

「どうしようもない感」に溢れた物語。イギリスと日本で単純な置き換えは難しいのだけれど、それでも、今の日本に被って読み取れる部分が多く薄ら寒い。
★4 - コメント(0) - 2012年1月7日

中産階級が煽動されゲームのように淡々と革命を進めていく様子に「ファイト・クラブ」に近いものを覚えた。バラードなので人物造形は昆虫のように無機質な感じだが。クラッシュ、ハイーライズ、コンクリートアイランドの頃から芯がぶれてない。これも03年の作品なのに「今」感。911に影響を受け出来た作品だがバラード以外のなにものでもない
★11 - コメント(0) - 2011年12月6日

何より重要なことは、2003年にこれが書かれているということだろう。バラードはまさに預言者であったのだ。
★4 - コメント(0) - 2011年10月17日

訳者によれば本書は、「世界には意味などはなく、人間の独善的な思い込みとは無関係に現象しているだけ」という認識をテーマにし、それを深めたものだという。「9・11」を明確に意識しながら書かれた本書だが、僕には単なる無差別な暴虐を肯定するものとしか見ることが出来なかった。これらの行為をあたかもゲーム感覚で行われる様は、危険だ。「中産階級による革命」といえば聞こえはいいが、そこまでの魅力は感じられなかった。
★5 - コメント(0) - 2011年9月24日

寝る前に読んで、朝起きてニュースを見たら、イギリスで本当に暴動が起きているのを見るという稀有な体験をさせてもらった。
★5 - コメント(0) - 2011年8月12日

主人公が周囲に流されながらもギリギリ踏みとどまってるのが印象的。というか私には彼の感情や真意が探れなくて、そのあたりが怖くもあった。日本の中産階級ではデモもテロも起こらないだろうが、この主人公のように輪に加わってサッと抜ける人が多そうだ。何かを勝ち取るために決起するのではなく、何をしたいのか確かめるために。
★7 - コメント(0) - 2011年7月20日

「プラットフォーム」の結末と地続きの倦怠を撃ち抜く策として、また(原作、映画共に)なぜスペースモンキーはビルを爆破しなければならなかったか、真の目的が示されている。
★3 - コメント(0) - 2011年7月19日

我々は、人を不安にさせる必要がある。
★2 - コメント(0) - 2011年6月27日

グールドの話す言葉が、深く残る。「2001年の世界貿易センタービルへの攻撃は、アメリカを20世紀から解放しようという勇敢な試みだった。死は悲劇だったが、それ以外の点では無意味な行為だった。そしてそれこそが狙いだったのだ。」無意味、か。
★3 - コメント(0) - 2011年6月13日

2003年に発表された日本初訳の長編。これ以外では翻訳されていない小説はあと長編が一つだけだそうで、それも東京創元社から刊行予定とのこと。「コンクリート・アイランド」「クラッシュ」「ハイーライズ」の三部作にほぼ追随する内容で、比較的読解しやすい内容。ただ、テロや革命など、外部の出来事の影響を受けてバラードが書いた作品とするならば案外珍しいのでは?上記三作に比べ毒が薄くなった気がするも、なかなかの作品。翻訳者の解説にあるが、これを読んだ後、「夢幻会社」や「終着の浜辺」を読むと印象が変わるかも。
★37 - コメント(3) - 2011年5月28日

登場人物全員が精神的に病んでいるような・・・。よく解らない。???
★1 - コメント(0) - 2011年5月24日

±
一種魅力的な狂人による不快な日常。しまりのない「中産階級革命」を背景に、黒衣の男/白衣の男、エキセントリックな女たち…見慣れた「図式」に『結晶世界』などの様式美を思い起こしつつ。もうバラードはいない、という認識こそが最もシュールだった。
★3 - コメント(0) - 2011年5月15日

中産階級による革命かあ。日本でもこのまま社会保障や公的債務の問題が解決しないと、革命が起こる?はずないか。
★2 - コメント(0) - 2011年4月27日

革命という言葉が無意味と暴力を広げ拡散させること。そしてそれが平常化され、日常に組み込まれることこそが新たなる千年紀であり、そこに配置される民の存在基盤なのだろうかねえ。
★3 - コメント(0) - 2011年4月7日

nob
難解。中産階級によるテロ行為のエスカレーションというテーマは解るけど、その向こう側、グールドのいう「無意味の意味」の意味がまだつかめない。社会的な不安を煽るという目的においては、テロ行為自身に目的はない方がいい、ということ?もっと深いものがあるような気がする。
★2 - コメント(0) - 2011年4月6日

まるでダウン症の子供のためにマスターベーションを手伝ってやった看護婦がもたらした優しくて問題のある医療行為のような趣き。暴力によって無意味を現実化するテロが、意味の矮小化と喪失をリセットするような治癒効果をもたらし、チェルシー・マリーナの中産階級の抱える問題を当人たちの気づかないまま癒す、どこか作業療法じみた、新しい千年紀への自己更新としての革命だとは。現実化による悪夢の終わりのように忘却に沈む治癒の中で承認された新しい貧困層という尊厳と共に何事もなかったかのように生まれる新世紀の民を分娩する社会実験。
★6 - コメント(0) - 2011年3月19日

ヒースロー空港、車、駐車。
★1 - コメント(0) - 2011年3月11日

9.11後の小説
★1 - コメント(0) - 2011年2月23日

30年くらいぶりにバラードを読んだ。日本では児童心理学以外ではあまり知られていない「アドラー心理学」が登場する。冒頭から出てくる中産階級による革命という記述を読み、奴隷が自分につながれた鎖を磨いて自慢を始めるという話を思い出した。本書に登場する囚人の鎖の話とおそらく同じものだろう。我々も鎖につながれているのを自覚していないのかも知れないと思い、少し怖くなった。
★5 - コメント(0) - 2011年2月23日

難解なイメージがあり、初期作品のいくつかを読んだだけで避けていたのだが、この作品を読んで、また再チャレンジしたくなった。狂気としか思えないグールド医師に否応なく惹きつけられていくマーカムに、いつのまにか共感を覚えていることに驚いてしまい・・。頭の上に10トンくらいのコンクリートの塊が浮いているような不安な感覚。常にそのような危険にさらされている時代なのだ、今という時は、と思わずにいられなくなった。
★6 - コメント(0) - 2011年2月10日

良くも悪くもいつものバラード。相変わらずの異様にシャープな筆致に痺れる。テロやデモは方法に過ぎないものの、このタイミングで読むととても感慨深いものがある。世界は無意味であるということに気付き、その虚無的な空間と対峙するとき、人は。バラードの作品の終末性は良く言われるが、実際は常に新しい社会や人間の姿を提示している。タイトルが示すように、本作もその例に漏れず、象徴的かつ神話的に「終末」の先にある社会と人間の姿を描いている。
★4 - コメント(0) - 2011年2月7日

久しぶりながら、あいかわらずのバラード節。後期バラードの中でも、比較的読みやすい作品かも。(もちろん、その裏にあるものは結構歯ごたえありそうだけど…)島国日本に住んでいると、良いのか悪いのか、テロって物が今ひとつピンとこない。革命とかストライキとかも縁遠いので、英語圏の人が読むのとは、受け取るものが微妙に違うんだろうなぁ。
★3 - コメント(0) - 2011年1月31日

千年紀の民の 評価:84 感想・レビュー:42
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