沈んだ世界 (創元SF文庫)

沈んだ世界 (創元SF文庫)
あらすじ・内容
6、70年前から起こった一連の地球物理学上の変動により、地球は高温多湿の水浸しの世界となっていた。国連調査部隊イギリス隊に加わった生物学者ケランズは、激変した動植物の形態を調べながら水没した都市を遍歴していく……。1960年代の英国“ニュー・ウエーブ”運動を代表する旗手バラードの初紹介。

あらすじ・内容をもっと見る
260ページ
344登録

沈んだ世界はこんな本です

沈んだ世界の感想・レビュー(182)

地球の温度が上がり、海面が上昇し、三畳紀のような世界に変わり果ててしまう。これを著者の世界では時間の退行と見なす。過去に遡ってしまう訳だ。この世界に圧倒されて主人公ケランズを含めた一部の人々の間で、遺伝に刻まれた過去の記憶が甦る。強迫観念のように太古の世界を思わせる太陽が脳裏に浮かぶ。夢と現実の境が曖昧になる。ストーリィは単純に言えば「南に行こうぜ」と言うもので、終末世界における心の変動を描写することに重きが置かれている。生きる為にサバイバル、となりそうな展開を、こういう視点で描けるのが凄い
- コメント(0) - 2月28日

再読。内宇宙への沈降・浮上が明示的で『結晶世界』より分かりやすい。エッセイでも言及していたが、バラードは「潜水服に身を包んだダリ」のエピソードがよほど好きらしい。
★2 - コメント(0) - 2月2日

★★★★★ 再読。全編を覆う高温・多湿・水・建物・森の描写が魅力的だし、“骸骨先生の唄” 以降はとくに圧倒された。『結晶世界』等と同様、大人しか出てこないお話なのも好み。
★4 - コメント(1) - 2016年12月2日

おっさんになって読んだ方が絶対いい。たぶん20年ぶり。
★2 - コメント(0) - 2016年11月26日

人間として生きることがつまらないというテーマは屍鬼と共通しているがこっちの方が面白いと思った不潔さが透けて見える沈没世界描写が好きまぁ主人公達みたいに偶然新たな選択肢を手に入れられなかった人たちからしたら異常者でしかないですね
★2 - コメント(0) - 2016年11月10日

NAO
地殻変動により高温化し、水没していく陸地。それとともに動植物は過去へと逆行し始め、人間もまた・・・。最終的には究極の人間の内面世界のあり方を問うているのだと思うのだが、実際にこのような世界で本当に単独行動などできるのかといったような細かい矛盾点がどうにも気になって仕方なく、あまり作品の世界観に浸ることもできず、共感もできなかった。
★46 - コメント(1) - 2016年11月5日

地殻変動によって水没していく世界。生物は水没していく世界に順応しつつも人間はダムなどを作って自然に対抗していた。しかし、環境順応する生物を研究していたケランズ博士はその世界に徐々に魅入られていく。沈みゆく都市のイメージは『天空の城、ラピュタ』での水に沈んだ街として再現されました。そして黒人を支配下に置き、暴虐を尽くす、『闇の奥』と『蠅の王』が掛け合わさったようなストラングマンの悍ましさが強烈だ。しかし、それは人間がかつての秩序(植民地支配)を基に立て直そうとする姿だ。尤もバラードは嘲笑うように吹き飛ばすが
★30 - コメント(0) - 2016年10月19日

これがニューウェーヴだとすると、私が今までニューウェーヴだと思っていたものは全く別物だったんですね…と認識を新たにした次第。もっと内面的で、小難しくて、ジェンダー論とか心理学とかポストモダンとかそういうものだと思ってました。いや内面的ではあるけれども、心を掘って潜っていくと、ここまでやれるものか。内面の追求というより、内面の表現の追及と言うのが相応しい。多分この設定もストーリーも小道具も、全部計算されつくした人類社会のメタファーなんだろう、でも読んでいる時そんなことは気にしていられない。面白すぎて。
★5 - コメント(1) - 2016年7月29日

バラードの破滅三部作の一作目。世界中の都市が溺死した世界が舞台。都市を覆う水は羊水や母親の胎内に例えられ、破滅している世界にありながら誕生を連想させる。プラネタリウムの潜水は主人公を赤ん坊に見立てているように感じた。太陽から逃げるように移動するストラングマンは水没した都市を復活させようとするが、そこにあったのは水没していた時には存在していた美しさが消えたグロテスクな現実だった。主人公が水没した都市にこそ愛着を持ち太陽を求める気持ちは理解できなくもないけど心情的にはストラングマンに肩入れしたくなる。
★6 - コメント(0) - 2016年7月12日

2016年286冊め。【167/G1000】気候変動により主要都市のほとんどが水に沈んだ近未来。60年代に書かれたということで、科学的には矛盾もあるが、昨今でいう温暖化によるものではなく物理学上の原因によるものらしい。熱帯気候になれば植物や動物の生態系が変わるのはそうだが、爬虫類の描写を読むまで現実にもこういうことが起こりうるとまで想像していなかった。潜水シーンは美しい。
★77 - コメント(1) - 2016年4月30日

疲れた。久々にこんなに体力を使う小説を読んだ。とにかく描写技巧が凄いなーというのがざっくりした感想。高温多湿の気候の描写は読んでいてウンザリするほどだし、中盤の潜水シーンの美しさも圧巻。ストーリーは薄いが、陰鬱に閉塞した世界の空気感や、登場人物のパーソナリティの壊れっぷりを楽しむ作品なのだと思うので、そこはあまり欠点には感じないと思う。ただまあ、そういうストーリー性に頼らないつくりなだけに、終盤の展開が活劇に傾きすぎているのがちょっと残念だった。
★1 - コメント(0) - 2016年2月29日

地球の温度が上昇し、南極の氷は解け、都市は水没している。温暖化の影響ではない。書かれたのは半世紀前。前提は、太陽の異常な活動によるものだ。かつて都市があった場所では、ビルの上の方が水面から出ている。当時はセンセーショナルなSFだったのかもしれないが、今読むと、色々な矛盾が目につく。しかし、その中で生きている人の倦怠感と自ら研究を続ける研究者の様子になぜか惹かれるものを感じ、これは絶望の物語ではないような気になる。太陽の異常に対しては、人間などなすすべもないのに。
★92 - コメント(2) - 2015年12月14日

【ガーディアン必読1000】バラード破滅三部作というらしい。太陽の異常活動により、地球は高温多湿気候となり海水面の上昇が起こった。世界の主要都市は水の中に沈んで、70年程が経った。主人公のケランズは派遣調査隊の一員として、水没した都市の動植物の生態などを調査していた。地球が段々と原始時代の頃の状態に戻って行くにつれて、動植物が先祖帰りを起こすだけではなく、人間の精神にさえも影響を及ぼして行くという考え方は恐いものだ。純粋に冒険を楽しませる作品ではなく、人の内面的な世界への旅立ちがテーマ、考える作品でした。
★50 - コメント(0) - 2015年9月27日

"水没した都市を遍歴していく"…これだと都市をあちこち彷徨い歩くというニュアンスになり、話の内容と異なっているような(実際は話の終わり頃までほぼ一都市に留まっているだけ)。話の中身が幻想的なのに、訳の古さで台無しになっていた「結晶世界」から訳者が変わり幾分か読み易くなったものの、改行が少なくページをめくるにも一苦労。特殊な環境に置かれ、ただひたすらに破滅していく人間がお好きな人以外には薦めにくいかも。また話の主題ではないとしても、ストラングマンにもっと目にもの見せてやりたかった。あまりにも悔しすぎる。
★1 - コメント(0) - 2015年8月21日

積みから読了。バラードの破滅三部作と呼ばれた物のうち、最も初期の作品です。-遥かな未来、地球は太陽の異常なプロミネンスによる気温上昇によって海の水位が上昇、さらに放射能によって植物や爬虫類が異常な進化を遂げたため、三畳紀のような生態系に戻りつつあった。- なるほど、聞いていた通り「ヌルッ」と描かれる世界。バラード特有の文章なのだそうです。訳と文字のフォントが非常に読みにくいのが残念ですね。この欠点のせいで世界の映像を味わいたくても展開速度に追いついていけず、結局中途半端なビジョンが頭に残ってしまいます。
★13 - コメント(1) - 2015年8月16日

短編に比べて、バラードの長編はちょいと苦手かもしれない。これ一冊ですっかりグロッキーになってしまった。というのは、まあ褒め言葉かもしれないけれど。特に印象深いのは9章の潜水パーティー。ケランズが深く潜っていて何かの呪力に捕われるように意識を失い死にかけるところで、こちらも妙な睡魔に襲われそれでも読もうと必死に文章に食らいつき、しかし舟を漕ぐように読み進め、ケランズが救い出させると同時に突如目が冴えた。妙なリンク体験のせいでなんだか愛着を覚える。英気を養って再読したい。
★4 - コメント(0) - 2015年3月26日

抗わない終末SF
★3 - コメント(0) - 2015年1月7日

再読。バラードは破滅三部作はハッピーエンドだと主張しているのだが、なるほど、確かに自己破壊的であっても、己に取り憑く欲求を自覚し、南へと向かうラストはそう読めるものかもしれない。この内的な欲求は、神経細胞に眠る太古の記憶でもあり、水に溺れ、己の中の太陽と現実の過酷な太陽の拍動がオーバーラップしていくように、風景や太古の記憶と内的世界の区別がなくなっていく。欲求は個人から流出して世界と混ざり合い、時間そのものが太古の記憶と現在の間の距離を失って風景となる。時間地帯。そこから死に向かうオデュッセイアが始まる。
★4 - コメント(0) - 2014年11月22日

考証より環境で意識はどう変容するか?だ。夢や退行の代用で緻密さを増す情景に免疫反応的な主人公の行動も無駄なく詰め込まれる。
★2 - コメント(1) - 2014年9月28日

伊藤計劃さん著の『虐殺器官』の中でジョンポールが読んだという世界の終末SFのバラード作品。にしても、こんなに読みにくいとは。いや、読みにくいというのはきっと、僕の能力がないせいなのだろう。情景描写が多いし、その情景も終始熱帯ジャングルで暑くなった気がした。本文ではどうしてケランズはこのような決断をしたのかがよくわからないけど、外的環境つまり外宇宙の変化が人の心、内宇宙へと影響を及ぼすようになり普通では考えられない思考をするようになったのかな、と思う。難しかったけど、嫌いな世界観ではなかった。
★1 - コメント(0) - 2014年8月24日

長編2作目にして完全に出来上がっていたのだなぁ
★1 - コメント(0) - 2014年4月20日

読み終えるのにかなり時間が掛かった上に読み込めた気があまりしないけど。でも潜水シーンの美しさには本当にうっとりする。バラードもすごいが、翻訳した峰岸久さんもすごい。『燃える世界』は絶版でなかなか手に入らないので、次は初期の傑作と言われる『結晶世界』を読む予定だけど、僕は晩年のバラード作品が好みのようです。彼の遺作が翻訳させるまで過去作を読んでいこうと思います。
★8 - コメント(0) - 2013年9月16日

gu
終末世界でぼんやりしている人たち。「内宇宙」というのは登場人物にとっての今ここで起きていることを言うのかも。ここではないどこかへ行くことの反対に。バラードの作品は風景そのものが力を持っている。それが登場人物に与える変化を描いている(「地上の風景と心象風景はもう区別できないものになっていた」)のだから、こうあるべき、というような話の進行には従わない(とは言っても本作は冒険活劇の要素が強いが)。
★2 - コメント(0) - 2013年8月28日

気温の上昇とともに、太古の記憶を再現する地球と一致するかのように、人間精神にも過去への旅路が現れはじめる。『闇の奥』で描かれるような湿林の描写にうなりつつ、おだやかなタイムスリップを幻視した。
★2 - コメント(0) - 2013年2月28日

太陽が突然不安定になって、温暖化が起こり地球上が沼とジャングルになって、70年後の世界。徐々に滅んでいく世界。こんなことで温暖化がおこるんだったら、CO2少々減らしても歯が立ちません。SFの名作ということで読んでみました。
★1 - コメント(0) - 2013年2月24日

★★★ 太陽の異常による温暖化で主要都市が水没した地球。国連調査部隊のケランズは水没した都市を調査するが……。原始に先祖返りした沼とジャングルの世界でケランズの精神が変質していく。体内に刻まれた太古の記憶で彼自身も先祖返りを果たし、彼はおぞましく感じた都市を再び水没させ、ハードマンのように南へと邁進していった。終末状況で人間が壊れていく話は珍しくないが、これは文字通り世界の環境の影響で崩壊していく。幻想的な世界とそれにリンクした自身の「内宇宙」に魅了され、ケランズは原始の象徴である南へと消えていったのだ。
★2 - コメント(0) - 2013年2月7日

役柄的にわかりやすい登場人物然り全体的に冒険活劇。でも世界観と心理は狂気。他のバラード作品とは異色な感じ。
★1 - コメント(0) - 2012年11月24日

±
沈みたい気分で再読、だったけど寧ろ太陽と汚泥と三畳紀爬虫類。いったん水没した都市の情景にしみじみしてしまった。考え込むといろいろメタファーが浮かんでくるが、主人公の結構あっさりした行動にくっついていくと気楽なもので。欧氏管ってエウスタキオ管のこと?とかいう旧訳がまた面白い。
★3 - コメント(0) - 2012年11月14日

徐々に露になる登場人物の狂気が、環境の変化によって引き起こされたもの、ではなく・・・というあたりが恐怖を感じる。
★1 - コメント(0) - 2012年8月4日

「結晶世界」はそれなりに面白く読めたのですが、これはなぜかダメでした。途中で投げ出すほど「合わない」というわけでもなかったけど。……訳の日本語のせいもあり? 読む前に勝手に想像していた「水没した世界」と違っていたため期待外れの感が。冒険活劇っぽいくだりの唐突さや爬虫類恐怖の素朴さなども目について、「内なる宇宙」とやらはよくわからなかった……。それとも単なるペシミズムなのか。うーむ
★3 - コメント(0) - 2012年6月27日

意外とストレートなものだった。こんなにストレートなんだったら、五年前にまずコレを読んどくべきだったんじゃないかと今更後悔するがもう遅い。
★1 - コメント(0) - 2012年3月28日

世界の変化が人の精神へ影響していく姿を主人公のケランズを通して書いていて、過去への進化と逆行がなんとも言えない感覚を呼び起こしてきます。脳の記憶を超えた遺伝の記憶さえも掘り起こし、人の身体も変化していく姿、狂気なのかそれとも正気なのか、それぞれの境が曖昧になっていく姿は凄く飲み込まれました。最後の終わり方もこの作品にとっては一番の終わり方だと思います。 お薦めのSF小説に入れたい一冊です。
★1 - コメント(0) - 2012年2月28日

初バラード 。これがニューウェーブか。
★4 - コメント(6) - 2011年12月6日

YTY
太陽活動の異常によって地球全体が中生代並の高温多湿環境になって海水準上昇して沈んで滅びゆく世界の話。ロンドンがジャングルとイグアナとワニに占領されている。
★1 - コメント(0) - 2011年8月19日

○物理的な、どうしようもない破滅と正面から向き合い没頭するという話。 ○無力感とか、不思議に肯定的な主人公の心理とか、結構好きです。リッグスのヒーローっぷりが無駄になるところとか。 ○解説にもあったけどドラッグ中毒者が主人公の破滅小説に近いかも。
★2 - コメント(0) - 2011年8月15日

バラード流『闇の奥』リメイク?ニューウェーブはあまり得意じゃなかったり。とにかく新訳で読みたい。
★3 - コメント(0) - 2011年7月29日

地球が温暖化し、各地が水没した未来世界のロンドンを舞台に、国連派遣の調査隊の一つイギリス隊が遭遇した事件を描くバラードの第二長篇。激変した環境で、人間の精神が変容したさまを心理的に解釈するあたりはバラードらしい。てっきり主人公の生物学者ケランズは、ガール・フレンドのダールと最後まで行動をともにするかと思ったが、意外なラストに驚く。ほとんど盗賊(海賊?)のボスのようなストラングマンとその部下たちの役回りが何だかユーモラスで、今まで読んだバラード作品では異彩を放っていた。
★5 - コメント(0) - 2011年7月7日

人間ドラマ系だた…
★2 - コメント(0) - 2011年5月1日

沈んだ世界の 評価:68 感想・レビュー:57
ログイン新規登録(無料)