殺す (創元SF文庫)

殺す (創元SF文庫)
あらすじ・内容
6月の土曜日の朝、ロンドンの超高級住宅地で住人32人が惨殺された。高い塀と監視カメラに守られた住宅地で、殺されたのはすべて大人。そして13人の子どもたちは何の手がかりも残さず、全員どこかへ消えていた。誘拐されたのか? 犯人はどこに? 2カ月後、内務省に事件の分析を命じられたドクター・グレヴィルは現場を訪れるうちにある結論に到達する。鬼才が描く現代の寓話。解説=柳下毅一郎

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殺すはこんな本です

殺すの感想・レビュー(280)

日誌形式で書くことで、物語の舞台であるパンクボーンヴィレッジの華美だけど人間味のない、管理された世界を引き出している。事件というより、パンクボーンそのものの問題を見抜いているかのような刑事、その背景にあるものを、暗黙の了見のように理解しているドクターグレヴィル。バラードの作品は世界とそこに配置された人物がつながっている。彼らが暴き出したのは理想の世界の歪みであった。それをパンクボーンという舞台に濃縮して描き出している。
★1 - コメント(0) - 2月6日

ミステリーだと思って、この本を読んでしまうと肩透かしを食らってしまうが、犯人がなぜこの事件を起こしたのかに注目すればとてもバラードらしい作品といえる。
- コメント(0) - 2016年12月18日

先は読めるけど楽しい。
- コメント(0) - 2016年11月30日

「コカイン・ナイト」はこの短編の八年後のようだが、その下敷きにも思えまた、映画の企画書のようでもあるこの物語は、その短さと淡々とした報告のみの構成によって、バラードが幻視したモダンな社会の脆弱性に説得力と冷たさをもたらす。単独でその良さを語るには少し物足りないかもしれないが、バラードの社会への恐怖と警鐘が一貫していることに驚くべきなんだろう。
★1 - コメント(0) - 2016年10月8日

食傷気味。
- コメント(0) - 2016年7月25日

殺菌抗菌がしっかりなされた優しさ空間からでも、逆説的に、反逆的殺意は発生し殺しが実行される。世界は道理で十分に説明できるほど単純ではない。矛盾がまかり通る。
★2 - コメント(0) - 2016年7月18日

ロンドンの高級住宅街で住人32人が惨殺、13人の子どもたちは全て行方不明、何があったのか?っていう短編。 粗筋から想像される内容以外の何物でもなかった。これ上下巻とかの長編だったらげんなりしてたわ。
★1 - コメント(0) - 2016年5月29日

神話なんてないし、外から見ているものと中から見えているものは同じじゃない。行き着くところに結論が行き着いているけど、現代でもそれを荒唐無稽な非現実とする人は多そう。
★5 - コメント(0) - 2016年5月7日

バラード作品を読みたいと思ってみたが難解でしかも分厚い本が多く、薄い本作(130頁)を選んでみた。高級住宅街地で住人32人が殺害され、その家の子供13人が行方不明になった事件を捜査する形で物語は進む。しかしこれはミステリではない。「…〈愛情と理解〉というとめどない食餌に、窒息しそうになっていた。それは大人にとって最高と思える理想の子供時代に過ぎなかったからだ(p81)」貧困、怨恨だけが殺人の原因とならない現代社会の歪みを描いた、強いて言えばSF的寓話か。やっぱり難しいや(><)
★18 - コメント(0) - 2016年3月4日

130ページにも満たない小著ですぐに読み終えた。推理小説の体裁をとった思想的小説とでも呼ぶべきだろうか。<やさしさという独裁>が本作のキーワードになっているように、ジョージ・オーウェルなど20世紀の(思想的な)作家たちがテーマとしているユートピアがディストピアに反転する逆説を描いている。
★1 - コメント(0) - 2015年10月11日

抑圧された子供たちが些細なことに切れる様子。意志を共有する子供たちは共同体をつくり、自分たちを無菌室のような場所に完璧に管理する親を殺害。子供たちの純粋な、一途な行動として捉えることもできるのかな。
★2 - コメント(0) - 2015年9月23日

一気に読んでしまった。さくっと読めてもやっと心に引っかかるいい作品。閉鎖社会において絶対的な管理者としての親と決別する話なんだと思う。超思春期。たぶん尾崎豊とか超聴く。彼らは保護された村をでて荒野生活で何を思うんだろうか。
★5 - コメント(0) - 2015年9月20日

ミステリーとしては陳腐。だけど現代社会を批判できるSFだからこそ、この物語は書けた。そしてますます、健全をめざす一方でネットで繋がりやすくなった今、バラードの物語は予言ともなった。「自分達を徹底的に管理し、やがて心を殺しに掛かってくる愛情と優しさに抵抗するために優しさの親玉(親、または社会)を先に殺すしかない」という論理は『ハーモニー』やPSYCHO-PASS的。伊藤計劃氏はバラードから影響を受けたのかもな・・・。一番、印象的だったのは惨劇が起きた高級住宅での破損は気づきにくいくらいに僅かだったこと。
★28 - コメント(0) - 2015年9月4日

殺すのは目的ではなく手段であるという話。
★4 - コメント(0) - 2015年7月18日

最近の事件報道を見てると20年遅れで世間がバラードに追いついたなぁと
★1 - コメント(0) - 2015年3月23日

ある土曜日の朝、ロンドンの超高級住宅地で起きた大量殺人大量失踪事件。32人の住人や家庭教師やお手伝いが惨殺され、13人の子供たちが行方をくらました。のどかなこの住宅地を血で染めた犯人は。邦題がストレートすぎて気に入って手に取った。犯人自体は序盤で予想ついたなぁ。まさかこんな芸当出来るもんかと読後も思っているわけだけど、往々にして事実は小説より奇なり。特に銃社会である欧米では思ったより簡単に人が殺せる。主人公が推測する犯人の動機を考えると、無動機殺人だってある世の中、こんな惨劇も現実味がないわけじゃないな。
★13 - コメント(0) - 2014年12月5日

6月の土曜日の朝、ロンドンの超高級住宅地で住人32人が惨殺された。高い塀と監視カメラに守られた住宅地で、殺されたのはすべて大人。そして13人の子どもたちは何の手がかりも残さず、全員どこかへ消えていた。誘拐されたのか? 犯人はどこに?2カ月後、内務省に事件の分析を命じられたドクター・グレヴィルは現場を訪れるうちにある結論に到達する。鬼才が描く現代の寓話。
★3 - コメント(0) - 2014年11月15日

ありの~ままの~すがた~をみせるのよ~(マジでそういう内容です)
★3 - コメント(0) - 2014年10月9日

「ロンドン郊外の高級住宅地で32人の大人が殺され、13人の子供が誘拐された」と帯にあるんですが、ほとんどの人はもう内容が推測できますし、少し読めば犯人もわかります。しかし最後まで主人公と刑事以外の大多数が真実を受け入れないというのが最大の?で、つまりこれはミステリではなくやはりSFかなと。愛情=管理、保護=牢獄という動機、現代に通ずる閉鎖社会の抑圧感はいやというほど伝わる作品でした。
★3 - コメント(0) - 2014年8月23日

図書館で探してた本の棚にあったものを、タイトルにちょっと惹かれて手にとった一冊。薄いから持ち運ぶのも読むのも楽だしと軽い気持ちで借りたけど、深夜に一気読みしてしまうくらいには中々面白かった。あらすじから犯人は想像できるんだけど、そのあまりに異常な事件が、いつしか歪んだ家庭環境が生みだした当然の帰結として淡々と冷酷に納得できてしまい、それがまた怖ろしい。どこにも悪人などいなかったのだとばかりに。妙な爽やかさすらある。ところで登録多いけどこのバラードさん、有名な作家さんなのかな?
★3 - コメント(2) - 2014年8月11日

ガス・ヴァン・サントのエレファントによく似ている。向こうは事件の1日を犯人の少年たちと被害者の少年たちの視点で描いていた。バラードは関係のない医者が関係のない場所に連れてこられて、特に悩まず、すぐに何もかも解明してしまう作品にした。めちゃくちゃドライでめちゃくちゃクール。
★2 - コメント(0) - 2014年8月2日

タイトルは原題のほうがイノセントな感じして好き
- コメント(0) - 2014年6月26日

★★★**
- コメント(0) - 2014年5月22日

殺戮のシーンが見事。
- コメント(0) - 2014年5月14日

★☆☆ 衝撃的というか案外、先進的な日本にいると、冷静に読んでしまうかも。善意による抑圧、管理社会の弊害を説いた本書。無論、作中そのままはありえないにしても、分からなくはない。ハーモニーを再読した直後で、よかったかも。現実社会に悲劇が多い中、短いとはいえ、淡々と終えてしまった。
★12 - コメント(0) - 2014年3月27日

ミステリーっぽい手法で、共同体の善意が意図せざる暴力を孕んでしまう可能性を描く。極端な管理社会の、閉鎖的な共同体が描かれる。社会は人間が作るものだから、犯罪や逸脱はできるだけ少なくなるように設計しなければならない。だが、人が完璧に社会を管理できるかというと、それもまた誤り。ただし、これは高度な社会共同体が孕む問題だ。伊藤計畫の「ハーモニー」を読んだ時も思ったのだが、そもそも地域共同体が機能していない日本社会は、この作品が提示する問題に直面するほどの段階まで進んでいないと思う。
★7 - コメント(0) - 2014年3月23日

★★★☆☆じわじわ不気味
★1 - コメント(0) - 2014年3月12日

犯人は最初から自明だけれど、動機と手段の解明を目的とした小説なんだろうと思いながら読んだ。淡々とした筆致で事実が解き明かされていく部分には吸引力がある。でも、動機も犯人の未来像もありそうでなさそう。それに、社会がこれほど事実を認めようとしないのも釈然としない。
★4 - コメント(0) - 2014年3月11日

とある小さな町で起こった大量殺人と子どもたちの失踪事件に関する物語。陰鬱かつ不気味な作品である。短篇がゆえ事件の全貌は明らかではないが、そこが更なる気味の悪さを呼ぶ。多少の古さを感じさせることと、ストレート過ぎる話運びが難点か。
★1 - コメント(0) - 2014年3月6日

恥ずかしながらバラードを初めて読む。こんなに面白い作家がいたのかと驚いた。現代社会が孕んだ(カギ括弧つきの)「悪」を強烈な印象で描き出した本作が発表されたのは1988年、今から26年前だという。「パングボーンの子どもたち」は立派な「社会人」として生き、家庭をも持っているころだろう。読み終えて、コーマック・マッカーシーの『チャイルド・オブ・ゴッド』にあった「おそらくあなたによく似た神の子だ」という一節を思い出した。きっと私たちによく似た子のはずだ。
★2 - コメント(0) - 2014年2月1日

報告書の体裁をとって記される大量殺人と誘拐事件の顛末。コンパクトながら淡々と語られる内なる闇の底知れなさにゾクッときた。
★5 - コメント(0) - 2013年12月5日

「1984年」でオーウェルが描いた管理社会の黙示録か。快適さを管理に委ねた人間を嘲笑う寓話か。私が読み取ったキーワードは、「やさしさという独裁」と「狂気だけが唯一の自由」。
★2 - コメント(0) - 2013年11月22日

管理社会の孕む危険性を描くディストピア小説。邦題はなかなか秀逸で、意図的にかは知らないが、物理的に人々を「殺す」と、個人(主体)を「殺す」の二つがかかっている。何しろこの二文字はインパクト大で興味をひく。主張を強調するためなのか、オチが大仰すぎてワロタw
★1 - コメント(0) - 2013年11月4日

はっきり言って序盤で犯人がわかってしまうのでミステリーではない。そういう味を期待すると確実に肩透かしを食らう。これはそれよりも人間心理を扱った小説であり、人々が享受しているであろう幸福な生活がいかにまやかしであり危機をはらんだ脆いものであるかということを教えてくれる、そういう類の小説だろう。70年代以降のバラードの作風に慣れている人であればすんなり入りこめるが、そうでないとちょっと厳しいかも。ラストはさらに迫りくる危機を予感させる。難点を言えば、短いのでちょっと食い足りないというところか。
★2 - コメント(0) - 2013年10月10日

閉鎖的で平和なコミュニティで32人の大人が殺され、13人の子供が誘拐された。犯行が行われた推定20分間にそこで一体何が起きたのか? ごく短い作品でさらっと読めて、淡々と出来事を追う抑えた筆致は、残酷な出来事を引きのカメラで撮るのにも似て好感が持てる。事件の動機も、インナースペースの探求者たるバラードらしくて良い。小さなコミュニティの出来事が最終的に社会に拡大されるあたりはあまりにいかにもすぎてちょっと笑ってしまった。
★10 - コメント(0) - 2013年9月24日

ストレートにも程があるタイトルに惹かれて購入。治安も警備も万全な平和そのものの高級住宅街で起きた大量殺人と失踪事件を日記か報告書のような抑えた筆致でリアルに描く120ページ。これはミステリとかサスペンスというよりもやはり広義の「SF」なのだろう。いやもうこれはすでに「今」の話でもあるのかもしれないし、「今」こそこういう時代なのかもしれないと思わせる。事件の側に横たわっていたある心理はたぶんわからない人には全然わからないだろうし、わかる人にはおそろしくわかるはずだ。怖い本です。
★2 - コメント(0) - 2013年8月28日

本当にフィクションか?と疑ってしまうほど真に迫ったクライムサスペンスだった。 犯人は早々に気づいてしまうが、理想郷って何だろう、平和って存在しないんじゃないかと考えさせられた。
★1 - コメント(0) - 2013年6月19日

人間て、人間が持つ感情の一部だけを使って不満なく生きていくことはできないんだろうなということ。そして「個」という単位にまだ人類は慣れていないんだろうなということ。コミュニケーションは引き続き人間の大きなテーマであること。80年代に書かれた小説だそうですが、現実は未だにこの小説で描かれている内容に対して歩み寄れてないね。
★2 - コメント(0) - 2013年6月13日

殺すの 評価:86 感想・レビュー:104
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